TikTok広告とは、世界最大級の動画共有サービスTikTokアプリに動画広告を出稿できるサービスです。国内のアクティブユーザー数は950万人を超え、主要ユーザーである10~20代の数多くの若者にリーチできる点に特徴があります。
数多くの広告メニューを選べるメリットがあるものの、その複雑さから「動画広告の出し方」が分からないと悩むケースも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、TikTok広告の出稿・配信方法を解説します。広告を出す手順や必要な準備物などを理解できるため、本記事を読むだけで広告配信の準備スタートの参考になります。
ご検討、参考の際は一度お問い合わせください!
TikTok動画広告の出稿配信の際の考え方と準備
TikTok動画広告を出稿する手順は以下の通りです。
- 広告メニュー、予算、期間、目標等の設定
- 動画広告を制作する
- 広告を配信して運用する
ここでは上記の手順に沿って出稿・配信の際の考え方や準備方法を解説します。
広告メニュー、予算、期間、目標等の設定
まず、TikTok動画広告からメニューを選んだり、予算や期間、目標などを設定していきましょう。
目標設定
TikTok広告を配信するには、まず出稿目的を選択します。TikTok広告で選択できる目的は以下の5つです。
- リーチ
一定期間内に自社広告を視聴するユーザー数を最大化させる。ブランド認知を拡大したい、なるべくたくさんのユーザーに広告を見てもらいたい場合に最適な目的。
- 動画視聴数
広告動画の再生数を増やし、ブランドの純粋想起率を向上させる。ブランドやサービスの興味・関心を惹きつけたい、ブランディングでイメージ向上をはかりたい場合に最適な目的。
- トラフィック
広告の受け皿となるWebサイトやLP(ランディングページ)へのアクセス数を増加させる。潜在層を見込み客へ醸成させたり、資料請求やメルマガ登録などを通じて関係性を強化したい場合に最適な目的。
- アプリインストール
広告を通じて自社アプリのインストール数を増加させる。アプリの新しい機能を紹介して認知拡大をはかりたい、新しいモバイルオーディエンスにリーチしたい場合に最適な目的。
- コンバージョン
TikTokアプリ内でのエンゲージメント(フォローやいいねなど)を促進する。自社に対するファンを獲得したい、既存ユーザーにリエンゲージメント(広告の再配信)を行ってブランドロイヤリティを向上させたい場合に最適な目的。
広告メニューの選択
広告配信の目的が決まった後は、その目的に沿った広告メニューを選んでいきます。TikTok広告で配信できる広告メニューは以下の8種類です。
広告メニュー | 特徴 | 広告費 |
TopView | アプリ起動後の広告枠に最長60秒の動画広告を配信。右記の広告費を用意することで、1日1社の広告枠を独占できる。 | 750万円 |
起動画面広告 | アプリ起動後の広告枠に5秒の動画または静止画広告を配信。右記の広告費を用意することで、1日1社の広告枠を独占できる。 | 600万円 |
OneDayMax | アプリ内の「おすすめ」フィード4post目に最長60秒の動画広告を配信。右記の広告費を用意することで、1日1社の広告枠を独占できる。 | 330万円 |
OneDayMax Plus | アプリ内の「おすすめ」フィード4post目に最長60秒の動画広告を配信。OneDayMaxよりも想定インプレッション数が多い。右記の広告費を用意することで、1日1社の広告枠を独占できる。 | 440万円 |
Brand Premium | アプリ内の「おすすめ」フィード130post以内に動画広告を配信。出稿額によって掲載順位が変化する。詳細なターゲティングが可能。 | 42万円~ |
#Challenge | ダンスや歌などユーザー参加型のオリジナルキャンペーンを配信できる。UGC(ユーザー生成コンテンツ)確保やエンゲージメント強化に最適。 | 1,000万円~ |
Branded Effect | 新製品や新サービスのアピールにつながるオリジナルエフェクトを追加できる。ユーザーは自分の投稿動画を利用し、「髪色変化」や「コスメの色合い変化」といった商品の魅力を体感できる。 | 380万円~ |
ブランドオークション | 広告運用中にクリエイティブやターゲティングなどを調整できる運用型広告。オークションで高い入札額を提示するほど目立つ掲載場所に出稿できる。 | オークション形式 |
最初に設定した目的に合う広告メニューは基本的に以下の通りです。
- リーチ:TopView、起動画面広告、OneDayMax/Plus、Brand Premium
- 動画視聴数:OneDayMax/Plus、Branded Effect、ブランドオークション
- トラフィック:#Challenge
- アプリインストール:ブランドオークション
- コンバージョン:#Challenge、Branded Effect、ブランドオークション
予算と期間の設定
TIkTok広告で設定できる予定は、以下3通りに分かれます。
- 無制限:予算に上限を定めず広告を運用する
- 日予算:キャンペーンごとに利用できる1日の上限額の目安
- 通算予算:キャンペーンごとに利用できる掲載期間全体の上限額の目安
予算を決めた後は、広告を配信する期間(スケジュール)を設定します。期間は、「開始日と終了日」と「時間帯」が設定可能です。
動画広告を制作する(Pangle広告用の画像も制作)
次に、TikTok広告に出稿するための動画広告(クリエイティブ)を用意していきましょう。
広告枠によるフォーマットの違い
TikTok広告では、広告の配信枠として「TikTok」や「BuzzVideo」、「Pangle」の3種類のプラットフォームが用意されています。
- TikTok
月間アクティブユーザー数950万人を抱えるモバイル向けショートムービープラットフォーム。ユーザー参加型のコンテンツや広告を配信したマーケティング事例が多い。
- BuzzVideo
お笑いやスポーツといった多彩なジャンルの動画コンテンツを無料で提供するキュレーションアプリ。独自の機械学習機能により、ユーザーの興味・関心に合わせておすすめ動画が表示される仕組み。
- Pangle
TikTokやBuzzVideo以外の国内の多様なジャンルのアプリに広告配信できるモバイル広告プラットフォーム。近年特に注目度が高まっているプレイアブル広告(アプリを疑似体験できる広告)や、広告を視聴した対価に報酬を付与する動画リワード広告などを出稿できる。
掲載先のプラットフォームが違えば配信可能な広告フォーマットも異なるため、それぞれの要件を把握しておきましょう。
素材 | 詳細 | TikTok | BuzzVideo | Pangle |
動画 | 広告様式 | 9:16縦型/16:9横型/1:1正方形 | ||
アップロード可能な範囲 | 16:45.22 ≤アスペクト比率≤16:4.5 | |||
容量 | ≤500MB | |||
音声 | オン | |||
長さ | 5~60秒 | 5秒~ | 10~30秒 | |
解像度 | ≥1280×720 ≥720×1280 ≥640×640 | 制限なし (以下推奨) ≥1280×720 ≥640×640 | 制限なし | |
ビットレート | ≥516kbps | 制限なし | ≥516kbps | |
形式 | .mp4 .mov .mpeg .3gp .avi | .mp4 .mov .mpeg .3gp .gif | .mp4 .mov .mpeg .avi | |
サムネイル | 広告様式 | 動画素材の広告様式と合わせる | ||
形式 | jpg/png | |||
容量 | 制限なし(推奨:≤500KB) | |||
解像度 | ≥1280×720 ≥720×1280 ≥640×640 | 制限なし (以下推奨) ≥1280×720 ≥640×640 | 制限なし | |
静止画像 | アスペクト比 | – | 1.91:1 | 1.91:1 1:1 |
容量 | – | ≤500KB | ≤500KB | |
解像度 | – | ほぼ任意サイズをアップロード可能(推奨:1200×628) | ほぼ任意サイズをアップロード可能(推奨:1200×628) | |
形式 | – | jpg png | jpg png |
マーケティングの目的に合わせて動画を制作
動画の内容については、マーケティングの目的に合わせて決めるようにしましょう。
たとえば売上の最大化が目的の場合、TikTokに掲載した広告からLPへ多数のアクセスを獲得しなければなりません。
LPは単独で購買意欲の醸成からユーザーのアクション(購買や資料請求など)を可能とするため、ここでの広告の役割はブランド認知と集客です。よってクリエイティブには、ブランドのイメージ訴求やユーザーがLPのリンクをクリックしたいと思えるような内容が必要になります。
あらかじめ複数のクリエイティブを制作
クリエイティブを制作する際は、事前に複数のパターンを用意しておくようにしましょう。1つのクリエイティブが必ずしも効果をあげるとは限らないからです。
たとえば、動画に含まれるBGMの雰囲気を変えるだけでも、視聴した際の印象は大きく異なります。ほかにも動画の長さを調整したりテキストサイズを変更したりするなど、細かい要素を変更した複数のパターンを制作しておきましょう。
キャンペーンごとに複数のクリエイティブを出稿し、成果を見ながら動画の内容を改善していくことが肝要です。
また、複数のクリエイティブを用意しておくと一度にまとめて審査を受けることができ、審査待ち時間を抑えられるメリットもあります。
クリエイティブの制作は動画制作会社がおすすめ
TikTokには、「Video TemPlate」や「Smart Video」といった誰でも簡単にクリエイティブを制作できるツールが用意されています。こうしたツールは手軽にクリエイティブを作れるメリットがあるものの、完成物の質までは保証されていません。
動画撮影や編集のノウハウがないまま制作を進めてしまうと広告の品質が低下し、ユーザーに悪い印象を与えてしまう恐れがあります。そのため、クリエイティブを制作する際は動画制作会社に依頼することをおすすめします。
動画制作会社にクリエイティブ制作を依頼するメリットは以下の通りです。
- 動画制作のプロが作成した品質の高いクリエイティブを使える
- 制作会社によっては広告運用やTikTokマーケティングのコツを教えてもらえる
- 動画制作に労力や時間を割く必要がない
広告を配信して運用する
クリエイティブの制作が完了すれば、今度はいよいよ広告を配信・出稿します。ここでは、配信・運用時のポイントや考え方について詳しく解説します。
広告配信前に審査が必要
広告出稿における最後の手続きとして、必ず審査を受けなければなりません。出稿審査とは、制作したクリエイティブがフォーマット要件に該当しているか、TikTokの出稿ポリシーに抵触していないかといった点をチェックする手続きです。
審査の結果が出るまでの期間は約2~3日。仮に審査を通過しなかった場合、再びクリエイティブを作り直して出稿審査を受ける必要があります。
TikTokの出稿ポリシーを確認する場合は、「TikTokビジネスヘルプセンター 広告ガイドライン」を確認してください。
出稿後のデータ計測を忘れずに
TikTok広告は、出稿すればそれで終わりというものではありません。先述した通り、1つのクリエイティブで成果を出すことは非常に難しいため、運用成果を検証してクリエイティブをよりよいものに改善していく必要があります。
広告メニューのうち、運用型広告であるブランドオークションは運用中であってもクリエイティブやターゲティングなどを再調整できます。よって初めてTikTok広告を運用する場合は、日々の成果を見ながら広告設定を最適化できるブランドオークションがおすすめです。
企業のTikTok動画の事例
最後に、TikTokでマーケティングを実施する企業の動画事例をご紹介します。企業アカウントのなかにもクリエイティブ制作に役立つ優れた動画があるため、企画や構成を考える際の参考にしてみてください。
事例(1)デリッシュキッチン
(https://www.tiktok.com/@delishkitchen/video/6990674381772999938?is_copy_url=1&is_from_webapp=v1)
オウンドメディアやアプリで料理レシピ動画を発信するデリッシュキッチン。TikTokでは国内を代表する一大メディアと化しており、フォロワー数は26万、いいね数は3,700万回を超えます。
TikTokで公開されているレシピ動画は、そのほとんどが15秒程度のショートムービーです。公式アカウントにデリッシュキッチンのアプリURLが掲載されている通り、誰でも気軽に見れるレシピ動画で視聴者の興味を引き、アプリに誘導するのが目的なのでしょう。TikTokで動画マーケティングを行う企業の大成功例と言えます。
【デリッシュキッチン公式アカウント】
https://www.tiktok.com/@delishkitchen
事例(2)アプレジュール(apres jour)
https://www.tiktok.com/@apres_jour/video/7003999223406480641?is_copy_url=1&is_from_webapp=v1
アプレジュールは、ZOZOTOWN限定のレディースアパレルブランドです。10~20代向けの手頃な価格帯のアイテムが多く、若者の利用者が多いTikTokとの相性は抜群。公式アカウントのフォロワー数は5万人に迫る勢いです。
シーズンごとにブランドイチ押しのコーディネートを紹介するというのが動画の主な内容となっています。自社の製品をそのまま紹介するのではなく、ユーザーに対する付加価値を訴求した好例と言えます。
【アプレジュール公式アカウント】
https://www.tiktok.com/@apres_jour
事例(3)キレイモ
https://www.tiktok.com/@kireimo_official/video/7006212759431957762?is_copy_url=1&is_from_webapp=v1
キレイモは全国各地に店舗を展開する全身脱毛サロンです。医師が脱毛効果が高いと思う脱毛サロンナンバーワンの評価を獲得。数ある脱毛サロンのなかでも特に人気の高いブランドです。
TikTokで公開しているのは、市販のコスメ製品を自社スタッフがレビューする動画が多く投稿されています。プロの美容スタッフが客観的にレビューするからこそ付加価値が生まれ、各動画でも多数のエンゲージメントを獲得しています。
また、キレイモではブランドアカウントとスタッフ専用アカウントを分けている点も特徴です。スタッフ専用アカウントでは、上記のようにTikTokで人気のあるダンスをスタッフ自身で踊るなどユーザー参加型のコンテンツを意識しています。
【キレイモ公式アカウント】
https://www.tiktok.com/@kireimo_official
【キレイモスタッフ専用アカウント】
https://www.tiktok.com/@kireimo_staff