月間アクティブユーザー数950万人のプラットフォームでリーチを最大化できるTikTok広告。最近では、サントリーの「#ピーカーダンス」やユニクロの「#UTPlayYourWorld」などの成功事例も有名となり、TikTokをマーケティングに活用する企業が増えつつあります。
TikTokには独自の広告メニューが多いことから、ほかのWeb広告とは料金体系が大きく異なります。大幅なリーチ拡大が期待できる代わりに費用も高いため、予算には余裕を見ておきましょう。
本記事では、TikTok広告の料金体系やメニューごとの費用、広告費以外に必要な経費を解説します。
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TikTokの仕組み
TikTok(ティックトック)は、中国のByteDanceが2016年に開発した動画共有サービスです。もともと投稿できる動画の長さ上限が15秒(現在は3分まで)だったこともあり、YouTubeやニコニコ動画にはないダンスや一発ネタといった独自のコンテンツが人気を集めています。
気に入った動画やアカウントには「いいね」やコメントができるため、単なる動画共有サービスではなくSNSとしての側面も持っています。TikTok内で流行したダンスを皆で真似してその動画を投稿するなど、ユーザー同士で楽しめる独自の文化が特徴です。
主要ユーザーは10~20代の若者
TikTokの月間アクティブユーザー数は約950万人。その主要ユーザーは、10~20代の若者が中心だと言われています。特に10代のティーンエイジャーの場合、「お気に入りの歌やダンス動画を見つける→学校で友達に紹介する→友達たちと真似して自分たちの動画を投稿する」という流れになりやすく、絶大な支持を集めています。
仮に自社の想定ターゲットが10~20代の場合はもちろんのこと、最近は高年齢者層にもユーザーが増えており、TikTokはマーケティングやプロモーションに最適な環境と言えるでしょう。
ただしTikTokの場合、ほかのプラットフォームのようにセールス感を全面に押し出せばよいというものではありません。ユーザー同士で楽しむという独自の文化が形成されているTikTokでは、広告や押し売り感の強いアプローチはかえって敬遠される傾向にあります。
ユーザー参加型の独自広告
事実、TikTokに動画を投稿する企業アカウントのなかでも、ユーザーが気軽に参加・真似できたり学校で話題になりそうなネタを提供したりするものが人気を集めています。たとえば以下のようなレシピ紹介動画は、現在一大ブームとなっています。
https://www.tiktok.com/@tastemadejapan/video/7006259850661416194?is_copy_url=1&is_from_webapp=v1
なお、TikTokでは動画を投稿する以外にアプリ内で広告を出稿することもできます。その内容は、リーチを最大化させる起動画面広告やインフィード広告のほか、TikTok独自のアイデアが盛り込まれたオリジナル広告までさまざま。
特に「#Challenge(ハッシュタグチャレンジ)」や「Branded Effect」のオリジナル広告では、ユーザー参加型のプロモーション広告を生み出せるため、エンゲージメント(いいねやコメントといったアクション)を促進したい場合に最適です。
TikTok広告のメニューごとの費用・広告費
TikTok広告には、8種類の広告メニューが存在します。各広告メニューの課金方式と費用は下表の通りです。
広告メニュー | 課金方式 | 費用 |
TopView | CPT | 750万円 |
起動画面広告 | CPT | 600万円 |
OneDayMax | CPM | 330万円 |
OneDayMax Plus | CPM | 440万円 |
Brand Premium | CPM | 42万円~ |
#Challenge | – | ・Basic:1,000万円 ・Standard:1,500万円 ・Plus:1,700万円 |
Branded Effect | – | ・2D Standard:380万円 ・2D Premium:520万円 ・3D Deluxe:720万円 |
ブランドオークション | CPM、CPV | オークション形式 |
TopViewや起動画面広告、OneDayMax/Plusに関しては、上記の費用を支払うことで広告枠を24時間独占できる仕組みです。#ChallengeやBranded Effectについても、必要な費用を支払うと定められた期間中のみ広告を掲載しておけます。
Brand Premiumは、最低42万円で60万インプレッション分の枠を購入でき、そこから10万インプレッションずつ追加で課金していける仕組みです。ブランドオークションは運用型広告の一つであり、広告主が自ら入札額を提示し、オークション形式で出稿枠を勝ち取ります。
なお、課金方式の仕組みは以下の通りです。
- CPT(Cost Per Tap):広告が1回タップされるのを基準として費用を算出
- CPM(Cost Per Mille):広告が1,000回表示されるのを基準として費用を算出
- CPV(Cost Per View):広告が2秒または6秒再生されるのを基準として費用を算出
それぞれの広告メニューの概要については以下をご確認ください。
TopView
TikTokアプリを起動した直後に縦長の動画広告を配信するメニューです。1日1社限定の独占枠。費用は750万円と高額ですが、CTR17%と驚異的な数値を誇り、数多くのリーチを獲得できます。想定インプレッションは約1,520万回で、CPM(広告1,000回表示ごとの単価)に換算すると広告費は493円が目安となります。
起動画面広告
TopViewと同じくアプリを起動した直後に広告を配信できるメニューです。TopViewと異なる点は、起動画面広告に配信できるクリエイティブが5秒の無音動画または静止画に限定されること。クリエイティブの内容が制限されるものの、TopViewよりも少ない600万円の費用で想定1,700万回ものインプレッションが期待できます。CPM換算の広告費は352円が目安です。
OneDayMax/Plus
コンテンツに馴染ませるように広告を掲載できるインフィード型のメニューです。TikTokアプリにある「おすすめ」内に最長60秒の動画広告を出稿できます。おすすめフィードの4post目という目立つ枠を1日1社独占で買い取れる点が魅力です。OneDayMaxの想定インプレッションは610万回、OneDayMax Plusは880万回となります。
Brand Premium
TikTokアプリのおすすめフィードに動画広告を掲載できるメニューです。広告は130post以内に掲載され、1日に購入するインプレッション数が多いほど順位が上昇します。最低出稿金額は42万円からで10万インプレッションずつ課金できるため、予算に合わせて広告費を調整できます。また、性別や年齢、地域などの条件でターゲティングできる点も特徴です。
#Challenge
「オリジナルダンス企画」や「オリジナル動画投稿」といったユーザー参加型のキャンペーンを告知できるメニューです。TikTok内にバナー広告を掲載し、キャンペーン概要などを紹介する#Challengeページにアクセスを集めて情報を拡散する仕組み。ページ内にはUGC(ユーザーが生み出したコンテンツ)動画が一覧で掲載されるため、ユーザーとのエンゲージメントを強化できます。
Branded Effect
ブランド独自の動画エフェクトを作成できるメニューです。たとえばコスメの色合いを変化させたり、髪色をチェンジできるエフェクト効果があります。エフェクト効果はユーザーが自分で投稿した動画に反映できるため、コスメブランドや美容室のサービスを自宅にいながら体験できる仕組みです。
ブランドオークション
広告運用中にクリエイティブやターゲティングなどの設定を変更できる運用型広告です。日々の運用成果を見ながら広告の内容を最適化できます。広告の掲載場所は投稿動画の内部やおすすめタブなどインフィードが中心ですが、オークションによって入札額を高く設定するほど目立つ場所に出稿できる仕組みです。
この運用型広告は最も取り入れやすく、各ビジネスの特徴に合わせて運用を行うことが可能です。
TikTok広告の広告費以外で必要な費用
TikTok広告では、広告を出稿する目的によって広告費以外の費用が発生する場合もあります。広告費以外で必要な費用は以下の通りです。
- 出稿する動画の制作費
- 広告メニューのオプション費用
出稿する動画の制作費
TikTokでは、スマートフォンの動画撮影機能を活用して誰でも無料で動画の撮影・編集ができます。TikTokのアプリ内に簡易的な動画撮影・編集機能が用意されているため、投稿までの流れが非常にスムーズです。
しかし、TikTokで使える動画撮影・編集機能はあくまで簡易的なもので、本格的な機材や編集ソフトを使った動画の質には及びません。TIkTokでマーケティングを実施する企業にとって、クリエイティブの質の低さは信用の低下や視聴率の悪化に結び付くため、なるべく映像制作のプロである制作会社に任せることをおすすめします。
制作会社に外注する場合、動画の尺や種類、制作期間によって料金相場が大きく異なります。
動画の尺*1 | 動画の種類 | 制作期間*2 | 料金相場 |
3秒 | 実写映像 | 短納期 | 20~30万円 |
じっくり | 30~40万円 | ||
アニメーション | 短納期 | 15~20万円 | |
じっくり | 20~30万円 | ||
6秒 | 実写映像 | 短納期 | 30~40万円 |
じっくり | 40~60万円 | ||
アニメーション | 短納期 | 20~25万円 | |
じっくり | 20~30万円 | ||
9秒 | 実写映像 | 短納期 | 30~50万円 |
じっくり | 50~70万円 | ||
アニメーション | 短納期 | 30~40万円 | |
じっくり | 30~50万円 | ||
15秒 | 実写映像 | 短納期 | 40~50万円 |
じっくり | 60~80万円 | ||
アニメーション | 短納期 | 30~40万円 | |
じっくり | 40~50万円 | ||
60秒 | 実写映像 | 短納期 | 70~80万円 |
じっくり | 80~120万円 | ||
アニメーション | 短納期 | 50~70万円 | |
じっくり | 60~90万円 |
*1:TIkTok動画の長さは広告メニューによって3~15秒が推奨されている
*2:制作期間の目安は1~3ヶ月ほどでクリエイティブによって大幅に異なる
実写映像はアニメーションとは異なり、制作工程に撮影およびキャスティングが必要になるため、より高額な制作費が求められます。制作費を抑えたい場合には、出演するキャストを社員のなかから起用したり、制作の一部を内製化したりといった方法が有効です。
また、動画制作に費やしたコストを無駄にしないためにも、費用対効果を意識して制作・運用にあたりましょう。動画広告の費用対効果を高めるには以下のような方法を活用できます。
- 広告のターゲティング設定を絞り込む
自社に興味があるターゲットのみに広告を露出することで、成約の見込みが薄いユーザー層への無駄なアプローチを減らし広告費を最適化できる。
- ランディングページを最適化する
(LPO) 広告の遷移先であるランディングページの各要素(キャッチコピーやテキストコンテンツなど)を見直し、コンバージョンにつながりやすい内容へと改善する。複数ページのなかから効果の高いページを選別するA/Bテストや多変量テストが効果的。
- PDCAサイクルを回しクリエイティブを改善 あらかじめKPI(測定可能な目標値)を設定。
分析ツールによって現れた実数値(クリック数やCVRなど)とKPIの差を検証し、課題に対する仮説から改善策を導き出す。
広告メニューのオプション費用
TikTok広告の一部のメニューでは、追加のオプションを購入することができます。オプションを加えることで広告運用の成果が向上する場合もあるため、予算に余裕がある場合は検討してみましょう。
TIkTok広告のオプション費用は以下の通りです。
オプション名 | 概要 | 費用 |
ティーザー for #Challenge | #Challengeのキャンペーンを開始する前にティーザー広告を出稿できる | 490万円 |
スポンサーシップPKG | #Challengeを展開する企業に協賛する形で、バナー広告にスポンサーロゴ、#Challengeページにスポンサー情報を掲載できる | ・Bronzeプラン:190万円 ・Silverプラン:450万円 ・Goldプラン:1,000万円 |
トレンド#PKG | トレンドのハッシュタグを指定し、そのハッシュタグの#Challengeを展開する企業のスポンサー枠に自社情報を掲載できる | ハッシュタグにより異なる |
ティーザー for #Challenge
ティーザー(広告)とは、商品を直接取り上げず断片的な情報のみを公開してユーザーの興味を引く手法です。#Challengeにおいて「ティーザー for #Challenge」のオプションを購入すると、キャンペーンを実施する1週間前からティーザー広告を出稿できます。
ティーザー広告はBrand Premiumと同じ形式で出稿でき、想定700万回の広告表示が可能です。また、#Challengeページもキャンペーン開始1週間前から公開できます。キャンペーン前にユーザーの期待を高めておけば、キャンペーン期間中に大量のUGCを獲得できるでしょう。
スポンサーシップPKG
#Challengeを展開する企業に協賛する形で、その企業の広告の一部に自社情報を掲載できるオプションです。バナー広告にはスポンサーである自社のロゴを、#ChallengeページやPush通知画面にはスポンサー情報掲載枠に自社の情報を掲載できます。スポンサー独自のブランディング広告を出稿できるのも特徴の一つです。
協賛項目 | Bronzeプラン | Silverプラン | Goldプラン |
グロス価格 | 190万円 | 450万円 | 1,000万円 |
ブランディング広告出稿 | 〇 | 〇 | 〇 |
バナーへのロゴ掲載 | × | × | 〇 |
#Challengeページへのスポンサー情報掲載 | × | 〇 | 〇 |
Push通知へのスポンサー情報掲載 | × | 〇 | 〇 |
専用LPへのスポンサー情報掲載 | 〇 | 〇 | 〇 |
トレンド#PKG
特定のハッシュタグを指定し、そのハッシュタグを使って#Challengeを展開する企業のスポンサー枠へ自社の情報を掲載できるオプションです。スポンサー限定のブランディング広告を出稿できるほか、#Challengeページにおけるスポンサー情報枠に自社情報や外部リンクを、協賛用動画の掲載枠に自社の動画広告を掲載できます。流行りのトレンドに乗ってリーチ数を拡大したい場合に最適です。
なお、想定インプレッションや掲載期間、費用は選択するハッシュタグによって異なります。以下3種類のプランはあくまで参考データです。
Aプラン | Bプラン | Cプラン | |
グロス金額 | 300万円 | 180万円 | 135万円 |
想定インプレッション | 3,000,000 | 2,000,000 | 1,500,000 |
掲載期間 | 30日間 | 14日間 | 7日間 |
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