コンテンツマーケティングでブランディングをする動きは、年々盛んになっており、その効果の大きさも企業のマーケケティング活動に大きく貢献する手法として注目されています。
コンテンツマーケティングは企業によってその方向性や戦略も異なりますが、コンテンツマーケティングの仕組みや、コンテンツマーケティングでブランディングを行っている企業の事例を研究することで、自社の戦略設計に活かすことが出来ます。
コンテンツマーケティングの仕組みから、ブランディングでよく行われる手法や事例まで、基礎から解説します。
コンテンツマーケティングの仕組み
コンテンツマーケティングでは通常、記事コンテンツ、画像コンテンツ、動画コンテンツを配信し、それらの有益なコンテンツによって企業やサービスの集客やブランディングを行います。
コンテンツマーケティングは従来のような、広告費によりアクセスを買い取るような形ではなく、有益な情報発信により自社ターゲットや見込み客側からその有益な情報を求めて、自らコンテンツに集まってくる構造になっています。
アクセスを獲得する主な流入経路としては、記事コンテンツはGoogle等の検索エンジン、画像コンテンツであればInstagram等のSNS、動画コンテンツであればYouTube等の動画SNSになります。
コンテンツマーケティングでブランディングを行う目的、効果
コンテンツマーケティングは自社メディアを持つため、広告やその他のマーケティング手法と比べて自社でコントロールできる範囲が広く、デザインやコンテンツを含めて自社の目的に合わせてカスタマイズが出来ます。
企業がコンテンツマーケティングを行う主な目的は、集客とブランディングが多いようです。
ブランディングは一般に、企業に対して良いイメージを持ってもらうための施策で、ブランディングされた企業やブランディングされたサービスは集客に対して大きな効果をもたらします。
ブランディングをされた企業のサービスや商品の購入、検討をする際にはブランディングされていない企業よりも顧客の判断が有利になったり、ニーズが発生した時に最初に選択肢として考えてもらえるからです。
コンテンツマーケティングによるブランディングで大切なこと
コンテンツマーケティングでブランディングを行う際に、最も大切な要素は主に以下の2つです。
- ターゲットにとって有益で質の高いコンテンツを制作すること
- 制作したコンテンツがターゲットに届くこと(実際に閲覧されること)
質の高いコンテンツの制作と制作したコンテンツに対するアクセスの獲得は、必ずしも別のこととして認識することではなく、質の良いコンテンツであれば検索エンジンに評価され、検索結果で上位表示されたり、SNSで話題になって拡散される可能性が高くなるため、質の高いコンテンツを制作することで多くのアクセスを獲得する、という方針で企画を行うようにしましょう。
ブランディングコンテンツへのアクセス獲得
このようにブランディングのためのコンテンツにアクセスを集める手段としては、コンテンツの中身が最も大切ですが、各プラットフォームごとにアクセスを集めるためのノウハウも存在します。
検索エンジンを活用する場合にはSEO対策が必要です。
繰り返しになりますが、SEO対策の基本は質の高いコンテンツを制作することです。
それに加えて1つの伝えたいトピックに関しては1つの記事でコンテンツを制作する、また検索された際に内容が読みやすいように、HTML上のタグの構成を工夫する、といった対策を行うことが好ましいと考えられます。
画像や動画でのコンテンツマーケティングの場合は、検索エンジン経由のアクセスではなく、SNS関連のプラットフォームからの流入を狙うケースが多いですが、場合によっては自然に拡散されるまでSNS広告を利用して一定程度のアクセスを広告費を支払って獲得するケースもあります。
コンテンツマーケティングでブランディングする際に使えるツール
コンテンツマーケティングでは記事、画像、動画と合わせて、ブランディングに使えるいくつかのツールがあります。
メルマガ
メールマガジンは顧客や見込み客と、定期的にコミュニケーションをと流ことが出来る便利なツールです。
メールマガジンでは既存の顧客や、会員登録をしてくれた見込み客、といいたターゲットに継続的にコンテンツを配信することが出来ます。
LINE @やSNS等の配信で顧客との接点を持っておくと、メルマガのような配信をすることが出来ます。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは顧客の持っている課題やニーズを整理し、それに対するソリューションやヒントになる情報をまとめて作った資料のことです。
主にBtoB企業で利用され、見込み客が必要としている情報をまとめることにより、顧客からの信頼を得ることが出来、良質なホワイトペーパーはそのサービスのブランディングにも繋がるでしょう。
セミナー
ターゲットが足を運べる、もしくはWeb上でのセミナーを開催して、ターゲットにとって有益な情報発信をする時間を設けることで、ターゲットは企業のことを有益な情報源とみなし、その企業の商品やサービス、企業そのもののブランディングにつながります。
コンテンツ、情報を一方的に配信するだけでなく、直接ターゲットの声に耳を傾け、潜在的に抱えている課題やニーズを聞いたり情報交換をする場があることで、ターゲットからの信頼を得ることにつながります。
セミナーでなくてもイベント等の企画をして設けたターゲットとの交流の場も、ブランディングに貢献します。
自社と相性の良いツールを導入してコンテンツ発信の効率を高める
コンテンツマーケティングでのブランディングのパターン
企業のコンテンツマーケティングのブランディングには、ブランディングをする対象によっていくつかのパターンがあります。
各企業がブランディングしたい対象によってコンテンツ制作方針や、ターゲットの設定等、全体の戦略も変わりますが、よくあるブランディングの対象が以下の3パターンです。
- 企業そのもののブランディング
- サービス、商品のブランディング
- 採用ブランディング
必ずしもブランディングする対象をはっきり分けているケースだけではなく、企業をブランディングすることで採用ブランディングにもつながるケースがあるため、その企業の戦略に応じて対象を選ぶようにしてください。
ブランディングはその企業の理念や考え方を伝えることそのものなので、どの対象で見ても会社、サービスの理念が伝わるようになっています。
次は企業、商材、採用の3種類のコンテンツマーケティングによる事例を見ていきます。
コンテンツマーケティングで企業をブランディング
コンテンツマーケティングで企業そのもののブランディングをするケースです。
企業そのもののブランドイメージ向上は、集客、採用、とあらゆる面に派生して効果的であることが多く、以下の事例のようにターゲットが好感を抱くようなコンテンツ制作が行われます。
【本田技研工業株式会社の事例】
こちらの本田技研工業株式会社の例では、会社の社風や価値観を動画を通して伝えています。
特定の車のPRではなく、会社紹介を通して車に興味が出るような構成になっています。
車の映像はもちろんですが、会社情報で数字や図で伝えた方が効果的な情報はアニメーション(モーショングラフィックス)でわかりやすく表現されています。
【株式会社 そごう・西武社の事例】
こちらは百貨店として「販売」をどのように捉えているか、というメッセージが視聴者が興味を引く形で発信しています。
画像、動画コンテンツはSNSと相性が良いため、西武・そごう社のリツイートも多く、大きな反響が消費者の間で起こっています。
企業イメージの向上(ブランディング)で新規顧客獲得や、既存顧客の良いロイヤリティーにつながっている好例でしょう。
コンテンツマーケティングでサービス、商品をブランディング
コンテンツマーケティングにより自社商品やサービスをブランディングするケースです。
このパターンは現状行われているコンテンツマーケティングによるブランディングでは、最も多いパターンだと考えられます。
サービス紹介は様々なコンテンツの制作パターンがあり、記事コンテンツや動画コンテンツといったコンテンツ制作で企業から最も投資が集まりやすいのが「商品、サービスのブランディング」です。
【記事コンテンツによるブランディング】
クラシコム社の記事によるコンテンツマーケティングは、ECサイトのブランディングとして好例です。
「北欧、暮らしの道具店」という自社メディアを制作し、様々な道具を生活の中でどのように使うと便利なのか、どのような便利なグッズがあるのか、といったことが画像等も交えてユーザー目線でわかりやすく紹介されています。
「北欧、暮らしの道具店」というネーミングやサイトのデザイン等も含めて、世界観が統一されており、ファンが常に配信されている良質なコンテンツを楽しんでいます。
記事を読んだユーザーがECサイトに移動して買い物をすることもありますが、各コンテンツは読み物としても楽しめるため、その場で買い物をしなくてもコンテンツを楽しんだユーザーがブランドとして認知するため、次回以降の買い物で使われたりと長期的なブランディングの効果も大きいと考えられます。
【株式会社 DeNA SOMPO Mobility社の事例】
Anycaというカーシェア事業のサービス紹介動画です。
動画コンテンツは複雑なビジネスモデルや、一見わかりにくいサービス内容でも動画で絵と音声を組み合わせて伝えることが出来るので、コンテンツを見てもらえた際の情報伝達量も多いのが特徴です。
動画のデザインもサービスのカラーと統一されており、サービスイメージが印象として残るため、サービスの認知かつブランディングにも役立っています。
【モンスト(モンスターストライク)公式 YouTubeチャンネルの事例】
モンスターストライクのYouTubeも動画配信を活用して、ゲームユーザーと上手くコミュニケーションをとっている事例でしょう。
ゲームのようにエンタメとして日常的に利用するサービスは、ユーザーとのコミュニケーションの濃さで利用率、継続率が大きく変わってくると考えられます。
サービス、商品のコンテンツマーケティングは記事、画像、動画の組み合わせといった自社とターゲットに合わせたコンテンツ配信が大切です。
コンテンツマーケティングで採用ブランディング
コンテンツマーケティングでの採用ブランディングも、マーケットでの人材不足に合わせて導入が進んでいます。
これまでの採用は純粋に求人媒体等に求人広告を掲載して、求職者からのアクセスを広告費として買い取るか、人材紹介等で1人あたりの採用費を支払うか、といった費用のかけ方が主流でした。
この方法では人材不足が深刻化する中、採用単価は上がり続ける一方で、純粋に採用媒体に料金をかける以外の工夫をしなければ、自社にあった人材をとることも出来なくなっています。
そこで採用ブランディングのコンテンツマーケティングが多用されています。
【サイボウズ社の事例】
この動画ではアリとキリギリスが題材になっており、働き方についての会話がされていますが、直接サイボウズ社の採用情報や求人の内容には一切触れていません。
ストーリーを通して、サイボウズ社の働き方に対する考えや、疑問の投げかけがあり、見た側で考えるような構成になっています。
仕事探しをする人材から見ると、既存の働き方の課題や難しさをしっかりと考えている会社だと認識し、その企業の採用情報に興味を持ちやすいでしょう。
例えば転職する際の、候補企業として迷っている人材に対してのアピールにも大いになります。
採用ブランディングのコンテンツは、求人広告で集めた人材に対して見てもらえるような構造にすることでさらに効果的になりますので、どこからアクセスを集めてどのように訴求するかという全体の設計も大切です。
コンテンツマーケティングのブランディングまとめ
コンテンツマーケティングでのブランディングの仕組みやその事例を解説しました。
ブランディングはその方針を自社の状況に合わせて適切に設計することが大切です。
他社の事例を見ながら、自社の伝えたいことは何なのか、をターゲットに届く方法で自社オリジナルのコンテンツを制作しましょう。
コンテンツマーケティングでのブランディングに興味のある企業様は、是非弊社のコンテンツマーケティング支援サービスについてもお問い合わせください。