YouTubeやTikTokなどを利用して日常的に動画観賞を楽しむ人が増えるなか、ビジネスシーンでも動画を活用するケースが増えてきました。
従来であれば、ビジネス向けの動画と言えば実写映像が一般的でした。
しかし最近では、視聴者の属性によらず気軽に視聴できるアニメーション映像、なかでも特にモーショングラフィックスの活用が目立っています。
そこで今回は、モーショングラフィックス動画の基本的知識や、制作会社に依頼する場合に知っておきたいポイントを解説します。
モーショングラフィックスという言葉を聞いたことがない場合は、いまのうちに内容を理解しておきましょう。
モーショングラフィックス動画とは
モーショングラフィックス動画とは、映像に含まれるイラストやテキストに動きや音を加えた映像表現手法です。
一般的なアニメーション映像と近い手法ですが、モーショングラフィックスは本来動かないはずの素材に動作を加えられます。
モーショングラフィックスを全面的に活用しているのが以下の動画です。
映像を見れば分かる通り、イラストやロゴ、テキストなどが軽やかに動いています。
従来であれば、静止画などの素材を使って動きのある映像を表現しようとすると、スライドショーのような動画になりがちです。
ナレーションを加えればスライドショーでも十分に情報を伝えられますが、映像が単調になりやすい欠点がありました。
しかし、モーショングラフィックスを活用すると、アニメのようにスムーズな映像表現ができるため、視聴者に飽きを感じさせません。
動きのある映像は印象にも残りやすく、CVR(コンバージョン率)を高めるには最適な手法と言えるでしょう。
モーショングラフィックス動画制作の依頼(外注・発注)のコツ
モーショングラフィックスを作るには動画制作の豊富な知識や技術が求められるため、動画制作会社に依頼するケースがほとんどです。
制作会社に依頼すると動画制作のノウハウがいっさいいらないばかりか、編集にかかる手間や時間を大幅に削減できます。
ただし、動画制作会社によって作品の完成度には大きな差があります。
より信頼できる制作会社を選ぶためにも、外注や発注時のコツを理解しておくことが大切です。
ここでは、モーショングラフィックス動画制作を依頼するときのコツを解説します。
企画書を制作する
モーショングラフィックス動画の制作を依頼する場合、もっとも重要なポイントが発注前に企画を行うことです。
動画制作会社に依頼すると、クライアントからのヒアリングをもとに制作会社側が企画や構成を練り上げてくれます。
そのため、企業や個人の発注側は企画作りを制作会社に丸投げするケースも珍しくありません。
しかし、制作会社に依頼する場合でも、事前にある程度の企画を作っておくべきです。
いくらヒアリングを実施するとは言え、クライアント側に明確な意図や構想がなければ完成度の高い動画を作るのは難しいからです。
さらに企画書を用意しておけばヒアリングや企画提案の工程がスムーズになるため、制作費の削減にもつながります。
上記2つのメリットから、事前にしっかりと企画書を用意しておきましょう。
企画書作りで重要なポイント
動画の完成度は企画書の有無によって大きく変わります。
しっかりと企画や構想を構築しておけば、完成形のイメージが制作会社にも伝わり、想定通りの動画に仕上がりやすくなります。
モーショングラフィックス動画の企画書を作る際は、最低限以下の項目を含めるようにしましょう。
重要項目 | 主な内容 |
目的 | 動画を制作する目的。 |
KPI | 目的を達成するための具体的な指標。たとえば「売上を伸ばす」という目的を設定した場合は、「インプレッション数」や「動画リンクのクリック数」などがKPIに設定できる。 |
ターゲット | 動画を見てもらいたい主な視聴者層。 |
活用シーン | 動画を発信するプラットフォーム(掲載先)。 |
予算 | 動画の制作費、もしくは広告を掲載する場合は広告費も含めたトータルコスト。 |
参考動画 | これから制作する動画のイメージにもっとも近い他社の既存動画のこと。 |
制作会社に依頼する前に、まずは上記の項目を表にし、制作に携わるメンバーで企画会議を行うとよいでしょう。
メンバー間でさまざまなアイデアを出し合い、より具体的なイメージを構築することが大切です。
モーショングラフィックス動画の企画例
上記で解説した6つの重要項目を踏まえ、モーショングラフィックス動画の企画書の例をご紹介します。
【企画書】リラックスクッションの新製品紹介動画 | |||
概要 | リモートワーク推進の影響で在宅勤務や自宅で活動をする機会が増加。 | ペルソナ | アパレルメーカーの経理部で働く29歳の男性。 |
目的 | 複数チャネルに掲載した動画のリンクから、公式サイトや楽天市場の購買ページへアクセスしてもらうこと | KPI | ・インプレッション:15,000回 ・クリック数:1,000回 |
利用シーン | ・広告リンク先のLP ・公式サイト商品ページ ・楽天市場の商品ページ ・YouTube公式チャンネル | 予算 | 70万円以内 |
メッセージ | 弾力性のある低反発ウレタン素材を採用したリラックスクッション。 | 動画長さ | 1分前後 |
公開予定日 | 2021年10月2日 | 参考動画 | 【A社 ブランド○○】 URL:~~~ 【B社 ブランド□□】 URL:~~~ |
最初のうちは面倒かもしれませんが、一度でも動画の企画を考えておくと社内にノウハウが蓄積されていきます。
次に動画を制作する場合でも作業がスムーズになるため、最初はできるだけ時間をかけて入念な企画作りを行いましょう。
モーショングラフィックスの利点を理解する
モーショングラフィックス動画を制作する場合、モーショングラフィックス特有のメリットを理解しておくことが重要です。
メリットを理解しておけば、実写やアニメーション、3DCGなどの種類のなかから最適なタイプを選びやすいからです。
モーショングラフィックスを活用するメリットには、次の4点が挙げられます。
- 初めての動画制作でも企画を練りやすい
- 実写動画よりも製作費を抑えられる
- 複雑な情報を分かりやすく伝えられる
- 企業やブランドのイメージアップにつながる
初めての動画制作でも企画を練りやすい
初めて動画を制作する場合には、実写や3Dなどの映像よりもモーショングラフィックスをおすすめします。
実写や3D動画に比べ、モーショングラフィックスは企画を構築しやすいからです。
モーショングラフィックスの企画内容は先ほど実例付きでご紹介しました。
これが仮に実写動画になると、先ほどの企画内容に加えてキャスティングまで考えなければなりません。
つまり映像が実写に変わるだけで、事前に考えなければいけない内容が増えるということです。
一方、モーショングラフィックス動画の制作には、実写動画に必要な撮影やキャスティングがいりません。
一部の工程を省くことにより企画内容もシンプルになるため、動画制作に慣れるには最適です。
実写動画よりも製作費を抑えられる
先述した通り、モーショングラフィックス動画の制作では、撮影やキャスティングの工程を省けます。工程が少なくなるということは、実写や3D動画に比べて制作費を抑えられるということです。
動画の長さや品質にもよりますが、実写動画とモーショングラフィックス動画を比較した場合、後者のほうが10~50万円ほど安くなるケースも珍しくありません。
初めて動画を制作する場合、費用対効果をイメージしづらいことも多いでしょう。
そこで製作費を抑えられるモーショングラフィックスを制作することで、コストを最小限にしつつ効果を検証できます。
複雑な情報を分かりやすく伝えられる
企業で扱う商品やサービス情報、会社情報などは複雑で、端的に説明することが難しい場合もあります。動画の尺が長くなってしまうと視聴者が飽きてしまう恐れもあるため、できるだけ短い時間で効果的な説明を行いたいものです。
モーショングラフィックスであれば、短い時間で重要な情報を漏れなく伝えられます。
モーショングラフィックスではナレーションに合わせてイラストや図に動作を加えられるため、単に言葉を耳で聞き流すときに比べて理解度が促進されるからです。
よって複雑なサービスや商品を扱っている場合ほどモーショングラフィックスが役立ちます。
企業やブランドのイメージアップにつながる
動画制作者のアイデア次第で、自由な表現ができるのがモーショングラフィックスの強みです。素材の動きの付け方や音の出し方、BGM、ナレーションの雰囲気によっては、モーショングラフィックス動画一つで企業やブランドのイメージアップにも結び付けることができます。
以下の事例は、Appleが開発したプレゼンテーションソフトを紹介するモーショングラフィックス動画です。
映像に利用されている素材はどれもシンプルですが、動きの付け方や音の出し方を工夫することで、Appleらしい洗練された雰囲気が伝わってきます。
上記のように意図的にイメージアップをはかることを「ブランディング」と言います。動画を使ってブランディングを行うには相当な技量が求められるため、プロの映像クリエイターが揃う動画制作会社に依頼しましょう。
モーショングラフィックスの制作の依頼料金相場と内訳
動画制作会社に依頼する場合、気になるのが制作費です。
製作費は制作会社によって大きな差があるものの、動画の長さや品質によってある程度の料金相場が決まっています。
ここでは、モーショングラフィックス動画の制作費用の相場や、アドオン(追加工)を利用したときの費用を解説します。
モーショングラフィックス動画の制作費用の相場
モーショングラフィックス動画の制作費用の相場は以下の通りです。
動画の長さ | 動画の品質 | 料金相場 |
1分未満 | 低 | 20~35万円 |
高 | 25~60万円 | |
1分~3分未満 | 低 | 30~65万円 |
高 | 50~100万円 | |
3分~ | 低 | 60万円~ |
高 | 80万円~ |
なお、実写動画の場合は20万~150万円、3DCGだと250万円超の費用が必要になるため、モーショングラフィックス動画のほうが制作費を抑えられる、かつ質の高い動画制作を行えることが分かります。
各種動画の制作料金はこちらの動画制作料金シミュレーターで計算が可能ですので、ぜひご利用ください。
アドオン(追加工)を利用したときの費用
アドオンとは、ナレーションやサウンドエフェクトなど、基本工程に付け足す追加工のことです。
アドオンを利用した場合、上記の料金に次のような費用が加わります。
エフェクト・加工内容 | 料金相場 |
ナレーション費 | 5~10万円 |
サウンドエフェクト | 5万円前後 |
カラーグレーディング | 10~30万円 |
CG加工 | 100~150万円 |
3D加工 | 100~150万円 |
アドオンは、モーショングラフィックス動画のクオリティを高めたいときに最適です。
動画に追加の加工を施すことで、視聴者が内容をより理解しやすくなったり、YouTubeなどで高評価をもらえる可能性が高まります。
予算に余裕がある場合は、上記のようなアドオンを検討してみましょう。
弊社ではモーショングラフィックスの企画、制作、運用までのサービスをワンストップで提供可能です。
ぜひお問い合わせください。