採用動画を活用すれば、自社に適した人材を効率的に獲得できたり、より優秀な社員獲得につながります。
採用活動の効率が高まることから、採用動画を活用する企業が増えています。
ただ、採用動画を制作会社に依頼する場合、発注者自身にもある程度の知識が必要です。
そこで今回は、採用動画制作を依頼するときのポイントや作成に必要な準備方法を解説します。
制作依頼の知識が深くなるほど、意図した通りの動画に仕上がる可能性が高まります。
採用動画制作(リクルートムービー作成)のメリット・ポイント
採用動画とは、求職者向けに自社の魅力を映像で発信し、採用活動の効率化やエントリー率の向上を目指す手法です。
社員インタビューや働き方紹介など、採用動画を使えば、求人票だけでは伝えきれない情報を発信できます。
ここではまず、採用動画を制作するメリットやポイントを解説します。
メリット(1)採用にかかわるコストを削減できる
採用動画を活用する最大のメリットは、採用活動のコストを削減できる点です。
従来、採用活動と言えば、Web広告やTVコマーシャルを発信したり、求人サイトに自社の情報を掲載する方法が一般的でした。
上記のようなプラットフォームを利用すると、広告費や掲載費といった膨大なコストが発生します。
一方、採用動画を制作しておくと、コンテンツを自社サイトに掲載して広告費を削減できます。
また、YouTubeで採用動画を発信することも可能です。
いずれの方法をとるにしても、制作費以外のコストがほとんど発生しません。
メリット(2)求職者の情報収集ストレスを緩和できる
就活や転職活動では、志望先を見つけるために数多くの情報を調べる必要があります。
求職者は企業の情報を一つひとつ入念に調査するため、会社紹介文が長いほどストレスを感じてしまうでしょう。
その反面、動画であれば短い時間で大量の情報を伝えられます。
米国のリサーチ会社Forrester Researchの調査では、1分間の動画に含められる情報量は約180万語であることが分かっています。
テキストの場合、1つのWebページに5,000文字以上が含まれていると読者は読み疲れを感じると言われています。
一方の動画だと、わずか1分で5,000文字のWebページ360個分の情報量を伝えられる点がメリットです。(参考:18 Marketing Statistics And What It Means For Video Marketing)
短時間で大量の情報を取得できるということは、求職者にとって就活や転職活動を効率化できることを意味します。
求職活動が効率的になれば、情報収集にかかわるストレスも緩和できます。
メリット(3)ブランディングにつながる
採用動画を発信すると、企業そのもののイメージアップにもつながります。つまり、ブランディングに最適だと言えるでしょう。
採用動画をうまくブランディングにつなげている事例としては、以下の映像が参考になります。
上記の動画を視聴すると、企業自体の洗練されたイメージやかっこいい雰囲気が伝わってくるでしょう。
社員が伝えるメッセージや細かいBGM・SEの演出に工夫を凝らしているからこそ、映像を見たときに企業が期待したイメージが表出するのです。
好印象な企業イメージが定着すると、採用活動以外に自社の業績にも好影響を与えます。
たとえ採用にいたらない人がいたとしても、その求職者の中で企業に対するイメージが定着するため、採用活動後の売上や販売数の増加に寄与する可能性が高まります。
ブランディング要素の強い採用動画を制作するなら、事前に自社が望む企業イメージを考えておきましょう。
想定したイメージに合わせて最適な演出を加えることがポイントです。
求職者の印象に残りやすくなる
採用活動を行ううえで重要なポイントは、求職者の印象に残りやすいコンテンツを制作することです。
求職者には膨大な選択肢がある中、是が非でもその企業に入社したいと思わせるような情報を発信しないと、採用効率は高まりません。
単に採用情報や過去の実績を公開するだけでは、求職者の印象には残りにくいでしょう。
そこで採用動画の活用という選択肢が生まれます。
単なる文章とは異なり、映像には人の興味をひく、視聴者の感情に訴えかけるという効果があるからです。
より印象に残りやすい採用動画を制作するには、求人票には掲載できないような情報発信を心がけましょう。
たとえば社員の直接的なメッセージや生き生きとした表情、具体的な働き方などは、映像に起こすことでよりリアルに表現できます。
また、アニメーション映像を組み込むのも方法の一つです。
アニメーション映像の中でも、イラストやテキストに動きを加えるモーショングラフィックスを活用すれば、より低コストで視聴者の印象に残りやすい動画を制作できます。
採用動画制作依頼の費用・料金相場表
ここでは、動画制作会社に動画作成を依頼した場合の費用をご紹介します。
動画の制作費用は、映像の長さや種類、品質によって相場が大きく異なります。以下に料金相場表をまとめてみました。
プロモーション・PR動画制作料金相場表 | |||
動画の長さ | 動画の種類 | 動画の品質 | 料金相場 |
1分未満 | アニメーション | 低 | 10~25万円 |
高 | 25~60万円 | ||
実写動画 | 低 | 20~60万円 | |
高 | 50~100万円 | ||
3DCG | 低 | 80~100万円 | |
高 | 100~200万円 | ||
1分~3分未満 | アニメーション | 低 | 25~55万円 |
高 | 65~150万円 | ||
実写動画 | 低 | 50~90万円 | |
高 | 80~200万円 | ||
3DCG | 低 | 150~250万円 | |
高 | 250~350万円 | ||
3分以上 | アニメーション | 低 | 40万円~ |
高 | 85万円~ | ||
実写動画 | 低 | 95万円~ | |
高 | 200万円~ | ||
3DCG | 低 | 200万円~ | |
高 | 350万円~ |
上表の通り、安い場合には10万円程度の制作費用で済みますが、高度な加工を施すと100万円を超えるケースも珍しくありません。
そこで事前に動画の内容を企画し、ある程度の予算を設定しておくとよいでしょう。
動画制作のお見積もりはこちらでシミュレーションできますので、ご利用ください。
一般的な採用動画制作の流れ
一般的な採用動画制作の流れは以下の通りです。
手順 | 作業の内容 | 期間 |
1.ヒアリング | 動画を制作する目的やターゲット、予算、納期などの要望を聞き、動画の方向性を定める。 | 約1週間 |
2.見積書作成・企画提案 | ヒアリングした内容に沿って企画書と見積書を作成。 | 約1週間 |
3.プランニング | 絵コンテの作成やキャスティング、ロケハン、香盤表(スケジュール)などを作成。 | 約2~3週間 |
4.動画撮影 | クライアントが撮影現場に立ち会ったもとで撮影を進める。 | 半日~数日 |
5.映像編集 | 撮影した映像に写真やロゴ、イラストなどの素材を使って編集を行う。 | 約2~8週間 |
6.MA | 編集した映像にナレーションやBGM、SEなどを挿入して動画を完成させる。 | 約1日 |
7.試写 | 動画の完成形をクライアントに提出して最終チェックをもらう作業。 | 約1~2週間 (再編集) |
8.動画完成 | 完成した動画をクライアントに提出して動画制作はすべて完了。 | 完成まで約7~12週間 |
上記は、動画制作の基本的な流れです。ただ、動画を自社サイトの採用ページなどに活用するのか、それとも動画広告として利用するのかなど、活用シーンによって制作方法が異なってきます。
新卒、中途、アルバイト採用動画の制作
新卒や中途、アルバイト向けの採用動画を制作する場合は、上記でお伝えした基本的な動画制作の流れとほとんど変わりありません。
そのため、完成までに1.5~3ヶ月ほどの制作期間を見込んでおきましょう。
また、動画の種類が異なると制作方法にも違いが現れます。
たとえば実写映像の場合、プランニングの際にキャスティングやロケハンの作業が必要ですが、アニメーションだと不要です。
その代わり、アニメーションは映像編集時に、素材やイラスト、アニメ映像を作る必要があります。
動画広告の制作
動画広告を制作する場合は、上記でお伝えした基本的な動画制作の流れに加え、配信先によって制作方法が異なります。
YouTubeやSNSなど、配信先によって広告のプラットフォームに差があるからです。
そのため動画広告の制作では、プランニングを行うときに配信先の調査を実施します。
配信プラットフォームに最適なターゲットや動画形式などを調べたうえで、最適な制作プランを組み上げていくということです。
そのため、広告以外の採用動画を制作する場合に比べ複数制作する場合等もでてくるため、制作期間や制作費が割増しになるケースもあります。
採用動画を広告として活用する場合は、ヒアリング段階でしっかりと予算や希望納期を伝えておきましょう。
採用動画(リクルートムービー)制作を依頼するときの注意点
制作会社に採用動画の作成を依頼する場合は、発注する前に以下のような心構えが必要です。
- 自社で可能な限りの企画を考えておく
- 見積もり時に追加費用の確認を忘れないように
- 制作費の安さばかりにこだわらない
- 著作権や使用権の取り扱いを明確にしておく
上記4つのポイントを意識しておくと、よりスムーズに動画制作を依頼できます。
以下で各ポイントについて解説します。
自社で可能な限りの企画を考えておく
基本的に動画の企画は、クライアントからヒアリングした内容をもとに制作会社が考案します。
しかし、制作会社に依頼する前に、自社である程度の骨組みを考えておくことが大切です。
最終的な動画の内容は、クライアント自身がもっとも理解しているはずです。
そのため、ヒアリングのみでは意図が正確に伝わらず、想定した内容と違う動画が仕上がってしまう恐れがあります。
一方、あらかじめ企画書などを用意しておくと、制作会社は一目で動画制作の意図を理解できます。
その結果、制作会社とクライアントの認識の齟齬が減少し、期待した通りの作品に仕上がる可能性が高まります。
さらにヒアリングや企画の工程削減につながるため、制作費用を抑えられる点もメリットです。
見積もり時に追加費用の確認を忘れないように
動画の制作では、特殊な機材の使用や編集時のオプションなどにより、追加費用が発生する可能性があります。
また、実写映像の場合は、動画の解像度や撮影時の天候によって費用が上乗せされるケースも発生します。
上記のように、追加費用が発生しやすい点が動画制作の特徴です。
見積もり内容と実際の請求額が異なる可能性もあるため、制作をスタートする前に追加費用の有無を確認しておきましょう。
制作費の安さばかりにこだわらない
動画制作を依頼する場合は、制作費の安さばかりではなく、動画の品質や過去の実績などの情報も参考にしましょう。
いくらコストが安くても、成果に結び付かない動画では意味がないからです。
動画を制作する際は、動画を作成することが目的化してしまうケースも珍しくありません。
動画制作が目的化してしまうと、予算の枠内で作成することにこだわってしまい、肝心の「動画を使ってどのようなことを成し遂げたいのか」という点がおろそかになってしまいます。
そこでまずは動画を制作する目的を決めましょう。
目的を決めたうえで、動画制作会社の実績を参考にすると、成果に結び付く作品に仕上がりやすくなります。
著作権や使用権の取り扱いを明確にしておく
動画の著作権や使用権の取り扱いについても注意が必要です。
制作会社によっては、動画の使用用途や出演しているタレントの契約期間が定められているケースもあり、気付かない間に著作権や使用権に抵触する恐れがあります。
ヒアリングの段階で以下の点を明確にしておきましょう。
- 動画の使用期限(買い取り型は不要)
- 利用可能な配信プラットフォーム
- 出演者の契約期間に関する管理権限
- 二次利用する場合の追加料金
上記の点を意識するだけでも、発注時のトラブルを削減できます。
採用動画事例
最後に、採用動画の事例をご紹介します。
複数の事例を知っておくとベンチマークとして活用できます。
一目で企画のイメージが湧くため、制作会社に依頼するときに便利です。
事例(1)デルタ工業
「デルタ工業」は、自動車内装品や自動車シートを開発するメーカーです。
広島広域公園陸上競技場で使用されるベンチシートなども開発しており、本社のある広島で積極的なローカルマーケティングを展開しています。
上記の動画は、開発部と製造部の社員同士でラップバトルを行うという、非常にユニークな内容が特徴です。各部署の社員の正直な意見が伝わってきます。
デルタ工業のように動画をコンテンツ化させることで、注目度が向上し、採用効率が高まります。
また、「社員同士で何でも言い合える社内風土」という印象が残り、ブランディングとしても効果を発揮している点が特徴です。
事例(2)EXIDEA
「EXIDEA」は、WebマーケティングやSEOに関連するさまざまなツールを生み出す企業です。
フォーチュンTOP企業も導入するAI型のWeb広告ツール「kenshoo」や、WebサイトのSEO検証に役立つ「Emma Tools」などのツールを提供しています。
上記は、EXIDEAで働く社員が普段どのような思いで仕事をしているのか、具体的な内容をインタビューした動画です。仕事に対する各社員の熱意が映像から伝わってきます。
採用ページなどに掲載しておくと、各社員の価値観に共感する求職者を集められるでしょう。
また、社員一人ひとりの思いを映像として残すことで、各社員が「自分たちが大事にしていることって何だっただろう」と思い返すきっかけにもなります。
単に採用効率を高めるだけではなく、組織の一体感をも生み出す良質な動画です。
弊社では採用動画の企画、制作、運用まで提供をしております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。