自社Webサイトへの流入を増やそうと、リスティング広告などの有料広告を利用する企業も少なくありません。
しかし、集客効果を高めようと有料広告を利用する企業も増え、クリック単価が上昇すると共に費用対効果が低くなっているのが現実です。
そのため、今後、リスティング広告だけに頼ったマーケティングは限界といえるでしょう。
そこで、コンテンツマーケティングとの併用をおすすめします。資産性の高いコンテンツを拡充することで購買意欲を高めたり、リスティング広告で獲得した見込み顧客の固定客化に役立ちます。
今回は、コンテンツマーケティングとリスティング広告の使い分け方や併用方法を解説します。
コンテンツマーケティングとリスティング広告の違い
コンテンツマーケティングとリスティング広告は、どちらもマーケティング施策の一つです。
しかし、目的や用途、効果範囲など、両者には明確な違いが存在します。
それぞれの違いをよく理解し、マーケティングの目的や用途に合わせて適切な方法を用いましょう。
コンテンツマーケティングとは
まず、コンテンツとは、映像や音楽、文章などを取り入れた自由に創意工夫できる情報のことです。
そして、そのコンテンツに価値を持たせて広く提供することで、見込み顧客獲得や購買活動につなげようとする施策をコンテンツマーケティングと呼びます。
たとえば、業務効率改善のためのソフト導入を考えている人に対し、その導入メリットや他社とのサービス比較を紹介する記事を発信したり、動画を使ってソフトの使い方を詳しく解説する方法などがあります。
さらに、コンテンツに興味を持った見込み顧客を自社サイトへと促し、資料請求や問い合わせなど購買にいたる経路を用意しておくとコンバージョンへと導けます。
リスティング広告とは
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索結果に連動して表示される広告です。
検索ユーザーのニーズに対してピンポイントの訴求ができるため、自社商品やサービスを必要とする人に刺さると購買意欲をかき立てます。
たとえば、「動画制作」というキーワードで検索すると、検索結果の上部または下部に、「最短3週間で高品質動画をお届け!」や「動画制作は名古屋の○○にお任せ!」といった内容が表示されます。
これがリスティング広告で、ユーザーが使う検索ワードに対応していることが分かります。
一般的なSEO対策用の記事よりも目立ちやすい箇所に表示され、なおかつ検索ニーズにも即しているため、アクセス獲得から成約にいたりやすいマーケティング施策といえるでしょう。
コンテンツマーケティングとリスティング広告の具体的な違い
コンテンツマーケティングとリスティング広告の主な役割は、どちらも自社サイトへのアクセスを獲得することに尽きます。
ただ、マーケティング施策の即効性や費用対効果など、それぞれ異なる部分が多いのも事実です。
コンテンツマーケティング | リスティング広告 | |
即効性 | 即効性が低い。検索結果に表示されるまで数日~1ヶ月程度かかり、さらにSEO対策を施して上位表示されるまで半年以上かかるケースも | 即効性が高い。設定すればすぐに広告が表示され、検索ニーズに応じて見込み顧客を自社サイトへ誘導できる |
費用対効果 | 費用対効果が高い。サイト制作などに高額な初期費用がかかるものの、コンテンツの資産性が高いので運用が長期に渡るほど費用対効果が高くなる | 検索キーワード次第で大きく変わる。競合の多いキーワードだと広告単価が高いうえにリーチ獲得の難易度が高まり、想定よりも効果が薄いことも |
資産性 | 資産性が高い。投稿した記事や動画などは長期保管に対応し、内容を修正・改善することでより価値を高められる | 資産性が低い。広告を出稿できる期間は限られている |
顧客育成 | 顧客育成に向く。検索ニーズに自由自在に対応したコンテンツが作成できる | 顧客育成には向かない。育成には流入させたサイトやチャンネルにコンテンツが必要 |
上記の比較をまとめると次のようになります。
- コンテンツマーケティング:即効性に欠けるが費用対効果や資産性が高い
- リスティング広告:資産性が低く顧客育成に不向きだが、すぐに効果が出やすい
コンテンツマーケティングとリスティングを併用
ここまで、コンテンツマーケティングとリスティング広告の違いをご紹介しました。
違いがあるということは、コンテンツマーケティングとリスティング広告を併用し、両者のメリット・デメリットを補完し合えるということです。
ここでは、コンテンツマーケティングとリスティング広告を併用する方法を解説します。
リスティング広告の検証結果をSEO対策に生かす
リスティング広告は検索ユーザーのニーズ(検索キーワード)を直に汲み取って訴求できますが、登録したキーワードと実際に検索されたキーワードに食い違いが発生するケースも珍しくありません。
広告の効果は出稿後でも検証できるため、それぞれのキーワードにどのような齟齬があったのか理解することで、SEO対策のキーワード分析に生かせます。
たとえば、長年の実績がある建築会社がリスティング広告を出稿したとしましょう。
特にデザインや企画力に強みを持っていたので、より実務的なキーワードを対象にしました。「リフォーム リノベーション 違い」という検索キーワードで、検索ユーザーの知育を促進するようなイメージです。
しかし、実際にインプレッション(広告表示)が多かったキーワードは、有名な建築家や建築様式の歴史などの内容が多く、検索ユーザーのニーズと食い違いが発生していることが分かります。
そこで、検索ユーザーのニーズと合致するよう、一からキーワード分析の再考が必要です。
上記の例だと建築の歴史や著名建築家のニーズが高いことが分かったため、それに適合する広告と同時にSEOコンテンツを拡充することができます。
仮に建築家として有名な「前川國男」というキーワードを対象にした場合、彼の建設デザインの特徴である色彩豊かで高級感のあるデザインを、自社の企画と絡ませてサービス紹介記事などを制作することが可能です。
最適なキーワードの絞り込み
リスティング広告では、原則的にクリック数が多いキーワードほど多額の広告費用が発生します。
そのため、自社の商品やサービスと関連性の低いキーワードを除外することが大切です。
最適なキーワードのみに絞り込むことで、キーワードに対する費用対効果が高まります。
Google広告(旧AdWords)の場合、「除外キーワード」の機能を使い、不要なキーワードでの広告表示を制限できます。
たとえば、意図しないキーワードのCTR(クリック率)が高い場合、除外設定にすることで余計な費用を支払わずに済みます。
また、インプレッションが多いのにCTRが低い場合、そのまま放置すると品質が低下する恐れもあるため、一時的に除外するのも方法の一つです。
キーワードの検証を行ってコンテンツを拡充することも大切ですが、リスティング広告でも高い成果を上げられるよう、細かく設定を行っておきましょう。
リスティング広告に合わせたランディングページの設定
リスティング広告に合わせたコンテンツとして、ランディングページ(LP)が代表的です。
ランディングページとは、広告や検索結果からユーザーが最初に訪れるページを指します。このランディングページとリスティング広告の内容を適合させておかなければ、アクセス獲得からスムーズな成約にはいたりません。
たとえば、「名古屋の動画制作会社」というキーワードで、リスティング広告を使って検索ユーザーを自社サイトへ流入させました。しかし、その検索ユーザーが最初に目に触れるランディングページに「大阪府全域に対応した動画制作会社」としか記載されていなければ、せっかくの訪問者は離脱してしまいます。
検索ユーザーは、名古屋で利用できる動画制作会社を探しているからです。
もともとリスティング広告は、特定のページへのアクセスを誘導する役割しか果たしません。
そのため、広告と流入先の内容に食い違いがあると、検索ユーザーの期待を裏切ってしまうのです。
ランディングページによって成約に持ち込むには、リスティング広告とマッチする内容を考える必要があります。
コンテンツマーケティングはリスティング以外の広告とも併用可能
コンテンツマーケティングと併用できるのは、なにもリスティング広告ばかりではありません。
ほかにも相性の良いマーケティング施策は多く、以下のような種類が存在します。
併用に向く施策(1):リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、一度サイトに訪れたユーザーに対して再び広告を提示できる手法です。
一度でもサイトを訪れたということは少なくとも自社商品やサービスに興味があるということなので、そのユーザーへピンポイントに広告を訴求するとコンバージョン達成につながりやすくなります。
たとえば、自社と他社商品を一覧で比較できる記事コンテンツを上位表示させ、複数社の商品選びで迷う検索ユーザーを獲得できたとしましょう。
しかし、そのユーザーは冷静に考える時間を持とうと、いったんサイトを閉じてしまいました。
一度サイトを離脱してしまうと興味が薄れてしまうのは事実です。
ただ、その人へ自社商品の魅力やメリットを紹介するリターゲティング広告を流すことで、薄れていた興味を喚起し、購買ページへと誘導ができます。
以前に既存コンテンツを見ているため、広告によって購買意欲を再燃させることができるのです。
コンテンツマーケティングと併用するには、リスティング広告と同じように内容が合致したランディングページが要ります。
一度サイトに訪問したユーザーが次にどのようなアクションを起こそうとするのか、ユーザーの将来像をイメージするとコンテンツを作りやすくなります。
併用に向く施策(2):動画広告
動画広告とは、動画が流れている間の広告枠に映像を挟んで商品やサービスを訴求する手法です。文章や画像だけでは伝わりづらい情報を視覚的に表現できるため、コンテンツマーケティングには好相性といえます。
動画広告には次のような種類があります。
- インストリーム広告:動画の最初や最後に流れる広告
- インリード広告:Webページをスクロールすると各コンテンツの間に現れる広告
- インバナー広告:Webサイトの広告枠に表示される広告
上記3種類の動画広告は、利用するコンテンツの種別に応じて使い分けが可能です。
また、広告といっても広告主として商品やサービスをアピールするのではなく、自社サイトの記事やSNSなどに動画広告のようなPR部分を差し込むといった使い方もできます。
たとえば、動画コンテンツとして自社サービスを実際に利用したユーザーのインタビュー動画を発信したとしましょう。
動画で実際の使用感などを理解できるため、視聴者の購買意欲をかき立てることができます。さらに、動画の前後に自社サービスに関連した広告を挟むことで、燃焼した購買意欲をムダにせず、そのままサービス詳細ページへと誘導できます。
また、不動産会社のコラム記事として、「都内で安心して住めるおすすめの場所」というコンテンツを発信していました。これから引っ越しを考える人には役立つ内容で、そのコラムを基に転入先を検討するかもしれません。
そこで、自社サービスの販売につながるよう、記事の中に「新宿駅から徒歩3分圏内にオープンした○○ビル」のインリード動画広告を埋め込むことができます。
文章を読み疲れた読者に対しても、動画を使って直感的に魅力をアピールできるため、成約にいたるまでの経路がスムーズです。
動画広告を自社のコンテンツの一部として活用するため、広告のような積極的な売り込みではなく、記事の中に動画を溶け込ませることができます。
併用に向く施策(3):アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、Webサイトにバナー広告やテキスト広告を掲載して収益を得る手法を指します。掲載した広告がクリック、または広告主のサイトで商品が購入されると報酬が発生する仕組みです。
動画広告のインリード広告のように自社の広告を掲載できますが、他社の広告を載せて広告収入を得る方法もあります。発信するコンテンツの内容に合う広告を掲載するほど、アフィリエイト報酬が発生する可能性が高まります。
たとえば、転職に役立つコラムや口コミ情報を発信するオウンドメディアを運営していたとしましょう。その情報ページへアクセスしようとするユーザーは、転職に役立つ情報を知りたいのではなく、転職に成功することが本来の目的のはずです。
そこで、転職に関連するマイナビエージェントやリクナビNEXTのアフィリエイト広告を掲載しておくことができます。サイトを訪れたユーザーは、記事コンテンツで転職に役立つ情報を知りつつ、さらに本来の目的である「転職を行うこと」も同時に達成が可能になるのです。
ユーザーが広告をクリック、またはサービスを利用するとアフィリエイト報酬が受け取れます。
自社商品やサービスがなくても広告収入が発生するため、ほかのマーケティング施策に比べて手軽に始められる点がメリットです。
併用に向く施策(4):SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、TwitterやFacebookなどのSNSを利用して顧客の育成やコミュニケーションを図る手法です。コンテンツマーケティングによって獲得した見込み顧客に対し、企業やブランドのロイヤリティを高めたり、興味・関心を深める際に役立ちます。
たとえば、自動車メーカーが公式Webサイトにおいて、新商品がリリースするたびに車の画像や動画を公開していたとしましょう。コアなファンのために過去に販売した車種のコンテンツも残しておきたいものですが、サイト内にあまりにも画像や動画が多いと読み込み速度が遅くなり、ユーザビリティを阻害してしまいます。
そこで、Instagramに関連する画像を掲載することで、自動車メーカーの一大カタログとして発信ができます。ブランドイメージを一目で印象付けできる点がメリットの一つです。
また、ファン同士の情報共有が容易にできるという意味でも、ユーザーとのコミュニケーションにも向いています。
最後に
コンテンツマーケティングとリスティング広告や他の広告に関して解説しました。
コンテンツマーケティングはリスティングやその他広告と併用して利用することで費用対効果がとても高くなります。
コンテンツマーケティングやリスティング等の広告に興味のある企業はぜひお問い合わせください。