近年、ビジネスシーンでコンテンツマーケティングという言葉を耳にする機会が増えてきました。
コンテンツマーケティングとは、消費者に価値のあるコンテンツを届け、アクセスの獲得や購買意欲の向上、ファンの獲得といった成果につなげようとする施策のことです。
その中でも、特に「動画」コンテンツに注目が集まっています。
動画は文章よりも大量の情報を含めることができ、画像よりも印象に残りやすいため、企業との相性が良いという特徴があります。
ただ、動画コンテンツの適切な活用方法を知らないと、成果を出すことは困難です。
そこで今回は、動画コンテンツの活用方法を詳しく解説します。
企業の活用事例もあるので、自社に最適な動画コンテンツの種類まで理解することができます。
企業で進む動画コンテンツの活用
現在、テレビに匹敵する一大メディアへと成長しつつある動画市場。
特に若い世代を中心に動画コンテンツを楽しむ、動画で情報を調べるといったことが日常的になりつつあります。
そのような中、動画によって消費者の興味を引こうとする企業が増えてきました。
2020年の動画広告市場は、2019年より114%拡大しています。
年々市場が拡大している中、2024年には2020年の約2.3倍にあたる6,855億円にまで規模が拡大する見通しです。
動画広告の市場規模が拡大しているということは、企業が動画を使って自社商品やサービスのアピールを積極的に行っているということです。
上図はあくまで予測にしかすぎませんが、将来的に動画を活用する企業が増えるのは間違いないでしょう。
企業が動画コンテンツを活用するメリット
企業で動画コンテンツの活用が進んでいるのは、主にWebマーケティングにおいて動画を使うメリットが大きいからでしょう。
メリットには次のようなものがあります。
- Webページよりも大量の情報を盛り込める
- 消費者の生活スタイルに適っている
- 文章や画像よりもユーザーの印象に残りやすい
- ホームページやSNSに掲載できるなど活用の幅が広い
- SEO対策に間接的に効果がある
企業が発信するコンテンツと言えば、いままではホームページやブログで記事を発信することが一般的でした。
そうした記事はSEOに強く、アクセス数の向上が期待できるものの、文章を読むのが苦手なユーザーも少なくありません。
一方の動画であれば、音楽を聴くように手軽に視聴できるため、記事よりも多くのユーザーを獲得できるチャンスが生まれます。
さらに文章や画像に比べて動画は印象に残りやすいため、企業のサービス紹介やブランディングと相性が良い点もメリットの一つです。
動画コンテンツの種類
Webマーケティングの一環として動画を活用する場合は、動画コンテンツの種類をよく理解しておきましょう。
動画コンテンツは、その種類によって活用できるシーンが大きく異なります。
よって、種類を理解していないと目的や用途に合った動画が制作できません。
動画コンテンツの種類には、以下3つのタイプがあります。
動画コンテンツの種類 | 主な内容 |
ホームページ用サービス | ホームページの中に動画を貼り付ける方法。 |
YouTubeコンテンツマーケティングの動画 | 独自のコンテンツを企画し、YouTubeに動画を投稿する方法。 |
その他SNS配信用動画 | FacebookやTwitter、Instagramなどに動画を掲載する方法。 |
各種動画によって製作費も変わってきますので、以下で制作したい動画の費用感を把握しましょう。
ホームページ用サービス・商品紹介動画
自社ホームページの中に直接動画を貼り付ける方法です。動画を貼り付けるのは非常に簡単で、YouTubeに動画を投稿し、そのURLを特定のページに貼り付けるだけで済みます。
ホームページに掲載する動画は、自社サービスや商品を紹介する内容が一般的です。
たとえば、ホームページ内で自社製品を販売していたとします。
当然、その中には製品の仕様やカラーバリエーション、画像、ショッピングカートなどの要素を掲載しているはずですが、さらに動画を掲載することで消費者の購買意欲を高められます。
製品によっては、文章や画像だけでは内容が分かりづらいケースもあります。
そこで、動画によるデモンストレーションや、その製品を使うメリットなどを紹介することで、消費者は製品を使う具体的なイメージが湧きやすくなり、購買意欲が向上するのです。
リノベーションサービスを提供する「リノベる。」は、自社のサービスを動画でうまく表現しています。
動画の長さはわずか3分のみ。
本来、「リノベる。」のようなサービスを紹介するには、膨大なページ数に及ぶカタログや、何度もスクロールを求められるWebページが必要ですが、大量の情報量を詰め込める動画を使うことでシンプルな内容にまとまっています。
上記のような動画をホームページに掲載しておくと、訪問ユーザーは短時間でサービスの内容を理解できます。
その結果、資料請求や問い合わせといったコンバージョンへとスムーズに結び付き、成約率が向上します。
YouTubeコンテンツマーケティングの動画
自社で独自の企画や構成を考え、YouTubeからコンテンツとして発信する方法です。
自社のサービスや商品に直接関係のないコンテンツでも、その内容が興味深いものであれば、情報が拡散して企業の認知拡大やロイヤリティの向上などにつながります。
YouTubeで優れたコンテンツを展開しているのが、医薬品や食料品メーカー「大塚製薬」(動画の概要欄にURLあり)です。
「Brunch with the Girls」というタイトルで、米国ドラマのようなコンテンツを発信しています。
ストーリーは、4人の女性が美容や健康の話題について雑談を繰り広げるという内容です。
動画の最後では、その後の続きが気になる女性を1人選ぶと、その女性の独自のストーリーが展開。
選択肢によって動画の内容が変わるという非常にユニークなコンテンツです。
この動画はコンテンツの内容やストーリー構成が優れているだけではありません。
動画の随所でしっかりと製品のプロモーションを行っている点がポイントです。
大塚製薬が提供するサプリメントが映像の中でさり気なく登場したり、動画の最後にサプリメントの診断サイトに飛ぶなど、コンバージョンにつながる仕組みが隠されています。
その他SNS配信用動画
FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSに動画を配信する方法です。
FacebookやTwitterでは、投稿と共に動画を簡単に添付することができます。Instagramは画像の投稿が中心でしたが、最近では投稿に動画を活用する企業も少なくありません。
写真と同じように、複数の動画をカタログのように掲載できる点がInstagramの強みです。
SNSに動画を掲載するメリットは、ユーザーとコミュニケーションを取りながら商品やサービスのプロモーションにつなげられることでしょう。
SNSでは、投稿に対してユーザーの直接的なリアクションがあるため、その反応を見ながら最適なコンテンツを掲載できます。
セレクトショップ「ナノユニバース」は、SNS配信用に適したプロモーション動画を公開しています。
動画の中では、ナノユニバースの商品でコーディネートした男性モデルが登場。
ときおり彼が着用しているジャケットやパンツ、シャツといったアイテムが画面中に登場し、視聴環境によってはそのアイテムをクリックすると実際に購入できる仕組みです。
従来の動画のように、「購入ページはこちら」といったリンクを掲載する必要がないため、消費者はスムーズに購買ができると考えられます。
SNSで情報が拡散されることで、その動画も数多くのユーザーに共有されます。
まさしく「動画が勝手に営業を行ってくれる」という、非常に優れた活用方法です。
コンテンツ型動画広告も導入が進む
企業における動画コンテンツが注目されるに連れ、動画広告においてもコンテンツ化の流れが加速しています。
従来、動画広告と言えば、テレビCMのようなプロモーション映像が一般的でした。つまり、企業のサービスや商品を積極的に売り出すような内容です。
しかし、最近では、動画広告でも企業のセールス感を薄めたコンテンツ重視のものが増え始めています。
動画広告をうまくコンテンツ化させたのは、DVDのレンタルサービスでお馴染みに「TSUTAYA」です。2万枚のDVDを絵画のように見せるコンテンツが一時話題を集めました。
画面の中央に見える顔のようなものは、すべて棚に並んだDVDです。その顔がナレーションに合わせて実際に話しているように見えます。
実際に2万枚のDVDを並べ、コマ撮りで撮影することで、顔の表情が変化するような映像を表現したそうです。
この動画の中では商品やサービスのプロモーションはほとんど行われていません。
代わりにコンテンツとして非常に興味深い内容に仕上がっており、30万回以上の再生数を獲得しています。
既存の広告(ランディングページ)との組み合わせも
動画コンテンツは動画広告以外にも、既存の広告とも組み合わせることができます。
たとえば、リスティング広告やディスプレイ広告では、広告をクリックするとランディングページに飛びます。
このランディングページに動画を掲載しておくことで、文章と画像、動画のマルチコンテンツによる訴求が可能です。
ランディングページでは、商品やサービスの魅力を1ページの中に詰め込みます。
この際、文章や画像だけだと情報量が多くなり、何度も画面をスクロールしないと全容が把握できないようなページになりがちです。
これでは読者が読み疲れてしまい、コンバージョンに至らない可能性が高まってしまいます。
そこで、膨大な情報を短時間で伝えられる動画が役立ちます。動画は、1分間の長さで180万語もの情報量を含められます。
ランディングページに1つでも動画を設置しておくことで、内容の解説は動画だけで済み、文章や画像はその補足にのみ使用できます。
するとランディングページがシンプルにおさまり、文章の読みやすさやページの見やすさが向上します。
動画コンテンツの利用事例
最後に、動画コンテンツの利用事例をご紹介します。
事例(1)Sansan
法人向けクラウド名刺管理サービスを提供するSansanは、名刺アプリ「Eight」のリリースに合わせてプロモーション動画を公開しました。
このアプリを利用することで、多人数でも非常にスムーズに名刺交換ができることを訴求しています。
「名刺を交換する」という動作1つでクリエイティブな映像を作成。
海外のクリエイターが作ったような先鋭的な映像であることから、170万回以上の再生数を記録しました。
プロモーション動画が注目されることで、「Eight」は100万人以上が登録する人気アプリに成長しています。
事例(2)タマホーム
不動産業のタマホームも、ストーリー性の高いコンセプトで質の高い動画コンテンツを公開しています。
上記動画のテーマは「ふたりめ会議」。
いわゆる「二人目の子供を産むかどうか家族で議論する」という点に着目しています。
ナレーションはすべて映像に出てくる子供が行うことで、インパクトが強く、印象に残りやすい点が特徴です。
リアルな家族会議のような映像なので共感を呼びやすく、SNSでも拡散される可能性が高まります。
YouTubeに掲載するだけではなく、SNS向けとしても最適な動画と言えるでしょう。
事例(3)RIZAP
上記は、パーソナルジムの「RIZAP」の広告用動画です。
有名なタレントを起用することでCMの注目度が高い同社ですが、この動画は投稿から日が浅いにもかかわらず、すでに200万回以上の再生数を記録しました。
動画でビフォーアフターの姿を紹介することで、とても印象に残りやすい内容に仕上がっています。
「8.8kg減量」という具体的な数字を記載している点もポイントです。
事例(4)シトリックス・システム・ジャパン
「シトリックス・システム・ジャパン」は、仮想デスクトップサービスを提供する企業です。上記の動画では、実際にサービスを利用した日産自動車へインタビューした内容を紹介しています。
同社の製品を導入するまでの課題や導入を決めた理由、導入後に変わったことなどが端的に述べられています。
単にテキストでインタビュー内容を紹介するだけではなく、動画を活用することで、実際に製品を使った人の思いが伝わってきます。
この事例のように、BtoB製品を提供する場合、見込み客が購買を決定するには複雑なプロセスを踏みます。
その背中を押し、適切な意思決定を行ってもらうために、インタビュー動画は非常に有効な手段です。
動画の制作や運用に関して興味のある企業はぜひお問い合わせください。