近年では個人だけではなく企業がマーケティングに動画を活用するケースも増えましたが、実はその手法は飲食店にも応用可能です。
「ホームページを開設する予算がない」という小規模な飲食店でも、動画であれば低予算で効果的な集客につながる可能性があります。立体的な映像を活用できる動画は、店内の雰囲気や料理へのこだわりなどのメッセージを発信するのに最適な手段だからです。
実は、企業に比べ飲食店でのプロモーション動画の活用は、まだ広く認知されているわけではありません。早いタイミングで始めるほど競合他店との差別化につながるため、まさしくいまが絶好の機会と言えるでしょう。今回ご紹介動画制作のポイントや事例をもとに、ぜひ自店独自のプロモーション動画を作ってみてください。
飲食店のプロモーションPR動画とは
飲食店のプロモーションPR動画とは、レストランやカフェ、居酒屋などの集客やブランディングに活用できる動画です。動画で施設紹介やメニュー紹介を行うことで消費者に自店のメリットを訴求できます。
飲食店の魅力や強みを訴求するだけであれば、公式ホームページや口コミサイト、チラシでも十分です。しかし文章や画像では飲食店の魅力をすべて伝えられるわけではありません。
その点、動画であればできたての料理の美味しさや店の雰囲気など、文章や画像では伝えづらい情報まで表現できます。立体的な映像によって思わず食べてみたいという意欲を引き出すことができれば、集客や印象アップにつながるでしょう。
プロモーションPR動画は活用の幅が広い
飲食店のプロモーションPR動画は、実にさまざまな場面で活用できます。主な活用シーンは以下の通りです。
- 公式サイトのトップページやメニュー紹介ページ
- 飲食店検索サイトや口コミサイト
- TwitterやFacebook、InstagramなどのSNS
- YouTubeやTikTokなどの動画配信サイト
- YouTubeやSNSに配信する動画広告
- 広告リンク先のLP(ランディングページ)
活用シーンの幅が広いということは、それだけ多くの人の目に触れる機会が豊富だということです。
厚生労働省によると2009年の飲食店営業施設の数は約144万店あり、そのなかで自店に対する消費者の興味や関心を集めるのは決して簡単なことではありません。よってなるべくプロモーション施策の露出を高め、視聴者の目を時点に引き寄せる必要があります。
参考:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000022xf0-att/2r98520000022y27.pdf)
その点、さまざまな場面で情報発信ができるプロモーション動画は、売上増や集客増をはかる飲食店にとって力強いツールと言えるでしょう。
飲食店プロモーションPR動画の事例
数ある飲食店のなかで自店の独自性を打ち出すため、近年ではプロモーションPR動画を活用する店舗が増えてきました。動画の訴求方法は各社各様となっているため、さまざまな事例から企画や構成のポイントを学ぶことができます。
ここでは、店内紹介やメニュー紹介、レシピ紹介の3つのタイプから動画事例をご紹介します。
店内紹介
店内紹介では、主に店の雰囲気やスタッフの応対などの情報を伝えます。また、飲食店によって調理の様子やお客様の笑顔などを紹介することもあり、アイデア次第で自由に店の魅力を訴求できます。
事例(1)エルブランシュ
麻布十番にあるフレンチレストラン「エルブランシュ」では、YouTube公式チャンネルにてさまざまなプロモーション動画を発信しています。上記は極上素材を使った調理風景を紹介する動画で、普段はなかなか目にすることができない高級フレンチ調理の裏側を除くことができます。
また、高級素材をアピールすることで、「食材にこだわる店」や「高級フレンチレストラン」といったイメージを消費者に植え付けることも可能です。動画の長さは1分程度と短いものの、自店の魅力をうまくブランディングに活用しています。
事例(2)BoudinBakery
サンフランシスコにある有名なベーカリーショップBoudinBakeryのプロモーション動画です。
この動画では店内の紹介だけではなく、パンの作り手や店舗オーナーまで映像に登場し、それぞれの仕事に対する思いや情熱、お客様へのメッセージなどを発信しています。背景に軽やかなBGMを流すことで親近感のある店舗を訴求しており、ブランディングにつなげている点も特徴です。
事例(3)京都瓢斗
京懐石料理を提供する京都瓢斗(ひょうと)では、コロナウイルス感染リスクを最小限に抑える「NO密レストランプロジェクト」を全店舗で展開しています。上記の動画は、同プロジェクトを実施している京橋店の紹介動画です。
コロナウイルスが猛威を振るう昨今、飲食店には消費者が安心して利用できる取り組みが求められています。こうした内容は公式ホームページでも紹介できますが、動画を活用することでリアルな対策方法を知ることができます。
メニュー紹介
メニュー紹介では、主に提供する料理に重点を置いて訴求を行います。文章や画像とは違い、動画では立体的な映像を駆使して料理の美味しさをアピールできるため、メニュー紹介と動画は非常に好相性と言えるでしょう。
事例(1)タリーズコーヒー
タリーズコーヒー20周年を記念して発売された「ICED CAPPUCCINO」のプロモーション動画です。
この商品は、深い香りとコクがあり、同社が最高品質とうたうコーヒーとなっています。動画では1分間の尺を使って製作から完成までの映像を流し、コーヒーそのものが持つ洗練されたイメージを伝えています。
映像の途中にはテキストやナレーションなど不要なものはいっさいありません。見せ方を工夫することで、動画を視聴するだけで高級感のある印象が伝わってきます。
事例(2)マクドナルド
マクドナルドの「てりやきマックバーガー」を紹介するプロモーション動画です。
マクドナルドのYouTube公式チャンネルでは、上記以外にもさまざまなメニュー紹介動画を公開しています。特徴としては1つの動画で複数のメニューを紹介するのではなく、「1動画1メニュー」を原則として、一つひとつのメニューを詳しく訴求していることです。
飲食店で扱う膨大なメニューを1つの動画に埋め込んでしまうと、「その店にとってのウリは何なのか」という点がぼやけてしまいます。その点マクドナルドでは上記のような訴求方法により、各動画のターゲットに合わせた最適なメニュー提案を行えます。
事例(3)ドミノ・ピザ
ドミノ・ピザでは、店内のスタッフが自店の新商品を動画で紹介しています。上記も同様で、新商品である「夏のよくばりクワトロ」をドミノ・ピザクルーが解説。
もちろんプロのタレントではないので芸能人が持つような独特な世界観ありません。しかし、かえって素人感のある演出が馴染みやすさや安心感を生み、商品やスタッフ、ひいてはブランドにまで好感を持てます。
また動画制作では自店のスタッフを起用することでキャスティング工程を省くことができ、制作費の抑制につながる点もポイントです。
事例(4)くら寿司
くら寿司では、YouTube公式チャンネルとして社員のイナバ氏が同店の裏側やおすすめメニューなどを紹介する「178イナバニュース」を公開しています。上記の動画は、イナバ氏が特におすすめする「桜鯛と大トロ」を紹介したものです。
この動画もそうですが、公開されている動画のほとんどがクリエイターが投稿するような雰囲気を帯びており、視聴者は気軽にくら寿司のお得な情報を知ることができます。ユーザーとの距離が近くなる取り組みとして、非常に参考になる動画と言えるでしょう。
レシピ紹介・解説
飲食店によっては、自店のメニューやまかないなどをレシピ動画として公開している場合もあります。視聴者はマネをするだけで本格的な調理を行えるため、レシピは自店独自のコンテンツになり得る点が特徴です。
事例(1)スターバックス
スターバックスのコーヒースペシャリストが解説する、ハンドドリップでのコーヒーのいれ方を紹介したプロモーション動画です。
実際にドリップコーヒーが完成するまでの時間はわずか3分半。視聴者は隙間時間を利用して気軽に美味しいコーヒーのいれ方を知ることができるため、価値の高いコンテンツと言えます。
また、動画ではスターバックスが販売するコーヒー豆やコーヒー器具などが紹介されており、しっかりとプロモーションにつなげている点が特徴です。こうした動画はSNSでも話題になりやすく、自店の魅力や強みを広く拡散できます。
事例(2)モスバーガー
クリスマスに人気のメニュー「モスチキントナカイ」のレシピ紹介動画です。
動画の長さはわずか40秒で、実質30秒程度で目的の料理が完成します。特にクリスマスパーティでは、簡単に作れるうえに盛り上がること間違いなしなので、視聴者にとっては非常にメリットのある動画と言えるでしょう。
料理中にはモスバーガーのメニュー「モスチキン」を使用するため、売上にもしっかり貢献する点がポイントです。コンテンツマーケティングと動画プロモーションをうまく組み合わせた秀逸な事例なので、多くの飲食店にとって参考になるはずです。
事例(3)餃子の王将
餃子の王将では、フライパンで焼く美味しい餃子の作り方を動画で解説しています。フライパンさえあれば家庭でも調理が可能で、本格派料理のレシピ紹介よりもハードルが低い点が特徴です。また、映像のなかでは餃子の王将で販売している「お持ち帰り生餃子」を紹介しており、自店の売上にも貢献しています。
同店のYouTube公式チャンネルには、上記のほかにもさまざまなレシピを紹介した動画が公開されています。なかには餃子のアレンジレシピのような本格料理の紹介もあり、いまでは一大グルメメディアとして成長を遂げました。
事例(4)オテル・ドゥ・ミクニ
迎賓館近くの閑静な住宅街にたたずむ一軒家フレンチレストラン、オテル・ドゥ・ミクニのレシピ紹介動画です。オテル・ドゥ・ミクニではYouTube公式チャンネルを開設し、上記動画のようにオーナーシェフ直伝の本格フレンチレシピを紹介しています。
フレンチとは言え家庭料理を中心としたレシピが多いので、自宅でも簡単にマネをすることができます。また、オーナーシェフである三國氏の優しそうな人柄も伝わってくるため、小規模のレストランにとって非常に効果的なブランディングと言えます。
事業こそ小規模ですが、チャンネル登録者は2021年7月時点で16万人を超えており、店舗独自のコンテンツを用意する重要性が分かるでしょう。
飲食店プロモーションPR動画の制作ポイント
飲食店のプロモーションPR動画を制作する際、もっとも重要なポイントとなるのが企画です。
仮に企画書を作成せずに動画制作を進めてしまうと、目標やターゲットなどが分かりにくい不明瞭な作品に仕上がってしまいます。すると結局「誰に何をどのように伝えたいのか」という点があいまいで、期待した成果を得られません。
そこでまずは、動画の内容や目標、ターゲットなどをまとめた企画書を作っていきましょう。以下に企画作成のポイントをまとめました。
料理や価格帯の分かる映像を意識する
消費者はWebサイトを見るにしろ動画を視聴するにしろ、まず「その飲食店にどのような料理があり価格はいくらか」という点を確認します。よっていくら魅力のある店舗を紹介しようとも、料理の内容や価格帯が分かりづらい動画は視聴者に刺さりづらいと言えるでしょう。
たとえば価格帯を紹介する場合でも、単にメニューを見せるだけが表現手法ではありません。ほかにもテキストやナレーションを組み合わせたり、近くの競合店との違いを取り上げるなど、さまざまな方法で訴求ができます。
店の雰囲気が分かるように客層を見せる
飲食店を利用する際、その店の雰囲気が自分に合うかどうかを気にする人も少なくありません。店の雰囲気は店内の様子を動画におさめるだけではなく、客層を紹介することで視聴者のイメージが膨らみやすくなります。
たとえば高級レストランのなかでも利用客の多くがフォーマルな服装をしていれば、なかには堅苦しい雰囲気を敬遠する場合もあるでしょう。こうした客層を映像によって伝えておくと、自店が求めるターゲットに刺さりやすくなります。
店長やスタッフの映像を用いる
特に飲食店の場合、店長やスタッフを映像に登場させることは非常に重要です。店舗を利用する人にとっては普段、ホールスタッフ以外の従業員を目にする機会はあまりありません。
よって、たとえば調理スタッフが日頃どのような思いで料理をしているのか、店長はお客様に対してどのような思いを持っているのかなどを映像で表現すると、利用者の信頼や安心につながります。
自店のこだわりを見せる
ほとんどの飲食店は、調理場の様子は壁や仕切りによって隠されており、完成した料理を提供するのみにとどまります。そのため、利用者が店のこだわりや強みを知る機会は少ないものです。
そこで動画によって自店のこだわりを発信するようにしましょう。たとえば高級素材を見極めて仕入れているといった食材へのこだわりや、他店とは異なる独特の製法を開発しているなどです。上記のようなこだわりはいずれも自店の独自性となり、消費者を引き寄せる大きな武器となります。
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