採用動画にもさまざまな種類があり、ターゲットとする求職者のタイプによって分類が異なります。なかでもアルバイト向けに自社をアピールするのがアルバイト採用動画で、ターゲットを限定することで効果的な訴求を行えます。
ただ、アルバイト向けの動画は事例の数も少なく、どのように動画を制作するか迷ってしまうケースも多いのではないでしょうか。せっかく高い制作費をかけて動画を作るなら、効率的な採用活動につながるコンテンツを生み出したいところです。
そこで今回は、アルバイト採用動画の効果や活用方法など、制作に必要な知識をすべて解説していきます。最後には複数の事例も紹介するため、どうすれば効果的な動画が制作できるのか、そのポイントがつかめるはずです。
アルバイト採用動画のメリット
アルバイト採用動画を活用するメリットは以下の通りです。
- リアルな現場の雰囲気を伝えられる
- ネットに不慣れな人にもメッセージを伝えられる
- 採用時のミスマッチを防ぎやすい
- ライバル企業との差別化につながる
それぞれのメリットについて以下で詳しく解説していきます。
リアルな現場の雰囲気を伝えられる
採用活動を行うにあたって、その施策が求職者の記憶や印象に残るかどうかという点は非常に重要です。数ある企業のなかから自社に応募してもらうには、まずは会社に対して興味を抱いてもらわなければなりません。
その点、文章や画像を使って自社をPRする求人票に比べ、動画は求職者の記憶や印象に残りやすいと言えます。動画だと定量的な情報だけではなく、現場の雰囲気や働き方といった文章や画像では伝えづらい情報まで訴求できるからです。
比較的簡単に職替えができるアルバイトとはいえ、誰だって入社後に「こんな会社だとは思わなかった」という思いはしたくありません。求職者が気持ちよく働けるよう、会社のリアルな内情を伝えるようにしましょう。
ネットに不慣れな人にもメッセージを伝えられる
最近ではスマートフォンで気軽に動画を視聴できることから、老若男女問わず幅広い年代の人が日々動画に接しています。
DX支援サービスを提供するGlossomの「スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2020」によると、YouTubeの利用率は10代で77%、20代は69%と若者の数値が目立つ一方、30~50代でも40%以上の利用率を記録。1日の平均利用時間は20代が29.9分に対し、40代は13.9分、50代は17.3分だということが分かっています。
参考:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000043425.html)
上記のデータを見る限り、若者の数値には及ばないものの高年齢層も動画を視聴する機会が多いと言えるでしょう。高年齢層の場合はネットに不慣れな人も多い一方、動画であれば容易に視聴できるため、若年層以外のターゲットにも訴求しやすいのが動画のメリットです。
採用時のミスマッチを防ぎやすい
採用時に起こりやすい「こんな人材だとは思わなかった」「こんな会社だとは思わなかった」というミスマッチを防げる点も、アルバイト採用動画を活用するメリットです。
企業にとっては採用時、求人サイトや求人誌へ掲載するコストがかかるわけで、ミスマッチが起こると大事な資金が無駄になってしまいます。また、最近では誰でも簡単にSNSへ情報を投稿できるため、求職者とのミスマッチが原因で根も葉もない噂が世間に広まってしまう恐れもあります。
ミスマッチが起こるのは求職者の企業に対する認識不足も要因の一つですが、企業側がアルバイトに対して正確な情報を伝えきれていないことも原因です。先にお伝えしたようなリアルな現場の雰囲気や働く姿が分かれば、採用後のミスマッチを防げる可能性が高いでしょう。
ライバル企業との差別化につながる
仮に競合企業がアルバイト採用動画を活用していない場合、自社で先んじて取り組むことで大きな差別化要因となります。他社が企業の内情が分かりにくい求人票を主軸とするなか、動画で正確かつリアルな情報を伝えれば求職者からの印象もよくなるでしょう。
アルバイト採用動画は制作会社に依頼することもできますが、外注するにしてもある程度のノウハウが必要です。よって動画を活用するタイミングが早ければ早いほど他社の参入が困難となり、自社にとって大きな武器となります。
採用費に対して費用対効果を高めるために、あらかじめ制作を見積もっておくことが大切です。
こちらでは動画制作の料金シミュレーションが可能ですので活用してください。
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アルバイト採用動画の活用シーン
では、アルバイト採用動画はどのような場面で活用できるのか、ここでは複数の活用シーンを解説していきます。アルバイト採用動画は実にさまざまな面で汎用的に使えるため、たくさんの場所で露出させて多くの求職者を集めていきましょう。
Webサイトで動画を活用
企業によってはコーポレートサイトからブログ、オウンドメディアなどさまざまな媒体を保有しています。そうしたWebサイトは動画との相性がよく、文章や画像と組み合わせることで情報の量と質が向上します。
アルバイト採用動画の場合は、Webサイトの採用ページが主な活用場所です。あるいは、すでに働いている先輩アルバイトやアルバイトリーダーに取材を行い、インタビューページを構築するのもよいでしょう。
「アルバイト採用にそれほど手間をかける必要はないのでは」と考えがちですが、採用側と求職者の多くがそう思うからこそ、時間をかけてコンテンツを生み出すと価値が生まれるわけです。求職者にとって情報の価値が高まると、採用時のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2021 年 4 月)」によると、飲食店や教育サービス、各種商品小売の業界においては40%を越える割合で従業員が不足しています(3P参照)。まさに猫の手も借りたい状態で、こうした業界や人材不足の企業こそ動画のような新時代に対応した採用活動に力を注ぎ、労働者の社内定着をはかるべきでしょう。
参考:帝国データバンク(https://www.tdb-di.com/2021/05/sp20210526.pdf)
SNSで動画を活用
Webサイトと共に取り組みたいのが、SNSの公式アカウントで動画を活用することです。SNSにリンクを貼ればWebサイトの採用ページにもアクセスしてもらえるため、SNSとWebサイトとの相性は抜群と言えます。
また、SNSでは別ユーザーによる再投稿機能が使えるので情報の拡散性にも優れます。求職者にとって価値があり、話題性の高いコンテンツを発信することで、広告を使わずとも情報が拡散して多くのアクセスを見込めるでしょう。
求人サイトで動画を活用
求人サイトのなかには、自社で制作した動画を掲載できる場合があります。求人票と共に掲載しておくことで、時給などの定量的なデータとリアルな現場の雰囲気などの定性的な情報を同時に訴求できます。
求職者にとっては企業に対する理解が深まり、ワンストップで必要な情報を集められる点がメリットです。せっかく資金を投じて求人サイトに掲載するなら、自社のことが理解できる情報はすべて載せておいたほうがお得と言えます。
動画共有サービスを活用
動画共有サービスとは、YouTubeやニコニコ動画、TikTokといったユーザー自身で動画を投稿できるサービスです。最近では企業の公式アカウントも増えており、一般消費者などに向けて積極的に動画を発信しています。
動画共有サービスに投稿したコンテンツは多くの人の目に触れるだけではなく、ほかの媒体で再利用できるのがポイントです。たとえばYouTubeであれば、投稿動画の埋め込みコードを貼り付けるだけで、WebサイトやSNS、メルマガなどに動画を掲載できます。
採用動画以外にも会社紹介動画やブランディング動画、新商品リリース動画などをジャンルごとに分けることで、企業の公式チャンネルが一大コンテンツとして生まれ変わります。
これからの時代、ますます動画を視聴するユーザーが増えてくることが予想されるため、早いうちに動画コンテンツプラットフォームを作っておくと他社との優位性が増すことでしょう。
動画広告を活用
動画広告とは、YouTubeなどで流れる動画の冒頭や途中に流れる広告、あるいはSNSの広告枠に掲載される映像型の広告です。
ここまでお伝えしてきた動画をコンテンツとして活用する場合、動画を見てもらうには自社に対してある程度の認知を獲得していなければなりません。しかし、動画広告の場合は自社のことを知らない人にも配信できるため、潜在層にアプローチする手段として有効です。
広告を配信するには動画制作費に加えて広告費も必要ですが、自社に対する認知獲得やブランディング(印象アップ)を行うときに役立ちます。
アルバイト採用動画制作ならではの内容
採用動画はアルバイトを対象とする以外にも、新卒や中途人材をターゲットにする場合もあります。そのため、採用動画というテーマで一括りにしてしまうとターゲットがぼやけてしまい、アルバイト求職者に刺さりにくい動画になる恐れがあります。
では、どのようにアルバイト採用動画ならではの内容にしていくかと言えば、人材サービスを提供するディップが全国7,000人以上のアルバイト・パートに調査したデータが役立つため、調査データを参考にしながらコンテンツ制作のポイントを解説していきましょう。
参考:ディップ総合研究所(https://www.baitoru.com/dipsouken/all/detail/id=422)
「勤務シフト」に関する情報を含める
アルバイト求職者が入社前に気になるのは、柔軟なシフトに対応しているかどうかという点です。よってシフトの柔軟性をアピールするような内容を動画に含めるのが効果的と言えるでしょう。
出典:ディップ総合研究所(https://www.baitoru.com/dipsouken/all/detail/id=422)
ディップの調査によると、約7割の人が1日5時間以下、1週間4日以下の勤務を希望しています。また、時間に余裕あるフリーターの場合は7時間以上を希望する人が多く、主婦では3~4時間が中心になるなど、求職者のタイプによって希望する時間が異なります。
動画であれば、たとえば現職のアルバイトが各々どのくらい働いているか、インタビュー形式で情報を伝えられるでしょう。実際に本人が映像に現れれば情報の信頼性が高まるため、求職者にとっても貴重な判断材料となります。
「待遇・制度」を動画に含める
次に動画に含めたいのは、アルバイトの待遇や制度面に関する情報です。たとえ非正規社員でも待遇が悪ければ定着率が低下してしまい、採用効率が高まることはありません。よって求職者が求める条件を理解し、自社の強みとなるよう訴求するのがポイントです。
出典:ディップ総合研究所(https://www.baitoru.com/dipsouken/all/detail/id=422)
ディップの調査では、求職者が仕事探しで譲れない条件として「交通費支給」や「シフト自己申告制」、「急な休みの申告可能」が上位に位置しています。また、数値は低いながらも、コロナウイルスの影響によって「テレワーク・在宅ワークができる」ことを希望する人もいるようです。
こうした待遇や制度面の情報は、動画にせずとも求人票へ文章で記載するだけでも十分なようにも思えます。しかし、求職者にとっては求人票に記載される内容を信じてよいかどうか不安になるわけで、情報に信憑性をもたせるためにも動画が効果的です。
たとえば、実際に制度を活用したアルバイトにインタビューを実施し、制度を利用したうえでの感想や心境の変化などをヒアリングする方法がとれます。アルバイトに忌憚のない意見を出してもらうことで情報の信頼性が増すだけではなく、企業にとっては待遇や制度の改善につながる点もメリットです。
アルバイト採用動画の事例
最後に、アルバイト採用動画を活用する企業の事例をご紹介します。
事例(1)NewDays
エキナカポータルのサービスを提供するNewDaysは、アルバイトやパート向けの採用動画を公開しています。コンビニとよく似た形態だけに店舗で働くのはアルバイトやパート社員が多く、それだけ同社では非正規雇用にも力を入れています。
動画には、学生や主婦、バレエダンサーとまったく立場の違う3人のアルバイトが登場。各アルバイトに働き方や仕事に対する熱意などをインタビューすることで、それぞれの立場に近い求職者の共感が生まれやすくなります。
事例(2)ピザーラ
ピザーラもアルバイト採用動画を積極的に活用する企業の一つです。
上記は「ピザーラ・アルバイト募集動画 インストア編」というタイトルで、調理やレジ打ちをする具体的な仕事内容を紹介しています。映像に登場するのは「初めてインストアで働くことになったアルバイト」で、これからピザーラで働く人にとっては1日の仕事風景をシミュレーションすることが可能です。
具体的な働き方と同時に先輩の教え方や従業員の雰囲気まで伝わってきます。求人票では絶対に理解することができない情報なので、動画のメリットを効果的に活用した優れた事例と言えるでしょう。
事例(3)炭火焼肉じろう
炭火焼肉じろうは、東京環状八号線周辺にある黒毛和牛の焼肉を安く提供している店舗です。コロナウイルスの影響で飲食店が軒並み苦しんでいるなか、同店では積極的にアルバイトを募集しています。
上記の動画はインタビュー形式ではなく、コンセプトムービーに近い形です。同店では「前向きにチャレンジする人」や「自分自身で成長したい人」といった人材像を希望しており、動画内でイメージを訴求しています。
スタッフの詳しい話を聞くことはできませんが、仕事に取り組む真摯な態度や仲のよさそうなスタッフ同士の雰囲気などが十分に伝わってきます。説明欄にもエントリーページや関連動画のリンクが掲載されており、導線の形成が巧みです。