表やグラフ、イラストなどを用いて情報を分かりやすく表現できるとして、最近ではインフォグラフィックCMの活用に注目が集まっています。
インフォグラフィック動画を活用するのは企業や地方自治体、個人のクリエイターなど多岐に渡りますが、特にサービスや企業紹介に複雑な説明が求められる企業用のプロモーションに多用されています。
そのため、インフォグラフィック動画は特に以下のような人におすすめです。
- 公式サイトやSNSで動画を発信しているが、思うようにコンバージョンにつながらない
- サービス紹介で伝えたいことが多すぎて尺を短く設定できない
今回はインフォグラフィックCMの特徴や制作のポイント、事例などを紹介していくため、上記のような悩みを持つ場合にはぜひとも本記事を活用してみてください。
インフォグラフィックは様々なプロモーション対象と相性が良い
インフォグラフィックとは、複雑な文章やデータなどの情報を視覚的に分かりやすく表現する手法です。
たとえばWebページのテキストを可視化するためにインフォグラフィック画像を用いたり、インフォグラフィック動画で視覚と聴覚に訴えかけることもできます。
文章で表現するのは難しい内容であっても、インフォグラフィックなら視覚的な訴求でユーザーの理解度を促進できるため、最近では多数のWebサイトで活用されています。
以下、SBI証券の公式ホームページは、インフォグラフィックをうまく活用した事例の一つです。
出典:https://go.sbisec.co.jp/cp/cp_6million_20210420.html
仮に上図のようなデータを文章で表現するには、「1999年に新規口座をオープンさせ、2006年には100万口座を達成、2007年には……」というように文字を羅列しなければなりません。
しかし、インフォグラフィックがあれば人目でデータの推移や内容が理解できます。
また、最近特に増えているのがインフォグラフィック動画を活用した企業によるCMやプロモーションです。
企業が自社サービスや事業内容などを紹介する場合には、さまざまなデータや統計情報などを駆使してメリットや魅力を訴求するケースも珍しくありません。
しかし訴求を行うサービスや事業が複雑なほど説明は困難となります。
インフォグラフィックはそうした説明が難しい内容であっても、情報をより端的に伝えることが可能です。
さらにBtoBやBtoCといった業態や業界を問わず、ロジカルや数値、雰囲気による伝達などが行えるため、さまざまなプロモーションに対応できます。
インフォグラフィックCMの制作
インフォグラフィックCMの制作は、自社ですべてを内製化する方法と制作会社に依頼する方法の2種類があります。
内製化する場合は自社の思うように動画を制作できますが、リソースや専門的な人材を集める必要がある点、プロに依頼したほうが作品の質が向上しやすい点を鑑みると制作会社に一任するのが無難です。
そこでインフォグラフィックCMを制作会社に依頼した場合の制作方法や費用相場を解説していきます。
インフォグラフィックCMの制作方法
インフォグラフィックCMを制作するには、主に以下のような手順を踏んで制作を進めていきます。
- ヒアリングによるクライアントの要望洗い出し
- 企画提案と見積もり書の提示
- 動画のシナリオ作成および絵コンテ作成
- グラフィック素材の作成・動画編集
- 音入れ
- 試写による最終チェック
- 納品データの受け渡し
テーマによって制作する動画の内容は異なりますが、一般的なインフォグラフィックCMはアニメーションを駆使したものが大半です。
そのため、動画撮影やキャスティングの工程を省くことができます。仮に実写映像とアニメーションを組み合わせたい場合には、動画編集前に撮影工程が加わります。
上記の流れのうちもっとも重要な工程は、ヒアリングや企画提案を行う段階です。
動画の内容や構成を決める企画は制作会社から提示されるものの、必ずしもクライアントの要望が100%伝わるわけではありません。
しかし企画は動画の品質や仕上がり具合に大きく影響するため、依頼者としてはできるだけ正確に要望を伝えたいところです。
そこで制作会社に依頼する前に、あらかじめ自社で企画を練っておきましょう。たとえば作品の大まかなテーマを決めたり、ターゲットやKPI(運用時の目標数値)、予算などを明確にしておく、複数の参考動画をベンチマークしておくといった施策が有効です。
事前に企画書を作成しアイデアが明確になるほど、制作会社に具体的な完成イメージを伝えることができます。
インフォグラフィックCM制作の費用相場
インフォグラフィックCMを制作する際は、動画の長さや表現方法、品質の3つのポイントにこだわるようにしましょう。
動画制作の費用は、主に上記3つの要素によって決定することが多いからです。
費用相場の一覧は以下の表を参考にしてみてください。
尺の長さ | 表現手法 | 品質 | 料金相場 |
1分未満 | インフォグラフィックス動画 | 低 | 10~35万円 |
高 | 15~60万円 | ||
実写動画 | 低 | 20~55万円 | |
高 | 30~70万円 | ||
3DCG動画 | 低 | 80~130万円 | |
高 | 100~180万円 | ||
1分~3分未満 | インフォグラフィックス動画 | 低 | 20~65万円 |
高 | 40~80万円 | ||
実写動画 | 低 | 40~80万円 | |
高 | 50~110万円 | ||
3DCG動画 | 低 | 100~180万円 | |
高 | 150~230万円 | ||
3分以上 | インフォグラフィックス動画 | 低 | 60万円~ |
高 | 80万円~ | ||
実写動画 | 低 | 90万円~ | |
高 | 130万円~ | ||
3DCG動画 | 低 | 180万円~ | |
高 | 230万円~ |
各価格帯の動画の例を独自の分析と算定によりご紹介します。
費用相場30~60万円の例
費用相場30~60万円の場合は、映像全体にアニメーションを活用したり、尺の長さを1分未満にするなどの工夫を凝らしている点が特徴です。あるいは品質よりも価格や納期を重視する制作会社を選んだ場合でも、制作費を大幅に抑えられることがあります。
以下はSaaSの連携サービスiPaaSを提供するAnyflowのインフォグラフィックCMですが、質の高い動画をコンパクトにまとめることで制作費を抑えています。
30秒の動画に多様なグラフィック素材が用いられているように見えて、よく見ると単一の素材を複数シーンに応用していることが分かります。
映像に含まれる素材を効率的に活用することで費用削減を実現した優れた事例と言えるでしょう。
動画タイトル | SaaS間の連携ならAnyflow(エニーフロー)【30秒CM】 |
動画URL | https://www.youtube.com/watch?v=Baod9HMbpkc |
動画の長さ | 30秒 |
費用相場 | 30~60万円 |
費用相場60~100万円の例
費用相場60~100万円になると、動画の尺は1分~3分で、ナレーションや多数のグラフィック素材を使った質の高いインフォグラフィックCMとなります。
以下は、独立系システムインテグレータNDDの会社紹介動画です。
動画の内容は全編を通してアニメーションとなりますが、動きのある数多くのグラフィックスを活用する分だけ費用が高くなっています。
人物イラストであっても表情や指先まで細かく動きを付け、ユーザーの理解促進をはかる細やかな配慮を行っている点が特徴です。
動画タイトル | エヌデーデー(NDD)インフォグラフィック動画 |
動画URL | https://www.youtube.com/watch?v=eX5QjWFAISs |
動画の長さ | 2分39秒 |
費用相場 | 60~100万円 |
費用相場100万円以上の例
費用相場が100万円を超えるような高額なケースは、動画の尺が3分を超えたり、さまざまなアドオン(追加工)を施して動画の品質を高めているような場合があてはまります。
たとえば、車買取や中古車査定サービスのビッグモーターは、以下のように動画制作に大幅な予算を費やしています。
上記の動画にはアニメーションだけではなく実写映像も含まれるため、撮影工程が加算される分だけ費用が高額になります。
また、動画の尺が長いだけではなく、ナレーションや多数のグラフィック素材の使用、サウンドエフェクトなどを含んでいる点も特徴です。
ただし費用は高額になるものの、上記のような質の高いインフォグラフィックCMに仕上がるため、高い費用対効果が期待できると言えます。
動画タイトル | 【2019卒採用】インフォグラフィック |
動画URL | https://www.youtube.com/watch?v=JpffKP3RMOo |
動画の長さ | 4分4秒 |
費用相場 | 100~160万円 |
インフォグラフィックCMを動画広告として活用した場合
インフォグラフィックCMはサイトやSNSなどに掲載する以外にも、動画広告として配信することも可能です。
動画広告はYouTubeやSNSなどで配信され、主に潜在ユーザーを取り込む際に有効となります。
ただし、広告配信先によって料金体系が異なる点には注意が必要です。
各配信先による料金体系の違いは以下の表を参考にしてください。
広告配信先 | 主な料金体系 |
YouTube | ・30秒以上の広告視聴によって料金発生(CPV課金) ・視聴者の広告クリックによって料金発生(CPC課金) |
・表示数1,000インプレッションに達すると料金発生(CPM課金) ・視聴者の広告クリックによって料金発生(CPC課金) | |
・3~6秒以上の広告視聴によって料金発生(CPV課金) ・動画広告がフルスクリーン表示されると料金発生(CPV課金) | |
・表示数1,000インプレッションに達すると料金発生(CPM課金) ・視聴者の広告クリックによって料金発生(CPC課金) |
何を目的にして動画を制作するのか、どのようなプラットフォームでどのような配信をするのかをプロジェクトごとに最適化する必要があります。
インフォグラフィックCMの事例
インフォグラフィックCMの種類は、映像の表現方法によって以下のように分類できます。
- 複雑なデータをグラフなどで簡潔に説明する動画
- 抽象的なイメージをイラストなどで具体化した動画
ここでは、それぞれのインフォグラフィックCMの事例をご紹介します。
複雑なデータをグラフなどで簡潔に説明する動画
インフォグラフィックCMで一般的な表現手法として、グラフや表を使ってデータや数値などの複雑な要素を簡潔に表現したものがあります。
基本的に複雑なデータを説明するにはナレーションによる非常に詳しい解説がいるため、情報を一目で視認できるインフォグラフィックが有効です。
事例(1)Looopでんき
Looopでんきのサービス紹介動画では、提供する2種類のプランのメリットを伝えるためにインフォグラフィックを活用しています。
たとえば「おうちプラン」では、従量料金が26円/kWh、値引き幅平均が8.3%になりますが、この動画では表のイラスト付きで分かりやすく表現しています。
さらに提供エリアに関しても日本地図のイラストを使うなど、視聴者の理解促進につなげるさまざまな表現方法が特徴的です。
事例(2)田中貴金属
田中貴金属は貴金属の価格情報の提供や、金地金や金貨などの取引サービスを提供する企業です。
同社では自社サービスを提供するため、上記のようにインフォグラフィックを活用したCM動画を公表しています。
たとえば「1980年から2017年までで、年平均1.2%ずつ金の価格が上昇している」といった説明でも、インフォグラフィックを用いたイラストやグラフなどで分かりやすく表現している点がポイントです。
まさにインフォグラフィックCMのお手本のような動画で、多くの企業にとって参考になる事例です。
事例(3)SHARES
上記は、経営やサービス運営におけるソリューションサービスを提供するSHARES(シェアーズ)のサービス紹介動画です。
この動画では冒頭から積極的にインフォグラフィックが活用されています。
たとえば企業生存率をタイムグラフで表現したり、持続的な経営を行うために必要な課題をグラフで取り上げるなどしてサービスの利点を訴求しています。
事例(4)ふるまる
ふるさと納税サービスを提供するふるまるも、動画にうまくインフォグラフィックを活用しています。
上記はふるさと納税における税金控除の手続き方法を解説した動画ですが、「ふるさと納税を行う人口の推移」などのデータをインフォグラフィックで紹介しています。
グラフには単なる数値だけではなく、「ワンストップ特例制度開始」や「控除上限額が2倍に」といった補足情報を含めることができ、インフォグラフィック動画独自の表現手法を効果的に活用している点が特徴です。
抽象的なイメージをイラストなどで具体化した動画
インフォグラフィックはグラフや表を使うだけではなく、イラストを使って抽象的なイメージを明確にすることもできます。
イラストを含めることで余計なナレーションを省けるため、動画の尺の簡略化につながります。
事例(1)Airレジ
インフォグラフィックは、特に無形商材を扱う企業で採用されるケースが少なくありません。
無形商材と言えばサービス紹介時にはどうしても概念的な解説になりがちで、イラストなどを使って具体化する必要性が生じ得ます。
そのなかでも特にインフォグラフィックの使い方に優れているのが上記の動画です。
映像に登場するアニメーションイラストは非常にシンプルなものの、ナレーションと合わせて一目でサービスの特徴が伝わってきます。
事例(2)マイナビ
上記は、マイナビによる「マイナビ新卒紹介」のサービス紹介動画です。
この動画では、「マイナビ新卒紹介サービスを使うことで、具体的にどのようなゴールを目指せるのか」という点をインフォグラフィックで解説しているところに特徴があります。
文章やナレーションにすれば非常に抽象的な内容でも、インフォグラフィックを使うとステップごとに具体的な映像で訴求ができます。
また、映像には可愛らしいキャラクターやグラフィック素材を使い、馴染みやすい印象に仕上げている点もポイントです。
事例(3)テレックス関西&アロージャパン
上記は、NTTドコモやKDDIなどのキャリアショップを運営するテレックス関西&アロージャパンの会社紹介動画です。
企業の事業内容紹介や説明会向けの動画では内容を端的に説明するのは非常に困難なこともあり、インフォグラフィックを採用活動に活用するケースも珍しくありません。
たとえば「社会に出て働くイメージは?」という問いに対し、「責任が重い」や「個性が生かせない」など抽象的な概念の説明をするにはナレーションだけでは不十分です。
そこで上記動画のようにインフォグラフィックを活用し、イラストを使って抽象的なイメージを具体化させています。
事例(4)KDDI
上記は、サポート付きのAWSを安価に利用したいという人の望みを叶える「Cloudpack with KDDI」のサービス紹介動画です。
この動画の特徴は、ナレーションに合わせてテンポよく画面が切り替わっていく点にあります。
画面が切り替わる度に新しいイラストが現れるため、特徴を理解することが難しい同サービスでも容易にメリットや魅力を把握できます。
さらにナレーションに合わせたテロップまで用意されており、非常に質の高いインフォグラフィックCMの事例と言えるでしょう。
インフォグラフィックス動画でCMを作りマーケティングをするには何を狙ってCMを制作するかをよく考えて、利用するプラットフォームまで考えた上で、企画、制作することが重要です。
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