TikTokを活用してブランディングや商品の認知拡大を目的とするなら、「起動画面広告」という広告メニューがおすすめです。TikTok起動画面広告は、アプリを起動した直後の画面一杯に広告が表示されるため、数多くのユーザーにブランドの世界観や商品の存在感をアピールできます。
ただし、起動画面広告には決まった役割があるため、すべてのマーケティング施策に効くとは限りません。起動画面広告を最大限に活用するには、その特徴や仕組みをしっかりと理解しておくことが重要です。
本記事では、TikTok起動画面広告の特徴や料金体系、クリエイティブ制作のコツを解説します。
TikTok広告の全体像
TikTok広告とは、動画共有プラットフォームTikTokのアプリ内に広告を出稿できるサービスです。TikTokは国内だけでも月間アクティブユーザー数が950万人を超え、広告を出稿することで数多くのユーザーにリーチできます。
今回お伝えする起動画面広告を含め、TikTok広告には8種類の広告メニューがあります。
広告メニュー | 特徴 | 想定imp | 価格 |
起動画面広告 | アプリ立ち上げと同時に出現する広告枠に、動画広告や静止画広告を掲載。1日1社限定枠。 | 1,700万 | 600万円 |
TopView | アプリ立ち上げと同時に出現する広告枠に、最長60秒の動画広告を掲載。1日1社限定枠。 | 1,520万 | 750万円 |
OneDayMax | 機能「おすすめ」の4post目の広告枠に動画広告を掲載。1日1社限定枠。 | 610万 | 330万円 |
OneDayMax Plus | 機能「おすすめ」の4post目の広告枠に動画広告を掲載。1日1社限定枠。同じユーザーに1日最大4回アプローチ可能。 | 880万 | 440万円 |
Brand Premium | 機能「おすすめ」の130post以内に動画広告を掲載。順位は出稿額によって異なる。 | 60万~ | 42万円~ |
ブランドオークション | 広告配信中に設定を変更できる運用型広告。入札額を提示する、細かいターゲティングを行える点が特徴。 | – | オークション形式 |
#Challenge | ハッシュタグを付けた独自のキャンペーンを作成・告知できる。ダンスや歌などのユーザー参加型のコンテンツを生み出せる。 | 1,800万~ | 1,000万円~ |
Branded Effect | ユーザーが自分の投稿動画に、広告主が作成したオリジナルエフェクトを付与できる。自宅にいながらサービスの体感が可能。 | – | 380万円~ |
それぞれの広告メニューは特徴や役割が異なるため、以下のような目的に合わせて選び分けられます。
- ユーザーに強いインパクトを残したい:起動画面広告、TopView
- クリエイターとのコラボ動画を配信したい:Brand Premium
- トレンドを意識した動画配信を行いたい:OneDayMax、Brand Premium
- 自社の動画をTikTokで生かしたい:起動画面広告、TopView、ブランドオークション
- ユーザーを巻き込む参加型コンテンツを生み出したい:#Challenge
- ユーザーのブランド体験を生み出したい:Branded Effect
起動画面広告は、ユーザーがアプリを立ち上げた直後に強いインパクトを与えられます。そのため、ユーザーに強い印象を残すブランディングや商品・サービスの認知拡大をはかる場合に最適です。
TikTok起動画面広告
では、TikTok起動画面広告について詳しく解説します。起動画面広告の特徴や料金システム、素材のフォーマットなどを理解し、メリットをうまく活用していきましょう。
TikTok起動画面広告の特徴
起動画面広告とは、TikTokのアプリを起動した直後に現れる広告枠に出稿できる広告メニューです。この広告枠は1日1社のみに限定されており、広告費を支払うことで24時間独占できます。
TikTokユーザーなら誰もが目にする広告枠なので、最大リーチは550万にものぼります。さらにフリークエンシー(1日に同じユーザーに広告を表示)は最大5回まで対応しているため、想定インプレッションは1,700万回を超えます。
よって起動画面広告は、商品やブランドを数多くのユーザーに認知させる場合に最適です。また、CTRも最大10%と好成績を残しているので、単なる認知拡大だけではなくWebサイトやSNSへの誘導にも効果を発揮します。
最大リーチ数 | 5,500,000 |
想定インプレッション | 17,011,000 |
平均CTR | 8~10% |
最大フリークエンシー | 5回 |
ターゲティング | 不可 |
金額 | 600万円 |
レポートから分かる指標 | インプレッション数 クリック数 CTR(クリック率) ユニークユーザー数 |
TikTok起動画面広告の料金システム
固定の広告枠へ出稿する形式を「純広告」と呼びます。その固定の広告枠を買うために一度に高額な資金が必要ですが、費用を支払えば必ず広告が掲載される点がメリットです。
TikTokの起動画面広告も純広告にあたります。つまり、600万円の固定額を支払い、アプリの起動画面という固定の広告枠を購入するわけです。
なお、仮に600万円の固定費用をCPM単価に換算すると、約352円となります。CPM単価とは、広告が1,000回表示されたときにかかる広告費です。YouTubeのバンパー広告(動画冒頭の6秒以下の広告)のCPM単価は平均400~600円とされており、TikTok起動画面広告のほうがやや費用を抑えられます。
純広告とは対照的に、出稿額に応じて掲載場所が異なる形式を「運用型広告」と呼びます。こちらはオークションによって複数の広告主が入札額を競い合い、金額が高いほど目立つ場所に広告が掲載される仕組みです。
運用型広告であるリスティング広告やSNS広告などに慣れている方は、もしかすると純広告の仕組みには馴染みづらいかもしれません。その場合はTikTokにも運用型広告が存在するため、「ブランドオークション」という広告メニューを活用しましょう。
TikTok起動画面広告の素材フォーマット
起動画面広告の素材フォーマットは以下の通りです。
素材 | 項目 | 規定 |
静止画 | 形式 | JPG、PNG、JPEG |
サイズ | 最大500KB | |
解像度 | 1242×2208 1080×1920 750×1624 750×1334 720×1280 640×1136 | |
動画&静止画 | 動画の形式 | MP4(音声なし) |
動画のサイズ | 最大5MB | |
動画時間 | 3.0~4.9秒 | |
静止画の形式 | JPG、PNG、JPEG | |
静止画のサイズ | 最大500KB | |
解像度 | 1242×2208 1080×1920 750×1624 750×1334 720×1280 640×1136 |
起動画面広告と同じくアプリ立ち上げ直後の広告枠に掲載するTopViewとの違いは、上記の素材フォーマットにあります。TopViewの場合は最長60秒の動画のみを掲載できますが、起動画面広告だと静止画または最長4.9秒の動画を掲載できます。
起動画面広告の動画を掲載する場合、同時に静止画を用意しておかねばなりません。また、起動画面広告の動画は音声が再生されないので注意しましょう。
TikTok起動画面広告を利用するメリット・デメリット
起動画面広告を含め、TikTokの広告メニューにはメリットとデメリットの両面があります。なかでもTikTok起動画面広告のメリットとデメリットを理解しておくことで、この広告メニューを最大限に生かすことが可能です。
TikTok起動画面広告のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
・TikTok広告で最高クラスのリーチ数 ・24時間、起動画面の広告枠を独占できる ・ユーザーの印象に残りやすい ・広告をスキップされることがない | ・ターゲティングが活用できない ・広告費の負担が重い ・商品やサービスの詳しい説明ができない |
やはり、一度の広告出稿だけで1,700万近いインプレッションを出せたり、100%のSOV(Share Of Voice=広告投入量シェア)が出せたりするのは大きなメリットです。別の広告メニュー「TopView」とは異なり、起動画面広告は表示時間が短いため、広告のスキップなしですべての情報を見てもらえるのも利点と言えます。
ただし、ターゲティングが利用できないのは大きなデメリットです。それゆえ不特定多数のユーザーに広告を配信せざるを得ず、どのようなユーザーが自社に興味を示したのか分かりづらいことが難点と言えます。
TikTok起動画面広告に適しているPR目的とクリエイティブ
TikTok起動画面広告には先に挙げたメリットやデメリットがあることから、起動画面広告と相性のよいPR目的は次のようになります。
- ブランディング:広範囲のユーザーにブランドイメージを想起させる
- 商品の認知拡大:自社商品を知ってもらうきっかけ作り
そのため、起動画面広告のクリエイティブ(広告としての制作物)を作成する際も、ブランディングや商品の認知拡大の目的に適ったものを作る必要があります。以下のクリエイティブ制作のポイントを参考に、起動画面広告に適したクリエイティブを作成しましょう。
縦長のフォーマットに合わせる
起動画面広告はTikTokアプリの立ち上げ直後に広告が表示されるため、基本的なフォーマットは画像・動画共に縦型です。仮に横長のクリエイティブを掲載してしまうと、画面の上下に余白が生まれてしまうため、せっかくの起動画面広告のインパクトが薄まってしまいます。
そのため、起動画面広告のクリエイティブは画面一杯に表示できる縦型の画像や動画を作成しましょう。
縦型クリエイティブの場合でも画面の上下に余白が生まれてしまうときは、余白部分にテロップを挿入したり、ブランドロゴを掲載したりなど空いたスペースを有効活用するのが効果的です。
リンクを掲載する場合は大きめのものを
起動画面広告は、表示時間の短さからWebサイトやLP(ランディングページ)などへの誘導は不向きです。ただし、CTRは10%と高水準なことから、クリエイティブの工夫次第でWebサイトやLPにアクセスを促すことができます。
その一つの方法としては、ユーザーがすぐにCTA(行動喚起)ボタンを視認できるようリンクを大きめに掲載することです。最長4.9秒という表示時間の短い起動画面広告では、リンクが小さすぎるとユーザーがCTA箇所に気づかない恐れがあります。
たとえばソフトバンクが過去に掲載した起動画面広告では、リンクが視認しやすいよう大きめに配置されています。
出典:https://www.tiktok.com/ja-JP/
また、同広告の特徴として、「キャッチコピーがシンプルであること」と「クリックしてみたいリンクタイトル」という点が挙げられます。
起動画面広告は、画像や動画のなかに数多くのキャッチコピーや訴求文が入っていると、それを読むだけで表示時間が終了してしまい、リンクをクリックしている暇がありません。
また、「公式サイトはこちら」というありきたりなリンクタイトルよりも、「ギガ国の入口はこちら」というユニークな文言のほうがワクワク感があり、クリックしたくなるのが自然です。
広告の遷移先は記事LPがおすすめ
起動画面広告からWebサイトやLPに誘導する場合、遷移先のページ構成にも気を配りましょう。
起動画面広告はターゲティングができないことから、視聴するユーザーは不特定多数の人たちです。もちろんそのなかには自社のことをよく知らないユーザーも存在します。仮に自社のことをよく知らないユーザーに、商材アピール用のLPを見せてしまうと、いきなりのプロモーションに困惑してしまうでしょう。
そのため、起動画面広告の遷移先は記事LPがおすすめです。記事LPとは、1ページ単体でユーザーの商品認知や興味関心の醸成を行うコンテンツで、自社のことをよく知るユーザーを前提として商品PRを行う一般的なLPとは役割が異なります。
興味半分で広告をクリックしたユーザーに対しても、記事LPなら認知・興味関心という購買プロセスを経由させることができます。
TikTokで人気のインフルエンサーを活用する
短い時間でブランディングや認知拡大を行う起動画面広告では、よりインパクトのある訴求を行うためにもインフルエンサーの活用が効果的です。これはテレビCMで有名芸能人を起用するようなもので、TikTokで支持されているインフルエンサーを活用すれば、その人の知名度や印象をクリエイティブに付与できます。
TikTok起動画面広告に向かないPR目的
上記とは反対に、TikTok起動画面広告に向きにくいPR目的は以下の通りです。
- フォロワー獲得
- エンゲージメント強化(TikTok内でのいいねやお気に入りの獲得)
- WebサイトやLPへの誘導
- アプリのインストール獲得
フォロワー獲得
起動画面広告はあくまで1枚の静止画、5秒未満の無音動画で告知を行うだけなので、自社アカウントに誘導しフォローを促すのは無理があります。自社アカウントのフォロワーを獲得するなら、「おすすめ」フィードに広告を配信できるOneDayMaxやBrand Premiumが最適です。
エンゲージメント強化
エンゲージメント(いいねやお気に入りなどユーザーのアクション)を強化・促進するのも困難だと言えます。起動画面広告は、エンゲージメントを行うには表示時間が短すぎるからです。
エンゲージメントを強化するには、商品やサービスを体感できるエフェクトを作成できるBranded Effectが最適でしょう。エンゲージメントを促進するなら、「おすすめ」フィードで動画広告を配信できるOneDayMaxやBrand Premiumが向いています。
WebサイトやLPへの誘導
エンゲージメントの場合と同じ理由で、起動画面広告からWebサイトやLPに誘導するのも難しいと言えます。瞬間的に表示される起動画面広告は、アクションを促すよりもユーザーの印象に残すほうが役割に適っているからです。
別のチャネルにアクセスを促す場合に効果を発揮するのは、ユーザー参加型のハッシュタグキャンペーンを作れる#Challengeです。たとえばユニクロでは「#UTPlayYourWorld」のキャンペーンを公表し、優れたダンス動画を投稿したユーザーにCMの参加権などを与えることで、多数のユーザーの集客に成功しました。
アプリのインストール獲得
起動画面広告がユーザーのアクション促進に向かないことから、アプリのインストール獲得も困難だと言えます。アプリ用のコンバージョンを狙うなら、動画リワード広告やプレイアブル広告を出稿できるモバイル広告プラットフォームPangleが最適です。そのPangleに広告を出稿できるのは、TikTok運用型広告のみです。
TIkTokは活用方法次第で効果がとても高いプラットフォームです。
活用をご検討の方はぜひ一度ご相談ください。