TikTokは、企業がコンテンツマーケティングを行うための最適なプラットフォームです。一般的な動画共有サービスにSNSの仕組みが融合されているため、フォローやいいねといったエンゲージメントを基にユーザーや見込み客との関係性を強化できます。
ただし、TikTokには独自の文化やシステムが存在するため、戦略なしに施策を実行しても成果は期待できません。そこでTikTok独自のコンテンツマーケティングのコツをつかみましょう。
本記事では、TikTokでコンテンツマーケティングを行い、見込み客とのコミュニケーションを獲得する方法を解説します。
TikTokの仕組み
TikTokでコンテンツマーケティングを実施する前に、まずはTikTokの仕組みについて理解を深めていきましょう。
ショートムービーに特化したSNS動画共有サービス
TikTokは、YouTubeやニコニコ動画などと同じ動画共有サービスです。ユーザーなら誰もが自由に動画を投稿でき、自分だけのアカウントを開設できます。もちろん個人だけではなく企業もアカウントを開設し、動画コンテンツを活用してユーザーとの関係を深められます。
以下の動画は、企業アカウントのなかでも特に人気のあるテイストメイドジャパンの投稿コンテンツです。
(https://www.tiktok.com/@tastemadejapan/video/7018135717842783489?is_copy_url=1&is_from_webapp=v1)
テイストメイドでは、レシピ動画や献立情報、旅行分野のコンテンツ発信などを行っており、TikTokでもユニーク性の高い動画を発信して数多くのユーザーから支持を集めています。フォロワー数はすでに140万人にも達するだけあり、TikTokがいかにマーケティングに有効かということが理解できるはずです。
TikTokは動画共有サービスの一つであると先述しましたが、TwitterやFacebookなどのSNSのような側面も併せ持ちます。投稿した動画や企業アカウントに対し、ユーザーがエンゲージメント(フォローや共有、いいねなど)ができる仕組みです。
また、投稿できる動画の長さに制限があることも特徴で、2021年10月13日時点では、最長3分までの動画を投稿できます。
YouTubeでは最長12時間までの長尺動画を投稿できるため、ややTikTokのシステムは見劣りするようにも感じます。しかし、もともとショートムービーのプラットフォームだっただけあり、ダンスやリップシンクなど一発芸的な動画が好まれる点が特徴です。
企業がコンテンツマーケティングとして活用する場合でも、あまりにもセールス感の強い訴求は好まれません。ユーザーが楽しめるコンテンツに焦点をあて、ユニークな動画を発信していく必要があります。
レコメンド機能を活用した情報拡散
TikTokには、ユーザー属性や過去のエンゲージメントを基にしておすすめ動画を表示させる「レコメンド機能」が搭載されています。レコメンドにアクセスすると、画面をスワイプするたびに次々とおすすめ動画が表示される仕組みです。
レコメンドに動画が表示されるかどうかはAIが判断します。
まず、新しく投稿された動画があると、そのジャンルに興味を持つ約100人のユーザーのレコメンドに動画が表示されます。その後、100人のユーザーがその動画にたくさんエンゲージメントするほどAIに「人気のあるコンテンツ」であると評価され、放っておいても勝手に動画の露出機会が増えていく仕組みです。
そのため、TikTokではアカウントを開設したばかりでも、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを提供すれば多数のフォロワーやいいねを獲得できます。アカウント運用が軌道に乗るまで時間を要するYouTubeとの大きな違いです。
TikTokとコンテンツマーケティングは好相性
TikTokのシステムは、コンテンツマーケティングと深い相関関係があります。
そもそもコンテンツマーケティングとは、ユーザーに価値のあるコンテンツを継続的に提供し、見込み客への醸成や関係性の強化をはかる施策です。
たとえば、Web広告で集客したユーザーに対してWebサイトやブログを回遊させてニーズを顕在化させます。その後、記事でそのニーズにアプローチしつつ、メルマガや資料請求、問い合わせといったアクションにつなげてもらい、見込み客となった人たちと継続的なやり取りをして購買意欲を高めていきます。
上記はあくまで一例ですが、これらの流れはすべてコンテンツマーケティングの一環です。
TikTokはSNSの側面も併せ持つため、ユーザーのエンゲージメントを通じて定期的なコミュニケーションを行えます。まさしくユーザーとの関係性を深めるために最適なツールであり、自社アカウントが一つの巨大なメディアに変貌すると言っても過言ではありません。
また、コンテンツマーケティングでよく利用されるオウンドメディアやブログは、「キーワード検索」というユーザーの能動的なアクションを起因として集客を行います。つまり、これらは受け身の施策です。
一方のTikTokは、ユーザーが受け身となって動画を閲覧していくため、企業側が積極的にコンテンツを発信できます。オウンドメディアやブログと組み合わせることで、能動的かつ受動的なアプローチが可能になります。
TikTokでコンテンツマーケティングをする際のポイント
TikTokでコンテンツマーケティングを実施する際の参考になるポイントは、以下の通りです。
- TikTokのチャネルをAISASのモデルに当てはめて考えてみる
- 量よりも質を重視する
- ハッシュタグを活用する
- 予算に余裕があればTikTok広告の活用も視野に入れる
- TikTokプロアカウントで効果検証と改善を繰り返す
ここまで何度かお伝えした通り、TikTokは独自の文化を形成していることから、YouTubeやニコニコ動画などでマーケティングを行うのとは少し傾向が異なります。以下の解説を参考に、TikTok独自のコンテンツマーケティングのコツをつかんでいきましょう。
TikTokのチャネルをAISASのモデルに当てはめる
まず、TikTokで行うコンテンツマーケティングの考え方を、AISASにある購買プロセスの一部に当てはめます。「一部」とあるのは、TikTokだけですべての購買プロセスをまかなうのは不可能だからです。
AISASとは、消費者が商品を認知してから購買に至るまでのプロセスを表したフレームワークです。そのプロセスは以下のような順を追って進みます。
- Attention(認知・注意):商品やサービスの存在を知る
- Interest(興味・関心):商品やサービスに興味を持つ
- Search(検索):気になった商品やサービスについて詳しく情報を調べる
- Action(行動):納得したうえで商品やサービスを購入する
- Share(共有):購入した商品やサービスの利点を友人や知り合いに広める
このうち、特にTikTokが得意とするのは第1段階のAttentionです。もちろん方法次第でほかの購買プロセスにアプローチすることもできますが、もっとも得意なAttention領域にアプローチするのが最適だと言えます。
その理由は、TikTokが以下のようなメリットやデメリットを持っているからです。
- ユーザーのエンゲージメントが期待できるので情報の拡散力に優れる
- レコメンド機能があるので自社のことを知らない潜在層にアプローチできる
- 投稿できる動画の長さに制限があるので製品の詳しい解説や紹介には向かない
- 「この商品がおすすめ」といった直接的なアプローチは敬遠されやすい
つまりTikTokでは、「まず会社や製品の存在をユーザーに知ってもらう」という役割に相応しいと言えます。この点さえ押さえておけば、TikTokが不得意な第2段階以降のプロセスは、オウンドメディアやYouTube、Twitterなど別のチャネルで補完するという選択肢が生まれます。
量よりも質を重視する
TikTokで第1段階(Attention)のユーザーにアプローチするためには、何よりもまず「自社のことをユーザーに知ってもらう」ことが肝心です。YouTubeの場合、コンテンツの量を増やしていくことで露出機会が増え、徐々に認知拡大がはかれます。その点、TikTokではコンテンツの量よりも質を重視しなければなりません。
TikTokでもっとも視聴機会の多いフィードは「レコメンド」です。そのため、認知拡大をはかるには、いかにレコメンド内での露出機会を増やせるかにかかっています。
先述の通り、新たに投稿した動画は約100人のユーザーのレコメンドに表示されますが、その後別のユーザーにも表示されるかどうかはエンゲージメント次第です。最初に表示された100人から多数のいいねやフォローを獲得すると露出機会が増える一方で、エンゲージメントが少ないとレコメンドにまったく表示されなくなります。
つまりYouTubeのようにアーカイブ動画を増やせば良いというわけではなく、TikTokでは一つひとつの動画の質が拡散に強く影響しているということです。同業他社がどのようなコンテンツを提供しているのかを分析し、多数のエンゲージメントを獲得できる動画を生み出す必要があります。
ハッシュタグを活用する
レコメンド機能を活用して動画の拡散を狙う場合、絶対に必要となるのがハッシュタグです。投稿動画にハッシュタグを設定することで、そのテーマに興味のあるユーザーのレコメンドにコンテンツが表示されやすくなるでしょう。
では、仮にハッシュタグを付けずに動画を投稿したとしましょう。すると、ときに投稿動画のテーマにまったく興味のないユーザーにコンテンツが表示されてしまう場合があります。もしそのユーザーが動画にエンゲージメントをした場合、AIが動画の関連性を誤解して、この先の露出機会が減少してしまう恐れがあるのです。
たとえば、ダンスや歌に興味のあるユーザーがその分野とは関係ない自社の投稿動画を目にし、たまたまフォローやいいねといった評価を行ったとします。するとAIは、その動画がダンスや歌と関連があると判断し、その分野に興味のある別のユーザーにもコンテンツを表示させてしまうのです。
もちろん実際には、自社動画はダンスや歌と関連がないため、その分野に興味のあるユーザーに動画が表示されてもエンゲージメントを獲得できる可能性は薄くなります。結果、動画に対する評価は著しく下がり、一定数以上にコンテンツが拡散されることもありません。
だからこそ、あらかじめハッシュタグを設定し、「この分野に興味のある人にだけ見てもらいたい」と指定しておくことが重要なのです。
TikTokプロアカウントで効果検証と改善を繰り返す
TikTokでコンテンツマーケティングを行うなら、必ずプロアカウントに登録するようにしましょう。
プロアカウントとは、TikTokのアナリティクスを利用できるアカウント設定です。YouTubeで言うところの「YouTube Studio」に当たるのがTikTokプロアカウントです。
プロアカウントに登録しておくと、投稿した動画の「合計再生回数」や「合計視聴回数」、「過去7日間の人気上昇中の動画」などのデータを取得できます。定期的に各データを分析・検証すればコンテンツをより良く改善することが可能です。
もともとユーザー同士のコミュニティが強力に形成されていたTikTokだけに、個人対企業で良好な関係を結ぶのは簡単なことではありません。ユーザーの興味や関心に常にアンテナを張り、ニーズに合わせた最適なコンテンツを考案しましょう。
TikTok動画の事例
最後に、TikTokでコンテンツマーケティングを実施している企業の事例をご紹介します。複数の事例を基に、どのようなコンテンツがTikTokで好まれるのかを理解していきましょう。
事例(1)repiiii(レピー)
(https://www.tiktok.com/@repiiii_official/video/7018104019956600066?is_copy_url=1&is_from_webapp=v1)
repiiii(レピー)は、写真や食べ物、雑貨などあらゆる道具を使ってレシピ動画を提供するサービスです。「明日をたのしくするレシピ」がコンセプトで、学校で盛り上がれるように学生や若者を主なターゲットとしています。
たとえば自宅にあるマニキュアを使っておしゃれなスマホケースを作成したり、ポッキーのパッケージや包装材だけでステーショナリーを生み出したりなど、どれもユニーク性に優れるレシピばかりです。
特にTikTokはティーンエイジャーの利用率が高いため、TikTokを媒体としたコンテンツマーケティングは理に適っています。1つの投稿動画だけで1万以上のいいねを獲得することも多く、アカウントのフォロワー数は44万を超えるほどの人気です。
【repiiii公式アカウント】
https://www.tiktok.com/@repiiii_official
事例(3)ハートオブハーツ
(https://www.tiktok.com/@heart_of_hearts/video/7018483714082557185?is_copy_url=1&is_from_webapp=v1)
ハートオブハーツは、秋葉原にあるメイドカフェです。「学園系」をテーマに、喫茶店のほかにも学校の教室やライブステージがあり、ライブリクエストや小テストといったユニークなサービスを提供しています。
ハートオブハーツは、TikTokで最大規模を誇るメイドカフェアカウント。フォロワーの数は58万人、いいねの数は1,000万を超え、数多くのユーザーの心をつかんでいます。
動画コンテンツの内容は、店内で実際に働くメイドが踊るダンスが中心です。ほかにも深夜3時になるとライブショーが開催されます。遠方で店舗に足を運ぶのが難しい人でも、TikTokを経由してライブショーに参加できるのは大きなメリットです。
【ハートオブハーツ公式アカウント】
https://www.tiktok.com/@heart_of_hearts
弊社ではTikTokの運用や動画制作サービスを提供しております。
TikTokでのマーケティングに興味のある企業様はぜひご相談ください。