動画制作には、アニメーションや実写映像、あるいは両者を組み合わせた動画の3つの種類があります。
さらに細分化すると、アニメーションや実写映像にもさまざまな種類が存在します。
種類が多いこともあり、たとえばモーショングラフィックスで動画を制作した場合、「どのような雰囲気に仕上がるのか」という点をイメージするのは困難です。
完成形のイメージが難しくなるほど、動画の企画や構成に手間を要します。
そこで今回は、数ある動画制作の種類ごとに、分かりやすい参考動画を紹介しながら解説していきます。
事例や解説を参考に、自社に最適な動画の種類を選び分けましょう。
動画制作の種類
動画や映像制作には、次のような3つの種類があります。
- アニメーション動画制作
- 実写映像制作
- アニメーション動画+実写映像制作
上記のような制作方法の違いにより、完成形のイメージは随分と異なります。
そこで企画を考える段階で、アニメーションや実写などの種類を選んでおきましょう。
事前に種類を決めてしまうと、その後の企画作りをスムーズに行えます。
ここからは、動画制作の種類が異なるとどのような映像が完成するのか、さまざまな事例を踏まえつつ解説していきます。
アニメーション動画制作
アイデア次第で自由な発想によって制作できるのが、アニメーション動画の特徴です。
実写映像に比べて費用を抑えられることが多く、なおかつ非現実的な映像でも表現できます。
ただし、アニメーション映像にも複数の種類があります。
たとえば文字や画像などに動きを加えるモーショングラフィックスや、白い背景に絵を描くように映像を表現するホワイトボードアニメーション、立体的な表現を可能にする3Dアニメーションなどです。
上記のような種類の違いは製作費にも影響するため、アニメーション動画を制作する場合は事前に種類まで決めておきましょう。
各種類による動画の完成形イメージは以下の通りです。
事例(1)モーショングラフィックス
モーショングラフィックスとは、テキストやイラスト、ロゴといったグラフィックス要素に動きを加える手法です。
本来動かないはずのグラフィックス要素に動きが加わるだけで新鮮に見え、動画をより印象に残りやすいものにします。
モーショングラフィックスは、伝わりづらい文章を補足するときや、抽象的なイメージを具体的に表現したい場合に最適です。
上記の参考動画のようにアプリやサービスといった無形商材であっても、ナレーションに合わせてイラストに動きを付け加えると、格段に内容が分かりやすくなります。
事例(2)ホワイドボードアニメーション
ホワイドボードアニメーションとは、白い背景を土台に、人間が絵を描くように映像を構築していく手法です。
上記動画のように、ナレーションに沿って、手書き風のイラストが徐々に完成していく形となります。
背景画像が常に均等なので、モーショングラフィックスよりも映像がシンプルにおさまります。
たとえば視認性に優れるモーショングラフィックスでも、素材を多用しすぎると説明が頭に入ってきづらくなるため、よりシンプルに説明だけ行いたいときにはホワイドボードアニメーションが最適です。
事例(3)3Dアニメーション
3Dアニメーションとは、グラフィックス要素を3次元で表現する手法です。
奥行きのある立体的な映像表現ができるため、動画の内容を視聴者の記憶に残しやすくなります。
また、実写のようにリアルで立体的な映像を表現できるだけではなく、非現実的な角度からの映像表現も可能です。
上記の参考動画はポップでコミカルな印象に仕上がっていますが、作品によってはダイナミックで臨場感あふれる映像を作ることもできます。
ただし、数あるアニメーション手法のなかでも制作費が高額です。
3Dアニメーションを活用するなら、同じモデルを使ってシリーズ化させるなど費用を抑える工夫が必要でしょう。
事例(4)ストップモーション
ストップモーションとは、実在する物体を1コマごとに撮影して映像化する手法です。
上記の動画のように紙のような薄い素材を利用することもできれば、人形やミニチュア、オモチャなどを活用することもできます。
2次元の素材を活用する、ほかのアニメーション手法とは対照的です。
上記の動画の通り、ストップモーションの映像は決してスムーズではありません。
しかし、ぎこちない動きが逆に独特な味わいをもたらすため、映像に独自性を加えたい場合に最適です。
事例(5)手書きアニメーション
手描きアニメーションとは、手で描かれたグラフィックスを1コマずつ動かして映像化する手法です。
日本でお馴染みの漫画アニメと言えば、まさしくこの手法を採用しています。
手描きアニメーションは、描き手によって作風に大きな違いが現れます。
同じ企業のプロモーション映像でも、描き手が変わると動画の印象が大きく異なるため、情報を発信するタイミングによってまったく異なる映像を公開したい場合に役立ちます。
実写映像制作
人の心に訴えかける動画を作成したいなら、実写映像がおすすめです。
アニメーション映像に登場する架空のキャラクターに比べ、実在する人物のほうが視聴者の共感を得やすくなります。
有名な芸能人を起用するとその人のイメージに左右されることもありますが、キャスティングをうまく活用すれば効果的なブランディングにつながるでしょう。
また、実写映像は、実物の製品や店舗型のサービスなどの訴求にも向いています。
製品そのものの機能やデザイン、あるいは具体的な使い方を紹介することで、視聴者への直接的なアプローチが可能です。
実写映像には、商品・サービス紹介動画やデモンストレーション動画、ブランディング動画などさまざまな種類があります。
訴求を行う対象製品やターゲット、キャスティングに応じて幅広い用途に活用できます。
事例(1)商品・サービス紹介動画
商品・サービス紹介動画とは、現物の製品を使って特徴や機能、メリットなどを直接的に訴えかける動画です。
無形商材など概念的なサービスを紹介するときはアニメーション動画が適しますが、実在する商品や店舗サービスなどの場合は、実写のほうがよりリアルな雰囲気を伝えられます。
上記は、ソニーが提供する「Cinema Line FX3」を紹介する動画です。
カメラを使って実際に撮影をする映像を見せながら、独自の機能などを紹介しています。
こうした製品機能の紹介は、文章や画像を使うと情報量が多く、Webページやカタログがかさばってしまいます。
しかし、Cinema Line FX3のような豊富な機能を搭載している製品でも、動画であれば短い時間で全容を伝えられます。
自社サイトの商品ページに直接動画を埋め込むこともできれば、SNSで発信して商品ページにアクセスを促すことも可能です。
さまざまなシーンで活用できるのが、商品・サービス紹介動画のメリットです。
事例(2)デモンストレーション動画
デモンストレーション動画は実演動画とも呼ばれ、商品やサービスの具体的な使い方を映像を使って紹介する動画です。
視聴者に具体的な使い方をイメージさせることで、販売意欲の向上から購買促進へとスムーズにつなげられます。
上記は、クラウド会計ソフトfreeeの基本的な使い方を説明するデモンストレーション動画です。
特にクラウドサービスや無形商材は購入前に使い方をイメージするのが難しく、紹介動画を発信するだけでは購買に結び付かないケースも珍しくありません。
その点、デモンストレーション動画を発信すれば、購入後の活用方法をイメージさせることができるため、視聴者に納得感を与えられます。
商品ページに掲載する紹介動画と共にデモンストレーション動画を発信することで、製品のメリットや魅力を紹介して消費者の心をつかんだ後、スムーズに購買意欲をかき立てられるでしょう。
また、タブレットなどに動画を保存しておけば場所を選ばず発信できるため、営業活動の効率化にも役立ちます。
事例(3)プロモーション映像
プロモーション映像とは、直接的に販売促進を行う動画のことです。
30秒や1分など、あらかじめ動画の尺を決めたうえで、端的に商品やサービスを訴求するケースが一般的です。
テレビCMや広告用動画としても活用できます。
上記は、ハーゲンダッツの新商品「デコレーションズ」のプロモーション映像です。
15秒ほどの短い動画ですが、商品の魅力がうまく凝縮されており、デコレーションズ特有の食感が映像からも伝わってきます。
動画の尺に合わせて最適な企画を考案することで、テレビCMやWeb CM、YouTube広告などにも適用しやすくなります。
事例(4)ブランディング動画
ブランディング動画とは、企業やブランド、製品のイメージを伝える動画です。
消費者に直接プロモーションを行うのではなく、認知度の拡大やイメージアップを目的に動画を発信します。
上記は、Appleが新しく発売した「AirPods Pro」のブランディング動画です。
商品・サービス動画のように製品の持つメリットや魅力を直接的に訴えかけるのではなく、ブランディング動画では、雰囲気や印象といった抽象的な概念を訴求している点が特徴です。
まずはブランドや製品の存在を知ってもらうことに焦点をあてています。
事例(5)企業紹介動画
企業紹介動画とは、商品やサービスの前に企業の存在を消費者に知ってもらい、会社そのものの認知度やイメージを向上させる動画です。
事業内容や沿革、ビジョン、社長のメッセージなど、発信する内容によって動画の種類が大きく異なります。
上記は、大手総合建設会社である鹿島建設の企業紹介動画です。
この動画では、鹿島建設が構想を描く将来的なビジョンを取り上げています。鹿島建設は未来100年の壮大な計画を抱いており、実写映像だからこそ、その圧倒的なスケール感を表現できます。
誰もが知る有名企業が企業紹介動画を発信しても、あまり意味がありません。
企業紹介動画は、知名度の低い企業や、BtoB向けなどサービス内容が分かりづらい事業を展開している場合などに最適です。
事例(6)コンテンツ動画
コンテンツ動画とは、動画にストーリーやオリジナル性を加えて独自の映像作品に仕上げた動画です。
独自のコンテンツを発信することで企業やブランド、製品に注目が集まりやすく、間接的な販売促進や売上の向上につなげられます。
上記の動画は、TSUTAYAが運営する「TSUTAYAビジネスカレッジ」のオリジナルコンテンツ動画です。
ビジネスカレッジでは、ビジネススキルや自己啓発、投資などにまつわる書籍やDVDを販売しています。
さらにYouTubeの公式チャンネルにて有名講師を招き、書籍やDVDの内容を専門的な観点から解説。
動画コンテンツとオンライン販売サービスの相乗効果により、販売促進に結び付ける仕組みです。
コンテンツ動画には、ほかにも自社商品を使ったオリジナル映画・アニメ製作や、多数の専門家を招いた対談動画、自社スタッフによる自社製品のレビュー動画などの種類があります。
アイデア次第で自由に動画を制作できるのがコンテンツ動画のメリットです。
事例(7)インタビュー動画
インタビュー動画では、インタビュイーを誰に設定するかによって内容が大きく変わります。
上記動画のように、外部から属性の異なるさまざまな人物をインタビュイーに設定することで、「スキンケア診断」などのオリジナルコンテンツへとアクセスを促せます。
ほかにも、「お客様の声」を紹介して消費者の購買意欲を高めたり、社長や社員にインタビューして採用活動につなげることも可能です。
事例(8)採用動画
採用動画とは、事業内容や働き方、社員などを紹介して会社自体のプロモーションを行う動画です。企業のビジョンや社員の熱意に視聴者が共感することで、広く優秀な社員を募れることもあり、採用活動をより効率的に進められます。
採用動画を活用する場合は、映像ならではの企画を構成を考えることが重要です。
求人票に記載されているような情報を淡々と紹介しているだけでは、エントリー率の向上に結び付く可能性は薄いため、具体的な働き方紹介やインタビューなどを活用し、文章では説明しづらい情報を伝えるようにしましょう。
アニメーション動画+実写映像制作
動画制作では、アニメーションと実写映像を組み合わせることもできます。
1つの映像に両者を組み入れることで、抽象的なイメージを伝えやすいアニメーションのメリットと、視聴者の心に刺さりやすい実写映像のメリットの両方の恩恵を得られます。
ここでは、アニメーションと実写映像をうまく併用した2社の事例をご紹介します。
事例(1)Zomato
「Zomato」は、インドを拠点に世界中でデリバリーサービスを提供する企業です。
上記の動画では、メインの実写映像に一部アニメーションが含まれています。
アプリからデリバリーサービスを利用する際は、実写映像だけで訴求するのは困難です。そこで映像に登場する人物の脳内をイメージできるようなアニメーションを加えることで、ナレーションがなくてもサービス内容が伝わりやすくなります。
事例(2)トヨタ
上記は、トヨタが開発した新型エンジンのプロモーション動画です。
動画の前半部分では実写映像を使用していますが、後半部分に現れるエンジンの紹介映像では3Dアニメーションを活用しています。
3Dアニメーションを利用することで、複雑なエンジンの構造を詳細に伝えられます。
その時に動画を制作する目的は何なのかを基準にして最も相性の良い種類の動画を選びましょう。
弊社では動画の種類の選定から企画制作サービスまで提供可能です。
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