Webマーケティングにおけるコンバージョン(CV)とは、商品の購入や受注獲得といったWebサイトで得られる最終的な成果を表します。直接的な商品の販売につながるECサイトやWeb広告でよく使用される言葉ですが、オウンドメディアでもコンバージョンという言葉の意味を理解することや、コンテンツページにコンバージョンポイントを設置することは非常に重要です。
本記事では、オウンドメディアに合う施策やコンバージョンを高める方法を解説します。適切なコンバージョンポイントを設置してコンバージョン数やCVR(コンバージョン率)を向上させましょう。
オウンドメディアでコンバージョン獲得は十分可能
ECサイトでは商品の購入、Webサービスサイトだと会員登録のように設定されるコンバージョン。ECサイトやWebサービスサイトなどに比べ、オウンドメディアの役割は直接的な製品やサービスの販売ではなく、どちらかと言えばユーザーとの関係性強化やブランディングにつなげるケースが多い傾向にあります。
しかし、直接的な販売につながりにくいオウンドメディアでも、コンバージョンの獲得は十分に可能です。オウンドメディアのメリットは豊富なコンテンツを駆使できることにあるため、工夫次第で効果的なコンバージョンポイントを設置できます。
オウンドメディアではマイクロコンバージョンが基本となる
とはいえ、オウンドメディアに設定するコンバージョンは最終地点のものではなく、最終地点に至るまでの中間地点のコンバージョンポイントを設置するのが基本です。この中間地点のコンバージョンのことを、専門的には「マイクロコンバージョン(MCV)」と呼びます。
最終地点であるコンバージョンが商品の購入や受注獲得といった直接売上に影響するものであるのに対し、マイクロコンバージョンの場合は、問い合わせや資料請求といった間接的に売上に貢献する施策が中心となります。
そもそもオウンドメディアはECサイトのように製品やサービスの直接的な販売を行う場所ではありません。それよりもメディア内を回遊して自らの課題を認識してもらったり、その課題やニーズに合ったコンテンツを提供してコミュニケーションを深めたりするために活用します。よって商品の購入や受注獲得といったコンバージョンより、ユーザーとの懸け橋となる問い合わせや資料請求といったコンバージョンのほうが向いているのは必然だと言えます。
コンバージョンポイント設置に適したオウンドメディアの施策一覧
では、オウンドメディアのコンバージョン(マイクロコンバージョン)に適した施策にはどのようなものがあるのか、より具体的に解説していきましょう。
- 問い合わせ
- 資料請求
- メルマガ登録
- ホワイトペーパーやeBookのダウンロード
- デモ体験の案内
問い合わせ
文字通り、自社で提供する商品やサービスに関する問い合わせをしてもらうための施策です。オウンドメディアでは、商品やサービスを紹介するコンテンツページの下部に問い合わせフォームを設置することで、記事を読んだ後の「興味を持ったから詳しい価格が知りたい」といったニーズに応えられます。
商品やサービスに関して何らかの問い合わせをするということは、それだけユーザーの興味や関心が高い証拠です。また、問い合わせフォームから情報を送信してもらうことで、そのユーザーの会社名や部署名といった見込み客リストに必要な情報を取得できるメリットがあります。ただし、期待値の高まったユーザーがしっかりと入力を完了できるよう、フォームの使いやすさやデザインについての配慮が必要です。
資料請求
自社商品やサービスに関する詳しい情報が詰まった資料を提供する施策です。商品やサービスの価格や機能、使用するメリット、利用者の声など、資料の中身を見るだけで商品やサービスの内容をすべて把握できます。問い合わせと同様、商品やサービスの比較や紹介を行うコンテンツページの下部に設置するのが最適です。
資料請求のCTA(行動喚起)ボタンをクリックするということは、それだけ自社商品やサービスに高い関心を示す証です。そのため、オウンドメディアの数あるマイクロコンバージョンのなかでも、特に最終地点のコンバージョン(商品購入・受注)に近い施策だと言えるでしょう。
資料を提供する場合は、ベネフィットに着目することが大切です。単に商品の機能やメリットを紹介するだけでは、見ようによっては「企業側の押し売り」になってしまい、なかには敬遠してしまうユーザーもいます。そのため、「その機能やメリットを生かしてユーザーがどのようなことを実現できるのか」「どのような悩みや課題を解決できるのか」といったベネフィットを打ち出すようにすると良いでしょう。
メルマガ登録
登録してもらったメールアドレス宛てに、定期的な情報を送信する施策です。定期配信メールやステップメールとも呼ばれます。たとえば会計ソフトを提供する企業のオウンドメディアだと、「毎日1つずつ学んでいける経費削減のコツ」という1週間配信するメルマガをユーザーに提案できます。
ここで気を付けたいポイントは、オウンドメディアでメルマガを配信する対象は、まだ自社商品やサービスの存在を知らない潜在層や準顕在層であるということです。問い合わせや資料請求だと、自社商品やサービスに興味を示す顕在層がターゲットになるため、対象の違いには重々注意しなければなりません。
わざわざ商品やサービスを購入してもらう前にメルマガを提供するのは、定期的なコミュニケーションにより潜在層や準顕在の購買意欲を徐々に高められるからです。
特にBtoBビジネスで扱うような高額な製品は、購買担当者が購入を決断する前に長い時間をかけて情報を集めようとします。たとえ自社製品が優れていようとも、いきなり「我が社の製品がおすすめですよ」と伝えたところで、すぐに購入してもらえるようなものではありません。そこで定期的にユーザーとコミュニケーションを行えて、じっくりと課題の発見や購買意欲の醸成ができるメルマガが有効だというわけです。
ホワイトペーパーやeBookのダウンロード
ホワイトペーパーとは、製品やサービスの機能解説や市場分析の調査結果などに活用される見込み客向けの資料です。本来は政府や公的機関の調査内容をまとめた白書として使用されていましたが、最近では、オウンドメディア内で「お役立ち資料」や「市場分析資料」といったホワイトペーパーの提案をよく目にします。
eBookとは、見込み客に提案するPDFやEPUB形式の電子文書です。Webマーケティングにおいては、ホワイトペーパーとeBookはほぼ同義で使用されています。
こうした見込み客向けの資料は、従来パンフレットが採用されてきましたが、紙媒体は印刷代や発送費といったさまざまなコストがかかります。ホワイトペーパーやeBookをオウンドメディアに採用することで、こうした余計なコストを削減することが可能になりました。
また、パンフレットでもホワイトペーパーやeBookと同様、製品やサービスの訴求を行いますが、パンフレットが自社製品の優位性を訴求することに重きを置くのに対し、ホワイトペーパーやeBookはユーザーの課題解決を主な目的としています。そのため、ホワイトペーパーやeBookの場合、ユーザーのニーズに適うようであれば、たとえ自社製品やサービスに関係ない情報を含めることもあります。
デモ体験の案内
ユーザーとのコミュニケーションを深めようとするオウンドメディアでは、デモ体験を提供する場合もあります。たとえば自社製品の機能が限定された無料版の提案のほか、製品を実際に使用しているところを視聴できるデモ動画の提案などがデモ体験に当たります。
デモ体験の提案は、すでに自社製品やサービスの購入意思がある程度固まっている見込み客に効果的です。検索サイトで「○○(自社製品名) 価格」や「○○ 機能」などのキーワードで情報を調べようとするユーザーは、自社製品に高い関心を示している可能性が高いため、該当する記事からデモ体験を提案することで成約に結び付きやすくなるでしょう。
オウンドメディアでコンバージョンを獲得する方法
ここからは、オウンドメディアでより効果的にコンバージョンを獲得する方法を解説します。オウンドメディアのコンバージョン数やCVR(コンバージョン率)を向上させるテクニックを学んでいきましょう。
広告やSNSを活用して純粋にアクセス数を増やす
オウンドメディアのCVRは、業界によっても違いがありますが、おおよそ0.01~2.0%が目安だと言われています。Web広告に比べるとやや低い水準にあるため、なるべくオウンドメディアへのアクセス数を増やす必要があります。
たとえばオウンドメディアへの月間アクセス数が1万人でCVRが1.0%だとすると、1ヶ月の推定コンバージョン数は100回です。CVRの水準が1.0%のままアクセス数が月間10万人に増えると、それだけでコンバージョン数は1,000回になります。
オウンドメディアのCVRを改善する方法もありますが、どちらかと言えば集客施策を強化してアクセス数を増やすことのほうが容易です。Web広告を拡充したり、SNSやYouTubeといったチャネルを強化したりなど、集客に費用をかけるとアクセス数は飛躍的に増加します。
動画や画像などのリッチコンテンツを活用する
とはいえ、誰でも容易にできる施策ほど多数の競合も同じ手段を活用するため、競争は激化します。広告やSNSなどを活用して集客効果を高める一方で、やはりCVRそのものを底上げする施策も必要です。
オウンドメディアのCVRを高める方法の一つに、リッチコンテンツを活用する方法があります。リッチコンテンツとは、文章がメインの記事に加える動画や画像などの付加コンテンツです。記事のなかに単なる文章が羅列されていると読者は読み疲れてしまうため、適度に情報を補足するインフォグラフィックや解説動画を掲載することで、最後まで読んでもらえる可能性が高くなります。
対策キーワードに適したコンバージョンポイントを設置する
先述の通り、オウンドメディアのコンバージョンポイントには資料請求やメルマガ登録、ホワイトペーパーのダウンロードといった施策が有効です。そしてコンバージョンポイントを設置する場合は、対策キーワードに適した施策を用いるようにしましょう。
たとえば、最終的な目的として企業の購買担当者に自社の会計ソフトを購入してもらいたいとします。そこでオウンドメディアのコンバージョンポイントには、お問い合わせや資料請求といった施策を設定しました。
ただ、オウンドメディアを訪れるユーザーは各々求める情報のニーズが異なるため、ニーズの元となる検索キーワードに最適なコンバージョンポイントを設定する必要があります。
仮に「財務会計 管理会計 違い」と検索したユーザーは特定の商品やサービスを欲しているわけではなく、不明点や疑問を解消するために情報を探しています。
そのため、検索ニーズに合った「財務会計と管理会計の違いを解説」という記事を用意し、その記事のコンバージョンポイントには「失敗しないための財務会計3つのステップ」といったハウツー系ホワイトペーパーのダウンロードボタンを設定します。自社製品の存在を知らないユーザーにいきなり商品の問い合わせといったコンバージョンポイントを見せても、ほとんど効力を発揮しないからです。
一方で、「会計ソフト どれがいい」などの検索キーワードで自社サイトに辿り着いたユーザーは、すでに何らかの会計ソフトを導入しようと意思が固まっています。そのため、メルマガやホワイトペーパーといった回りくどいコンバージョンポイントではなく、自社の会計ソフトのメリットや機能がよく分かる資料請求や製品に対する直接的な問い合わせといった施策が向いています。
オウンドメディアでは、各コンテンツページを制作する際に検索キーワードを分析するケースがほとんどです。そこで上記の例のように、各ページのコンテンツと検索ニーズに合ったコンバージョンポイントを設置するようにしましょう。
EFO(エントリーフォーム最適化)でCVRを高める
オウンドメディアで活用する問い合わせや資料請求といった施策において、フォームを設置するケースも珍しくありません。たとえコンテンツの内容が優れていたとしても、肝心のアクションを行うフォームが使いにくければ離脱率が高まってしまいます。
こうしたフォームのデザインやフォーマットを使いやすいように改善することを、EFO(エントリーフォーム最適化)と言います。たとえばフォームの項目数を減らして入力の手間を削減したり、住所の自動入力やステップ表示といったアシスト機能を導入したりする方法が効果的です。
問い合わせフォームや資料請求フォームを利用するということは、それだけユーザーがオウンドメディアの施策に興味を示した証拠なので、せっかく興味関心が高まったユーザーを使いにくいフォームで興ざめさせないよう工夫を凝らしましょう。
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