いまや企業の情報発信に欠かせないチャネルであるオウンドメディア。SEO対策を施せばWeb広告を投入せずに集客を行うことができ、さらに見込み客とのつながりを強化することも可能です。
オウンドメディアには多数のコンテンツが含まれるので、一般的なホームページとは作り方や制作費が大きく異なります。そのため、オウンドメディアを構築・運用するにはどのくらいの費用が必要なのか、という点を想像するのは簡単ではありません。
そこで本記事では、オウンドメディアの料金について、構築費と運用費の2種類に分けて解説していきます。
オウンドメディア構築・制作の費用、予算
オウンドメディアを立ち上げるには、構築時と運用中の2種類のコストを念頭に置いておかなければなりません。まずは、オウンドメディア構築時に必要な費用や料金をご紹介します。
構築時の予算 | 主な目的 | 構築方法 | 制作期間 |
1万~25万円 | 低コストでオウンドメディアを立ち上げ、運用成果を見ながら徐々に規模を拡大したい | ・CMS ・小規模制作会社への依頼 ・自作 | 1ヶ月前後 |
50万~100万円 | オリジナルデザインやSEO対策を意識したオウンドメディアを立ち上げたい | ・小規模制作会社への依頼 ・大手制作会社への依頼 | 2~4ヶ月 |
150万~200万円 | CMSのカスタマイズや戦略立案などを踏まえた本格的なメディア運営を行いたい | 大手制作会社への依頼 | 3~6ヶ月 |
上記のようにオウンドメディアを立ち上げる目的や構築方法によっては、1万~300万円と費用相場に大きな差が生まれます。費用相場に差が生まれるのは、大掛かりなオウンドメディアを構築する場合ほど以下のような作業が必要になるからです。
- Webサイトデザインの企画や設計
- CMS(コンテンツ管理システム)のカスタマイズ
- 制作会社による一部コンテンツの用意
- 制作会社による戦略設計や運用サポート など
そのため、できるだけ低コストでオウンドメディアを立ち上げたい場合は、上記のような作業が不要な方法を採用しましょう。たとえばWordPressのようなCMSを自力で構築したり、低コストを売りにする制作会社に依頼するといった方法が挙げられます。
では、上表で紹介した予算の範囲内でどのようなことができるのか、以下で詳しく解説します。
予算20万円以内でできること
メディア構築の予算 | 1万~25万円 |
主な目的 | 低コストでオウンドメディアを立ち上げ、運用成果を見ながら徐々に規模を拡大したい |
構築方法 | ・CMS ・小規模制作会社への依頼 ・自作 |
制作期間の目安 | 1ヶ月前後 |
オウンドメディア運営の経験が少ない場合は、ひとまずサイトを立ち上げてみて、運用成果をはかりながら徐々に規模を拡大するケースも珍しくありません。そのような場合は、25万円以内の構築費用でも十分にオウンドメディアを立ち上げられます。
その方法の一つが、CMS(コンテンツ管理システム)を使ったメディアの構築です。
CMSとは、オウンドメディア内の記事や画像、動画、コメントなどをWeb上にアップロードしたり、内容を修正したりできる管理システムです。CMSに登録しておけば、管理画面からいつでも記事の執筆や編集、投稿といった作業を行えます。
もっとも有名なCMSは「WordPress(ワードプレス)」です。SEOに強い内部構造や、必要な機能はプラグインをインストールするだけで簡単にアップデートできる使いやすさが評価され、いまでは数多くのサイト運営者がWordPressを利用しています。
サービスそのものは無料ですが、サーバーをレンタルするための初期費用が3,000円前後、月々の維持費に1,000円ほど〜の費用がかかります。
また、自社でCMSを用意する以外にも、小規模な制作会社に依頼するのも方法の一つです。オウンドメディアを構築するだけであれば、制作会社に依頼した場合でも25万円以下の予算で済みます。
ただし、コンテンツは自社で用意しなければならないこと、予算的にオリジナルデザインを活用することが難しい点には注意してください。
メリット | デメリット |
・自社でCMSを用意すれば費用が限りなく安く抑えられる ・短期間でオウンドメディアを立ち上げられる ・テンプレートを活用すれば構築が簡単 | ・メディア設立のノウハウ習得が必須 ・運営ノウハウや運用戦略は提供してもらえない ・闇雲に運営をして失敗するリスクが高まる ・すべてのコンテンツを自社で用意しなければならない ・オリジナルデザインのメディア構築が困難 |
予算100万円以内でできること
メディア構築の予算 | 50万~100万円 |
主な目的 | オリジナルデザインやSEO対策を意識したオウンドメディアを立ち上げたい |
構築方法 | ・小規模制作会社への依頼 ・大手制作会社への依頼 |
制作期間の目安 | 2~4ヶ月 |
多少予算をかけてでもコンテンツマーケティングのノウハウが欲しい、ユーザビリティを向上させるためにオリジナルデザインのメディアを構築したいという場合には、少なくとも50万~100万円ほどの予算が必要です。
予算20万円以内のケースでは、既存のデザインテンプレートを活用することで費用を抑えられました。しかし、テンプレートを使用したオウンドメディアは、コンテンツ制作者やユーザーが使いにくさを感じるケースも珍しくありません。
そこで予算を増額することで、オリジナルのデザインを制作会社から提案してもらえます。自社のサービス内容やユーザーの属性、コンテンツの内容に合った最適なオウンドメディアの構築が可能です。
また、予算を増やすことで、メディアの運用戦略面にも制作会社に関与してもらうことができます。SEO対策やコンテンツマーケティングのノウハウが不足している場合には、その知識や技術に長けた制作会社に依頼してみるのも方法の一つです。
メリット | デメリット |
・オリジナルデザインを構築できる ・SEO対策やコンテンツマーケティングのノウハウを提供してもらえる ・一部コンテンツを提供してもらえる | ・メディア構築までにある程度の時間がかかる ・ほとんどのコンテンツを自社で用意しなければならない ・投資金を回収するまでに長い時間がかかる |
予算200万円以内でできること
メディア構築の予算 | 150万~200万円 |
主な目的 | CMSのカスタマイズや戦略立案などを踏まえた本格的なメディア運営を行いたい |
構築方法 | 大手制作会社への依頼 |
制作期間の目安 | 3~6ヶ月 |
豊富なコンテンツを取り揃えた大規模なオウンドメディアを構築したい、コンテンツマーケティング戦略も踏まえた本格的なメディア運営を行いたいなら、150万~200万円以上の費用が必要です。
初期投資として高額なコストがかかりますが、運用戦略を踏まえたコンサルティングサービスを提供してもらえたり、自社に合うオリジナルのCMSを開発してもらえることもあります。すでに運用中のオウンドメディアを大規模に改修したい場合にも、これぐらいの予算があると十分に対応可能です。
メリット | デメリット |
・発注する制作会社によってはコンサルティングサービスを提供してもらえる ・フルカスタマイズのCMSを利用できる ・オリジナルデザインを構築できる ・ある程度のコンテンツを制作会社に用意してもらえる | ・メディア構築までに時間がかかる ・投資金を回収するまでに長い時間がかかる |
オウンドメディア運用にかかる費用
先述の通り、オウンドメディアを運営するには構築費と運用費が必要です。ここでは、コンテンツ制作費や運用保守費といった日々の運用にかかわる費用についてご紹介します。
コンテンツ制作費
オウンドメディアの主な役割は、見込み客の集客とサイトに集客した見込み客と関係を深めることにあります。そのため、オウンドメディア運用にはコンテンツが欠かせません。定期的にユーザーへ価値のある記事を発信し、徐々に購買意欲を醸成させていくということです。
上記の理由からオウンドメディア運用におけるコンテンツ制作費は、もっとも資金を投じるべき項目だと言えます。
オウンドメディアのコンテンツを制作する方法は以下の4通りです。
- オウンドメディア制作会社にコンテンツ制作を依頼する
- コンテンツマーケティング専門会社にコンテンツ制作を依頼する
- クラウドソーシングを活用して業務委託を行う
- 企画から構成、執筆までの作業をすべて自社でまかなう
どの方法を利用するにせよ、「1ヶ月にどの程度の記事数が必要か」によってコンテンツ制作費は大きく異なります。予算を考える場合は、以下の計算式を参考にしてください。
【コンテンツ制作費の計算式】
- (文字単価×1記事辺りの規定文字数+ディレクション単価+仕上げ作業の単価)×1ヶ月の投稿記事数
たとえば文字単価2.0円で5,000文字の記事を執筆、それを1ヶ月に30記事用意したいとしましょう。さらに企画や構成を考える費用として1記事5,000円、記事の校正やCMSへの投稿などの仕上げ作業に1記事5,000円のコストがかかるとします。すると1ヶ月に必要なコンテンツ制作費の目安は以下のようになります。
文字単価 | 5.0円/1文字 |
1記事辺りの規定文字数 | 3,000文字 |
1記事辺りの執筆代 | 5.0円×3,000文字=15,000円 |
ディレクション単価 | 3,000円 |
仕上げ作業の単価 | 1,000円 |
1ヶ月の投稿記事数 | 30記事 |
月額費用合計額 | 570,000円 |
上記は1日1記事ずつ投稿した場合の目安金額です。通常はここまで多く無いケースも多いでしょう。
オウンドメディアを立ち上げて間もないときに、1ヶ月100記事単位でコンテンツを拡充する場合にはさらに高額な費用が要ります。
また、文字単価や記事数に関係なく定価でコンテンツを制作しするサービスも数多くあるため、自社にあったプランを選ぶようにしましょう。
コンテンツのオプション費用
コンテンツのオプションとは、記事により付加価値を付けるために用意するインフォグラフィック画像や動画といった要素です。
たとえば記事内にときおりインフォグラフィック画像を挟めば難解な文章が読みやすくなりますし、動画があればユーザーがより短時間で情報を理解できるようになります。こうした施策はいずれもユーザビリティを高めるものなので、SEO対策としても効果を発揮します。
コンテンツのオプションを制作する方法は以下の3通りです。
- コンテンツマーケティング専門会社や動画制作会社に依頼する
- クラウドソーシングを活用して業務委託を行う
- 自社のスタッフですべての作業をまかなう
仮にオプション制作を専門会社に依頼した場合、費用相場は以下のようになります。
オプションの種類 | 費用相場 |
インフォグラフィック画像 | 【画像1枚辺りの単価】 グラフ:8,000~50,000円 年表:10,000~80,000円 ダイアグラム:20,000~90,000円 地図:10,000~55,000円 フローチャート:10,000~60,000円 |
動画 | 【動画1本辺りの単価】 1分未満:15万~80万円 1~3分未満:30万~120万円 3分以上:80万~300万円 |
たとえば単価1万円のインフォグラフィック画像を1記事に平均3枚含めた場合、1ヶ月に30記事を制作すればオプション費用だけで90万円のコストが発生します。記事の制作費と合わせれば月額150万円近くのコストがかかるため、ときおりフリー画像を使ったり無料の制作ソフトで自作するといった方法で費用を抑えると良いでしょう。
動画はさらに高額な料金が必要ですが、動画があればYouTubeを使って情報発信ができ、オウンドメディア以外のチャネルで集客やブランディング、プロモーションなどを行えて便利です。
分析調査費用
オウンドメディアを運用する際は、コンテンツの改善につながる分析や検証が欠かせません。特にWebにアップされるコンテンツは、些細なことで検索順位が変動したりアクセス数が増減したりするため、常にコンテンツをより良く改善する心構えが必要です。
オウンドメディアの分析調査には、以下2種類のパターンがあります。
- コンテンツ制作前に実施するユーザーニーズの調査
- コンテンツをアップロードした後の効果検証
上記2種類の調査分析は、方法次第で費用をかけずに実施することができます。前者の場合にはGoogleの「キーワードプランナー」や関連ワード調査用の「ruri-co」、後者だとGoogleの「アナリティクス」や「サーチコンソール」などの無料ツールが活用できるからです。
ただ、無料ツールは競合他社も同じように活用できるため、コンテンツに独自性を持たせたり他社より優位に立ったSEO対策を行ったりするには、有料分析ツールの活用も視野に入れておきましょう。
ツールはどのような戦略でメディアを運営するかによって欲しいデータ等も変わってくるため、企画段階で相談しておきましょう。
運用保守費
運用保守費とは、レンタルサーバーに支払う月額費用やCMSへの投稿費用、サイトに不具合が発生したときの修復費などを指します。
標準的なレンタルサーバーの場合、ドメインの年間利用料金を含めても月額1,500~2,000円程度の費用で済みます。機能性に優れた高額なレンタルサーバーでも3,000~5,000円ほどです。
また、WordPressなど既存のCMSを使えば投稿費用はいっさいかかりませんが、CMSの投稿を外注する場合には別途料金が発生する場合があります。
オウンドメディア見積もり例
オウンドメディアの構築費や運用費は、どのような目的でメディアを運営するのか、あるいはどのような部分にこだわりを持つのかといったことが異なるだけで金額に大きな差が生まれます。
そこで、オウンドメディア制作を外注した場合の2つの見積もり例をご紹介します。
見積もり例(1)WordPress構築のみを依頼イメージ
コンテンツの制作や運用保守、素材準備等はすべて自社でまかなうため、CMSとして利用するWordPressの構築のみを依頼。なるべく低コストでオウンドメディアの構築をしたい場合、以下のような見積もり金額となりました。
品名 | 数量 | 価格 | ||
単価 | 合計金額 | |||
ディレクション費 | ヒアリング・打ち合わせ料金を含む | 1 | 40,000 | 40,000 |
デザイン費 | テンプレートデザイン採用 | 1 | 100,000 | 100,000 |
コーディング費(製作費) | トップページ・下層ページ×10 | 1 | 100,000 | 100,000 |
システム構築費 | プラグイン5種類の導入・設定 | 5 | 10,000 | 50,000 |
サーバー代行費 | エックスサーバー申し込み代行 | 1 | 5,000 | 5,000 |
ドメイン代行費 | ドメイン取得代行 | 1 | 5,000 | 5,000 |
合計金額 | 300,000 |
見積もり例(2)本格的なオウンドメディアの構築イメージ
本格的に集客やコンテンツマーケティングを行うため、大規模な予算を設定して制作会社にオウンドメディアの構築を依頼。ベンチマークコンテンツとなる複数記事の入稿やオリジナルCMS制作、コンテンツマーケティングの戦略策定などを依頼した場合、以下のような見積もり金額となりました。
品名 | 数量 | 価格 | ||
単価 | 合計金額 | |||
ディレクション費 | ヒアリング・打ち合わせ料金を含む | 1 | 50,000 | 50,000 |
コンサルタント費 | コンテンツマーケティング戦略立案 | 1 | 450,000 | 450,000 |
独自CMS構築費 | 導入設定・プラグイン設定を含む | 1 | 550,000 | 550,000 |
Webデザイン費 | オリジナルデザイン制作 | 1 | 350,000 | 350,000 |
コーディング費 | トップページ・下層ページ×10 | 1 | 200,000 | 200,000 |
記事制作費 | 5記事分の企画・執筆・投稿作業 | 5 | 35,000 | 175,000 |
撮影費 | トップページ・下層ページ写真×20枚 スタジオレンタル(3時間) | 3 | 25,000 | 75,000 |
運用保守契約 | サーバーレンタル・ドメイン・管理費 | 1 | 25,000 | 25,000 |
運用テスト | – | 1 | 50,000 | 50,000 |
合計金額 | 1,925,000 |
費用をかける部分を戦略的に考える
オウンドメディアの構築費や運用費を抑えるには、費用をかける部分を戦略的に考えることが大切です。つまり、自社でまかなえる範囲は社内のスタッフに任せ、外注費を抑えるということです。
たとえばWordPressの構築やレンタルサーバーの契約などは自社で行い、サイトのデザインのみを制作会社に任せると数十万円単位の構築費が浮きます。費用を抑えたいものの無料のテンプレートを使いたくない場合は、数万円程度で買える有料テンプレートを購入すれば制作会社に外注するよりも安く済みます。
弊社ではオウンドメディアの構築から、運用、コンテンツ制作までワンストップでサービス提供しています。
オウンドメディア制作をお考えの企業はぜひご相談ください。