YouTubeやSNSの広告動画、テレビCMなど、最近ではアニメーション映像を駆使した企業用動画を見る機会が増えてきました。
従来の実写映像と違い、企業用動画でもソフトで馴染みやすい印象が伝わってきます。アニメーション映像を活用することで、視聴者との距離がより近くなることは間違いありません。
ただ、アニメーション映像にはさまざまな種類が存在します。
種類が異なれば用途や活用方法、さらには料金相場まで大きな違いが生まれます。
そのため、アニメーション動画を制作するには、ある程度の知識が求められるのも事実です。
そこで今回は、種類や用途、料金相場、注意点など、アニメーション動画制作にかかわる知識やノウハウを基礎から徹底して解説していきます。
アニメーション動画制作のメリット
ビジネス用の動画制作をするには、実写映像やアニメーション動画、あるいは実写とアニメーションの組み合わせといった選択肢が存在します。
それぞれメリットやデメリットが異なるため、動画の内容や目的に合わせて最適な選択肢を選ぶべきでしょう。
そこで、まずはアニメーション動画を制作するメリットを解説します。
動画そのもののメリット、実写動画と比べたときのアニメーション動画のメリットの2点をご紹介します。
動画自体のメリット
アニメーションや実写映像にかかわらず、動画を制作するメリットとして以下のような点が挙げられます。
- 膨大な情報量を正確に伝えられる
- 商品やサービス、企業に対する消費者の理解度が深まる
- マーケティングの幅広い用途に活用できる
- 時代に合ったマーケティング手法である
- ブログやオウンドメディアのSEO対策につながる
膨大な情報量を正確に伝えられる
仕事や趣味、家事などに忙しい現代人にとって、必要な情報に素早くアクセスでき、なおかつ迅速に情報を取得できることは非常に重要です。
その意味においては、文字や画像でサービスの訴求を行うよりも、動画を活用するほうが理にかなっています。動画だと大量の情報を、より正確に伝えられるからです。
1分間の動画に含められる情報量は180万語にも及ぶと言われています。
仮に180万語の情報をWebサイトで伝えようと思えば、1ページ5,000文字のWebページが360個も必要となります。
丸一日かけてもこれだけのWebページは閲覧できません。
一方、動画であれば視聴時間はわずか1分で済みます。
わずか1分の映像には、商品やサービス、企業の情報のほとんどを含められるため、動画は必要な情報を端的に伝えるには最適なツールと言えるでしょう。
また、動画は情報伝達の正確性にも優れます。
たとえば文章で正方形を説明しようとすると、「4つの辺の長さがすべて等しく、さらに4つの角の角度まで等しい四角形」という説明が必要です。
しかし、動画であれば正方形を映像に含めておくだけで、視聴者は視覚的に正方形の情報を判別できます。
商品やサービス、企業に対する消費者の理解度が深まる
ナレーションやテロップなど、理解促進につながる素材を含められるのも動画の特徴の一つです。
消費者の購買意欲を喚起するためには、誰もが理解できる平易な情報発信が欠かせません。
テキストや画像だけで商品やサービスの特徴を正確に表現することは困難です。
製品の仕様やディテールについてはテキストや画像だけでも十分に伝えられるかもしれません。
しかし、その製品を利用するメリットや使い方、使用した後の結果といった抽象的な情報は、テキストや画像だけでは不十分と言えます。
その点、具体的かつ抽象的な表現が可能な動画であれば、テキストや画像だけでは伝わりづらい情報まで補完できます。
マーケティングの幅広い用途に活用できる
活用の幅が広いという点も、動画制作を行うメリットです。
特に、マーケティングにおいて動画を運用することで、販売促進やブランディング、消費者のニーズ育成などさまざまな面で効果を発揮します。
たとえば、制作した動画をYouTubeに公開したとしましょう。
YouTubeチャンネルの公開動画は、URLや埋め込みコードを利用すればほかのプラットフォームにも活用できます。
そこで商品紹介動画であればECサイトの商品ページへ、採用動画であればコーポレートサイトの採用ページや求人サイトへ、といった具合に多方面での発信が可能です。
ほかにもメルマガや広告LPへの貼り付け、営業や展示会でのデモンストレーション、オリジナル楽曲やアニメを駆使したコンテンツ化などの活用方法も考えられます。
活用範囲が広いということは、マーケティング施策の幅が広がるということです。
動画の使い方一つで幅広い層へのアプローチが可能になるため、新たなビジネスチャンスが生まれるきっかけにもなるでしょう。
時代に合ったマーケティング手法である
若者のテレビ離れによるマス広告の縮小や、広告単価上昇のあおりを受けるWeb広告など、マーケティング担当者は常に時代の流れを見据え、その時分に合った最適なマーケティング手法を採用しなければなりません。
その点、動画は現在の時代の流れに適したマーケティング手法と言えます。
19〜22歳の若手世代で動画プラットフォームのYouTubeを1日30分以上利用する人は男性で87%、女性で78%というデータもあり、次世代の情報収集は動画に移行していることがわかります。
また、このように情報収集を動画で行う時代に企業も対応しており、動画広告市場も毎年拡大しており、今後も拡大することが予想されます。
仮にマーケティングの主軸に若者を置く企業であれば、莫大な費用を投じてテレビCMを流すのは非効率的だと言わざるを得ません。
上記調査の通り、若者が利用するメディアの主軸が、テレビから動画へと遷移しているからです。
ユーザーも企業からの情報提供でテキストよりも動画を求めており、かつ動画を見せることによりその後の行動にもポジティブな効果が出る可能性が高いでしょう。
もちろん動画を発信しさえすれば必ずしも効果が得られるとは限りませんが、時代の趨勢に適合したマーケティング手法であるという意味においては、理に適っていると言えます。
ブログやオウンドメディアのSEO対策につながる
「自社ブログやオウンドメディアにより多くのアクセスを集めたい」という場合にも、動画は役立ちます。
そうしたプラットフォームに動画を掲載することは、間接的なSEO対策につながるからです。
検索エンジンは登録されたWebページを複数の要素で検証し、ランク付けを行います。
そのランク付けの際に指標となるのが、「読者の役に立つ情報を発信できているか」という点です。
先ほどもお伝えした通り、動画は文章や画像の情報を補完する役割があるため、ブログやオウンドメディアに掲載することで読者の理解度が促進されます。
つまり、ユーザーの利便性が高まるということです。
その結果、検索エンジンから「読者の役に立つWebページ」だと判断され、検索結果の上位に表示されるという仕組みです。
SEO対策の重要な要素は「文字」なので、動画を掲載することが直接上位表示に影響するわけではありません。
しかし、動画を掲載したページは読者の滞在時間も長くなりやすく読者へよりわかりやすく情報を伝えることができるため、間接的なSEO対策に寄与します。
実写動画とアニメーション動画のメリット比較
ここまで、動画そのもののメリットについてお伝えしました。そこで今度は、実写動画と比べたときのアニメーション動画のメリットについて解説していきます。
実写動画と比べたときのメリットは以下の通りです。
- 自由自在に映像表現ができる
- 工程削減によるコストカットにつながる
- 実写よりも分かりやすく表現できる
- キャラクターを使ったブランディングが可能
自由自在に映像表現ができる
アニメーション動画はその制作方法から、自由なアイデアをもって映像表現が可能です。
実写映像の場合はまず撮影を行い、編集の工程で必要なシーンのみをトリミングして制作します。
一方、アニメーション動画には撮影工程がありませんが、イラストやテキストなどのグラフィックス要素を柔軟に駆使し、映像を一から制作できます。
たとえば実写映像の場合、出演者が空を飛べるわけでもなければ、車のように速く走れるわけでもありません。
しかし、アニメーションとなると、キャラクターに羽が生えて空を飛ぶことも可能になります。
さらに非現実的な映像でも、アニメーション映像なら不自然さを感じません。
これは、実写映像では表現が難しい商材を扱う企業にとっては大きなメリットです。
最近ではBtoB向けの無形商材や便利なアプリを提供する企業も多いですが、アニメーションを使うと抽象的な概念ですら形にできます。
工程削減によるコストカットにつながる
先述した通り、アニメーション動画制作には撮影工程が必要ありません。
また、出演者はキャラクターや人物イラストなどで表現できるため、キャスティングが不要という点も特徴です。
動画制作の工程を省くことができれば、それだけコストを抑えられます。
つまり、実写動画と比較した場合、アニメーション映像のほうが安い制作費で済むということです。
コストの安いアニメーション動画は、初めて動画を運用する場合に向いています。
初めて動画制作をする場合は運用成果を想定しづらいため、テスト運用として安い費用で動画を作れるからです。
実写よりも分かりやすく表現できる
アイデア次第で自由に映像を表現できるアニメーション動画は、実写よりも分かりやすい内容に仕上げられます。
たとえば、映像のすべての内容を実写のみで表現しようとした場合、出演者同士の会話やナレーションのみで全容を伝えなければなりません。
しかし、人間の耳から得た情報は、脳に滞留せずそのまま流れてしまうことが多いため、視聴者の記憶に残りづらくなります。
一方、アニメーション動画であれば、視聴者の目と耳に情報を訴えかけることが可能です。
必要な情報はナレーションとして伝え、言葉を補完する情報をグラフィックスとして映し出せるため、実写動画よりも人の記憶に残りやすくなります。
キャラクターを使ったブランディングが可能
自由な発想が可能なアニメーション動画では、オリジナルキャラクターを生み出すこともできます。
オリジナルキャラクターは企業イメージを端的に表現する際に役立つため、ブランディングとして最適です。
実写動画の場合でも、3DCGなどを駆使して映像にキャラクターを登場させるケースもあります。しかし、3DCGの制作費は非常に高額です。
アニメーションであれば2次元でキャラクターを表現することができ、制作費も少額に抑えられます。
制作、作成するアニメーション動画の種類、用途
アニメーション動画を制作する際、事前に考えておきたいポイントが「種類」と「用途」です。
アニメーション動画の種類と用途は以下のように分類でき、それぞれ役割が異なります。
アニメーション動画の種類 | ・サービス、商品紹介動画 |
アニメーション動画の用途 | ・公式サイトへの埋め込み |
各種類や用途の特徴、役割について詳しく解説していきます。
アニメーション動画の種類
サービス・商品紹介動画
サービス・商品紹介動画とは、自社が提供する製品の特徴やメリット、他社製品との違いなどを映像で説明する手法です。
サービスや商品の仕様については商品ページでも説明できますが、文章や画像だけで細かい内容まで伝えるのは簡単ではありません。
一方の動画であれば、製品のディティールを詳しく訴求できます。
また、アニメーションを活用することで、言葉では説明が難しい無形商材や複雑なサービス内容まで伝えられます。
サービスや商品の内容が明確になるほど、視聴者が自身の使用する姿をイメージしやすくなり、購買促進につながります。
企業紹介動画
企業紹介動画とは、事業や沿革の紹介、社長のメッセージなどを映像で発信する手法です。
消費者からの認知度が低い企業の場合、会社紹介動画が役立ちます。
また、サービスや商品を訴求する前に、まず企業のイメージを高めようとする場合に最適です。
企業イメージが向上することにより、間接的な販売促進へとつながります。
ブランディング動画
ブランディング動画とは、企業やブランド、製品などのイメージを意識的に訴求する方法です。
商品やサービスを紹介する場合でもセールス感を前面に出さず、そのブランドが持つ世界観や雰囲気を映像で訴求します。
ブランディング動画のメリットは、消費者への意識付けができる点です。
たとえば、「育毛剤と言えば○○ブランド」というイメージが広く浸透することで、その業界におけるシェア率の向上に寄与するでしょう。
採用動画
採用動画とは、会社の魅力を訴求し、優秀な社員の獲得や採用活動の効率化につなげる手法です。
若手社員の紹介や社員同士の座談会、先輩へのインタビューなど、多彩な方法でPRができます。
採用動画にアニメーションを活用する場合、実写インタビュー映像などと組み合わせることがポイントです。
両者を組み合わせることで、実写映像が与える信頼感と共に、アニメーション映像の分かりやすさというメリットも生かせます。
アニメーション動画の用途
公式サイトへの埋め込み
アニメーション動画のもっとも一般的な活用方法が、公式サイトへの埋め込みです。
制作した動画は動画配信サイトなどに公開しておくと、URLなどを使って公式サイトへ埋め込むことができます。
公式サイトの既存コンテンツ(文章や画像など)を映像で補完できる点がメリットです。
SNSやメルマガで情報発信
プロモーション用の動画をSNSやメルマガで発信することもできます。
方法は公式サイトと同様、SNSやメルマガに埋め込むだけです。
動画と共に商品ページなどへのリンクを掲載しておくことで、効果的にアクセスを集めることができます。
動画広告として運用
広告プラットフォームを利用すると、YouTubeやSNSなどに動画広告を掲載できます。
会社やサービスのことを知らない潜在層にもアプローチできるため、新規客の獲得に役立つ方法です。
営業ツールとして活用
営業時の商談や取引先との会議、展示会など、アニメーション動画は営業ツールとしても活用できます。
たとえば営業スタッフ共通のサービス紹介動画を作っておくと、個々人のスキルにかかわらず、商談時に安定した営業トークの展開が可能です。
商材を持ち歩く必要がないため、サイズや重量の大きい製品を扱っているケースにも適します。
アニメーション動画制作の料金相場
アニメーション動画の制作費は、表現手法や長さ、クオリティによって相場が大きく異なります。
料金相場は以下の表の通りです。
表現手法 | 動画の長さ | クオリティ | 費用相場 |
スライドショー | 1分未満 | 低 | 10~35万円 |
高 | 15~50万円 | ||
1分~3分未満 | 低 | 15~40万円 | |
高 | 20~55万円 | ||
3分以上 | 低 | 20~45万円 | |
高 | 25~60万円 | ||
モーショングラフィックス | 1分未満 | 低 | 25~50万円 |
高 | 35~70万円 | ||
1分~3分未満 | 低 | 50~80万円 | |
高 | 70~120万円 | ||
3分以上 | 低 | 80~140万円 | |
高 | 100~230万円 | ||
ホワイトボードアニメーション | 1分未満 | 低 | 35~65万円 |
高 | 40~80万円 | ||
1分~3分未満 | 低 | 50~80万円 | |
高 | 60~110万円 | ||
3分以上 | 低 | 70~110万円 | |
高 | 100~150万円 | ||
キャラクターアニメーション | 1分未満 | 低 | 50~80万円 |
高 | 70~110万円 | ||
1分~3分未満 | 低 | 80~120万円 | |
高 | 100~150万円 | ||
3分以上 | 低 | 100~170万円 | |
高 | 150~230万円 |
上表の通り、アニメーション動画の費用は、尺が短く品質が低いほど安く、尺が長く品質が高いほど高額になります。
よって、あらかじめ表現手法や動画の長さ、内容などを想定し、予算を考えておくとよいでしょう。
企業のアニメーション動画制作事例
最後に、アニメーション動画の制作事例をご紹介します。
気になる動画があった場合は、参考動画として残しておくことをおすすめします。
参考動画があると、自社で制作する動画の企画を行いやすくなります。
モーショングラフィックスを活用した事例
モーショングラフィックスとは、文字や画像といったグラフィックス要素に動きを加えた動画です。
モーショングラフィックスを活用すると、たとえば人物イラストの表情や手足を人間の動作のように表現できたり、テキストの一部を軽快に動かすことができます。
以下は、チラシ作成や配布を簡単に行える「らくらく販促マップ」のプロモーション動画です。
動画にはナレーションがなく、イラストとテキストを使ってサービスが紹介されています。
そのイラストやテキストは単なる素材ではなく、モーショングラフィックスを活用した動きのあるグラフィックスであることが分かります。
単なるスライドショーとは異なり、映像全体に動きが加わっているため、視聴者を飽きさせない点が大きなメリットです。
ホワイドボードアニメーションを活用した事例
ホワイドボードアニメーションとは、白地のキャンバスに手でイラストを描いていくように映像を表現する手法です。
映像にストーリー性が生まれるため、サービス紹介から購入にいたるまで自然な経路を確立できます。
以下は、レンタルドレスモール「dressy(ドレッシー)」のサービス紹介動画です。
映像には、手描きのイラストがナレーションに沿って現れます。
手描きでイラストを表現するので自由性が高く、抽象的なサービス内容でも分かりやすく表現することができます。
CGアニメーションを活用した事例
製品の細かい仕様を表現する場合、CGアニメーションの手法が最適です。
以下は工作機械を手掛ける「DMG森精機」の製品紹介動画ですが、CGを活用して複雑な工作機の内部を表現しています。
上記の動画は映像のクオリティの高さだけではなく、クールなBGMを使ってブランディングを意識している点も特徴です。
本製品は高精度加工に強みを持ちますが、BGMによって洗練されたイメージまで伝わってきます。
アニメーション動画制作は企画が最重要
動画はテキスト等と違い、制作後に変更することが難しいため、効果的な動画の企画が大切です。
動画の企画とその利用法によりとても大きな効果があるのがアニメーション動画ですので、目的を意識して企画をするようにしましょう。
弊社では動画制作の企画から作成、運用までワンストップでサービス提供が可能です。
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