BtoBの営業やマーケティングに動画を活用するケースが増えてきました。
コロナウイルスの影響で対面営業が難しくなるなか、多くの企業で動画マーケティングを実践しようとする動きが加速しています。
実際にBtoB動画を活用するには、具体的な事例を知っておくと非常に便利です。
参考になる動画は企画作りの際に役立つほか、動画制作会社と内容を詰めるときにも効果的です。
そこで今回は、BtoB動画の活用事例を種類別にご紹介します。
サービス紹介動画や会社紹介動画、採用動画など、動画制作の目的別に参考動画を見つけることができます。
BtoB企業の動画活用のメリットとパターン
動画を制作する場合、もっとも重要なポイントが「どのような動画を作るか」という点です。
つまり、動画の企画作りが重要なカギを握っていると言えます。
特にBtoB企業は仕様が複雑な製品を扱うことも多いため、動画の尺が短くても全容が分かるようしっかりと構成を考えておく必要があるでしょう。
一方、BtoBの場合にはBtoCと比べて購入や検討の際により吟味する傾向があるため、内容のある長い動画を制作してもしっかりと見てもらえる可能性も高いでしょう。
活用の仕方次第でさまざまな種類に分かれる動画ですが、取り上げる主題によって一定のパターンに分類することができます。
そのパターンとは以下の通りで、それぞれ異なるメリットを持ちます。
動画の種類 | 主な内容 | 活用のメリット |
サービス・商品紹介動画 | 自社で提供するサービスや商品のメリット、魅力、メッセージなどを集約した動画 | ・商品やサービスの認知から販売促進までスムーズに進展できる |
デモンストレーション動画 | 製品の具体的な使い方を解説する動画。 | ・商談やプレゼンの商品説明が動画で完結する |
会社紹介動画 | 事業内容や沿革、社長のメッセージなどを伝える動画 | ・企業そのもののイメージを向上させることが可能 |
顧客インタビュー動画 | 導入前の課題や導入後の成果など、実際に商品やサービスを導入したユーザーの声を紹介する | ・口コミ効果により販売効率が高まる |
ブランディング動画 | 具体的な製品の特徴を説明するのではなく、ブランドの持つ世界観やイメージを視覚的に表現した動画 | ・企業やブランド、製品の認知拡大につながる |
採用動画 | 新卒や中途採用の求職者向けに、先輩社員や働き方などを紹介する動画 | ・採用活動の効率化につながる |
上記のようなBtoB動画のパターンを理解しておくと、動画制作の目的や用途を決める際に役立ちます。たとえば積極的に売上を拡大したいときにはサービス・商品紹介動画が向きますし、新製品のリリース前に行うプロモーションにはブランディング動画が最適です。
BtoB動画のパターンで目的のものが見つかれば、今度は参考動画を探していきましょう。
制作内容のイメージに近い動画を見つけておくと、動画制作会社とヒアリングをするときに雰囲気が伝わりやすくなります。
以下の章ではパターン別にBtoB動画の事例を紹介するため、イメージに近い動画を探してみてください。
BtoB企業の動画活用事例
ここでは、BtoB企業の動画活用事例を先述したパターン別にご紹介します。
サービス・商品紹介動画
サービス・商品紹介動画の事例は以下の通りです。
- タリスマン(人材紹介サービス)
- IBMジャパン(情報システムサービス)
事例(1)タリスマン
タリスマンは、中途採用を考える企業向けの人材紹介サービスです。
タリスマンに登録した専門知識が豊富な求職者のなかから、登録企業に最適な人材を紹介し、採用コンサルティングまで担います。
上記は、タリスマンのサービス内容を紹介したBtoB動画です。
映像には、アニメーション動画のなかでも注目度の高いモーショングラフィックスを活用しています。
モーショングラフィックスとは、文字やイラストなどの静止素材に動きを加える手法です。
単調になりがちな静止画像に動きを付けることで、映像全体に躍動感が生まれます。
複雑なサービス内容でも動きのあるグラフィックスで表現しやすいため、主に無形商材を扱うBtoB企業におすすめです。
事例(2)IBMジャパン
上記は、IBMジャパンが開発した画像認識AI「Maximo Visual Inspection」のサービス紹介動画です。
プログラミングの知識がいっさいいらず、画像や動画を認識するためのAIを簡単に構築できます。
タリスマンと同様、IBMジャパンの動画にもモーショングラフィックスが活用されています。
ナレーションに従ってグラフィックスがコミカルに動作し、非常に印象的な映像に仕上がっていることが分かります。
デモンストレーション動画
デモンストレーション動画の事例は以下の通りです。
- キャノン(オフィス製品リースサービス)
- KDDI(法人向け営業支援サービス)
事例(1)キャノン
高性能なカメラで有名なキャノンですが、BtoB事業にも力を入れています。
キャノンのBtoB事業はオフィス製品のリースサービスで、主にプリンターやプロジェクター、ネットワークカメラなどの提供を行っています。
上記は、キャノンが提供するオフィス用プリンター「PR-C151」のクリーニング方法を解説した動画です。
YouTubeの公式アカウントには、上記のほかにもテーマ別の詳しいデモンストレーション動画が掲載されており、ユーザーとしては説明書代わりに利用できます。
こうした動画があると営業や展示会にも活用できるため、商品提案の幅が広がります。
事例(2)KDDI
上記は、KDDIが提供する法人向け営業支援サービス「KDDI Knowledge Suite」の使い方を解説する動画です。
KDDI Knowledge Suiteは、営業報告や顧客管理、スケジュール機能などがクラウド上で連動し、すべての情報を一元管理できるというソフトウェアです。
多機能な製品でもあることから、デモンストレーション動画を発信することで製品の使い方をより詳しく訴求できます。
会社紹介動画
会社紹介動画の事例は以下の通りです。
- オムロン(産業機器メーカー)
- 村田製作所(電子部品メーカー)
事例(1)オムロン
オムロンは、産業施設向けの制御機器やシステム、電子部品などを開発するメーカーです。
BtoC事業としては血圧計や体重計などの製品で有名ですが、もともとセンシング&コントロール技術を核とした事業を展開していただけあり、BtoB向けの商材が主役を担っています。
産業機器メーカーと言えば、伝統的で非常に硬いイメージがあるのも事実です。
しかし、オムロンの場合はアニメーション映像を駆使し、硬いイメージを柔らかい印象へと変化させています。
オムロンが設立されたのは1948年。
伝統ある企業なので事業内容や沿革も多岐にわたりますが、膨大な情報を端的に説明できるアニメーションを活用することで、4分弱の短い動画におさめています。
事例(2)村田製作所
村田製作所は、京都に拠点を置く電子部品メーカーです。
電子部品メーカーとしては世界でもトップシェアを獲得しており、TOPIX Core30の一社にも選ばれています。
提供する製品の質の高さに提供がある村田製作所ですが、動画制作のクオリティの高さにも目を見張るものがあります。
映像の途中では随所に3DCGを活用し、細部が分かりづらい電子部品を立体的に表現している点が特徴です。
顧客インタビュー動画
顧客インタビュー動画の事例は以下の通りです。
- マネーフォワード(クラウド会計サービス)
- Yappli(アプリ開発プラットフォーム)
事例(1)マネーフォワード
マネーフォワードは、クラウド上で会計処理を行える法人および個人事業主のソフトです。
リモート業務にも対応しているため、コロナ禍で自宅勤務が増える昨今において注目度が高まっています。
マネーフォワードのようなクラウドサービスは、導入イメージが湧きづらいという点が課題でした。
有形商材とは違って具体的な形のないサービスなので、同種製品の比較や検討が困難となります。
しかし、実際に製品を使ったユーザーの声を紹介することで、視聴者は具体的な製品のメリットや導入後の活用方法などがイメージできるようになります。
特に、インタビュー動画に大手企業が登場すると、それだけで視聴者からの信頼性が高まります。
事例(2)Yappli(ヤプリ)
Yappli(ヤプリ)は、誰もがアプリ開発や運用、分析などを行える総合アプリプラットフォームです。
美容室やレストラン、アパレルショップなどで利用できる自社アプリを、プログラミング知識不要で開発することができます。
Yappliの利便性の高さにいち早く着目したのが、人気アパレルブランドの「ESTNATION」です。
上記の動画では、Yappliを導入したESTNATIONの担当者にインタビューし、製品のメリットや魅力などを伝えています。
ブランディング動画
ブランディング動画の事例は以下の通りです。
- 明邦空調(冷暖房設備工事サービス)
- 森ビル(都市デベロッパー)
事例(1)明邦空調
明邦空調は、飲食店や工場、店舗向けに冷暖房や電気、給排水などの設備工事サービスを提供する企業です。
2018年にはコーポレートブランドを刷新し、上記のブランド動画を公開しました。
エアコンの設備工事をしながら、まるで舞台のように出演者が軽やかに動く様が特徴的です。
サービスの説明はいっさいありませんが、コーポレートブランドの世界観やイメージを印象付けられるため、同企業の認知度拡大に大きく寄与しています。
事例(2)森ビル
上記は、東京を中心として約60年をかけて街づくりを続けてきた、森ビルのブランディング動画です。
モノクロとカラーの映像を織り交ぜながら、まるで映画のような作品に仕上がっています。
ブランディング動画は企業やブランドの認知拡大に有効ですが、それだけに動画のコンテンツそのものに注目が集まるケースも珍しくありません。
上記の動画もすでに200万回以上の再生数を記録しており、森ビルの洗練されたイメージが拡散されていることが分かります。
採用動画
採用動画の事例は以下の通りです。
- 博報堂(広告代理店)
- NDソフトウェア(福祉・介護関連のソフトウェア開発)
事例(1)博報堂
博報堂は、日本の広告黎明期から国内のメディア業界を支える広告代理店です。
日本では、電通と共に広告代理店の二大巨頭の一角と言われ、企業向けにさまざまなメディア事業を展開しています。
上記の動画は、会社説明会のような雰囲気が特徴的です。
しかし、一般的な会社説明会とは異なり、「求職者の質問に対し、社員は必ず本音で答えなければいけない」というテーマが設定されています。
「クリアな企業体質」というイメージが伝わる、優れた事例と言えるでしょう。
事例(2)NDソフトウェア
NDソフトウェアは、介護保険の請求ソフトやタブレットによる記録システムなどを提供するシステム開発企業です。
導入実績は5万8,000社を超え、業界トップのシェアを獲得しています。
上記は、NDソフトウェアが公開する新卒採用向けのメッセージ動画です。
就活生に伝えたいメッセージを発信しているだけではなく、映像で具体的な働き方まで紹介しています。
シンプルな動画ですが、実際の働く姿を想像できる優れた事例と言えます。