モーショングラフィックスとは、映像に使用する素材に動きや音を加えるアニメーション映像の一種です。
モーショングラフィックスを活用することで、本来は動かないはずのテキストやイラスト、ロゴといった素材に動きを加えられます。
最近ではモーショングラフィックスの制作に対応した動画制作会社も多いため、特に初めて動画を制作する企業の場合は、高品質な仕上がりが期待できる制作会社への外注がおすすめです。
ただし、モーショングラフィックス動画の制作費は、制作会社によって大きな差があります。
さらに動画の長さや求める品質によって制作費も変わるため、適切な予算を決めるのは決して簡単ではありません。
そこで今回は、モーショングラフィックスの料金相場を解説します。
費用帯ごとの参考動画も紹介しているため、自社の予算に合ったベンチマークを設定することもできます。
モーショングラフィックスの料金相場とアドオンの費用について
実写映像に比べると、モーショングラフィックス動画の制作自体は決して簡単なものではありません。
モーショングラフィックスの制作では撮影工程を省けますが、編集に際して高度な技術や知識を求められるからです。
よってモーショングラフィックス動画を活用する場合は、プロの映像クリエイターが揃う動画制作会社に依頼するのが無難と言えます。
動画制作会社に依頼する場合、気になるのが制作費です。また、モーショングラフィックスの制作には、アドオン(追加工)によって追加の費用も発生します。
一方モーショングラフィックス動画はキャスティング等の必要がなく、かつ表現できる幅も広いため、様々な技法を使って伝えたいことを伝えることができる優れた種類の動画です。
そこでここでは、モーショングラフィックスの料金相場やアドオン使用時の費用を解説します。
モーショングラフィックスの料金相場
動画を制作する場合は、動画の長さや求める品質によって費用が大きく異なります。
モーショングラフィックス動画の場合でも費用に差がある点は変わりません。
料金相場は以下表の通りです。
モーショングラフィックス動画の料金表(相場) | ||
動画の長さ | 動画の品質 | 料金相場 |
1分未満 | 低 | 20~35万円 |
高 | 25~60万円 | |
1分~3分未満 | 低 | 30~65万円 |
高 | 50~100万円 | |
3分~ | 低 | 60万円~ |
高 | 80万円~ |
なるべく製作費を抑えたいなら、動画の長さを短めに設定することも検討すると良いでしょう。
米国のリサーチ会社Forrester Researchの調査によると、わずか1分間という長さでも、その動画には180万語もの情報量を含められるとのことです。
つまり、自社の簡単な紹介やサービスのメリットを伝える場合などには、1分の動画でも十分に全容を伝えられることを表しています
ただし、動画の品質については、なるべく高品質に仕上げられる制作会社を選びましょう。
動画の質は視聴者の離脱率やCVR(コンバージョン率)に多大なる影響を与えます。
品質の低い動画を掲載しておくと期待した効果が得られないばかりか、最悪の場合は企業やブランドの印象を下げてしまう恐れもあるため、費用の安さばかりに目を奪われないように注意が必要です。
アドオンを依頼したときの料金相場
アドオンとは、ナレーションやサウンドエフェクトなど、動画編集時に付け足す追加工のことです。アドオンにもさまざまな種類があり、以下のように料金相場が異なります。
エフェクト・加工内容 | 料金相場 |
ナレーション費 | 5~10万円 |
サウンドエフェクト | 5万円前後 |
カラーグレーディング | 10~30万円 |
CG加工 | 100~150万円 |
3D加工 | 100~250万円 |
また、ナレーションなどのアドオンによっては、もともと基本料金に含まれているものもあります。そのため、企画書や見積書の提案時にしっかりと内容を確認しておきましょう。
アドオンは、より高品質な動画に仕上げたいときにおすすめです。
追加工を施すことで動画の品質が向上するため、視聴者の離脱率を下げ、CVRを改善できる可能性が高まります。
ただし、1種類のアドオンを追加するだけでも高額な費用になる場合も珍しくありません。
アドオンを追加するときは、制作会社とよく相談しながら予算に余裕がある場合のみにしましょう。
モーショングラフィックス動画の参考料金(相場感)
ここまでモーショングラフィックス動画の料金相場をお伝えしました。
ただ、料金相場だけでは、動画の品質や料金が異なると仕上がりにどの程度の差があるのかという点が分かりにくいはずです。
そこでここでは、公開されている動画に対して独自に制作費用のイメージを持っていただけるよう、相場感をご紹介します。
製作費50万円前後の動画事例
まず、制作費50万円前後で作れる参考動画をご紹介します。
各社モーショングラフィックスの表現を抑えめにするなど、細かい工夫をこらしてコストを抑えています。
AREX(アーレックス)
名古屋でデザイナーズ住宅の建築を手がける「AREX(アーレックス)」のモーショングラフィックス動画です。
テレビCM用に制作された動画でもあり、動画広告用の参考動画として活用できます。
動画の時間が短いことに加え、大部分の素材をテキストに統一することで制作費を抑えています。
また、背景を一色に揃えている点もコストカットにつながっています。
制作費が50万円を超える動画に比べてコストが低いものの、クオリティの高さにはまったく遜色がありません。
テキストを中心としたシンプルな素材を3D風のデザインに構築することで、非常に独創性の高い映像に仕上がっています。
ヘーベルハウス
ヘーベルハウスが提供する「FREX AXiii」を紹介するモーショングラフィックス動画です。
ヘーベルハウスでは、上記のようなテレビCM向けの短編モーショングラフィックス動画を多数公開しています。
動画の長さを15秒にまとめることでコスパに優れた動画に仕上がっています。
また、素材にはシンプルなテキストを中心に使用したり、背景を統一している点もポイントです。
モーショングラフィックスと共に動きのない商品画像をうまく挿しこむことで、トータルの制作費を抑えています。
製作費80万円前後の動画事例
次に、制作費50万円前後で作れる参考動画をご紹介します。
費用はやや高額になりますが、モーショングラフィックスで表現できる幅が広がるため、よりハイクオリティな作品に仕上がります。
LINE WORKS
メッセージアプリLINEのビジネス版サービスである「LINE WORKS」を紹介するモーショングラフィックス動画です。
チャット機能はもちろん、ビジネスシーンに便利なカレンダーやファイル管理、グループウェアなどの機能が搭載されています。
上記の動画は、数あるモーショングラフィックスのなかでもクオリティの高さに特徴があります。
非常に小さい人型のアイコンにも動きを加え、細かい部分にまでモーショングラフィックスが反映されているからです。
背景の素材やテキストなど、動きのある数多くの素材を利用しているため、制作費も高額になります。
Payme(ペイミー)
企業向けの給与即日払いサービスである「Payme(ペイミー)」を紹介するプロモーション動画です。
1分程度の短い動画ではあるものの、そのクオリティの高さから費用はやや高額になります。
たとえば動画を見ると、人物イラストの細かい表情や指先まで変化していることが分かります。
モーショングラフィックスでは、こうした細かい動きを表現するほど高度な技術が求められるため、制作費が高額になりがちです。
さらに上記動画では、ナレーションやBGMを加えて動画の品質を高めています。
短い動画のなかにさまざまな素材が活用されているため、尺が1分程度でも制作費が80万円を超える場合もあります。
高額な制作費(100万円超)を要する動画事例
最後に、50万円を超える高額な制作費を要する参考動画をご紹介します。
いずれの事例もアドオンを積極的に組み込み、非常に品質の高い動画に仕上がっています。
カロリーメイト
大塚製薬が提供する「カロリーメイト」の商品紹介動画です。
映像には全編を通してモーショングラフィックスが活用されており、商品のメリットや魅力を分かりやすく訴求しています。
上記の動画の制作費が高額になる理由は、動画の尺が3分と長く、かつクオリティーも高いからです。
動画の制作費は分刻みで大幅に費用が異なるため、3分を超える場合は製作費100万円以上になる場合も少なくありません。
また、終始ナレーションを活用している点も高額な費用に影響しています。
ただし、映像にナレーションを含めるだけで、内容がはるかに理解しやすくなります。
動画の長さにおいても、カロリーメイトのように伝えるべき情報がたくさんある場合、ある程度の尺が必要です。
こちらの動画では長さ×クオリティーの観点から数百万円は下らない動画でしょう。
予算に余裕があるなら、上記動画のようにクオリティを高めることをおすすめします。
FUJI ROCK FESTIVAL
国内最大級の音楽イベントである「FUJI ROCK FESTIVAL」のプロモーション映像です。
非常にハイクオリティなモーショングラフィックスを活用し、独自性の強い映像に仕上がっています。
上記動画の特徴は、シーンに合わせて背景の映像が細かく変化する点です。
たとえば映像中の背景をすべて統一しておくと編集作業も効率よく進められますが、上記動画のように映像が細かく変化と用意する素材や作業が増え、制作費が高額になります。
また、映像制作にはマルチ分野で活躍する豪華な制作陣を設定。
さらにオリジナル楽曲を流していることもあり、楽曲制作費やキャスティング費用なども加わります。
高品質な動画を仕上げたい場合、大いに参考になる事例と言えるでしょう。
モーショングラフィックス動画の価格を抑えるには
初めて動画制作を依頼する企業であれば、費用対効果をイメージしづらいこともあり、できるだけ余分なコストを省きたいところです。
実は動画の制作費は発注先によって異なるだけではなく、制作を依頼する側の工夫次第でコストを抑えられることがあります。動画の制作費を抑える方法は次の通りです。
- 素材を用意する
- アドオンを省く
- 最小限の工程で済ませる
- 必要な動画を一括で発注
- 定額サービスを利用する
動画の制作費を削減すると、浮いた費用を広告費などにも回せます。
以下でより詳しく解説していくため、各ポイントを参考にして予算を組み立てていきましょう。
素材を用意する
モーショングラフィックス動画では、映像に含める素材にテキストやイラスト、ロゴなどが必要です。
基本的に上記の素材は制作会社側で用意しますが、発注する企業から提供することで費用を抑えられます。
自社で素材を用意する際は、ヒアリングの段階で制作会社に伝えておきましょう。
動画編集時に素材データが必要になるため、あらかじめフォルダごとに分かりやすく分類しておくことをおすすめします。
アドオンを省く
動画の制作費が高騰する場合、多数のアドオンを追加していることも珍しくありません。
1種類のアドオンでも数万円という高額な費用が必要なことも多いため、数多くのアドオンを依頼するとトータルコストが高くなります。
たとえば、思い切ってナレーションを省いてみるのも方法の一つです。
以下の動画にはナレーションがいっさいありませんが、「飛行機やビル、橋などを扱う重工業メーカーである」というメッセージは十分に伝わってきます。
ナレーションなしでもメッセージ性が強く現れる理由は、モーショングラフィックスを活用しているからです。
モーショングラフィックスでは、ロゴやイラスト、テキストなどに動きを加え、各要素を自由に組み合わせられるため、素材の動きや音だけでも十分に説明を行えます。
最小限の工程で済ませる
動画の制作費を抑えるうえで、できることは自社でまかなうという点も重要なポイントです。
動画制作会社によっては、特定の工程のみ請け負っている場合があります。
仮に自社で動画制作の経験があれば、人材やリソースが不足する工程のみを外注することで費用を抑えられます。
しかし、社内に動画制作のノウハウがない場合は、素直に制作会社に一任しましょう。
動画制作のノウハウを一から習得するのは非常に困難だからです。
必要な動画を一括で発注
動画制作会社に依頼する場合は、必要な動画をなるべく一括で発注しましょう。
動画用の素材は複数の動画で併用することもできるため、一括発注を行うと素材の有効活用が可能になり、制作費を削減できます。
たとえばWebサイトへの埋め込み用や広告用など、活用シーン別に複数の動画を制作するとしましょう。
動画の企画や内容が異なったとしても、ロゴや商品画像などが変わらない場合もあります。
同じ素材を使用した複数の動画を一括編集すると、作業スピードが向上するため、制作費が安くなることも珍しくありません。
また、動画を一括で発注すると全体の作業効率もよくなります。
タイプの異なる動画でも、全体的な雰囲気や印象などが統一されているケースも多いからです。
複数の動画でイメージが統一されていれば、エフェクトなどを効率的に編集できコストカットにつながります。
定額サービスを利用する
動画制作会社のなかには、月々の費用が定額制となったサブスクリプションプランに対応している場合があります。
毎月一定額の費用がいるものの、大量の動画を制作できるため、動画1本あたりのコストを削減できる点がメリットです。
定額サービスに発注すると、基本的に次のような手順に沿って動画が完成します。
- クライアントへのヒアリング
- 見積書と企画書の提示
- 毎月の納品数を相談
- 動画制作スタート
- 毎月クライアントから必要な素材を送る(もしくは素材から制作)
- 動画が完成するたびに確認および納品
たとえば「1分動画を毎月10本ずつ制作」など、あらかじめ動画の種類や納品本数を決めておきます。
すると毎月決まった本数分だけ完成した動画が納品されるというサービスです。
YouTubeやTikTokなどに毎月一定本数の動画を投稿したい時に向いているサービスです。
弊社では、モーショングラフィックス動画制作の企画、制作、見積もり、運用、定額サービス、動画コンサルティングまで提供可能です。
ぜひお気軽にお問い合わせください。