オウンドメディアやブログでコンテンツマーケティングを実施する場合、「記事」は重要なコンテンツの一つです。
検索ユーザーの意図に沿って記事を提供することで、そこから見込み客を獲得したり、購買意欲の高い消費者を効率的に販売ページへ誘導できます。
しかし、記事を作成するには、数ある記事の種類を知る必要があります。また、作成方法を知らなければ情報を発信することもできません。
そこで今回は、コンテンツマーケティングにおける記事の種類や成果を出すための制作方法をご紹介します。
記事の種類や制作方法をしっかりと理解し、検索ユーザーへ価値のある記事を提供していきましょう。
コンテンツマーケティングで制作する記事の種類
コンテンツマーケティングにおける「記事」は、主に文章を使ってオウンドメディアやブログで情報を発信するコンテンツです。
検索ユーザーにとって価値のある記事を制作することで、新しいリードの獲得や認知範囲の拡大、コアユーザーへの成長といった効果が見込めます。
ただ、一口に記事とはいっても、その種類はさまざまです。
もし、「商品の詳しい使い方を知りたい」という検索ユーザーに対して商品の魅力や開発背景ばかり伝えていたとしたら、その記事を見た読者は決して商品を買おうとは思わないでしょう。
そのため、コンテンツマーケティングで獲得しようとするユーザーはどのような属性にあたるのか、しっかりと確認したうえで適切な記事を提供しなければなりません。
ここで生じる疑問は、コンテンツマーケティングの記事にはどのような種類があるのか、そして、ユーザーの属性に対してどのように適切な記事を提供すれば良いのか、という点です。
それには、AISAS(アイサス)と呼ばれるマーケティングのフレームワークが役立ちます。
AISASとは、消費者が特定の商品やサービスを認知してから購買に至るプロセスです。
「Attention(注意)」から始まり、「Interest(関心)」、「Search(検索)」、「Action(購買)」、「Share(情報共有)」の5段階に分かれ、それぞれのニーズに最適な記事コンテンツを提供することで、よりコンテンツマーケティングの効果が高まります。
そして、上記5段階それぞれに適した記事の種類は次の通りです。
- Attention(注意):How to記事
- Interest(関心):比較解説記事
- Search(検索):SEO記事
- Action(購買):ネイティブアド記事
- Share(情報共有):口コミ・事例紹介記事
それぞれの記事の種類については、以下で詳しく解説しています。
Attention(注意):How to記事の作成
消費者の購買に至るまでのプロセスにおいて、まず「Attention(注意)」を引かなければなりません。
この時点ではまだ消費者は自社の商品やサービスを知らない状態です。
よって、積極的な売り込みを行った結果かえって敬遠されないよう、慎重に記事の内容を決める必要があります。
たとえば、コンテンツマーケティングを使ってスマートスピーカーの販売数を伸ばしたいとしましょう。
消費者はまだ特定の商品については知りません。
しかし、「スマートスピーカーが欲しい」という消費者なら、まずは何らかの情報を探そうとするのではないでしょうか。
検索キーワードを挙げるとすれば、「スマートスピーカー AI 違い」などです。
スマートスピーカーにはGoogleやAppleなどのAIが搭載されており、それぞれどのような違いがあるかを知ろうとするでしょう。
また、スマートスピーカーの具体的な使い方や設定方法を知り、自分でも使えそうかを判断しようとするかもしれません。
この注意喚起の段階に向くコンテンツは、「How to記事」です。
つまり、大まかにカテゴリー分けした商品やサービスの使い方や機能の違いなど、特定の商品を知るきっかけになる記事を指します。
Interest(関心):比較解説記事の作成
次に、消費者は「Interest(興味)」の段階へと進みます。
スマートスピーカーのAIごとの違いや簡易的な使い方などを知った後、消費者の次の行動としては比較を行おうとします。
たとえば、検索キーワードとしては、「スマートスピーカー 比較」や「Google Home Nest mini 比較」などです。
前段階で商品についての概要的な情報を知り、より興味を持ったからこそ特定商品同士の比較を行うとします。
また、検索ユーザーによっては、「スマートスピーカー おすすめ」と検索するケースもあるでしょう。
いずれにせよInterestの段階では、購買意欲が徐々に高まりつつあります。
そのため、検索ユーザーの意図に外れない適正な内容の記事が必要です。
この段階に適した記事は、文字通り「比較解説記事」です。
自社が提供する商品も含め、他社の多様な製品を並べて機能や性能、価格などを比較して紹介します。
表や箇条書きを使って書いたほうが読者に分かりやすいことはもちろんですが、他社のものより良く見られたいからと虚偽の情報を書かないよう気を付けましょう。
Search(検索):SEO記事の作成
「Attention」「Interest」と段階を踏み、ここでようやく検索ユーザーは特定商品の情報をじっくりと調べようと思います。
AISASでいうところの「Search(検索)」にあたります。
上記でお伝えした通り、記事コンテンツでさまざまな商品の比較を行った検索ユーザーは、特定の商品に狙いを定めます。
たとえば、Google Homeの価格や性能、置きやすさなどが気に入った人は、今度はGoogle Homeについて詳しく知ろうとするでしょう。
検索キーワードとしては、「Google Home スペック」や「Google Home 使い方」、「Google Home 初期設定方法」などです。
よって、Searchの段階で必要となるのは、「SEO記事」となります。
企業名や自社商品の名称といった固有名詞をキーワードに使用できるようになるので、積極的に検索上位を狙うことが重要です。
しかし、この段階においても商品を売ろうとする姿勢を前面に出し過ぎないようにしましょう。
検索ユーザーはまだ購買の意思を固めたわけではなく、あくまで特定商品の情報を詳しく知りたいだけだからです。
大切なことは商品やサービスの魅力を知ってもらうことで、次の段階で利用するネイティブアド記事へとつなげる役目を果たします。
Action(購買):ネイティブアド記事の作成
特定商品についてより深くまで内容を理解した消費者は、次の段階である「Action(購買)」へと進みます。
獲得したリード(見込み顧客)の中では最終段階にあたります。
Actionの段階では検索ユーザーが購買意欲を固めている状態なので、このチャンスをムダにしないように自社商品をアピールしましょう。
よって、この段階に最適なコンテンツは、「ネイティブアド記事」となります。
ネイティブアド記事とは、記事内に自然な形で広告を含ませたコンテンツです。
または、特定商品やサービスを積極的に売り込み、CTA(Call To Action、ユーザーへの行動喚起)を行う記事を指します。
検索ユーザーとしては、「Google Home 購入方法」や「Google Home 安い買い方」、「Google Home 決済方法」など、実際の購入を想起させる具体的な検索キーワードで情報を探そうとします。
そこで、「メーカー直売だからこそこのお値段を実現いたしました」など、記事コンテンツにCTAメッセージを含ませることで読者の購入意欲を高められます。
Share(情報共有):口コミ・事例紹介記事の作成
消費者が購買活動を行う「Action」の後は、最終段階である「Share(情報共有)」へと移行します。
商品を購入したユーザーからの評価が行われる段階で、次に新規で獲得するリードに効果を発揮するコンテンツの取得や、単なるユーザーをファンへと昇華させるうえで非常に重要となります。
最近では、商品やサービスを購入後、実際に使ってみた感想をTwitterなどでつぶやく人も多くなってきました。
また、Amazonや楽天で商品のレビューを書き込む人も少なくありません。
こうしたユーザーの声を集めておくと、今度は「口コミ紹介記事」として情報を発信することで、新規のユーザーを獲得するための重要なコンテンツになります。
また、「Share」の段階では、一度商品を購入したユーザーをファン(リピーター)にすることも大切です。
ここでは、「事例紹介記事」が役立ちます。
たとえば、「こんな使い方知ってた?スマートスピーカーの賢い活用方法」など、すでに自社商品を使っているユーザー向けのコンテンツを提供することで、ユーザーからの信頼獲得につながる可能性があります。
ほかにも、「(特定商品)を使いこなすスタッフに直撃!」など、インタビュー形式で事例を紹介することも可能です。
コンテンツマーケティングの記事作成方法
コンテンツマーケティングで記事を作成するには、社内スタッフを活用して内製化を行うか、コンテンツマーケティングを得意とする会社へ外注、もしくはフリーのライターへ業務委託するかの3種類の方法があります。
社内事情に詳しいスタッフによる内製化
記事をすべて社内スタッフで制作する、いわゆる内製化が方法の一つです。
社内事情や自社商品に詳しいスタッフがコンテンツを作成することで、より詳しく、より魅力的に記事を書けます。
ただし、記事を作成するにはある程度の流れがあり、知識やノウハウなしに一から作るのは困難です。
以下は記事制作における手順を表します。
- キーワードツールなどでユーザーの検索意図を読み取る
- SEOに則って魅力的なタイトルや構成を作成する
- ユーザー目線でライティングを行う
コンテンツマーケティングにおける記事は、ユーザーが検索して初めてその人の目に触れるコンテンツです。
そのため、検索キーワードを基にユーザーのニーズや検索目的を読み取ることが重要になってきます。
キーワードツールとしては、「Googleキーワードプランナー」や「goodkeyword」などが代表的です。
次に、ライティングの骨組みとなる構成を考えます。
本でいえばタイトルや目次、目次に含まれる見出しの概要を考える作業です。
執筆前に構成を考えず、思いついたままにライティングを行ってしまうと、その記事で伝えたいことが読者に分かりにくくなります。
また、検索画面でユーザーが第一に目にするのがタイトルなので、多くの記事の中で目を引くような内容を考えましょう。
コンテンツマーケティング会社へ外注
もし自社にライティングやディレクションに適した人材がいない場合、コンテンツマーケティング会社へ依頼する方法もあります。
コンテンツマーケティングのノウハウがあれば、SEOによって上位表示を狙えるほか、コンテンツを制作する手間を省ける点がメリットです。
記事制作のみを外注する場合は月10〜30万円前後、記事制作に加えてCMS設置やアクセス解析,
コンサルティングが込みの場合は月30~数百万円ほどの費用がかかります。
社内のリソースを見直し、不足する箇所のみを外注することもできるため、柔軟にコンテンツ制作が可能な点も特徴です。
しかし、あくまで自社とは異なる企業が記事を作るので社内事情や自社商品を深く知っているわけではありません。コンテンツマーケティング会社へ記事制作を依頼する場合は、しっかりとミーティングやヒアリングを行って要望を伝えておきましょう。
また、キーワード調査や構成作成のみを自社で行い、ライティングのみ外注に出すこともできます。
「ディレクションは行えるがライターが不足している」など、社内の状況に応じて内製化と外注を併用するのもおすすめです。
フリーのライターへ業務委託する
コンテンツマーケティング会社以外にも、執筆を生業にしているフリーランスも存在します。
コンテンツマーケティングの場合はWebライターと呼ばれる職業で、主にWebライティングのほか、中にはキーワード調査や構成作成まで行ってくれるケースもあります。
業務委託を行うには、主にクラウドソーシングサービスを中継するケースがほとんどです。
また、他社サイトで気になったライターへ依頼メールを送り、直接業務委託契約を結ぶこともできます。
ライターへの報酬は文字単価によって決まります。
あらかじめ規定文字数を決めておき、契約上の文字単価によって価格が決定する仕組みです。
文字単価は0.1~10.0円まで幅が広いですが、費用が安く済むライターほど初心者が多く、SEOやライティング技術が劣ります。
すでに自社と取引のある信頼できる自社のビジネスをよく知っているライターがいる場合には、有効な方法でしょう。
コンテンツマーケティングは記事作成前後の工程が最も大切
記事作成にの前後にはコンテンツマーケティングでもっとも重要な工程があります。
記事制作の前にはコンテンツマーケティング全体の戦略設計や方針設定があります。
主に記事コンテンツでコンテンツマーケティングを行う場合には、自社ターゲットの検索エンジン上でのアクセス調査、サイト自体のSEO対策、記事のSEO対策、サイト内カスタマージャーニーの設計といった基礎的なことは必ず抑える必要があります。
また、記事制作後の工程も大切です。
デジタルマーケティング全般に言えることですが、制作した後データをとって分析し、PDCAを回しながらコンテンツマーケティング本来の目的を達成できるよう改善をする必要があります。
最も多く見受けられるコンテンツマーケティングの失敗するパターンは戦略性のないまま、記事やその他のコンテンツを制作するが、戦略が悪いため成果が上がらず、またデータを活かした運用もできていないため、記事作成の投資が無駄になってしまう、というパターンです。
記事作成はあくまでも企画、作成、運用の段階の1つであることを考えた上で、あらかじめ戦略をよく練って導入するようにしましょう。
記事コンテンツマーケティングで成果を出すために
コンテンツマーケティングの記事の種類や記事作成方法をご紹介しました。
記事の種類は計5つのタイプがあり、マーケティングのフレームワークである「AISAS」の段階に沿って適切な種類の記事を作成するという方法が参考になります。
検索ユーザーの各ニーズの段階で適切な記事を提供することで、認知から購買へとスムーズに消費者を誘導できるでしょう。
ただし、記事作成前に行う戦略設計や公開後の運用方法が悪いとコンテンツマーケティングの成果は期待できません。
今回お伝えしたように、検索キーワードを基にユーザーのニーズや検索目的を明確にし、その内容に最適なコンテンツを考えるようにしましょう。
また、記事公開後は「Google Analytics」や「Search Console」などで分析を行い、検証結果を基にコンテンツの改善を繰り返すことが重要です。
PDCAの「計画・実行・評価・改善」の4つのサイクルに沿って進めていきましょう。
何よりも大切なことは自社のビジネスにあった戦略を立て、記事コンテンツを作成して、データを活用した運用を行うことです。
また、コンテンツマーケティングにも動画等の新しいマーケティングツールと組み合わせることで高い成果を出せるケースも多くなっていますので、自社にあった投資を行うようにしましょう。
コンテンツマーケティングの導入、作成、運用に興味のある企業様はぜひお問い合わせください。