コンテンツマーケティングはデジタルマーケティング手法の中でも幅広い業界で取り入れられ、企業の集客やブランディング活動に貢献しています。
今回はコンテンツマーケティングを実施するにあたって、基本的な種類や手法、メリットを解説することに加えて、各業界ごとにどのようにコンテンツマーケティングが導入されているかを分析してご紹介します。
コンテンツマーケティングの各業界の事例を観察し、自社のコンテンツマーケティング運用に活かせるように解説していきますので、順に見ていきましょう。
コンテンツマーケティングを活用できる業界
コンテンツマーケティングは基本的にどのような業界でも活用することができます。
ただ、自社の業界やコンテンツマーケティングの特徴を踏まえた上で、全体的な設計を行う必要があり、自社にあっていない方針で運用し続けると投資しただけのリターンが得られず、費用対効果(ROI)がとても低くなってしまうこともあります。
特にインターネット広告といった他のデジタルマーケティング手法と比べて、結果が出るまで時間がかかり、3ヶ月〜1年ほど成果が現れるまでに待つ必要があります。
長い間効率的ではない方向性で進めてしまっていると、結果が出なかった時に、その間のコンテンツ制作にかけた投資が損失となってしまうため、失敗に終わった際のリスクが比較的大きい手法とも言えます。
コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングのメリットは、結果が出た際には他のデジタルマーケティングよりも費用対効果(ROI)がよい点です。
クリック課金制のWeb広告は、年々クリック単価が上がっていると言われており、広告だけに頼るマーケティングでは徐々にマーケティングの効果が落ちてしまいます。
コンテンツマーケティングは主に自社メディアとしてコンテンツを配信して、顧客との接点を作る手法であるため、自由度が大きく、工夫の余地が大きいため、自社の強みや特徴、業界に合わせて運用し、効果を改善していくことができます。
コンテンツマーケティングの種類と特徴
コンテンツマーケティングにはいくつかの種類があります。
基本的にこれまで最も行われてきたコンテンツマーケティングは、自社でWebサイトを構え、メディア化してコンテンツを投稿し、GoogleやYahoooといった検索エンジンからユーザーを流入させる手法でした。
検索エンジンからアクセスを集めるためには、検索結果で上位表示させることが必要で、そのための対策はSEO(Search Engine Optimization)対策と呼ばれています。
SEO対策の要素は数百種類以上の項目があると言われていますが、最も大切なことは良質なターゲットに有益なコンテンツを制作することです。
加えて大切なことはサイト内に豊富なCTAを設置することです。
自社のビジネスとターゲットのニーズに合わせたCTAを設置することで、コンバージョン率をあげることができるため、効率よくリード(資料請求、問い合わせ、会員登録)を獲得することができます。
他にはSNSを活用してコンテンツマーケティングを行う手法があります。
SNSといってもFacebook、Instagram、Twitter、YouTube、TikTokといったように、様々なツールがあります。
各SNSごとに記事、画像、動画、といった違う種類のコンテンツを投稿することができるため、自社の業界やビジネスモデルに合わせて、SNSを選ぶようにしましょう。
業界別の分析のメリット、デメリット
業界別のコンテンツマーケティング事例を研究、分析することによって、どのようなコンテンツを制作するとターゲットに評価されるのかのイメージがつきます。
また、すでにコンテンツマーケティングを行っている他社を研究し、自社の持っている特徴との違いや差別化を図れる部分を見つけ出すことができます。
一方、コンテンツというのは似たようなものを大量に生産しても、重複したコンテンツはターゲットから見ても有益ではないため、アクセスが集まりにくくなってしまいます。
他社事例も分析した上で、自社のオリジナルのコンテンツを制作するようにしてください。
コンテンツマーケティング業界別事例と分析
業界やビジネスの特徴ごとにコンテンツマーケティングを独自に分析して紹介します
自社の業態やビジネスモデルで、どのようなコンテンツをどのプラットフォームに配信していけば良いかに注目して参考にしてみてください。
サイトにあるコンテンツの内容やCTA等も合わせてご紹介します。
飲食業界コンテンツマーケティング
飲食業界のコンテンツマーケティングは検索エンジンの活用、SNSの活用2パターンがよく見受けられます。
高関食品社は油そば店を多数経営している飲食の会社です。
こちらは自社サイト内でブログの形でお役立ちコラムを開設しています。
「油そばはカロリーが高いは嘘!? 油そばのカロリーをラーメンと徹底比較!」
「油そばで開業したい方へ!油そばぶらぶらのフランチャイズとは」
「フランチャイズを行うメリットとは?直営店との違いや仕組みを紹介」
自社のターゲットが油そばを食べる際に疑問に思って検索すると予想していること、例えば油そばのカロリーといったことに関して解説しています。
また、フランチャイズ出店に対しての相談を受け付けるためのコンテンツも多数設けているようです。
一方、SNSを活用している飲食店はとても多いです。
飲食店は視覚的に自社のサービスや料理をアピールできるため、SNSと相性がよいのが特徴です。
飲食店を展開する俺の社でも視覚的にニーズを喚起するコンテンツをInstagramに投稿しています。
Instagramを通じてハッシュタグ経由で、店を探す若者は多いと言われているため、自社の特徴をハッシュタグにして投稿すると良いでしょう。
不動産業界コンテンツマーケティング
不動産の購入や賃貸物件選びは、単価が高いため、消費者も情報を集めるためによく検索していると考えられます。
不動産の特徴上、不動産業界にいない人はよくわからないことも多いと思われるため、専門的なことをわかりやすく説明されたい需要も多いでしょう。
SUUMOジャーナルは賃貸情報や物件情報だけでなく、住まい暮らし、街地域、といった生活部分にまで幅広く情報を配信しているメディアです。
コンテンツマーケティングとして、直接賃貸や不動産売買だけに関わるところだけでなく、住むことに関わる情報を様々な角度からコンテンツ化しているため、不動産を探していないユーザーもコンテンツを見るために集まっていると考えられます。
「コミュニティで子育てする暮らし方とは?キッズデザイン受賞のコレクティブハウスを訪ねた」
「夫婦の時間の使い方、15年でどう変わった?工夫次第で夫婦円満に!?」
「テレワークが変えた暮らし【10】理想を求めて葉山へ。社会活動「スポーツを止めるな」もスタート」
【設置されているCTA例】
スーモの賃貸検索ページへの誘導
コンテンツの範囲が幅広いため、直近で不動産を探しているターゲットも、今は探していないターゲットも集客できていますが、コンテンツの質が高いと、サイトのブランディングになるため、信頼度が増し、不動産探しをする際にSUUMOを使うことに抵抗がなくなる、というブランディング効果もあるでしょう。
IT業界コンテンツマーケティング
IT業界では基本的に無形商材であることが多いため、じっくりとロジカルに製品やサービスの良さを記事コンテンツで伝えることや、わかりやすいように動画で伝えることが多い業界です。
イメージや雰囲気も大切ですが、理屈やメリットを伝えて集客するIT業界は写真だけのInstagram等よりも検索エンジン、YouTube等を利用することが多いです。
freee社は中小企業をターゲットに、会計ソフトの提供をしているIT企業です。
BtoBであることもあり、やはりビジネスや会計、お金の知識をコンテンツ化して配信しています。
特徴的なのは直接会計とは関係のない「今話題の経営者インタビュー」といったコンテンツが多いことです。
これはfreee社のターゲットが中小企業の経営者であるため、中小企業の経営者が興味を持ちそうな良質なコンテンツを制作し、ターゲットに対してブランディングをしています。
「中小企業は要チェックの助成金&補助金のサイト3」
「次世代を担うベンチャーCFO36人に聞いた 「あなたの“座右の書”は何ですか?」」
「デジタルトランスフォーメーションとは?-デジタルトランスフォーメーションの全体像と活用方法」
【設置されているCTA例】
会員登録
資料請求
またfreee社はYouTubeでもコンテンツ配信を行っています。
こちらもfreee社のサービスの使い方の動画等もありますが、インタビュー動画や、中小企業やこれから起業する人に役に立つコンテンツを配信しています。
動画で情報収集する人はどんどん増えているため、再生された際に伝達できる情報量も多く、freee社サービスの認知拡大や集客に役に立っているでしょう。
BtoB企業でうまく動画を活用できている企業はいまだ少ないため、動画市場の広がりと共に再生数も大きくなっていくと予想されます。
ファッション(アパレル)業界コンテンツマーケティング
ファッション、アパレル業界でもコンテンツマーケティングは盛んに行われています。
BEAMS社ではブログの形でコンテンツを配信しています。
コンテンツ制作担当が全てのコンテンツ制作を行う形式ではなく、各店舗や会社の様々なポジションの方がコンテンツを制作しているようです。
ファッション、アパレルの特徴としてデザインを見たい、という需要があるため写真を豊富に使って記事コンテンツを制作していますが、その後Instagramへ誘導しているのも特徴です。
店舗展開していることもあり、SNSは各店舗専用アカウントがあり、記事コンテンツからSNSへの誘導は各店舗のSNSアカウントになっており、その地域の顧客との接点を作っているようです。
「<こども ビームス>カッコよくキメちゃおう!!」
「おとなビームス通信vol, 153 コスパ最高ユニークなコート 編」
【設置されているCTA例】
自社サービスページへの誘導
自社Instagramページへの誘導
自社ECサイトへの誘導
EC業界コンテンツマーケティング
クラシコム社が運営する、「北欧、暮らしの道具店」はコンテンツマーケティングをうまく取り入れて、自社ECサイトをメディア化して集客をしている好例だと思われます。
ECサイトで物品を販売するだけでなく、その物品の使い方を紹介することで、買う前に使うところをイメージすることができるので、その後のECサイトでの購買につながりやすいと考えられます。
コンテンツ内ではターゲット目線でどんな困りごとを解決する商品なのか、どんな楽しさや喜びが得られる商品なのか、といったことがたくさんの写真付きで説明されています。
コンテンツが読み物としても楽しく読めるため、すぐに買い物をしないユーザーがコンテンツを日常的に読むような生活サイクルに入っていけているということもあると思われます。
【コンテンツ内容例】
「【寒がりさんの冬ごもり】第2話:おしゃれなのに、しっかり暖かい。セレクトショップ店主・愛用のインナーや靴下たち」
「【スタッフの愛用品】迎えた日から主役級。毎日つい手が伸びる、たのもしい万能「ボウル」」
【設置されているCTA例】
自社ECサイトへの誘導
自社YouTube等のSNSへの誘導
自社公式アプリダウンロード
旅行、観光業界コンテンツマーケティング
旅行、観光業界のコンテンツマーケティングの事例は「We♥Expedia」です。
Expedia社が運営する旅行、観光に関するコンテンツマーケティングサイトです。
旅行、観光のようなエンターテイメントかつ豊富な種類のプランがある業界では、コンテンツマーケティングがしやすいという側面があります。
また直接旅行、観光の話題ではなくてもローカルグルメにまつわる記事、といったエンターテイメント性の高いコンテンツ制作をすると効果があるでしょう。
「【保存版】ワイキキのおすすめショッピングスポット9選」
「食い倒れ天国!食べ歩きが楽しい台湾グルメ10選」
【設置されているCTA例】
自社検索サービスページへの誘導
SNSでの拡散誘導
旅行、観光業のプラットフォーム企業ではなくても、旅館やツアー会社が自社の特徴をコンテンツにしてWebサイト、SNS等で発信することで新たな集客に結びつくでしょう。
採用、求人業界コンテンツマーケティング
求人、採用業界でのコンテンツマーケティングも導入する企業がどんどん増えています。
キャリアデザインセンター社によって運営されるtypeではエンジニアの転職を扱っています。
エンジニアの獲得は大変難しいとされており、エンジニアの集客はどこの会社でも課題になっているのが現状でしょう。
type内ではエンジニア書きになるようなテクノロジー関連の記事や、技術者のキャリアに関する記事が投稿されており、検索エンジンやSNSからアクセスを獲得しているようです。
「データサイエンティストに必要なスキル・仕事内容・勉強法を網羅的に解説」
「技術書・ビジネス書「読んではいるけど忘れてしまう」エンジニアのための“高速読書術”」
【設置されているCTA例】
自社求人サービスサイトへの誘導
自社SNSへの誘導
また、人材採用に関しては動画化も進んできており、純粋に自社の会社や職種を紹介する動画もありますが、働き方に関する考え方をコンテンツ化して配信する企業もあります。
サイボウズ社は自社の働き方に対する疑問や考え方を、ユーザーが見たくなるような形で動画化しており、会社のブランディングになっています。
このようなブランディング効果もあるコンテンツは、企業イメージ向上に貢献し、長期的に企業にメリットをもたらします。
純粋な企業紹介ムービーやリクルーティングムービーだけでなく、企業としてのメッセージを発信することもコンテンツマーケティングの重要な要素です。
コンテンツマーケティング業界別まとめ
コンテンツマーケティングを業界ごと、手法ごとに紹介しました。
コンテンツマーケティングは今や一つの種類だけを行い、質の低いコンテンツを制作するだけでは効果はありません。
自社の業界、ビジネス、目的に合わせて各手法を取り入れるようにしましょう。
弊社では各企業様の目的か課題解決、業界に沿ったコンテンツマーケティングの支援をしておりますので、ぜひお問い合わせください。