採用動画とは、仕事内容や社員の顔ぶれを映像で紹介することで、採用活動の効率を高める手法です。
活用シーンが幅広く、なおかつ費用対効果も高いことから、採用動画を取り入れる企業が増えています。
ただ、動画の制作を制作会社に依頼するとなると、不透明な部分が多いことも事実です。
依頼方法や料金相場、作品完成までの流れなどが分からず、制作依頼を戸惑ってしまうケースも多いでしょう。
そこで今回は、採用動画の費用相場や見積もり書の見方などを解説します。
製作費を安く抑えるコツも紹介しているため、よりリーズナブルに動画制作を進めていくことが可能です。
採用動画制作依頼の費用・料金相場
採用動画を制作する場合、専門の動画制作会社に依頼することが一般的です。
特に、社内に動画制作を専門とするスタッフやリソースがない場合は、動画制作会社に依頼したほうが手間や費用が抑えられます。
ただ、動画制作会社に依頼する場合、動画の長さや種類、品質によって料金が異なる点には注意が必要です。
以下に動画制作会社に依頼した際の料金相場をまとめてみました。
プロモーション・PR動画制作料金相場表 | |||
動画の長さ | 動画の種類 | 動画の品質 | 料金相場 |
1分未満 | アニメーション | 低 | 10~25万円 |
高 | 25~60万円 | ||
実写動画 | 低 | 20~60万円 | |
高 | 50~100万円 | ||
3DCG | 低 | 80~100万円 | |
高 | 100~200万円 | ||
1分~3分未満 | アニメーション | 低 | 25~55万円 |
高 | 65~150万円 | ||
実写動画 | 低 | 50~90万円 | |
高 | 80~200万円 | ||
3DCG | 低 | 150~250万円 | |
高 | 250~350万円 | ||
3分以上 | アニメーション | 低 | 40万円~ |
高 | 85万円~ | ||
実写動画 | 低 | 95万円~ | |
高 | 200万円~ | ||
3DCG | 低 | 200万円~ | |
高 | 350万円~ |
上記の通り、同じ採用動画と言っても、制作費用には10万~200万円超まで大きな幅があります。
そのため、動画制作を依頼する前に動画の長さや種類などを考え、予算を決めておきましょう。
見積もり書の例
動画制作会社に依頼すると、実際に動画制作に取り掛かる前に見積もり書が発行されます。
発行期間は動画制作会社にもよりますが、事前のヒアリングを経た後、約3~10日で発行されるケースが一般的です。
下表は、その見積もり書の例です。
品名 | 数量 | 価格 | ||
単価 | 合計金額 | |||
企画構成費 | 台本・絵コンテ製作費を含む | 1 | 150,000 | 150,000 |
ディレクション費 | 打合せ・進行管理費を含む | 1 | 100,000 | 100,000 |
撮影・編集費 | カメラマン・照明各1人 | 1 | 300,000 | 300,000 |
キャスティング | タレント2名 | 2 | 50,000 | 100,000 |
機材・スタジオ費 | カメラ・照明各1台、スタジオ3時間 | 1 | 80,000 | 80,000 |
音響効果費 | BGM・SE使用料含む | 1 | 100,000 | 100,000 |
マスターデータ | 納品物の作成作業費 | 1 | 20,000 | 20,000 |
合計金額 | 850,000 |
上表の通り、動画制作の各手順に沿い、細かい品目ごとに単価が設定されて見積もり書が完成します。
設定する品目は動画制作会社によって異なりますが、企画構成費やディレクション費など動画制作に最低限必要な項目は必ず含まれると考えておきましょう。
企画構成費
企画構成費とは、動画のターゲット設定やコンテンツの内容といった企画を作成するための費用です。
また、制作スタッフが全員で共有するスケジュール(香盤表)や、スタッフプロフィールの作成費も企画構成費に含まれます。
構成の内容が複雑になるほど企画構成費も高額になります。
たとえば、数多くの競合他社が質の高い動画を発信していたり、仕様が複雑な製品を取り扱っている場合などです。
ディレクション費
ディレクション費とは、ディレクターの人件費にあたる費用です。
ディレクターは、撮影現場での指揮や撮影スタッフとのコンタクトなど、動画制作において非常に重要な役割を担います。
そのため、動画制作費の中でも高額になりやすい項目です。
また、高品質な動画制作や「バズ」を狙う場合などには、経験豊富なディレクターが採用されることも珍しくありません。
ディレクターの能力が高くなるほどディレクション費も高額になります。
撮影・編集費
撮影費とは撮影時のスタッフの人件費、編集費とは映像編集スタッフの人件費のことです。
動画撮影にはカメラマンだけではなく、動画の内容に合わせて照明やカメラアシスタント、スタイリストが必要なケースもあります。
撮影に参加するカメラマンの人数や担当スタッフが多くなるほど撮影費は高額になります。
編集費は、動画編集の工数によって金額が異なる場合がほとんどです。
よって編集期間が長引く(動画の尺が長い)ほど費用も高額になります。
キャスティング費用
キャスティング費用とは、動画に出演するタレントの人件費です。
また、タレントを必要としないアニメーション映像の場合は、主にナレーターの人件費もキャスティング費用に含まれます。
プロのタレントを起用する場合、にはどういったタレントをキャスティングするかによって料金は様々です。
アマチュアのタレントを起用すると費用は下がるものの、動画の質を高めたい場合にはプロのタレントがおすすめです。
諸経費
諸経費とは、撮影機材費やスタジオレンタル代、効果音付き動画制作費など、動画制作にかかわる諸々の経費です。
動画制作会社によって経費の内訳は大きく変わります。
ただし、ディレクション費や撮影費よりも費用総額に占める割合が低いため、制作会社によって金額の差異が発生しづらいと言えるでしょう。
料金を抑えるための工夫
動画は半永久的なコンテンツなので、長期間活用するほど費用対効果が高まります。
しかし、動画制作時には高額な料金が発生するため、費用が大きな負担となりがちです。
そこで、ここでは動画制作の料金を抑えるための工夫をご紹介します。
社内のリソースを活用する
動画制作の費用を抑えるためにまず考えたいことは、社内のリソースを活用できるかどうかという点です。動画制作会社に用意してもらうリソースを自社でまかなえば、それだけ製作費を安く抑えられます。
たとえば、動画に出演するキャストを社内からピックアップする方法が効果的です。
企業メッセージを伝える場合には社長を、働き方を紹介する際は現場で働く社員を活用することで、キャスティング費を大幅に節約できます。
ただし、動画への出演は個人のプライバシーに関することなので、事前に必ず本人の許可を取っておきましょう。
また、動画制作のトレンドとして、iPhone等のカメラの性能が良いため、自社でインタビュー等の動画をスマホでとって、アニメーションや加工の部分を外注するケースも多くあります。
上記のほかにも、自社で保有する写真やイラストを活用して費用を削減できます。
自社で保有するリソースが動画に活用できないか、制作会社とのヒアリング時にしっかりと確認することが大切です。
必要な工程のみを依頼する
動画制作会社に依頼する場合、必ずしも撮影から編集まですべての工程を担当するわけではありません。
制作会社によっては撮影のみや編集のみなど、細かいオーダーに対応しているケースもあります。
たとえば、「カメラや照明などを保有しているので、撮影なら自社でもできる」という場合は、企画や編集など自社が不得意とする工程のみを依頼してみましょう。
動画制作の工程が減れば当然費用も安くなるため、コストを大幅に抑えられます。
事前に企画書を作成しておく
動画制作のノウハウがない場合、制作会社と相談しながら企画を構築する方法が一般的です。
ただ、ノウハウが不足する場合でも、大まかでもよいので事前に企画書を作成しておきましょう。
あらかじめ動画の骨組みが決まっていると、台本作成や下調べなどに必要な費用を抑えられるからです。
採用動画の場合だと、たとえば以下のように企画書を作成することができます。
【企画書】2022年新卒向けの採用動画 | |||
概要 | 2022年3月に卒業見込みの大学生向け。 | ペルソナ | 2021年3月の卒業に向けて積極的に就活を行う大学4年生。 |
目的 | 複数チャネルに掲載した動画のリンクから、自社サイトあるいは求人サイトのエントリーページへアクセスしてもらうこと | KPI | ・インプレッション:20,000回 ・クリック数:3,500回 ・エントリー率:4.5%増 |
利用シーン | ・自社サイトの採用ページ ・求人サイトの掲載ページ ・Twitter採用アカウント ・YouTube公式チャンネル | 予算 | 150万円以内 |
メッセージ | 同社で活躍できるのは先鋭的な人材。 | 動画長さ | 1分以内 |
公開予定日 | 2021年6月10日 | 参考動画 | 【A社】 URL:~~~ 【B社】 URL:~~~ |
上記の中でも、動画制作の費用を抑えるために特に重要な部分は、「参考動画」です。
自社が制作したい動画のイメージにもっとも近い映像を用意しておくと、制作会社も最終形をイメージしやすく、企画構成費にかかわるコストを抑えられます。
動画広告の利用といった費用も予算に含めておく
採用動画は自社サイトや求人サイトに掲載する以外にも、動画広告として活用する方法もあります。
よって広告も合わせて利用予定で予算を考える場合は製作費だけではなく、広告費も視野に入れて算出するようにしましょう。
動画広告は、主にYouTubeやFacebook、Twitterなどで配信されます。各プラットフォームにおける料金体系は以下の通りです。
広告配信先 | 主な料金体系 |
YouTube | ・30秒以上の広告視聴により料金発生(CPV課金) ・視聴者の広告クリックにより料金発生(CPC課金) |
・広告の表示数が1,000インプレッションに達すると料金発生(CPM課金) ・視聴者の広告クリックにより料金発生(CPC課金) | |
・3~6秒以上の広告視聴により料金発生(CPV課金) ・動画広告がフルスクリーン表示されると料金発生(CPV課金) | |
・広告の表示数が1,000インプレッションに達すると料金発生(CPM課金) ・視聴者の広告クリックにより料金発生(CPC課金) |
いずれの媒体も課金方式で料金が発生するため、一概に相場を限定することはできないため、まず広告予算を決めておくとプロジェクトがスムーズです。
動画広告はどのような戦略を持ってどのプラットフォームにどのように配信するかで、全く効果が変わってきますので、事前準備が大切です。
採用動画の制作は費用対効果が高い
より効果の出やすい採用ツールを探しているなら、採用動画がおすすめです。
採用ツールには採用サイトや採用管理システム、オンライン会社説明会など複数の種類がありますが、中でも採用動画は費用対効果に優れています。
動画は、一度制作してしまえば半永久的に活用できます。
1つの動画だけでWebサイトへの埋め込みやSNSへの流用といったシーンにも活用できるため、長く使うほど費用対効果が高くなるのです。
採用動画をより長く活用したい場合、汎用性の高い動画の企画を行いましょう。
汎用性の高い動画とは、企業メッセージの発信や事業内容の紹介など、年数が経過しても使い回しが効く動画のことです。
「○○年卒向けの動画」といった特定のタイミングでしか使えない動画に比べ、汎用性の高い動画のほうが費用対効果は高くなります。
採用動画事例
最後に、採用動画の事例をご紹介します。
事例(1)佐川グローバルロジスティクス
「佐川グローバルロジスティクス」は、物流会社であるSGホールディングスの中でロジスティクス事業を展開する企業です。物流倉庫の運営から輸送サービスまで、グループ中で非常に重要な事業を担っています。
上記は、東京支店に勤めるとある社員の1日に密着した、ドキュメンタリー風の採用動画です。
入社10年目を迎えた社員が日頃どのような仕事をするのか、分かりやすい映像を使って簡潔に述べられています。
視聴者にとっては、実際に仕事内容をイメージしやすい点がメリットです。
また、撮影シーンには実際の現場を、キャスティングには社員を活用することにより、動画制作におけるコストも削減していると考えられます。
事例(2)アクセンチュア
「アクセンチュア」は、デジタルやクラウド分野に強みを持つ総合コンサルティング会社です。
2021年5月7日には、「女性が活躍する会社BEST100」の総合ランキング1位を獲得して話題になりました。
参考:PR TIMES「アクセンチュア、「女性が活躍する会社BEST100」において初の総合ランキング1位を獲得」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000306.000019290.html)
上記の動画には実際にアクセンチュアで働く2名のエンジニアが登場し、それぞれの仕事内容やワークスタイルを伝えています。
現場で働く社員が説明するだけあり、仕事内容が具体的に伝わってきます。
アクセンチュアは、女性だけではなく男性が働きやすい点も特徴です。
動画内には男女1名ずつが登場しますが、どちらも風通しのよい環境で働いていることがうかがえます。
事例(3)博報堂
「博報堂」は日本を代表する広告代理店です。
上記の動画は、「絶対に本音で話さざるを得ない説明会」というテーマで構成されています。
就活の説明会と言えば、企業にとって都合のよい部分ばかりが主張されるという風潮があります。
一方の博報堂は、実際に働く社員が、就活生の質問に対し真摯に答える会社説明会を実施。
動画では、そんな説明会の内容をダイジェスト形式で公開しています。
事例(4)ソニー
ソニーでは、複数の若手社員へのインタビュー動画を公開しています。
入社してから現場で働いてみて、実際にどのようなことを感じたのか、または今後の夢は何かといった質問に若手社員が真摯に答えてくれます。
就活中の学生にとってもっとも立場の近い社員でもあるため、視聴者の共感を呼びやすい点が特徴です。
動画に登場する若手社員はすべて私服。さりげなく「私服で働ける会社」であることもアピールしています。
採用動画制作の際には様々な要素や目的によって費用が全く違うケースもよくあります。
弊社では採用動画の企画から制作、運用までサービス提供いたします。
ぜひお問い合わせください。