オウンドメディアとBtoB企業は好相性!企業向けオウンドメディアの構築と運用方法

オウンドメディアとBtoB企業は好相性!企業向けオウンドメディアの構築と運用方法オウンドメディア

オウンドメディアとは、企業が保有する情報を発信するためのWeb媒体です。従来のホームページのような会社紹介や事業内容を載せるのではなく、ユーザーに価値のあるコンテンツを提供して関係強化やブランディングへと発展できます。

最近では、こうしたオウンドメディアの運用に着目するBtoB企業が増えています。顧客企業の購買プロセスが変わりつつある昨今、ユーザーとのコミュニケーションを深める手段として、BtoBビジネスにおけるオウンドメディアの重要性が高まっているのです。

本記事では、BtoBビジネスにおけるオウンドメディアの重要性や運用方法、実際にメディアを運用する企業の事例などを解説します。

BtoB企業にオウンドメディアが必要になる時代に

オウンドメディアと言えば、いままでであればBtoC企業がリードを獲得またはブランディングのために活用する方法が一般的でした。しかしインターネットによる情報収集が一般化しつつある昨今、消費者だけではなくBtoB企業のお客様である購買担当者も、Web上の情報を頼りに購入の意思決定を行うようになりつつあります。

米国のFORRESTER社の調査によると、BtoB企業の購買担当者の68%が、オンラインで自主的に情報収集を行っていることが明らかになりました。さらに60%の購買担当者は、情報を集める際に営業担当者とやり取りすることを好まないようです。
参考:The Ways And Means Of B2B Buyer Journey Maps: We’re Going Deep at Forrester’s B2B Forum

BtoBビジネスは、営業担当者が顧客企業の担当者を訪問し、対面で商談を進めるものというイメージが強いものの、もはやその姿は過去のものになりつつあります。現在はBtoCビジネスと同様、BtoBビジネスでも、オンラインが見込み客や顧客とコミュニケーションを取る主要なプラットフォームになっているのです。

そもそもオウンドメディアとは、定期的にコンテンツを発信し、見込み客や顧客との関係性を深めるためのチャネルです。

単にWebから情報を発信するだけならSNSやYouTubeでも行えますが、ユーザーの課題を可視化して購買意欲を高めるという役割はオウンドメディアにしかありません。たとえば「複数のSFAツールを比較検討したい」という専門的なニーズがある場合、SNSやYouTubeで情報を調べようとはしないでしょう。多くの場合は検索サイトから情報を探します。

もちろんSNSやYouTubeにもそれぞれの役割があるため、うまく活用することでWebマーケティングを効率よく進めていけます。ただ、いまの時代は、ユーザーと密接な関係を構築できるオウンドメディアがなければ、自社の製品やサービスの存在を知ってさえもらえない可能性があります。

幸いにもBtoB企業でオウンドメディアを活用する企業はいまのところ少ないため、オウンドメディアの役割やメリットを十分に理解したうえで、さっそくWebマーケティングに活用していきましょう。

BtoBビジネスとオウンドメディアが好相性である理由

ここまでBtoBビジネスにおけるオウンドメディアの必要性をお伝えしましたが、何も「情報収集のベースがWebに移行しているので渋々オウンドメディアを活用する」ということではありません。実はBtoBビジネスでは、BtoCビジネス以上にオウンドメディアとの相性は良好なのです。

その理由として以下のような要因が考えられます。

  • 専門的な領域の情報を探すには、じっくりと文字ベースでの情報収集が必要
  • BtoBビジネスで重要となるロジックやメリットをしっかりと伝えられる
  • オウンドメディアの役割がリードの獲得や育成のプロセスに適っている
  • 豊富なコンテンツがあれば検討段階のさまざまな層にリーチできる
  • 競合が生まれづらい、あるいは競争に勝ち残りやすい

専門的な領域の情報を探すには、じっくりと文字ベースでの情報収集が必要

先ほども簡単に説明しましたが、求めている情報が専門的であるほど、人はその情報を文字ベースで探そうとします。つまり、短文が主体のSNSや動画が主体のYouTubeではなく、しっかりとした文章が書き込まれているオウンドメディアで情報を探そうとするわけです。

たとえば「仕事にも使えるおすすめのガジェット」のような情報は、ある程度の知識があれば誰でも情報を発信できます。そのため、SNSやYouTube、オウンドメディア、ブログなどのプラットフォームを問わず、Web上には関連情報が氾濫しています。

しかし「掘削をスムーズに行うおすすめの石油採掘機」といった情報になると、専門性は飛躍的に高まります。特にBtoB向けの商材は、仕様が複雑で専門的なものが少なくありません。専門的であるほど高度で複雑な説明が必要になるため、SNSやYouTubeでの紹介は難しく、代わりにオウンドメディアの役割が一層重要になります。

BtoBビジネスで重要となるロジックやメリットをしっかりと伝えられる

オウンドメディアの各コンテンツ(記事)には自由に文字数を設定できるため、仕様が複雑で難解な製品の紹介に向いています。また、文章を使ってじっくりとロジックやメリットを伝えられるのは、BtoBビジネスにおいて大きな追い風です。

たとえば100円ショップに買い物に行く場合、わざわざ事前に商品の仕様を詳しく調べようとは思わないでしょう。商品選びに失敗したとしても、損失額はわずか100円で済むからです。

一方、BtoB企業の購買担当者が数百万円の製品を発注する場合、あらかじめ仕様や役割、効果、販売会社の実績、利用者の声といった情報を詳しく調べようとします。万が一役に立たない製品を仕入れてしまった場合、会社にとって大きな損失につながるためです。

このように購入する商品やサービスの価格が高くなるほど、購入者はそれを買うロジック(理由)やメリットの情報を求めます。高額な商材を扱うBtoBビジネスでは、購買担当者に向けてこのロジックやメリットを詳しく説明する必要があるということです。詳しく文章を記載できるオウンドメディアは、その役割に適っていると言えるでしょう。

オウンドメディアの役割がリードの獲得や育成のプロセスに適っている

従来、BtoBビジネスで購買担当者にロジックやメリットを伝えるのは、営業担当者の役割でした。しかし、情報収集の主軸がインターネットに移行するに従い、それを実行するのはマーケティング部門(またはインサイドセールス部門)の仕事になりつつあります。

事実、近年のマーケティングプロセスは細分化が進み、従来の画一的な営業活動を脱却しようとする企業が増えています。主なマーケティングプロセスは以下の通りです。

  • リードジェネレーション:潜在層を見込みのあるリードへと創出する段階
  • リードナーチャリング:見込み客と継続的な関係を保ち、受注確度を高める段階
  • リードクオリフィケーション:育成した見込み客を選別し営業部門へ送客する段階

そもそもオウンドメディアの役割とは、コンテンツによってユーザーの悩みや課題を明確にし、メルマガやeBookなどの提供によって解決策を提示し、徐々に見込み客へと醸成させることにあります。

先に挙げたBtoBビジネスの3つのマーケティングプロセスは、実際に営業部門に見込み客リストを送客し、商談に至るまでに強力な信頼の獲得と長い時間が必要です。コンテンツやさまざまな施策によって継続的なコミュニケーションを行えるオウンドメディアは、そのマーケティングプロセスをコツコツと蓄積していくうえで欠かせない存在だと言えます。

豊富なコンテンツがあれば検討段階のさまざまな層にリーチできる

オウンドメディアのメリットは、コンテンツのテーマ次第でさまざまな層にリーチできることにあります。そのため、まだ自社のことをほとんど知らない潜在層を獲得した後、その同一ユーザーを準顕在層や顕在層といった見込み客へと変えていくこともできます。

たとえば、自社で会計ソフトのBtoB製品を扱っていたとしましょう。仮に自社のことを知らない潜在層をターゲットにする場合でも、「連結財務諸表の基本ルール」といったコンテンツを用意すれば、ユーザーの悩みや課題にアプローチして集客効果を狙えます。

また、すでに自社製品の存在を知っている人には、「会計ソフトおすすめ10選」というコンテンツを提供したり、さらに自社製品を購入しようか迷う人には、「○○(自社製品)の3つのメリット」を紹介したりなど、購買意欲の高低に応じて適切なコンテンツの発信が可能です。

競合が生まれづらい、あるいは競争に勝ち残りやすい

BtoB企業のオウンドメディアは、扱っている商材と同様、提供する情報にも専門性が求められるため、競合他社の影響を受けづらいサイト運営を行えます。

これが仮にBtoCビジネスの場合、いまや検索エンジンには同じような情報があふれ返っています。専門性の低いコンテンツほど、ほんの少し情報を調べただけで同じような競合コンテンツを用意できるためです。

たとえば検索結果の1~10位に同じようなコンテンツが並んでいる場合、後発のメディアが似たような記事を投稿しても上位結果には表示されません。GoogleやYahoo!といった検索エンジンそのものが、類似コンテンツの氾濫を避けようとしているからです。

その点、BtoBビジネスの専門的な情報は、企業内部に在籍する専門家やその道で長く活動している人にしか提供できないものがほとんどです。そのため、専門的で独自性の高いコンテンツを拡充するほど、検索結果で上位を取得しやすく、集客効果も高まります。

豊富なコンテンツで十分な情報発信

オウンドメディアのメリットと言えば、自社の製品やサービス以外にも豊富なコンテンツを提供できることにあります。ユーザーのニーズに合う価値のあるコンテンツを提供できれば、ユーザーとの関係性強化やファンの醸成につながるコンテンツマーケティングへの発展が可能です。

BtoB企業がオウンドメディアで提供できるコンテンツには、以下のような種類があります。

  • 専門的で検索ニーズに適ったWeb記事
  • 記事の要約動画、または製品のメリットやベネフィットを伝えるPR動画
  • 定期的なコミュニケーションを行えるメルマガやステップメール
  • より専門的な知見を提供できるホワイトペーパーやeBook
  • 企業メッセージを大々的に発信できるランディングページ
  • 複雑なBtoBサービスの料金形態が一目で分かる見積もり機能

複数のコンテンツを組み合わせることで、認識段階や検討段階などユーザーのライフサイクルステージに応じた適切なアプローチが可能になります。

オウンドメディアを上手に活用するBtoB企業の事例

最後に、オウンドメディアをWebマーケティングにうまく活用するBtoB企業2社の事例をご紹介します。オウンドメディアの構築時やコンテンツ制作時の参考にしてみてください。

事例(1)会議HACK

会議HACKは、アスノシステム株式会社が運営するオウンドメディアです。同社は、国内最大級の貸し会議室検索サイト「会議室.COM」を運営しており、会議HACKによって同サービスの認知拡大やブランディングにつなげています。

コンテンツの内容は、企業における会議のノウハウやプレゼンテーション技術などを解説する記事が多く、インタビューやコラムなどさまざまな形式で情報を提供しています。また、会議にまつわる日常的な話題を面白おかしくパロディ化させた「会議あるある川柳」という独自コンテンツが目を引きます。

【会議HACK】
https://www.kaigishitu.com/meeting-hacks/

事例(2)P.I.Y.通信

P.I.Y.通信は、プリンターや記録紙の販売、デジタルプリントサービスを提供する中川製作所のオウンドメディアです。「企業向けのプリンター活用のコンテンツサイト」という珍しいコンセプトを掲げています。

コンテンツの内容は、プリンターを活用したPOPカードの作り方やラミフリー紙の使い方など、非常に専門的な情報が中心となっています。記事のなかにはところどころ自社製品の紹介文言が入っており、情報提供と共に販売促進につなげている点がポイントです。

キーワードを入力して目的の記事を検索できるほか、小売店やオフィスといった業種からコンテンツを探せるのも同メディアの強みと言えるでしょう。

【P.I.Y.通信】
https://www.nakagawa-mfg.co.jp/info/

 

弊社ではオウンドメディア構築から運用までワンストップでサポーしています。

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