動画マーケティングは近年のSNSの盛り上がりや動画視聴環境の改善により、マーケティング手法の中でも大きなメリットがある手法として注目を集めています。
今回は動画マーケティングが効果的な場面、得られる効果、メリット、具体的な費用対効果、動画制作のためのポイント、動画マーケティングの活用事例についてお伝えします。
自社で動画マーケティングを始めたい、という人はぜひ参考にしてみてください。
動画マーケティングでメリットが出る場面
一口に動画マーケティングといっても、活用できる場面は多岐にわたります。
ここでは動画マーケティングの種類を紹介するとともに、どういった場面でメリットを発揮するのかを解説します。
商品やサービスの紹介
商品やサービスの機能及び特徴、優位性をターゲットに紹介することを目的としています。
動画を使えば文字よりも短時間で多くの情報を伝えられるので、効率よく自社商品の魅力をアピール可能です。
クラウドサービスやアプリなどの無形商材は、どういった特徴があるのか説明が難しい場合があります。
しかし動画にアニメーションを用いるなどの工夫をこらせば、視覚的にもわかりやすく、利用したときのイメージを明確に伝達できるのです。
1分で3600ページ分の情報量があると言われる動画は見ているターゲットを説得するのにとても相性がよく、従来のテキストや画像のみの情報伝達に比べて効果が大きい点が大きなメリットです。
ブランディング
企業ブランドの理念やビジョンなどを消費者に伝えることで、ブランドの認知度を高めることを目的としています。
ブランディング動画は、商品・サービス紹介動画のように、機能や価格などの魅力を直接的に伝えるわけではありません。
イメージや世界観など抽象的な概念を動画で伝えるので、消費者心理により強く訴えかけることができます。
そのため認知度だけでなく、信頼感を与えやすくなるので、新規顧客やリピーターの獲得も期待できます。
雰囲気や感覚的な部分も含めて伝わるという意味でブランディングが目的のコンテンツも動画を利用するメリットは大きいと言えます。
商品の使い方解説・サポート動画
文字で表現するよりも情報をわかりやすく伝えられる、という利点を生かし、商品の使い方を動画で解説します。
モデルを起用して実際に使っているところを見せたり、Webサービスであればデモ画面を紹介したりとリアルにイメージできる動画を作ることで、消費者側の理解を促進する効果があります。
誰に向けての動画かを考えて用意することが大切で、例えばこれからサービスを利用するユーザーに向けての動画であれば、不安を払拭できるような要素を含めることでその後の申し込みや契約につながりやすくなります。
会社や施設の案内・紹介動画
会社や施設内の紹介を目的とした動画です。
外観や内観などはもちろん、企業イメージや経営理念なども伝えられるので、ブランディング効果も期待できます。
また消費者だけではなく、株主や取引先なども動画を視聴する可能性が考えられます。
そのため信頼感や安心感を与えられるような動画設計にすれば、新規契約の獲得など取引にもプラスにつながるでしょう。
また、仕事内容やビジネスモデルの動画内に盛り込み、採用動画として活用すると自社サイトの採用ページに動画を埋め込み、応募率のアップが期待できます。
動画をマーケティングで活用するメリット
マーケティングに動画を用いることで、どのようなメリット、効果を得られるのでしょうか。
ここからは動画をマーケティングで活用する効果やメリットの要素をご紹介します。
テキストよりも伝えられる情報量が多い
動画を使えば、テキストよりも多くの情報を伝えられます。動画とそれ以外の手法で伝えられる情報量については、以下のような差があると言われています。
- 1分間の動画における情報量は、Webページの3600ページ分に相当する
- 文章と写真で伝えるケースと比べても、5000倍の差がある
- 動画で伝えられる情報を文字に換算すると、約180万単語にあたる
また動画マーケティングでは映像を重視するので、言葉に頼らない表現が可能です。
そのため子どもや高齢者、外国人、世代、人種、距離を超えて幅広くアピールできます。
イメージとして伝えられるので印象に残りやすい
動画にインパクトの強い映像やBGMを用いることで、視覚や聴覚に訴えかけられます。
そのため視聴者の印象に残りやすく、後から思い出してもらいやすいため、認知度アップやブランディング効果が期待できます。
ひいてはファン獲得やリピート率の向上も見込めるでしょう。
またテキストや静止画だけでは、雰囲気やニュアンスなどの細かな違いを伝えることが難しい場合があります。
しかし動画を使えば、文章ではできなかった独自の表現が可能なので、商品やサービスの魅力を余すことなくアピールできるのです。
SNSで拡散されやすい
TwitterやInstagram、TikTokなどのSNS上で動画マーケティングを実施すれば、強い拡散力によって多くの人の目に留まりやすくなります。
ユーザーにシェアしてもらうためには、各SNSのユーザーの特徴を考慮し、受け入れられやすい動画の制作が必要です。
例えばInstagramなら美容・ファッションに興味のある女性に向けた内容にする、TikTokであれば10~20代に向けて音を効果的に使った映像に仕上げる、といった工夫が求められます。
ユーザーの嗜好とマッチした動画であれば爆発的な拡散に至る可能性もあり、優れた宣伝効果が期待できます。
検索エンジンで評価されやすくなる
マーケティングの一環としてWebサイトに動画を使うことで、間接的に検索エンジンの最適化が可能です。
動画配信ツールを提供するWistiaの調査によると、動画を使ったページの方が滞在時間が延びることがわかっています。
滞在時間の長さは、検索エンジンの評価に影響を及ぼします。検索エンジンで評価されればWebサイトの検索時に上位表示されやすくなり、アクセスアップが見込めるでしょう。
動画マーケティングでは無駄な費用を削減しつつ、集客や認知拡大に大きな効果をもたらします。
コンバージョン率が上がる
テキストや静止画よりも、訴求内容の理解や購買行動をより強く促進できることが動画の特徴です。
そのため動画広告を用いたマーケティングは、静止画のものよりコンバージョン率が高くなることも多くあります。
例えばFX用のプラットフォームを提供しているeToro社が実施した検証では、静止画LP(ランディングページ)よりも動画LPでコンバージョン率が32%も向上した、という結果が出ています。
このことからも、商品の購入や資料請求、問い合わせなど具体的なアクションにつなげたい場合に、動画マーケティングは有効です。
動画マーケティングの費用対効果
動画マーケティングにどれだけの費用がかかり、どれだけの効果が得られるのかはマーケティング活動において最も大切なことの一つです。
ここではいくつかの動画広告における費用を、例に挙げて説明しています。
どうすれば費用対効果を高められるのかも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
商品紹介動画
商品紹介動画の制作費用は、以下の作業内容によって決まります。
具体的な費用の金額は、アニメーションを使用するか、実写で撮影するかによって異なります。
まずアニメーション動画の制作費についてまとめた表は以下のとおりです。
【アニメーション動画】
制作費相場 | 動画の尺 | 動画の質 | 制作期間 | 発注先 |
10~30万円 | 1~30秒 | 低 | 1ヶ月 | 個人、フリーランス |
30~100万円 | 30~60秒 | 中 | 1~2ヶ月 | 中小企業 |
100~200万円 | 60秒以上 | 高 | 2~3ヶ月 | 中小企業 |
200万円~ | 60秒以上 | 高品質 | 3ヶ月以上 | 大手代理店 |
【実写動画】
制作費相場 | 動画の尺 | 動画の質 | 制作期間 | 発注先 |
10~30万円 | 実写の場合は尺は | 低 | 1ヶ月 | 個人、フリーランス |
30~100万円 | 実写の場合は尺は | 中 | 1~2ヶ月 | 中小企業 |
100~200万円 | 実写の場合は尺は | 中 | 2~3ヶ月 | 中小企業 |
200万円~ | 実写の場合は尺は | 高 | 3ヶ月以上 | 大手代理店 |
商品動画の制作費はおおむね4パターンに分かれており、発注先の規模や制作期間、動画の質によって金額が異なります。
制作前に制作をしたい動画の種類の費用感をこちらのシミュレーターで確認しておきましょう。
クオリティーにはこだわらず費用を抑えたい場合は最も安い価格帯を、訴求効果を最大限に発揮したい場合は高い価格帯で発注するなど、目的に応じた動画を制作することで、費用に見合った成果を得られるでしょう。
動画に費用をかけるにあたり、大まかにでも費用対効果のイメージを持ちましょう。
例えば以下のように大まかに計算をすることができます。
【計算例】自社の法人向けサービスの紹介動画制作(サービスサイトに埋め込む用)
- 顧客1社あたりのLTV=25万円
- サービスサイトへの月間訪問者数=10,000人
- サイトに動画を埋め込んだことで増えた問い合わせによる新規顧客=月1件
- 動画制作費用=100万円
ざっくりと計算すると、動画により問い合わせが増え、毎月25万円分の新規LTVを獲得できているので、4ヶ月で投資を回収できていることになります。
特に動画は資産性が高く、一度製作した動画を長い間利用することができるため、長い間トータルで見ると非常に費用対効果が高いことが多いのです。
SNS広告
ここではSNS広告のうち、動画をメインのフォーマットとするYouTube広告とTikTok広告について説明します。
動画高校を利用して動画マーケティングをする方法は他にもたくさんあり、企業に応じて選定が必要ですが、YoTubeやTikTok広告を通じて動画広告のイメージの参考にしてください。
YouTube広告
- YouTubeで出稿できる広告は、主に5種類用意されています。
- インストリーム広告…動画コンテンツの再生前、再生中、再生後に配信できる広告です。5秒経ってからスキップできるものと、15秒間スキップできないものの2種類に分かれています。
- バンパー広告…動画コンテンツの再生前、再生中、再生後に配信できる広告です。バンパー広告はスキップできません。再生時間は6秒。
- ディスカバリー広告…YouTubeの関連動画や検索画面に表示されます。
- アウトストリーム広告…YouTube以外のサイトやアプリに表示されます。
- マストヘッド広告…ホームフィードと呼ばれるYouTubeのトップページに表示される広告です。
それぞれの金額相場は概ね以下の金額とされています。
- インストリーム広告…3~20円
- バンパー広告…400~600円
- ディスカバリー広告…3~20円
- アウトストリーム広告…予算による
- マストヘッド広告…予算による
それぞれの広告費用の相場は、以下のとおりです。
YouTube広告は、狙ったターゲットへ、的確に広告を配信しやすい仕組みになっています。
ターゲティングやクリエイティブを駆使して最終的な費用対効果を高く出すための
低価格で出稿できることを生かし、目的に応じて複数の広告を組み合わせれば、費用対効果をさらに高められるでしょう。
TikTok広告
TikTokで出稿できる広告は、主に以下の3種類です。
- 起動画面広告 …TikTokアプリを起動すると、全画面に表示される広告です。表示時間は約3~5秒。
- #チャレンジ広告 …企業がハッシュタグを設定した「お手本動画」を用意し、ユーザーに動画を作ってもらう形式の広告です。
- インフィード広告…TikTok内のおすすめページに表示されます。コンテンツとよく似た形式なので、自然にアピールできます。表示時間は約9~15秒とやや長め。
- 運用型広告…最も基本的なTikTok広告、ターゲティングやクリエイティブによる運用改善が可能。
それぞれの広告費用の相場は、以下のとおりです。
- 起動画面広告 500~600万円
#チャレンジ広告 …
- ベーシックハッシュタグチャレンジ 1,000万円
- スタンダードチャレンジ 1,500万円
- ハッシュタグチャレンジプラス 1,700万円
- バトルハッシュタグチャレンジ 2,000万円
インフィード広告…
- TopView 625万円
- One Day Max 300万円
- Brand Premium 42万円
運用型広告…ダイナミックプライシングによる課金(運用によって単価削減可能)
基本的にTikTok広告は運用型広告が一般的に普及している広告です。
運用型は各企業のターゲットに合わせて的を絞って動画広告を配信することが可能です。
またTikTok広告ではクリエイティブの質によって、成果を得られるかどうかが大きく変わってきます。
そのため費用はかかりますが品質の高いクリエイティブを制作することで、最終的に費用対効果の向上が期待できます。
YouTube、TikTok広告の両方に言えることですが、事前にどのようにこれらの広告メニューを使いこなしてどのよな成果を目指すのかをプランニングして戦略を立てることが大切です。
メリットを最大化する動画制作
動画マーケティングを成功させるためには、いかに効果的な動画を制作できるかが重要です。
そして効果的な動画を制作するためには、複数のポイントを押さえておく必要があります。
ここから効果的な動画を制作するためのポイントを3つ紹介します。
動画の用途を事前に決める
動画を通してどのような目的を達成したいのかを明確にしておきましょう。
【動画の利用用途例】
- 集客・SEO対策…商品やサービスをより多くの人に知ってもらうことを目的としています。また自社サイト内に動画を埋め込みユーザーの満足度を上げることで間接的にSEO対策になり、検索時に上位表示されることでアクセスが上がり、認知度の拡大にもつながります。
- コンバージョン獲得 …商品の購入はもちろん、資料請求や問い合わせなど具体的なアクションの獲得を目指します。動画内にランディングページや自社サイトのURLを設置することで、動画の視聴中や視聴後にアクションを起こしやすくします。もしくはランディングページ内に動画を埋め込んでコンバージョン率を上げる手法もあります。
- ブランディング…企業イメージや信頼性の向上を目的としています。商品PRや人材採用などの場面でよく活用されています。
利用用途が定まっていないと、適切な形式で動画を製作し配信することができません。
例えば動画広告として商品の存在を知ってもらうことが目的であれば、数秒で終わって印象に残りやすい内容を目指すべきです。
しかしSNS上の動画広告で数分にもわたって商品について説明していては、動画を最後まで見てもらえない可能性が高いですが、自社サービス紹介ページであれば埋め込んである動画が数分で詳細に説明されていても見てもらえることが多いと考えられます。
状況にマッチしていない動画のユーザーへの提供は企業ブランドへのイメージも低下し、不快感を抱かれてしまうかもしれません。
動画を利用した効果を最大限に発揮するためには、利用用途に応じて最適な動画形式を選ぶことが大切です。
ターゲットに刺さる動画制作
効果的なマーケティングには、精度の高いターゲット設定が欠かせません。
誰にどんな内容の広告を届けるかが定まっていなければ訴求ポイントがズレてしまいます。
例えば「配信先」や「個人の属性」にも以下のような例があります。
- SNS…YouTubeに代表されるようなSNS上で動画を配信します。動画広告だけではなく、SNSアカウントの運用として動画を配信する戦略も含まれています。
- 自社サイト…コーポレートサイトやオウンドメディアに動画を掲載します。自社サイトを訪れる人は企業名を自主的に検索しているので、動画で商品やサービスの魅力を伝えることで次のアクションへつなげやすくします。
- 屋外広告…街頭や店頭、展示会などでデジタルサイネージと呼ばれる巨大なディスプレイに動画広告を表示します。
ターゲット設定を誤ってしまっては、どれだけ広告の内容が良くても望む効果は得られないでしょう。
例えば同じ30代女性であっても、独身のキャリアウーマンと2人の子を持つ専業主婦の間には、何に興味をもつのか、といった観点で大きな違いがあるはずです。
またライフスタイルが異なることで、動画を見てもらいやすい時間帯にも差が生じます。
動画を見てもらえなくてはマーケティングが成立しないので、詳細なターゲティングやライフスタイルの調査は特に重要です。
ペルソナを設定してこそ、それに応じて動画の制作も開始できます。
利用シーンに合わせた動画制作
動画を制作する際には、どのような場面で利用するかをよく検討しましょう。
利用シーンに合わせて動画を作るためには、各媒体の特徴や自社サイトに訪れている人の属性を理解しておく必要があります。
SNSで配信する動画であれば話題性があったり、クリエイティブが面白かったり、といった要素が必要です。
また同じ屋外広告であっても街頭に設置されたディスプレイを選べば多くの人の目に留まることが予想されるので、集客や認知拡大に効果的です。
店頭や展示会であれば、既に商品やサービスを知っている方や興味のある方に向けて購買行動を促進する内容が適切と考えられます。
一度制作した動画を使いまわすのではなく、各媒体に適した動画をその都度制作していくことが望ましいでしょう。
動画マーケティングを効果的に行っている事例
ここからは、動画マーケティングを効果的に実施している事例をご紹介します。
実際の事例を参考にすることで、動画マーケティングをおこなうイメージが浮かびやすくなるはずです。
労働問題弁護士ナビ
労働問題弁護士ナビの事例ではコンテンツに合わせて動画が記事内に埋め込まれっており、記事の内容を把握して理解するのに役立ちます。
出典:https://roudou-pro.com/columns/262/
一般的なコンテンツマーケティングはこれまで、画像と記事で行われており、他社との差別化やSEO対策の観点で競争の激しいマーケティング手法の一つでした。
このようにコンテンツの中に動画コンテンツを導入することでユーザー目線でサイトのユーザー体験が向上し、間接的にSEO対策にもなっていると考えられます。
動画が目次としての役割も果たしており、記事をしっかり読んでくれるユーザーも増えていると考えられます。
株式会社エレクトロラックス
家電メーカーである株式会社エレクトロラックスは、掃除機に関する動画を公開しています。
内容は「掃除機を使う主婦と高校球児が甲子園の土を集める」というもの。
ユニークな内容でありながらも掃除機の機能や強みをわかりやすく説明しています。
最後まで見てもらうことは動画コンテンツの1つの課題ですが、この動画はうまく見ること自体を楽しめるコンテンツとしての好例でしょう。
freee株式会社
クラウド会計ソフトを提供するfreee株式会社は、YouTubeチャンネルでビジネスに役立つ情報などを配信しています。
頻繁に更新することで、チャンネル登録者数や再生数を増やしています。
会計ソフトやサービスの認知に始まり、契約するために自社サイトへ誘導する、という流れを作っています。
freee社はWeb上での記事によるコンテンツマーケティングもしているため、ブランディングやそう状況かもあると言えます。
動画マーケティングのメリットまとめ
今回は動画マーケティングが効果的な場面、得られる効果、具体的な費用対効果、動画制作のためのポイント、動画マーケティングの活用事例についてお伝えしました。
動画マーケティングによってどのような効果を得られるのかが、明確になったのではないでしょうか。
動画の制作にはリソースやノウハウが必要です。映像制作会社に依頼すれば、その分だけの予算を捻出しなければなりません。
しかし動画を使うことで費用に見合った効果を得られる可能性は高いため、今回の記事を参考にぜひ動画マーケティングに挑戦してみてはいかがでしょうか。
上記の動画広告の料金の参考値は常に変動し、ビジネスモデルによっても有効か活用法が変わってくるため、ぜひ動画マーケティングの導入運用に関してお問い合わせください。