採用活動のオンライン化が進む中、動画を活用する企業が増えてきました。
こうした採用活動に活用する動画のことを、「採用動画」と言います。
採用動画を活用することで、オンライン上の採用活動をより効率的に、より低コストで行えます。
ただ、一概に採用動画と言っても、その種類や活用方法はさまざまです。
そのため、採用動画の制作および運用には、ある程度の知識やノウハウが要ります。
そこで今回は、採用動画の種類や活用方法、制作費用などを解説します。
さらに採用動画の事例までご紹介するため、自社に最適な参考動画を探すことも可能です。
採用動画とは
採用動画とは、企業が求職者に伝えたいメッセージを映像で表現する手法です。
人物や自社製品、景色、音楽などを映像で自由に表現することで、文章だけでは伝えきれない情報を発信できます。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2021年1月)」によると、従業員が不足している企業の割合は2019年の53.0%から2021年に35.9%に改善され、徐々に適正な水準へと近づいています。
しかし、放送業や建設業、情報サービスでは依然として50%超の水準を記録しており、一部の業種では人手不足が解消されていません。
人口の減少を考慮すると人手不足はこれから時間と共にさらに深刻になると考えられます。
上記のような時代背景の中、優秀な従業員を獲得しようとすれば企業には採用活動に対する工夫が求められます。
従来のような企業の公式サイトや求人サイトだけでは効率的な採用活動が難しくなっているため、採用動画といった新しい手法を活用することが必要だと言えるでしょう。
採用動画の種類
一概に採用動画と言っても、その中にはさまざまな種類が存在します。採用動画の種類は次の通りです。
- 新卒採用動画
- 中途採用動画
- アルバイト採用動画
- インタビュー動画、会社紹介動画
上記のように、採用動画は新卒や中途、アルバイトなど、雇用形態によって分類されます。
つまり、自社が獲得したい雇用形態の人材に合わせ、最適な動画タイプを選ぶことが重要だということです。
それぞれの動画の特徴については以下で詳しく解説します。
新卒採用動画
新卒の求職者をターゲットにする場合、視聴者の心が熱くなるような企業メッセージの発信を心がけることが大切です。
まだ社会人経験のない新卒者は、企業に入社することで自分の能力をどのように発揮できるのかが分かりません。
それだけ社会人に対する憧れや将来の理想的なイメージを持った人が多いということです。
そのため、彼ら・彼女らの心をときめかせるような企業メッセージを発信することが効果的と言えます。
また、新卒者にとっては、社内での具体的な働き方についてもイメージが困難です。
具体的な働き方を想像できるほうが応募を検討しやすくなるため、その内容を映像で紹介するのも方法の一つです。
たとえば、ある営業マンの1日の仕事風景に焦点をあて、ドキュメント映像のように動画を制作したり、新入社員の座談会を映像化するなど、さまざまな見せ方ができるでしょう。
特に、昨年入社したばかりの社員は新卒者ともっとも立場が近いため、実際に会社に入って感じたことや具体的な配属先などを紹介すると入社後の姿をイメージしやすくなります。
中途採用動画
新卒者と異なり、中途採用の求職者は想定するターゲットによって動画の内容が大きく変わります。
中途採用の求職者には年齢の低い第二新卒もいれば、40~50代になってから転職を考える人もいるなど、ターゲットによって年代が大きく異なるからです。
ターゲットに合わせた企業メッセージの例としては、社会人経験の浅い場合には即戦力や将来の昇給や昇進の有無を積極的に伝えたり、経験の深い人には高額な年収をアピールするといった方法があります。
また、年齢に限らず、中途採用の求職者に共通している点は、社会人経験があるということです。
前職を退いた理由は人によってさまざまですが、転職先に希望を抱いているという点には変わりはありません。
そのため、仕事の内容を事細かく説明するよりも、同業他社と比較した際の自社のメリットや魅力を伝えるほうが効果的でしょう。
アルバイト採用動画
いまのところ、アルバイト採用動画に力を入れる企業はあまり多くありません。
しかし、だからこそアルバイト採用動画を積極的に発信することで、優秀な非正規労働者を獲得できるチャンスが生まれます。
マイナビの「人材ニーズ調査」によると、2020年から2021年にかけて企業が非正規労働者を採用する割合が高まっています。
出典:https://saponet.mynavi.jp/release/enterprise/needs/recruitment_needs_2020/
非正規雇用における採用実績は、2020年で契約社員・嘱託社員が43.7%、パート・アルバイトが56.9%、派遣社員が35.4%でした。
2019年に比べると微減ですが、2021年の採用では、すべての雇用形態において増加する見通しです。
企業が非正社員を積極的に拡充しようとする理由は、慢性的な人手不足に苦しむ中、コロナウイルスの打撃が直撃したからでしょう。
コロナ禍で業績の先行きが見通しづらくなったことで、一時的な業務量の変動に対応するために非正社員を獲得しようとする動きが目立っています。
このように短期的な人材マーケットも動きも影響しますが、長期的にも今後アルバイト採用も従来の求人媒体に頼る方法だけでなく、より企業のメッセージをターゲットに届ける工夫が必要になります。
アルバイトの場合、正社員に比べて業務内容がシンプルという特徴があります。
そのため、仕事内容を詳しく説明するよりも、職場環境や社内の風土を重点的に発信し、働きやすさを訴求する方法が最適です。
インタビュー動画、会社紹介動画
社員へのインタビューや企業の事業内容を紹介する動画も、採用活動では役立ちます。
前者は「インタビュー動画」、後者は「会社紹介動画」と呼ばれています。
インタビュー動画と会社紹介動画は、どちらも雇用形態にかかわらず活用できる点がメリットです。
インタビュー動画の場合、インタビュイーに誰を設定するかが非常に重要です。
動画内で社長が直接企業メッセージを伝えると、視聴者はその会社の方向性を理解しやすくなります。
また、新入社員やアルバイトで活躍する従業員など、視聴者ともっとも近い立場の人の意見を発信すると共感を生み出せます。
上記のように、ターゲットに合わせて最適なインタビューを設定しましょう。
会社紹介動画の場合は、ブランディングを意識することが大切です。
動画におけるブランディングとは、映像やBGMによって企業やブランドのイメージを向上させる施策を指します。
イメージには「かっこいい」や「洗練された」、「おしゃれ」などの種類があり、映像やBGMをその雰囲気に合わせることで効果的なブランディングが可能です。
採用動画制作依頼の費用・料金相場表
採用動画を一から制作する場合、自社で撮影機材や編集ソフトなどを揃えなければなりません。
さらに動画制作に専従するスタッフやノウハウも必要です。
そのため、費用や労力の観点から、自社で動画を制作するのは困難と言えます。
一方、動画制作会社に依頼すれば費用や労力を最小限に抑えられます。
動画制作のノウハウもほとんど必要ないため、自社に最適な人材やリソースがない場合には最善の選択肢となりえます。
動画制作会社に依頼した場合の費用は、以下表の通りです。
プロモーション・PR動画制作料金相場表 | |||
動画の長さ | 動画の種類 | 動画の品質 | 料金相場 |
1分未満 | アニメーション | 低 | 10~25万円 |
高 | 25~60万円 | ||
実写動画 | 低 | 20~60万円 | |
高 | 50~100万円 | ||
3DCG | 低 | 80~100万円 | |
高 | 100~200万円 | ||
1分~3分未満 | アニメーション | 低 | 25~55万円 |
高 | 65~150万円 | ||
実写動画 | 低 | 50~90万円 | |
高 | 80~200万円 | ||
3DCG | 低 | 150~250万円 | |
高 | 250~350万円 | ||
3分以上 | アニメーション | 低 | 40万円~ |
高 | 85万円~ | ||
実写動画 | 低 | 95万円~ | |
高 | 200万円~ | ||
3DCG | 低 | 200万円~ | |
高 | 350万円~ |
上表の通り、動画制作は映像の尺が長くなるほど、複雑な加工や高い品質を求めるほど費用が高額になります。
そこで、まずは動画の企画に合わせて予算を設定することから始めましょう。
動画制作会社に依頼すると、事前にヒアリングと予算策定を行います。
そのため、担当者と相談しながら品質と価格の最適なバランスを見極めることが大切です。
各種動画の制作料金の見積もりは以下のシミュレーターで可能ですので、活用してください。
採用動画の用途とメリット
採用動画を制作する場合は、あらかじめ用途を絞っておく必要があります。
用途とは、「動画をどのような場面で活用するか」ということです。
用途を絞り込んでいないと想定したターゲットに動画を見てもらえず、肝心のコンバージョンにつながらない恐れがあります。
採用動画の用途には以下のような種類があります。
- 採用サイトへの埋め込み
- 求人媒体へ掲載するコンテンツとして利用
- 動画広告として利用
それぞれの用途の活用方法やメリットについて、以下で詳しく解説します。
採用サイトへの埋め込み
採用動画の効果がもっとも高まりやすい活用シーンとして、自社サイトの採用ページへの埋め込みが挙げられます。
最近では、コーポレートサイトに採用ページやエントリーボタンを用意する企業が珍しくありません。
採用ページには募集要項や社員紹介が掲載されていることも多いですが、さらに動画を掲載することでCVR(コンバージョン率)向上が期待できます。
コーポレートサイトの採用ページを訪問するユーザーは、求人サイトなどで自社の情報を知り、より深く会社のことを知りたいと思う人や、企業名で検索してエントリーをしたいと考えている人です。
自社に対して自発的に情報を調べているユーザーでもあり、採用動画によってCVRを向上することで自社にマッチする人材を獲得しやすくなります。
求人媒体へ掲載するコンテンツとして利用
一部の求人サイトには、求人票や企業紹介と共に動画を掲載できます。
そうした求人サイトに採用動画を載せておくと、媒体の求人効果が高まります。
1つの媒体における求人効果が高まることにより、余計な求人広告を出稿する必要がない点は大きなメリットです。
ただし、会社案内や事業内容紹介など、求人票にも載っているような情報を発信するだけでは高い効果は期待できません。
そのため、たとえば文章では説明しづらい社内の雰囲気や詳細な仕事内容紹介など、求人票を補完できるような内容を考えることが重要です。
動画広告として利用
採用動画を広告として発信すると、自社のことを知らない潜在層の獲得に役立ちます。
コーポレートサイトの採用ページや求人サイトを参照するユーザーは、自社の存在を知っていることが大前提です。
社名などの情報を知らないと検索できないからです。
しかし、動画広告の場合は、特定のユーザーがSNSやYouTubeなどを閲覧しているときに表示されるため、自社の存在を知らない人にもアプローチができます。
採用人数を拡大したいときに最適な手法と言えるでしょう。
動画広告が発信される媒体は、YouTubeまたはSNSが一般的です。
中でもSNSの場合は、想定するターゲット層を細かく設定できるため、より効果の高い採用活動へとつながります。
採用動画、リクルーティング事例
最後に、採用動画を活用した企業の事例をご紹介します。
事例(1)パナソニック
家電メーカーとして非常に有名な企業である「パナソニック」ですが、知っていそうで知らない情報は数多く存在します。
上記の動画は、そんなパナソニックのトリビアを集めた採用動画です。
パナソニックのようなすでに高い知名度を獲得している企業の場合、単に会社案内や事業内容を紹介するのは効果的ではないケースもあります。
すでに知っている情報が多いからです。
しかし、「パナソニックは雷門やレタスともかかわりがある」といった情報は、ほとんどの消費者が知りません。
そこで、そうしたトリビアを動画で紹介することで、パナソニックへの興味を向上することができます。
事例(2)東芝
上記は、社会インフラのシステムやソリューションの提供を行う「東芝」の事業紹介動画です。
東芝もパナソニックと同様に知名度の高い企業ですが、消費者がイメージしづらい製品を扱っている場合は事業紹介動画が効果を発揮します。
また、すべての映像がモーショングラフィックスになっている点も特徴です。
モーショングラフィックスとは、イラストやテキストに動きを加えたアニメーション映像の一種です。
たとえば、人物のイラストを動画に挿入しただけでは静止画のように止まって見えますが、モーショングラフィックスを加えることで口元や指先などを細かく動かせます。
モーショングラフィックスを活用することで、上記の動画のようにアニメを見ているような楽しさを味わえます。
また、動きのないイラストやテキストよりも内容が分かりやすいため、視聴者の理解促進につながる点もメリットです。
事例(3)八幡自動車商会
「八幡自動車商会」は、未使用軽自動車の販売や車検、鈑金まで一貫したサービスを提供する企業です。特に軽自動車の在庫に関しては、山形県でナンバーワンの実績を持ちます。
上記は、そんな八幡自動車商会で働く社員へのインタビュー動画です。
インタビュイーには、「日本で初めてランボルギー二を車検した職人」などユニークな顔ぶれが目立ちます。
動画を見ることで働く環境を知れるだけではなく、各社員の仕事に対する熱量や強い想いまで伝わってきます。
採用動画の制作は企画や制作後の運用がとても大切です。
弊社では企画、制作、運用までワンストップで提供しています。
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