インフォグラフィックス動画とは、映像のなかに図や表などのイラストを使い、複雑な情報やデータを分かりやすく表現する手法です。
企業であれば、たとえば難解なデータを多用するIR資料用の動画や、事業内容紹介で拠点数や従業員数などを視覚的に伝える際に役立ちます。
上記のような映像表現には高度な知識や技術が求められるため、制作会社に動画制作を依頼するケースも珍しくありません。
そこで今回は、インフォグラフィックス動画を制作会社に依頼した場合の流れやポイント、料金相場などを解説していきます。
インフォグラフィックス動画制作、作成のパターン
インフォグラフィックス動画の制作には、動画の活用シーンに合わせた複数のパターンが存在します。
パターンによって動画の内容もテンプレート化することができるため、パターンを理解しておくとインフォグラフィックス動画の企画をスムーズに行えます。
たとえば自社サービスや製品のメリットや魅力を訴求する「サービス製品紹介動画」では、最初にユーザーの悩みや疑問点を取り上げ、そこから自社製品の特徴、利用することによるメリット、利用した後の悩みが解決されたユーザーの姿の紹介へと構成を組むケースが少なくありません。
上記のように各種パターンに合わせた一定の枠組みが決まっていると、企画作成から制作会社への発注業務が効率化されます。
さらにテンプレートを利用することで費用の削減にもつながるため、コストを抑えたい場合に制作パターンの理解は必須と言えるでしょう。
ここでは、インフォグラフィックス動画の制作パターンについて詳しく解説します。
サービス製品紹介動画
サービス製品紹介動画とは、自社で提供するサービスや製品の魅力を訴求して売上拡大をはかる手法です。
たとえBtoB向けの複雑な製品であっても、情報の伝達に優れた効果を持つインフォグラフィックスを活用することでスムーズな訴求を行えます。
サービス製品紹介動画のメリットは、さまざまな場面で汎用的に活用できる点です。
たとえばYouTubeなどに公開した埋め込みコードを活用し、商品説明が必要なECサイトやオウンドメディアなどの各ページに貼り付けることができます。
ほかにもSNSと併用して効果的なプロモーションを展開したり、メールマーケティングの一環にインフォグラフィックス動画を挿し込むといった活用も可能です。
商品の購入や問い合わせ獲得、資料請求といった直接的なコンバージョンにつながるケースも珍しくありません。
そのため、インフォグラフィックス動画のなかでも特にサービス製品紹介動画を活用する場合が多いと言えます。
サービス製品紹介動画の事例
上記は、Times CAR RENTALが法人向けに提供するビジネスカードの紹介動画です。
ビジネスカードを作成すると駐車場予約やカーシェアといったサービスが1枚のカードのみで利用できるようになります。
この動画ではアニメーション動画を使うことで、上記のようなメリットをわずか2分30秒の尺に集約して伝えています。
インフォグラフィックスは、「ビジネスカードを利用できる店舗数」や「レンタル時の清算方法」といった説明を行うときに用いられています。
この動画を見ても分かる通り、インフォグラフィックスは主に数値やデータなどを解説するときに最適なことが分かるでしょう。
企業紹介動画
企業紹介動画とは、自社サービスや製品よりも会社の魅力を全面的にアピールする動画です。
訴求方法には事業内容や沿革の紹介から社長による企業メッセージの発信などがあり、会社そのもののブランディングや認知度アップに効果を発揮します。
特にBtoB向けの動画マーケティングを行う際は、この企業紹介動画の役割が大きくなります。
BtoB企業の顧客は、取引を開始するうえで相手先企業そのものの信頼性を重視するからです。
いくらサービス内容が優れていても会社の信頼性が低いと取引につながらないケースもあるため、企業紹介動画によってイメージを向上させることが重要となります。
また、BtoC企業であっても消費者に企業理念やCSRなどを伝えて信頼を獲得することは必要不可欠です。
よって企業紹介動画で会社に対する信頼を高め、サービス製品紹介動画で売上につなげるなど、それぞれの役割を理解したアプローチが求められます。
企業紹介動画の事例
上記は、建設業向けの人材紹介サービスを提供するワールドコーポレーションの企業紹介動画です。
この動画ではワールドコーポレーションの事業内容を解説するため、まず建設業の現在置かれている立場や市況などをインフォグラフィックスを活用して伝えています。
「建設投資の推移」をイラスト付きのグラフで表示させたり、「建物の寿命」といった統計データを動きを付けた図で表すなどです。
全体の尺は5分弱におさまっていますが、そのほとんどにインフォグラフィックスが活用されており、まさしくインフォグラフィックス動画のお手本のような事例と言えます。
採用動画
採用動画とは、新卒や中途採用者とのマッチング率向上や採用効率を高めるために制作する動画です。
新卒や中途採用者が自社に興味が湧くよう、会社や社員の魅力を映像で訴求する点に特徴があります。
たとえば採用動画のなかには、新入社員や先輩社員へのインタビュー動画があります。
組織風土や社内の風通し、上司との関係性などについて実際に働く社員がメッセージを送ることで、情報に具体性と説得力が生まれます。
ほかにもある社員の1日に密着して働き方を伝えたり、事業内容や沿革、業界での位置づけなどを映像化して会社説明会のような内容に仕上げるなど、アイデア次第でさまざまなアプローチができる点が特徴です。
採用動画の事例
上記は、車買取や中古車査定サービスを提供するビッグモーターの採用動画です。
この動画では主に事業内容やサービス提供に関する企業理念などを解説し、新卒採用者の獲得を目的としています。
インフォグラフィックスは会社の売上額や実績、展開店舗数などのデータ紹介に用いられており、動きのある印象的なアニメーションで訴求しています。
たとえば各地に点在する店舗数を取り上げる場合でも、単に「全国300店舗」と伝えるよりも日本地図のイラストなどがあるとより分かりやすいでしょう。
この動画ではそうした細かな配慮を映像にすることで、読者の理解度向上を促進しています。
プロモーション動画
プロモーション動画とは、主にサービスや製品の販売促進を目的として作られた動画です。
プロモーション動画の役割には認知度の向上や売上アップ、ブランディングなどがあり、特に無形商材を提供するケースで多く採用されています。
サービス製品紹介動画のような単なる紹介映像ではなく、比較的動画の尺が短く、テレビCMのようにユーザーのアクションを求めるCTA(行動喚起)を強烈に打ち出します。
よってサービス製品紹介動画によって提供物への理解度を高めた後、具体的なアクションを想起させる際に役立ちます。
たとえば入会特典キャンペーンの紹介やセール情報の発信などは、このプロモーション動画に該当します。なかには期間限定のプロモーション動画も多いため、拡散力の高いSNSとの相性は抜群です。
プロモーション動画の事例
上記は、ファーストフード店サブウェイが期間限定で開催した「えび2倍デー」を紹介するプロモーション動画です。サンドイッチの値段はそのままに、期間中はえびの分量のみが2倍になるという非常にお得なキャンペーンの訴求を15秒の動画におさめています。
「開催日は8月23・24日」「4日日間限定」など、キャンペーンの日程を紹介する際にはインフォグラフィックスが効果的です。
この動画でもポップなBGMと動きのあるイラストに合わせてインフォグラフィックスが活用されています。
その他のインフォグラフィックス動画
インフォグラフィックス動画を活用できるのは、何も企業だけとは限りません。
ほかにも動画マーケティングで地方創生を行おうとする地方自治体や地方団体、個人グループによるイベント情報の発信、動画クリエイターによるコンテンツ動画の発信など、その活用方法は多岐に渡ります。
インフォグラフィックス動画のメリットは、複雑な数値やデータをより端的な情報に落とし込んで説明ができることです。
よって活用する人物や団体を問わず、数値やデータを扱う場合にはインフォグラフィックス動画の存在感が高まります。
インフォグラフィックス動画の制作料金相場
次に、インフォグラフィックス動画を制作した場合の料金相場を解説します。
インフォグラフィックス動画の料金相場表
インフォグラフィックス動画の料金相場は依頼する制作会社によって異なりますが、尺の長さや表現手法、品質などによってある程度の範囲に限定することができます。
料金相場表は以下の通りです。
尺の長さ | 表現手法 | 品質 | 料金相場 |
1分未満 | インフォグラフィックス動画 | 低 | 10~35万円 |
高 | 15~60万円 | ||
実写動画 | 低 | 20~55万円 | |
高 | 30~70万円 | ||
3DCG動画 | 低 | 80~130万円 | |
高 | 100~180万円 | ||
1分~3分未満 | インフォグラフィックス動画 | 低 | 20~65万円 |
高 | 40~80万円 | ||
実写動画 | 低 | 40~80万円 | |
高 | 50~110万円 | ||
3DCG動画 | 低 | 100~180万円 | |
高 | 150~230万円 | ||
3分以上 | インフォグラフィックス動画 | 低 | 60万円~ |
高 | 80万円~ | ||
実写動画 | 低 | 90万円~ | |
高 | 130万円~ | ||
3DCG動画 | 低 | 180万円~ | |
高 | 230万円~ |
インフォグラフィックスは主にアニメーション映像の手法の一つですが、「実写映像の一部にインフォグラフィックスを活用する」「映像をすべてアニメーションで表現する」「部分的に3DCGを用いる」など、さまざまな制作方法があります。
撮影工程がいらないアニメーションを全体的にいかすことで費用は安くなりやすく、高度な技術が求められる3DCGを活用すると制作費が高額になりがちです。
そのため、あらかじめ予算をしっかりと検討したうえで動画の企画を考えていきましょう。
アドオンの追加による必要な制作費
アドオンとは、ナレーションやサウンドエフェクトといった追加工のことです。
もともと想定していた動画の内容に追加工を施すので追加料金が必要ですが、動画の質を底上げしたいときにアドオンが役立ちます。
主なアドオンの種類と費用相場は以下の通りです。
アドオン | 効果 | 費用相場 |
ナレーション費 | テロップなどで挿入する文章の説明をナレーターの言葉で伝えることができる。 | 5~10万円 |
サウンドエフェクト | 「SE」とも呼ばれ、動画に含まれる効果音を指す。 | 5万円前後 |
カラーグレーディング | 映像のトーンや質感を細かく調整する追加工。 | 10~30万円 |
インフォグラフィックス動画を制作する際の流れと企画
最後にインフォグラフィックス動画を制作する際の流れを理解しておきましょう。
実際に制作会社に依頼した場合の制作プロセスや手順を知っておくと、各工程の削減が費用カットにつながり、予算を大幅に抑えられる場合があります。
また、制作期間の短縮につながる企画書や提案書の作成方法を把握しておくことも重要です。
ここではインフォグラフィックス動画を制作する際の流れと企画について解説します。
インフォグラフィックス動画を制作する流れ
インフォグラフィックス動画を制作する基本的な流れは以下の通りです。
- 制作会社によるクライアントへのヒアリング
- 企画提案と見積書の提示
- シナリオ・絵コンテ作成
- 動画撮影・編集
- 音入れ
- 試写・クライアントの最終チェック
- 映像データの受け渡し・納品
上記のように制作会社はクライアントの要望をヒアリングによってまとめ、制作前に企画提案から見積書の作成までを行います。
ただし、ここで提案される企画はあくまで制作会社側がクライアントの要望をイメージ化したものにしかすぎません。
そのためクライアントの意向を100%反映させることは困難です。
そこで有効になるのが、自社から制作会社側へ企画書を提出することです。
たとえヒアリングで要望を伝えるにしろ、言葉だけで完成形のイメージを伝達することは難しいため、テーマや構成、活用方法、予算などをまとめた企画書があるとよりイメージに近い要望を伝えることができます。
インフォグラフィックス動画制作に必要な企画書・提案書
以下の表に、「国内トップクラスのユーザー数を誇るゲームメディアがインフォグラフィックス動画を活用した場合」を想定して企画書をまとめてみました。
企画書や提案書を作成する際には、以下のような内容を参考にしてみてください。
企業イメージ | ・国内トップクラスのユーザー数を誇るゲームメディア ・オウンドメディアにて1日10記事ずつの新作ゲーム紹介やレビュー、イベントレポートなどの情報発信を行っている ・月間PV数は3,200万で運営会社は東証一部に上場している |
動画制作の概要 | コーポレートサイトに掲載する事業内容紹介動画の制作 |
目的 | 投資家向けの事業・サービス紹介動画発信を行い、自社に対する投資を促進させる |
ターゲット | ・資産拡大をはかる個人投資家 ・自分自身もゲームに興味があり、価値観に賛同する企業に投資したいと考えている |
利用シーン | ・コーポレートサイトへの埋め込み ・IR資料として活用し決算期ごとに内容を修正 ・公式Twitterアカウントの固定投稿に活用 |
予算 | 120万円(動画に付属するナレーション等含む) |
参考動画 | https://○○○ |
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