資産性の高いコンテンツを提供することで、顧客との長期的な関係性構築に役立つコンテンツマーケティング。
広告やメールといった従来のマーケティング手法に比べ長期運用時の費用対効果が高いため、注目する企業が増えています。
しかし、そのようなコンテンツマーケティングでも正しい手順に沿って実施しなければ、かえって業務効率を阻害したり、思ったように成果が出ないケースも珍しくありません。
そこで今回は、コンテンツマーケティングの流れやフローについて詳しく解説します。正しい流れに沿って自社に最適な体制を構築しましょう。
コンテンツマーケティングの進め方・流れ・業務フロー
コンテンツマーケティングを行うには、次のような流れに沿って業務を進めていきます。
業務の種類 | 業務内容 | |
手順1 | コンテンツ配信プラットフォームの選定 | 検索エンジンやSNS、動画配信サイトなど、コンテンツを配信するプラットフォームを決定する。 プラットフォームは単体で活用できるほか、組み合わせによって相乗効果を発揮することも可能。 |
手順2 | コンテンツの企画 | どのようなコンテンツを制作するか、その土台となる骨子や企画をまとめる。 ペルソナやニーズを想定し、具体的なコンテンツ案を複数落とし込む。 |
手順3 | コンテンツの制作 | 作成した企画に沿ってコンテンツの制作を行う。 記事や画像、動画などのコンテンツの種類によって制作方法や手順が異なる。 |
手順4 | 運用(データ分析、改善) | 事前にKPI(重要業績評価指標)を設定。 分析ツールを用い、週間や月間のKPIデータを抽出し分析を行う。目標に届かない場合はコンテンツ内容を改善する。 |
上記はPDCAのサイクルに似ています。配信プラットフォームの選定やコンテンツの企画は「Plan(計画)」、コンテンツの制作は「Do(実行)」、データ分析や改善を行う運用段階は「Check(評価)」と「Action(改善)」にあたります。
Actionの段階まで来ると既存コンテンツの検証・改善を行うだけではなく、新規コンテンツの企画というPlanの段階に戻り、サイクルを回転させることが大切です。
既存コンテンツの改善と新規コンテンツの拡充を繰り返すことでメディアとしての価値が高まり、売上アップやコンバージョン改善といった好循環が生まれます。
コンテンツ配信プラットフォームの選定
- コンテンツ配信プラットフォームの選定
- コンテンツの企画
- コンテンツの制作
- 運用(データ分析、改善)
コンテンツマーケティングを実施するうえで最初に行うべきことは、配信プラットフォームの選定です。どのような場所でコンテンツを配信するかを決定します。
コンテンツ配信プラットフォームには、主に以下6種類のタイプがあります。
- 検索エンジン(Google、Yahoo!)
- YouTube
- TikTok
1000万人以上の規模のユーザーをそれぞれ抱えており、余程ニッチなビジネスでない限り、ユーザー数がが足りないため、アクセスが獲得できない、ということにならないでしょう。
上記はそれぞれ役割が異なるだけではなく、FacebookやTwitterなど、同じSNSという括りでも得意とするジャンルには差があります。
それぞれの違いをよく理解して使い分けることが重要です。
また、各プラットフォームは単体で利用することもできるほか、複数の選択肢を組み合わせることもできます。
組み合わせによって各プラットフォームのメリットが生かされ、相乗効果を期待できるでしょう。
検索エンジン(Google、Yahoo!)
コンテンツマーケティングでもっとも一般的に利用されているプラットフォームが、GoogleやYahoo!などの検索エンジンです。
一般的に検索エンジンでは、「引っ越しサイト 比較」や「○○料理 作り方」など、検索者の悩みや疑問(キーワード)に対する答えとなるコンテンツが表示されます。
そうしたコンテンツは「Web記事」と呼ばれ、主に文章によって構成されています。
よって、検索エンジンを対象にコンテンツマーケティングを行う場合は、少なくとも文章を書けるスキルを持ったスタッフや、Webライティングを専門とするライターの確保(業務委託や外注)が必要です。
自社にノウハウがない場合は、コンテンツマーケティングの専門会社へ外注することも視野に入れておきましょう。
また、検索エンジン型コンテンツマーケティングに欠かせないのがSEO対策の知識です。
SEO対策とは、Webページにさまざまな施策を行うことで意図的に上位表示を目指す方法です。
検索エンジンでは最低でも20位以内に表示されなければ多くのアクセス数が望めないため、ライティングの技術と共にSEO対策に詳しいライターや専門会社を探す必要があります。
世界での月間アクティブユーザー数が23億8,000万人を記録する最大規模のSNSです。
日本でも約2,800万人の月間アクティブユーザー数がいます。
TwitterやInstagramに比べて利用者の年齢層が高い点が特徴です。
TwitterやInstagramは主に10~20代がメインユーザーですが、Facebookの場合は40代以降のユーザーがよく利用しています。
また、実名登録が基本になっているため、ほかのSNSよりもフォーマル感が強い傾向があります。
そのため、中高年の方をターゲットとし、丁寧で分かりやすいコンテンツの発信に最適です。
Instagramのように投稿した画像をアーカイブに残し、コンテンツを商品カタログのように見せることができます。
ほかにもTwitterのように日常的なつぶやきを投稿することも可能で、総合的なSNSコンテンツマーケティングに役立ちます。
国内の月間アクティブユーザー数は約4,500万人。
日本で2番目に月間アクティブユーザー数の多いSNSです。
特に10~20代の若者から大きな支持を集めており、話題性の高いコンテンツを提供することで情報が拡散される可能性が高まります。
画像や動画をカタログのように見せる方法は向きませんが、短文のツイートを投稿することでキャンペーン情報の発信や商品・サービスのプロモーションを行えます。
たとえば、「最大50%オフセール開催中」というツイートを発信することで、ECサイトやWebサイト販売ページなどにアクセスを促せます。
費用はいっさいかからず、なおかつWeb広告のように情報を発信できる点がメリットです。
ニックネームでも登録できること、メインユーザーが若者中心であるなどの理由から、Facebookに比べてフランクな表現やコンテンツが好まれます。
ただし、あまりにも軽率な言動や公序良俗に反するようなコンテンツを発信すると、アカウントが炎上する恐れもあるので注意しましょう。
Twitterと同様、10~20代のユーザーから多大な指示を集めるSNSです。
コメントと共に画像を投稿でき、投稿した画像が一覧で表示される機能が特徴的です。
旅行会社であれば美しい風景を、メーカーであれば自社で製造した製品の画像を一覧で表示することで、まるでカタログのようなコンテンツを発信できます。
また、最近はInstagramでも動画を投稿できるようになりました。
画像だけでは伝わりづらい製品の詳しい解説や、商品の使い方などを映像によって短時間でアピールできるため、販売促進にも役立ちます。
動画の投稿はYouTubeでも可能ですが、Instagramの場合はユーザーによってお気に入りの動画が拡散されやすく、思わぬタイミングで話題を集める可能性がある点が異なります。
Instagramのアカウントに多数のフォロワーが付くことで、SNS内の口コミで情報が拡散され、Webサイトやオウンドメディアへの集客にもつながりやすくなります。
YouTube
国内ではGoogleの次にアクセス数が多い、動画共有型SNSです。
Googleアカウントを保有していれば誰でもチャンネルを開設でき、さまざまな動画を投稿できます。
ブランドのイメージアップを図るブランディング動画や、商品やサービスの魅力を伝えるプロモーション動画、視聴者の購買意欲を高めるインタビュー・事例動画などが代表的なコンテンツです。
また、YouTubeに投稿した動画は、そのページのURLを貼り付けるだけで複数のメディアに転載できる点もメリットと言えるでしょう。
文章だけでは情報が伝わりにくいブログに掲載することもできれば、SNSやメルマガに添付してコンテンツの質を高めることも可能です。
TikTok
15秒程度の短い動画を投稿できるSNSです。
投稿できる動画の長さは短いものの、誰でも気軽に利用できることから、主に10代の若者世代から絶大な支持を集めています。
企業の場合は話題性の高いコンテンツを提供し、キャンペーンやプロモーションにつなげているケースも珍しくありません。
たとえば、サントリーがNMB48と共同で制作した「ピーカーダンス」は、ダンスの可愛さが若者に受けただけではなく、ユーザー参加型のコンテンツを発信して関連商品やキャンペーンの認知度を高めることに成功しました。
TikTokのメインユーザーである10代は、学校という非常に強力なコミュニティに所属しています。
話題性の高いコンテンツを発信することによりコミュニティ内で情報が拡散しやすくなり、企業やブランドの注目度を高めることが可能です。
コンテンツの企画
- コンテンツ配信プラットフォームの選定
- コンテンツの企画
- コンテンツの制作
- 運用(データ分析、改善)
配信プラットフォームを選んだ後は、実際にコンテンツの企画を行っていきます。
コンテンツを企画する際に欠かせない作業が、ターゲットおよびペルソナの設定です。企業が提供する商品やサービスによってすでにターゲットが決まっていることも多いですが、コンテンツマーケティングを実施するには、ターゲットの情報を細分化し、より詳細なペルソナに落とし込む必要があります。
たとえば、20代女性をターゲットにする場合、その情報をさらに掘り下げ、悩みや不安を明確にします。20代向けの転職サービスを提供する企業なら、「女性の年収アップの方法を知りたい」「転職に有利になる資格は何か」といったニーズを浮き彫りにしましょう。
ニーズが明確になれば、その内容に合わせてコンテンツを考えていきます。女性の年収アップに役立つコラム記事や、転職に有利になる資格を10分程度の動画にまとめるなど、利用する配信プラットフォームに合わせてコンテンツの内容を考案します。
コンテンツを企画する際に重要な点は、1つのコンテンツに対して伝えたい情報を1つだけに絞ることです。仮に1つのWeb記事に複数のテーマを盛り込んでしまうと、発信側の伝えたいことが分かりにくく、読了後の行動(資料請求や会員登録など)につながりません。
伝えたいことが複数ある場合は、テーマごとにコンテンツを分けるようにしましょう。
コンテンツの制作
- コンテンツ配信プラットフォームの選定
- コンテンツの企画
- コンテンツの制作
- 運用(データ分析、改善)
次に、作成した企画に沿ってコンテンツを制作していきます。
コンテンツを制作する流れは次の通りです。
- 社内の人員やリソースを確認
- コンテンツ配信プラットフォームの設立やアカウント開設
- 情報共有ツールを用意
- コンテンツ制作チームの立ち上げ
- コンテンツの制作・外注
基本的な流れは上記の通りですが、記事や画像、動画など配信するコンテンツの種類によって細かい手順が異なります。
記事コンテンツの制作の流れ
記事コンテンツを制作する流れは次の通りです。
- 社内の人員やリソースを確認
- オウンドメディアやブログを開設
- オウンドメディアやブログの初期設定を行う
- 情報共有ツールを用意
- ディレクターやライター、エディターなどの人員を確保
- コンテンツの制作・外注
記事コンテンツを発信する場合は、検索エンジンのプラットフォームを利用します。
そのため、複数の記事をおさめるオウンドメディアやブログといった媒体を開設し、いつでも投稿ができるように共有設定やエディターの基本設定を行っておきましょう。
特にサイト自体がSEOに強い構造になっていないと、いくら記事を制作しても検索エンジンからのアクセスは集まりません。
記事を書く場合に必要となる人員がライターです。
ほかにも、コンテンツの企画や指示をするディレクター、校正や校閲を担当するエディターなど、必要に応じて人員を確保します。
また、制作チームといつでも連絡が取れるチャットツールや、タスク管理ツールの整備も必要です。
画像コンテンツの制作の流れ
画像コンテンツを制作する流れは次の通りです。
- 社内の人員やリソースを確認
- InstagramやFacebookなどのアカウントを開設する
- 情報共有ツールを用意
- ディレクターやイラストレーターなどの人員を確保
- コンテンツの制作・外注
画像をメインコンテンツにする場合、アーカイブやカタログ化が容易なInstagramまたはFacebookのアカウントを取得しておくことをおすすめします。
一方、記事と共に画像を掲載するように、画像をサブコンテンツとして利用する場合、オウンドメディアやブログといった媒体も活用しましょう。
記事コンテンツの場合はライターが必須でしたが、画像コンテンツはイラストレーターが必要不可欠です。社内のノウハウや人員が不足する場合は、外部のプロへ業務委託や外注することも視野に入れましょう。
動画コンテンツの制作の流れ
動画コンテンツを制作する流れは次の通りです。
- 社内の人員やリソースを確認
- YouTubeやTikTokなどのアカウントを開設
- 動画を掲載できるメディア(ブログやメルマガなど)を用意
- 情報共有ツールを用意
- ディレクターやシナリオライター、アクター、ナレーターなどの人員を確保
- コンテンツの制作・外注
動画コンテンツを発信する場合、まずは動画を掲載できるプラットフォームを決めておきましょう。投稿した動画をアーカイブとして残せるYouTubeがおすすめです。
ブログやメルマガなどに動画を掲載する場合でも、YouTubeの動画URLを貼り付けるだけで済むため、アカウントを開設しておくと便利です。
動画を制作するには数多くの人員と豊富なノウハウが要ります。
動画の内容にもよりますが、企画や指示を行うディレクターのほか、動画の構成を考えるシナリオライター、映像の中に現れるアクター、テキストを読み上げるナレーター、撮影した動画を編集するエディターなどが主な人員です。社内に人員が不足する、または確保する手段が見当たらないという場合は、動画制作会社へ外注することをおすすめします。
基本的に外注を利用して進める場合には企画をする段階から外注先にプロジェクトに入ってもらい、目的や戦略を共有しながら進めると効率的です。
運用(データ分析、改善)
- コンテンツ配信プラットフォームの選定
- コンテンツの企画
- コンテンツの制作
- 運用(データ分析、改善)
最後に、企画・制作したコンテンツを実際に運用し、日々のデータを検証しましょう。
優れたコンテンツは一朝一夕で作れるものではなく、何度も改善を繰り返して初めて完成します。
そのため、PDCAサイクルに則って検証と改善を重ねることが大切です。
情報を整理・検証するには、データ分析ツールを使います。たとえば、記事コンテンツの場合はGoogle AnalyticsやGoogle Search Console、動画コンテンツの場合はYouTube Studioの分析ツールなどです。
ただし、分析ツールを使ったとしても、その見方が分からなければ正しい検証はできません。
よって、検証を行う前に目標となる指標であるKPI(重要業績評価指標)を設定しておきましょう。
仮にWebサイトへのアクセス数を増やす場合は、PV(ページビュー数)やUU(ユニークユーザー数)、CTR(クリック率)などをKPIとして設定できます。
KPIはビジネスモデルや業種業態によって様々ですので、目的に合わせて設定しましょう。
週間や月間単位でKPIの数値を検証し、不足が発生するようであれば原因を探ってコンテンツの改善を行います。
記事や画像、動画にかかわらず、コンテンツは何度でも修正が可能です。
コンテンツマーケティングの成果が得られない場合は、コンテンツの検証と改善を繰り返すことで効果を高められます。
コンテンツマーケティングを進める体制を構築する
ここまで計4つの手順に沿ってコンテンツマーケティングの流れやフローをご紹介しました。この手順通りにコンテンツマーケティングを進めるには、各分野に精通した人材やリソースが不可欠です。
そのため、プラットフォームの選定やコンテンツの企画など、何を行うにおいても事前に計画を立て、コンテンツマーケティングを進める体制を整えておきましょう。
しかし、すべての企業にコンテンツを制作できるライターや動画編集者などがいるとは限りません。社内に必要な人員やリソースが不足するような場合は、コンテンツマーケティングを専門とする会社への外注も視野に置いておくことをおすすめします。
コンテンツマーケティング会社によっては、コンテンツの企画から運用まですべてを担うケースもあれば、ライティングや動画の編集など、人材が不足する箇所のみを補填してくれる場合もあり、目的や用途に応じて選び分けられます。
まずは目的や用途を明確にし、そこから必要な人員やリソースを探っていきましょう。
コンテンツマーケティングに興味のある企業はぜひお問い合わせください。