より強い印象を与える動画でブランディングやプロモーションを行いたい場合は、「モーショングラフィックス動画」が役立ちます。
ロゴやテキスト、イラストなどに動きを加えられるため、視聴者を飽きさせず、印象に残るプロモーション動画を作成できます。
今回は、モーショングラフィックス動画をビジネスシーンで活用するメリットと、複数の動画事例をご紹介します。
商品紹介用動画や求人募集、プレゼン用など幅広く活用できるため、さまざまな事例を基にモーショングラフィックスを効果的に活用していきましょう。
モーショングラフィックス動画とは
モーショングラフィックス動画とは、ロゴやテキスト、イラストなどに動きや音を加えた映像です。
本来動きのないロゴやテキストに動きや音を加えることで、静止画では伝わりにくい情報をユーザーに伝えることができます。
たとえば、躍動感のあるロゴを作成しようとしても、静止画では元気でイキイキとしたロゴを作るには限界があります。
一方、モーショングラフィックス動画では、ロゴそのものを跳ねさせたり、躍動感漂う音を加えることができるため、よりイメージ通りの表現が可能です。
動画を視聴した人の記憶にも残りやすく、最近ではモーショングラフィックス動画をYouTubeやSNSなどの広告に活用する企業が増えています。
企業で活用する動画広告とモーショングラフィックスは非常に相性が良いからです。
モーショングラフィックス動画は企業での活用に向いている
モーショングラフィックス動画が企業での活用に向いている理由は、次の3点が挙げられます。
- 複雑な説明を視覚的に表現できる
- 実写の生々しさを緩和できる
- ユーザーの印象に残りやすい
- キャスティング用の予算が要らない
モーショングラフィックス動画は、視覚的に要点を説明でき、視聴した人の印象に残りやすい点が特徴です。
静止画を淡々と流す動画に比べてイメージアップに効果的なので、ブランディングやプロモーションとして活用できます。
複雑な説明を視覚的に表現できる
モーショングラフィックス動画では、文章による複雑な説明を省き、代わりに動きや音を付けたロゴやイラスト、テキストなどで映像を表現できます。商品を説明する長い説明文も要らず、より短時間で視覚的に情報を与えられます。
たとえば、会社案内動画の冒頭で、「わが社は世界10か所の拠点から車の製造や販売を行っています」という文章を掲載したとします。
動きのない文章だと硬い印象を受け、さらに読み進めるうちに目が疲れてしまうため、内容に飽きた視聴者はブラウザを閉じてしまうかもしれません。
一方、画面の奥から車が走ってくるような動き付きのイラストが現れたとします。
そして、動きのある世界地図のイラストと共に、「世界各地の販売ネットワークを活用」というキャッチコピーが表示されれば、一目で「車を販売するグローバル企業」だということが分かるはずです。
上記の通り、モーショングラフィックス動画は伝えたいことを瞬時に表現できます。
動画を快適に視聴できるばかりか、「次はどのような映像が現れるのか」という期待感にもつながるため、内容が硬くなりがちな企業用の動画に最適です。
実写の生々しさを緩和できる
企業の商品紹介映像やインタビュー動画などは実写で制作されることが多いですが、視聴者の中には実写特有の生々しい表現が苦手な人も存在します。
たとえば、溶接工が火花飛び散る作業現場で働いている映像や、スタッドレスタイヤの宣伝のため、歩行者のギリギリで車が急ブレーキかけるような動画です。
モーショングラフィックス動画の場合、上記のような表現はすべて動くイラストで表現できます。
仮に動画内に実写を含めるときでも、躍動感のあるテキストなどを付け加えることで随分と生々しさを抑えられ、フォーマルだったり親近感のある動画にすることができます。
ユーザーの印象に残りやすい
モーショングラフィックス動画は、一度見ただけで印象に残りやすい点がメリットです。
PowerPointのスライドショーのように静止画を順々に並べただけの動画は、映像に動きがないので印象に残りにくい性質があります。
商品紹介動画を見た視聴者が「後で販売サイトを覗いてみよう」と思ったとしても、ほとんど印象に残っていなければそのことを忘れてしまうかもしれません。
それに対してモーショングラフィックス動画は、イラストやロゴ、テキストであっても、すべての要素に動きを付けられます。
たとえ単調な内容でも動きのあるものは印象に残りやすい点が特徴です。
そのため、動きのある動画の中で自社商品を紹介しておくと、「家電製品といえば○○社」というように消費者の印象付けができます。
キャスティング用の予算が要らない
動画にかかる予算を抑えられる点も、モーショングラフィックス動画が企業に向く理由の一つです。
実写の動画を制作しようとすると、頭を悩ませるのがキャスティングです。
動画中に登場する役者のほか、ときには社内で働くスタッフや商品を購入したインタビュイーを探す手間と費用がかかります。
一方、モーショングラフィックス動画は、動画の内容をすべてイラストやロゴ、テキストなどで表現できます。
実際に人や物が動くようにイラストをモーション化できるため、キャスティングに要する手間や費用をかける必要がありません。
モーショングラフィックス、アニメーション動画の製作費はそのクオリティーや長さで大きく変わってきますので、以下のシミュレーターで費用感を把握しておきましょう。
参考にしたいモーショングラフィックス動画事例13選
最後に、モーショングラフィックス動画を活用した事例をご紹介します。
事例(1)Apple
iPhoneでお馴染みの「Apple(アップル)」が、2013年に発売したプレゼンテーションソフト「Keynote」を紹介するモーショングラフィックス動画です。
モーショングラフィックスが注目を集める以前に制作され、当時としては画期的なプロモーションビデオとして脚光を浴びました。
大小さまざまなドットとシンプルなテキストの動きに合わせて効果音が挿入されており、シンプルで高級感のあるAppleのイメージと重なります。
動画の長さはわずか1分51秒。
伝えたいことを端的に表現するAppleらしさが現れたモーショングラフィックス動画です。
事例(2)大塚製薬
大塚製薬が販売する栄養食「カロリーメイト」を紹介するモーショングラフィックス動画です。
実写はいっさい使われず、カロリーメイトの商品自体もイラストが用いられています。
動画の長さは約3分。
わずかな時間でカロリーメイトに関する情報のほとんどを吸収できます。
商品の魅力を伝える映像がテンポ良く進んでいくため、淡々と流れる文章を読むよりも素早く内容を理解でき、なおかつ頭の中にイメージが残りやすいことが特徴です。
事例(3)東京メトロ
東京メトロのポイント「メトポ(メトロポイント)」のサービス訴求を行うモーショングラフィックス動画です。「いつのまにかメトポが貯まっていませんか」という訴求ポイントから、メトポの利用を促そうとしています。
15秒の短い動画ですが、イラストやテキストに動きを付けることで印象に残りやすい点が特徴です。
動画の最後には「メトポ」の公式サイトへの促進もあり、「そういえば最近メトポ使ってない」というユーザーのアクセス獲得につながります。
事例(4)LUCKY TAPES
男性3人組のバンドグループ「LUCKY TAPES(ラッキーテープス)」がリリースした、「Gun」という曲のミュージックビデオです。
優しい歌声とリズムに乗せて流れる英語の歌詞が心地よく耳に響きます。
基本は実写映像ですが、随所にモーショングラフィックスが用いられています。
たとえば、ミュージックビデオの冒頭に「Gun」というロゴが動き付きで現れたり、歌声のリズムに合わせて歌詞テキストが軽やかに動くといった表現です。
2015年にリリースした楽曲ですが、モーショングラフィックスでレトロな表現を行っており、どこか懐かしさを感じさせます。
事例(5)銀のさら
銀のさらが実施する「ハッピーバースシー」のキャンペーン告知動画です。加藤登紀子さんの「銀のさらオリジナルバースデーソング」に乗せ、ポップなモーショングラフィックス映像が流れます。
歌詞に合わせて動くイラストやロゴが特徴で、たとえば「あおく、しろく輝く地球が」という歌詞に対して、地球のようなイラストや衛星を模した寿司の画像などが表示され軽快に動きます。
さらに歌に合わせて実写のダンス映像も登場するなど、モーショングラフィックスと実写映像をうまく組み合わせた事例と言えるでしょう。
事例(6)TED
「TED」とは、毎年世界的に大規模なプレゼン大会が行われる「TED Conference(カンファレンス)」を開催する非営利団体です。
普段は講演者が壇上に立ってプレゼンを行いますが、上記の「What is net-zero?」の動画はすべてモーショングラフィックスを活用してプレゼンが行われています。
世界的な権威者が集まるプレゼン大会だけあり、難解で理解しにくいプレゼンも少なくありません。
しかし、モーショングラフィックスを活用することで難しい文章でも視覚的に理解ができ、内容を容易につかむことができます。
事例(7)ハイスイノナサ
日本のオルタナティブ・ロックバンド「ハイスイノナサ」がリリースした、「地下鉄の動態」という曲のミュージックビデオです。
実写映像はまったくなく、すべてモーショングラフィックスで映像が表現されています。
色は白と黒のみ、イラストには丸や三角、伸ばし棒といったシンプルな図形を用いているのみ。
それにもかかわらずミュージシャンの独創性や世界観がうまく表現されており、楽曲のテンポにも合います。
Appleのプロモーション映像に通じるところがあり、企業のブランディングやイメージ映像などにこうしたシンプルなモーショングラフィックスを利用するのもおすすめです。
事例(8)GRATUS(グラタス)
Webマーケティングのコンサルティング会社「GRATUS(グラタス)」のサービス紹介動画です。
冒頭で他社コンサルタントとGRATUSの違いを解説し、「同社ではどのようなことWeb戦略を提案できるのか」を具体的に紹介しています。
2分程度の短い動画ですが、映像表現はすべてモーショングラフィックスを活用。
実写部分は一切なく、動画のほとんどがアニメーション映像になっているため、初めて同社を知る人でも馴染みやすい印象を受けます。
事例(9)日本マイクロソフト
「日本マイクロソフト」のモーショングラフィックスを活用したプロモーション動画です。
物流現場の作業員や販売員、配達員などリモートワークが難しい職種や職場で、どのようにリモートソフトが導入できるのかを解説した内容となっています。
概要のリンクから「リモートワーク診断」のサービスサイトにアクセスでき、そこから「Microsoft 365」などの関連商品の販売ページへと消費者を促す仕組みです。
現場で起こりがちなコミュニケーションのトラブルをモーショングラフィックスによってコミカルに表現しています。
大企業特有の硬い印象はなく、初めてマイクロソフトの商品に触れる人でも馴染みやすいよう工夫を凝らしています。
事例(10)SUBWAY(サブウェイ)
「SUBWAY(サブウェイ)」では、サンドイッチの値段はそのままでエビの入る量が2倍になる「えび2倍デー」のキャンペーン動画にモーショングラフィックスを活用しています。
ポップな音楽に合わせて実際のエビが跳ねるように表現されており、統一感のあるモーショングラフィックス動画事例と言えます。
テキストの動きも非常にコミカルです。
イラストやテキストを静止画として表現するよりも、視聴者の購買意欲や期待感を高められます。
事例(11)STARBUCKS(スターバックス)
「STARBUCKS(スターバックス)」が自社の魅力を伝えるために、「THE SCALE OF STARBUCKS」というタイトルで動画を制作。
動画内へ世界中の店舗数や従業員数、商品点数などの統計を公表し、自社の規模感や人気の高さをアピールしています。
イラストやロゴ、テキストはすべてモーショングラフィックスで表現され、それぞれの動きに合わせてテンポよく動画が進みます。
STARBUCKSらしい親しみやすさやポップな雰囲気がうまく表現された、優れたモーショングラフィックス動画です。
事例(12)Payme(ペイミー)
給与即日払いサービス「Payme(ペイミー)」のサービス内容を紹介する動画、映像はすべてモーショングラフィックスが活用されています。サービスを解説する音声の内容に合わせてイラストやテキストが動き、視聴者の理解促進を助ける工夫が豊富です。
たとえば、「月に一度の給与では、給料日が待ちきれず、アルバイトの離職率が増加してしまいます」というアナウンスが流れると、「月に一度の給与では」という箇所でカレンダーのイラスト、「給料日が待ちきれず」の部分には不満そうな人のイラスト、「アルバイトの離職率が増加してしまいます」では、10人中2人が離職することを現したモーショングラフィックスが現れます。
その結果、ナレーターが読み上げる文章を一つひとつ正確に理解することができます。
Paymeのようなサービス紹介動画や、プレゼン資料を分かりやすく解説するときに最適です。
事例(13)花王
花王が販売する吸水ケア製品「さらピュア」のプロモーション動画です。女性の「ちょこっと漏れ」の悩みに対し、実際の事例などをモーショングラフィックスで表現しながら商品の提案につなげています。
可愛らしい人物イラストをモーショングラフィックスで軽やかに表現し、女性にも馴染みやすい映像に工夫している点が特徴です。イラストやテキストに使用する色味をパステルカラーに統一しており、優しい雰囲気を演出している点もポイントと言えるでしょう。
モーショングラフィックス動画制作
モーショングラフィックスの制作は企画が最も大切な工程です。
何を目的にした動画で、何を伝えてどこで利用するのかを考慮して素材の制作やモーションを加える必要があります。
モーショングラフィックス動画の制作に興味のある企業様はぜひお問い合わせください。