通勤中や仕事の昼休憩、就寝前のリラックスタイムなど、いまやあらゆる生活シーンで視聴されている動画コンテンツ。
YouTubeやTikTokなどで動画を楽しむ人が増えたことから、ビジネスシーンにも動画を活用しようとする企業が増えてきました。
しかし、動画には自社商品やサービスの魅力を端的に伝えられるというメリットがあるものの、使い方を誤るとかえって企業の印象を悪くしてしまうのも事実です。
そこで今回は、ビジネスシーンで動画を活用するポイントをご紹介します。
優れた動画活用事例もお伝えするので、自社に最適な動画の活用方法まで理解できます。
ビジネス用の動画制作は必須に
YouTubeやTikTokなど、いまでは共有サービスを使って動画を視聴することが一般的になりました。
クロス・マーケティングの「YouTubeの利用実態調査」によると、1日にYouTubeを視聴する時間が30分を超える人が、19~22歳の男性で87%、女性が78%にも達し、動画を日常的に楽しむ人が増えています。
一般利用だけではなく、ビジネスシーンでも動画は欠かせない情報発信ツールになりつつあります。
最近では数多くの企業がYouTubeやTikTok、Instagramなどのチャンネルを開設し、サービス紹介やブランディング、会社紹介による求人などに動画を活用しています。
こうした取り組みは総じてコンテンツマーケティングと呼ばれます。
潜在客や既存ユーザーに商品やサービス、ブランドの価値を視覚的にアピールし、Webサイトへのアクセス増や購買促進、顧客のニーズ育成などにつなげることがコンテンツマーケティングの本質です。
いま注目されている動画というコンテンツを活用することで、マーケティングの幅を広げることができます。
ビジネスで動画を使うメリット
これまで、ビジネスシーンでは、オウンドメディアやブログにSEO対策を施し、Web記事を発信するマーケティング手法が一般的でした。
あるいは、広告を出稿してアクセス数を稼ごうとする手法も広く普及しています。
そのような中で比較的新しい動画というコンテンツを利用する理由は、やはり動画の視聴という行為が世の中に広く浸透してきたからでしょう。
しかし、ビジネスで動画を使うメリットはそれだけが理由ではなく、主に次のようなメリットがあるからです。
- 大量の情報を短時間で伝えられる
- 商品やサービスの使用感が顧客に伝わりやすい
- 資産性の高いコンテンツで幅広い活用が可能
大量の情報を短時間で伝えられる
営業や商談をより効率的に行いたい、商談時に商品やサービスの魅力を端的に伝えたいという人には、ビジネスに動画を活用することをおすすめします。文章と比較して、動画は短時間で大量の情報を伝えられるからです。
たとえば、1分間の動画を作成したとします。その1分間の動画に含まれる情報量は、Webページの3600ページ分にも及びます。
商談に活用するとより端的に商品やサービスの魅力をアピールできます。
さらにBtoC向けのサービス紹介コンテンツとしても動画は有効です。
忙しい現代人にとって、数十分もの尺があるような動画や、スマホを何度もスクロールしないと全容がつかめない長文のWeb記事などを見ている余裕はありません。
一方、数分程度に抑えた動画であれば、忙しい人でも気軽に内容を確認できます。
わずか数分でも十分な情報が含まれているため、短時間で全容を理解することが可能です。
商品やサービスの使用感が顧客に伝わりやすい
潜在客の購買意欲を向上させたいという場合も、ビジネスシーンに動画コンテンツを活用することをおすすめします。
文章や画像に比べ、動画は商品やサービスの使用感が伝わりやすく、潜在客の購買意欲促進につながりやすいからです。
たとえば、プロジェクトチームの業務効率化に役立つグループウェアを提供していたとします。こうしたBtoB向けのサービスは、初心者ほど使用感が分かりづらいため、「使い方がよく分からないから後で情報を調べよう」と決断を後回しにしたり、「複雑そうだから我が社の社員には無理かな」と購買意欲が下がってしまうケースも珍しくありません。
仮に商品やサービスの使い方を紹介する動画を発信していれば、上記のような課題は解決します。文章や画像に比べ、映像はデモンストレーションに最適だからです。
複雑なサービス内容であっても、社員が実際にソフトやアプリを使っている映像を紹介することで、潜在客はそのサービスの使用感をイメージしやすくなります。
資産性の高いコンテンツで幅広い活用が可能
営業やマーケティング活動の幅を広げたいという場合も、ビジネスシーンに動画を活用することをおすすめします。
YouTubeチャンネルでの情報発信やWebサイトへの掲載、メルマガへの添付など、動画にはさまざまな活用方法があるからです。
動画と広告で大きく異なる点は、動画のほうが資産性が高いという点です。
広告はキャンペーン期間が過ぎれば新しい入稿内容を考える必要がありますが、一方の動画は、一度作成した内容は永久に残ります。
動画データを保管しておけば、いつでも動画共有サービスに投稿できますし、そのURLをWebサイトやメルマガに貼り付けて簡単に動画を表示させることも可能です。
文章や画像といった既存のコンテンツと組み合わせることで、より総合的なコンテンツマーケティングを実施できます。
動画はあらゆるビジネスシーンで活用が可能
一口でビジネスシーンに動画を活用すると言っても、その活用方法にはさまざまな種類があります。代表的な活用方法は次の通りです。
サービス・商品紹介動画 | 自社サービスや商品の魅力やメリットを紹介する動画。大量の情報でも数分程度の尺に抑えられ、端的に魅力やメリットを伝えられる。 |
動画コンテンツマーケティング | 動画を魅力的なコンテンツとして発信する方法。 |
採用動画 | 自社の魅力を紹介した、求職者向けの動画。文章や画像だけでは伝わりづらい社内での働き方や社員インタビューなど、企業の実情を求職者に理解してもらいやすい。 |
会社紹介・ブランディング動画 | 企業やブランドのイメージアップに活用する動画。 |
上記の通り、どのような動画を制作するかによって用途や役割がまったく異なることが分かります。それぞれの特徴をしっかりと理解しておきましょう。
サービス、商品紹介動画
文字通り、自社のサービスや商品の魅力やメリットを映像で紹介する動画です。
特にサービスや商品の質にこだわる場合は、文章で内容を説明しようとすると膨大な文字数になってしまいます。
それでは文章を読み疲れた消費者がページを離反してしまう恐れがあるため、効果的とは言えません。
一方の動画は、前述したように大量の情報を短時間の尺におさめられます。
サービスや商品の魅力を端的に伝えられるため、消費者の購買意欲促進に最適です。
サービス紹介動画をうまく活用しているのが、インターネット写真販売サービスを提供する「ルクミーフォト」です。
起承転結の構成がしっかりと考えられており、約3分30秒という短い尺におさまっています。
冒頭でサービスの特徴を伝えた後、カメラで撮影した映像を取り込む作業が面倒だという消費者の悩みを浮き彫りにしています。
サービスを利用することでその悩みを解消できるため、視聴者の共感を生んで販売促進につながりやすいと言えるでしょう。
動画コンテンツマーケティング
視聴者の五感を刺激する、価値の高いコンテンツとして映像を発信する方法です。
たとえば、オリジナル短編ドラマやアニメをYouTubeで発信したり、TikTokでオリジナルダンス映像を公開し、ユーザー参加型のプロモーションイベントを企画する方法などがあります。
話題性の高い動画ほどSNSなどで拡散されやすいため、商品・ブランドの認知拡大や購買促進に役立ちます。
優れた動画コンテンツマーケティングを行っている事例が、子供用製品を扱うタカラトミーです。YouTubeの公式チャンネルでストップモーションアニメを活用した動画コンテンツを発信しています。
ストップモーションとは、静止している物体を1コマずつ動かして映像を撮影し、まるで動画のように物体が動いているように見せる手法です。
アニメーションの一つの手法として近年注目が集まっています。
動物や背景のおもちゃに自社製品を使用している点が特徴です。
アニメを見た子供が気に入ると、そのおもちゃ自身の購買促進にもつながるという仕組みで、動画コンテンツとマーケティングをうまく組み合わせた事例と言えます。
採用動画
消費者ではなく求職者向けに動画を活用する方法です。
自社の魅力や社風を映像として発信することで、就職や転職活動中の多くの人に企業をアピールできます。
商品やサービスと同様、自社の魅力を端的に伝えるのは、文章や画像だけでは難しいものです。
動画であれば事業内容や社歴などを短時間に伝えられるばかりか、社内の雰囲気や具体的な働き方など定性的な情報まで表現できます。
さらにアニメーション映像を活用することで、硬い会社のイメージをよりソフトにできるなど、企業の印象アップにも役立ちます。
採用動画を効果的に活用した事例が、Twitter広告などの代理業を行うADKです。
その映像のほとんどがモーショングラフィックスになっています。
モーショングラフィックスとは、テキストやイラスト、ロゴなどに動きを加えた映像表現です。動画を見て分かる通り、映像全体に動きを付けることで印象に残りやすい特徴があります。
YouTubeで発信を行うだけではなく、Webサイトの採用ページで動画を公開するなど、さまざまな活用方法があります。
会社紹介、ブランディング動画
消費者に向けて自社やブランドのイメージを伝えるための動画です。いまでは効果的なブランド戦略の一つとして数多くの企業が採用しています。
会社紹介、ブランディング動画のメリットは、印象的な映像で企業やブランドのイメージを向上できる点です。従来こうしたブランディングはテレビCMが主な媒体でしたが、動画の視聴時間が長くなったことや自社サイトと動画を組み合わせたマーケティング手法が一般化したことなどから、動画を活用してブランディングを行うケースが増えています。
会社紹介、ブランディング動画をうまく活用した事例が、アイウェアブランドとして人気の高い「JINS」です。「0円、というプライド。」というタイトルでブランディング動画を公開しています。
従来、メガネと言えば2~3万円ほどの価格が当たり前でしたが、5,000円前後で購入できるJINSのメガネがどのように作られているのかという点に主眼が置かれています。
「低価格だけど質の高いブランド」というイメージが強く伝わってきます。
広告と動画を組み合わせる
動画は広告とも相性のよいコンテンツです。
即効性が期待できる広告と組み合わせることで、短期間のうちにアクセス数やコンバージョン数を向上できます。
動画広告
動画広告とは、YouTubeなどで公開された動画の中に広告を挿し込む、あるいはWebページの文章と文章の間に表示される広告です。
広告は動画の冒頭や結末などに表示され、再生時間や再生回数によって広告費が発生します。
広告動画の表示方法や広告費発生の条件などは種類によって異なるため、各タイプによる違いを理解しておきましょう。
動画広告プラットフォームによって多少違いはありますが、大まかに以下のような特徴ごとに分かれています。
動画広告の種類 | 表示方法 | 広告費発生条件 |
インストリーム広告 | YouTubeなどの動画コンテンツの冒頭などに自動的に表示される | 広告動画を視聴した時間に対して広告費が発生 |
バンパー広告 | YouTubeなどの動画コンテンツに含まれる広告で、尺は6秒と短く、視聴者はスキップできない | 広告表示回数に対して広告費が発生 |
インバナー広告 | YouTubeなどの検索結果・関連動画の上部に表示され、ディスプレイ広告とも呼ばれる | ユーザーが広告をクリックすると広告費が発生 |
インリード広告 | Webページをスクロールしているときに現れる、文章と文章の間に表示される動画広告 | 広告表示回数に対して広告費が発生 |
動画を単にコンテンツとして発信するだけであれば、自社サービスやブランドを自ら検索しようとする自発的なユーザーしか対象にできません。
動画コンテンツは消費者が情報を検索しない限り画面に現れることがないからです。
一方、動画広告を発信することで、今度は企業の方から積極的に自社サービスやブランドをPRできます。
自社とはまったく関係のない動画にも広告を含めることができるため、自分のニーズを把握していない潜在層にアプローチが可能になります。
動画広告は動画製作費とセットで考えて、予算を組みましょう。
こちらで各種動画制作のシミュレーションが可能です。
ランディングページとの組み合わせ
ランディングページとは、Webサイトの中でユーザーが最初に訪問するページです。
リスティング広告やディスプレイ広告を出稿する場合は、その広告をクリックした先にこのランディングページを設定します。
また、YouTubeの概要欄にランディングページのURLを記載しているケースも珍しくありません。
ランディングページは一般的なWebページのように文章と画像で構成します。
ただ、そのランディングページに対して動画を含めることにより、さらに情報が整理されて見やすくなります。
動画はYouTubeの動画ページURLを貼り付けるだけで簡単に設置できるので、ランディングページにも活用することをおすすめします。
ビジネスで利用する動画の制作のポイント
ビジネスシーンで動画を活用する場合は、プロに制作を依頼することが重要です。
動画制作のノウハウが不足したまま、何となくのイメージだけで制作してしまうと以下のようなデメリットが発生してしまいます。
- 映像や音声の質が低く、かえって悪い印象を与えてしまう
- 1本の動画に情報を詰め込み過ぎて伝えたいことが分かりにくい
- どのプラットフォームでどのように使うか決められず、動画の方向性が定まってない
- 動画SEO対策が十分ではなく、再生回数が伸びない
- 動画制作に膨大な時間を消費して費用対効果が悪い
動画を制作するには、映像の撮影から素材の調達、編集という複雑な手続きを踏みます。
各作業を効率的に行うには、適切なノウハウと人材が必要です。社内に人材やリソースが不足している場合は、作業が困難かつ非効率になってしまうため、動画制作会社に依頼することをおすすめします。
動画制作会社に依頼すると費用がかかるものの、より質の高い動画で効果的に商品やサービス、ブランドなどの魅力を伝えられます。
ビジネスシーンに動画を活用し、プロモーションやブランディングにつなげていきましょう。
動画制作や編集に興味のある企業の方はぜひお問い合わせください。