サービス紹介動画やデモンストレーション動画のように、会社そのものを動画で紹介する企業が増えつつあります。
企業イメージを向上させるブランディング動画や、優れた人材を獲得するための採用動画など、各社各様の取り組みが目立ちます。
このような会社紹介動画に最適な映像表現手法が、今回お伝えする「アニメーション」です。
特に、複雑な製品を扱っていたり、実写では表現が難しかったりする場合、映像表現の幅が広いアニメーションが役立ちます。
今回は、会社紹介のアニメーション動画のメリットや事例、料金などを解説します。会社紹介のアニメーション動画の制作方法を理解し、効果的に活用していきましょう。
会社紹介のアニメーション動画のメリット
まず、会社紹介のアニメーション動画を制作することでどのようなメリットがあるのか、という点を解説します。
会社紹介のアニメーション動画を制作すると、「動画としてのメリット」と「アニメーションとしてのメリット」の2つを享受できます。
動画としてのメリット
動画としてのメリットは以下の3点です。
- 企業そのものをユーザーに知ってもらえる
- 大量の情報を短時間に伝えることに長ける
- SEO対策やコンバージョン率向上の重要なコンテンツに成り得る
企業そのものをユーザーに知ってもらえる
動画で会社紹介を行うと、企業そのものをユーザーに知ってもらいやすくなります。
つまり、企業のブランディングにつながるということです。
従来、企業のことをユーザーに知ってもらうためには、Webサイトといった文章と画像に頼る方法と、会社見学などの物理的な手段が一般的でした。
より効率的に企業を知るには、Wikipediaを見るというのも方法の一つです。
しかし、会社見学は距離的に困難なケースが多く、Webサイトの場合は文章だけで企業のすべてを伝えるには限界があります。
一方の動画なら、企業がユーザーに伝えたい情報をそのまま映像にすることができます。
歴史や実績といった言葉で表せる情報だけではなく、企業が持つ独自のカラーや希望する会社イメージなどの抽象的な概念も動画の中に含められます。
会社のイメージを向上させ、そこから商品やサービスの購買に結び付ける経路を構築しやすいと言えるのです。
大量の情報を短時間に伝えることに長ける
アメリカの調査会社Forrester Researchの調査によると、1分間に含められる情報量は180万語にも及びます。
180万語はWebページ1,800個分(1ページ1,000文字の場合)にも相当し、いかに動画が大量の情報を短時間で伝えられるかを表しています。
歴史のある企業ともなると、会社を紹介するために沿革や事業内容、製品ブランド、CSRなど、伝えられる情報も膨大になります。
仮にパンフレットでその情報を伝えようとするとページ数がかさんだり、Webページにすると何度もスクロールを求められるようなページになってしまうでしょう。
これではユーザーが見る気を失ってしまいます。
動画であれば大量の情報であっても短時間の尺におさめられるため、ユーザーに気軽な気持ちで情報を知ってもらうことができます。
SEO対策の重要なコンテンツに成り得る
SEO対策とは、ブログやWebサイトに価値のあるコンテンツを掲載し、意図的に検索エンジンの上位に表示させようとする取り組みです。
たとえば社員ブログなどが上位に表示されるとWebサイトへのアクセス数が伸びるため、マーケティングに活用する企業も少なくありません。
これまでのSEO対策と言えば、文章表現をいかに工夫するかが第一の課題でした。
しかし最近になり、数あるコンテンツの中でも動画が高い価値を持つようになったことで、Web記事の中に動画コンテンツを含めることもSEO対策の有効な手段になりつつあります。
また、実際に自社サイトに埋め込まれている会社紹介動画を見たユーザーはその企業への問い合わせや採用に対する応募をする可能性が高まると考えられ、コンバージョン率工場への貢献もあるでしょう。
長い期間利用できるアニメーション会社紹介動画をブログやWebページの一部に掲載しておくことで、Webサイトの価値が高まり、アクセス数が飛躍的に高まり、さらに問い合わせ等のコンバージョン率も上がる可能性があります。
アニメーションとしてのメリット
アニメーションとしてのメリットは以下の3点です。
- 伝えたいことを表現しやすい
- 別の動画の手法と組み合わせがしやすい
- 資産価値が高い
伝えたいことを表現しやすい
アニメーションであれば伝えたいことを容易に表現できます。
実写映像とは異なり、アニメーションは頭の中のイメージをそのまま映像にできるからです。
たとえば、総合重工業メーカーであるIHIは、アニメーションのメリットを効果的に活用した動画を公開しています。
上記の映像の中に出てくるビルや車、飛行機、橋といったものはすべてアニメーションで作られています。
本来、こうした動画を実写で撮影しようとすれば莫大な予算と長い制作期間が必要ですが、アニメーションだとその心配もありません。
イメージをそのまま映像として制作するだけで済みます。
さらに文字やイラスト、図形などを組み合わせることによって、映像だけでは表現が難しい内容も伝えられます。企業イメージといった抽象的な概念を伝えやすい点もアニメーションのメリットです。
別の動画の手法と組み合わせがしやすい
アニメーション動画のメリットの2点目は、使い勝手に優れることです。アニメーション以外の動画の手法と組み合わせがしやすく、自由な発想で映像を制作できます。
たとえば、インタビュー動画は特にアニメーションと相性のよい手法の一つです。
会社紹介動画の中では、理念や経営思想を明確に伝えるために社長や役員へのインタビュー映像がよく使用されます。
インタビュー動画は企業に対する信頼を醸成するためには最適ですが、企業が持つ硬いイメージがあったり、動画の時間が長いと視聴者が退屈さを感じてしまったりする恐れがあります。
そこで、インタビュー動画とアニメーションを組み合わせることで、インタビュー動画が持つ信頼的なイメージと、アニメーションが持つ軽快で手軽といったイメージをうまく融合できます。
画面の動きが少ないインタビュー動画だからこそ、躍動感のあるアニメーションを加えると視聴者を飽きさせません。
資産価値が高い
実写動画には、時代が進むに連れて映像が劣化しやすい欠点があります。
たとえば10年前のテレビCMを見てみると、何となく古臭い映像だと感じてしまうことがよくあります。
一方のアニメーションであれば、たとえ年数が経過してもあまり映像が劣化しません。
時期によっては映像のトレンドが変わることもありますが、常に映像の新鮮さを保てる点はアニメーションの大きなメリットです。
1つのアニメーション動画が長く、何度でも使えるということなので、資産価値が高いと言えます。
会社紹介動画(アニメーション)の料金相場表
会社紹介のアニメーション動画は、自社に適切な人材やリソースがあれば自作も可能です。
しかし、動画撮影や編集のノウハウが不足していたり、撮影機材がないケースがほとんどなので、動画制作会社に依頼する企業も少なくありません。
動画制作会社に依頼すると、会社紹介動画の企画から撮影、編集まですべての作業を担ってくれます。
人材やリソースがない場合でも、動画制作のノウハウ不要で作品が完成する点がメリットです。
ただし、動画制作を依頼するためのコストとして、以下のような料金が発生します。
動画の長さ | クオリティ | 料金相場 |
1分以下 | 高 | 30~55万円 |
低 | 5~30万円 | |
1分超3分以下 | 高 | 50~150万円 |
低 | 30~100万円 | |
3分超 | 高 | 120万円~ |
低 | 50万円~ |
また、動画制作会社によってはアドオンに対応できる場合もあります。
アドオンとは、映像にナレーションや3DCGなど、追加の演出を組み込むことです。
アドオンを追加すると以下のような別途費用が必要ですが、動画コンテンツとしての質を高められます。
エフェクト・加工内容 | 料金相場 |
ナレーション費 | 5~20万円 |
サウンドエフェクト | 5万円前後 |
カラーグレーディング | 10~30万円 |
CG加工 | 100~250万円 |
3D加工 | 100~250万円 |
上記の料金相場が少し高いと感じる場合は、制作会社に依頼する方法を工夫してみましょう。
次のような方法を駆使することで外注費を抑えることができます。
- 自社に不足する部分のみの外注を行う
- 社内のスタッフを活用する
動画制作会社によっては、「企画のみ」「映像制作のみ」など制作の一部のみを依頼できるケースもあります。
一部のみの外注だとフル制作より料金がはるかに安くなるため、自社でまかない切れる範囲を決めておくことで費用を抑えられます。
また、社内の人員を有効に使うことも効果的です。
たとえば動画の3分の1を社員へのインタビュー動画にし、その撮影を自社で行い、素材を用意することで外注費を引き下げられます。
上記のような点は制作会社と相談しながら考えることも可能です。
まずは予算、費用感を把握するために制作料金のシミュレーションから始めましょう。
会社説明動画をアニメーションで制作する際のポイント
会社紹介のアニメーション動画を制作会社に依頼する場合でも、「どのような動画を作りたいか」という部分は自社でしっかりと固めておく必要があります。動画を制作する目的やターゲットなどをもっとも把握しているのは、何を置いてもその会社自身だからです。
ここでは、会社紹介のアニメーション動画を制作するポイントを2つ解説します。
目的や用途を絞り込む
まず、会社説明動画を制作する目的や用途を明確にしていきましょう。こうした計画を立てずに動画制作を進めてしまうと、「誰に、何を、どのように伝えたいのか」といった部分が分かりづらく、結局コンバージョンに結び付かなかったという事態に陥りがちです。
たとえば、会社説明動画を活用するシーンだけでも、以下のような内容を想定できます。
- ブランディング動画で会社のイメージを向上させる
- 沿革を詳しく説明する動画で会社への理解度を高める
- 事業内容を詳しく解説してサービス紹介動画へとつなげる
- 英語で会社紹介を行い海外クライアントの認知度を高める
- 採用動画として新卒に会社のことを詳しく知ってもらう
こうした動画の活用方法が異なれば、当然ですが企画する内容にも大きな差が生まれます。
慣れないうちは大まかな目的や用途でもよいので、ある程度の骨組みを考えておくと、動画制作会社に依頼する場合でもスムーズに発注できます。
ターゲットを絞り込む
次に、動画を見てもらいたいターゲットまで絞り込んでおきましょう。
動画を作る目的や用途と同じように、ターゲットが異なると動画の内容も大きく異なります。たとえば英語の会社紹介動画なら海外クライアント、採用動画なら新卒の求職者といったように、動画の活用方法に合わせてターゲットを明確にすることが大切です。
実際の企画は動画制作会社が行うことが多いですが、企画を行う前にまずお客様のヒアリングを行います。
その際にターゲットについてもヒアリングを行うため、あらかじめ動画を見てほしい対象を絞り込んでおくとスムーズです。
アニメーションの会社紹介動画の事例
最後に、アニメーションを活用した会社紹介動画の事例をご紹介します。
事例(1)佐川グローバルロジスティクス
佐川グローバルロジスティクスは、SGホールディングスの中でコンサルティングやプラットフォーム物流、オーダーメイド物流などを展開する企業です。
SGホールディングスには、デリバリーやロジスティクス、不動産など多数の事業を展開しているため、上記のように特定事業を紹介する動画があると事業内容を簡単に理解できます。
映像はすべてアニメーションになっており、ナレーションに合わせて細かいキャラクターやイラストなどが軽快に動きます。
アニメーションは印象に残りやすく、見ていて飽きない性質があるので、事業を紹介するような硬い内容にも合っています。
事例(2)IHI
総合重工業メーカーであるIHIの会社紹介動画です。
消費者にとって重工業メーカーは事業内容を想像しにくい業界ですが、アニメーション映像を駆使することで、「この企業では橋や飛行機、衛星などインフラにまつわる製品を作っている」ことがイメージ的に理解できます。
この動画にはナレーションがいっさいないことが特徴です。
ナレーションがなくても事業内容が感覚的に理解できるのは、モーショングラフィックスという技術を採用しているからです。
モーショングラフィックスとは、本来は静止画のロゴやイラスト、テキストなどに動きや音を加える表現技法。
IHIの事例では自社のロゴをうまく組み合わせ、アニメのようにロゴを動かして映像を表現しています。
非常に印象に残りやすい優れた事例と言えるでしょう。
事例(3)大和工業グループ
姫路を拠点にする鉄鋼会社、大和工業グループの会社紹介動画です。こちらも映像のすべてをアニメーションで表現しています。
上記のIHIの事例と同じく、重工業といった非常に大きな製品を扱う場合、実写動画で事業を紹介するのは簡単ではありません。
実写映像を撮影するために多大な費用や手間がかかってしまうからです。
一方、アニメーション映像であれば製品の体積が大きくても、グラフィックで容易に映像化ができます。
大和工業グループのようにナレーションの内容に合わせてアニメーション映像を動かすことで、難しい内容でも理解しやすくなります。
事例(4)JR西日本
アニメーションと実写映像を巧みに組み合わせた事例が、JR西日本の新卒採用動画です。
上記の動画は、「MISSION 想像以上を、創造せよ」というコンセプトの下、2021年度の新卒採用動画として公開されています。
ナレーションの代わりに軽快なポップミュージックが印象的です。
テキストやグラフなどをアニメーションで再現することにより、ナレーションがなくても内容が理解できます。
アニメーションと共に、実際に働いている人の姿を実写で載せることで、働く姿が想像しやすくなります。
アニメーションの会社紹介動画の制作に興味のある企業はぜひお問い合わせください。