「地域創生や地元活性化をはかりたい」というときにおすすめの施策が、今回ご紹介する地域PR動画です。
特に、新型コロナウイルスの影響で観光戦略に転換が迫られる地方自治体を中心に、地域PR動画で地方の魅力を伝えようとする取り組みが目立ちます。
ただし、地元の文化や観光スポットを単に映像化しただけでは、プロモーションとしての効果的な結果は得られません。
動画の制作や運用には、人をひきつけるような制作ノウハウが求められます。
そこで今回は、さまざまな地方自治体の成功事例をもとに、地域PR動画制作のポイントについて解説していきます。
地域PR動画の活用シーン
地域PR動画とは、地方やローカル地域の魅力をアピールして地元の活性化や観光需要の増加を狙う施策です。
最近では、地方自治体を中心に地域PR動画を発信するケースが増えています。
従来、地方や地元の魅力を発信する方法は、地方自治体のホームページが主軸でした。
しかし、いまやSNSや動画共有サービスを利用して誰もが動画コンテンツにアクセスできるようになったことで、動画を活用して地域活性化をはかる施策に注目が集まっています。
なかでも特に以下のような活用方法が目立ちます。
観光スポットの紹介
地元で有名な観光スポットや名所の魅力を動画で訴求します。
観光スポットの紹介はInstagramを活用した事例も目立ちますが、さらに動画コンテンツを拡充することでリアルな観光地の魅力が伝わりやすくなります。
昨今は訪日外国人の数が増え、インバウンド需要が高まっている点も地域PR動画が台頭した要因の一つです。
JTB総合研究所の調査によると、2019年の訪日外国人は歴代最多の約3,188万人を超えました。
新型コロナウイルスの影響で現在は低水準に落ち込んでいるものの、危機を乗り越えた後には再びインバウンド需要が向上する可能性が高いと言えます。
参考:https://www.tourism.jp/tourism-database/stats/inbound/
地方創生や地域活性化
地方を訪れるメリットや魅力などをプロモーション動画として訴求し、地域の活性化をはかる施策です。
アピールする内容は、その地域特有の文化やグルメ、スポーツなど多岐にわたります。
日本人であるとは言え、各地方の文化に精通している人はそう多くありません。
そこで動画を使って地方文化を分かりやすくアピールすることで、「この地域ではこんな面白いイベントを行っているんだ」と視聴者に興味を持ってもらいやすくなります。
独自性の高い施策をアピールできるほど地域を訪問しようとする人が増えることでしょう。
UターンやIターン就職の募集
都会で働いた後に地元企業に転職するUターンや、出身地以外の地方で働こうとするIターン就職を狙った地域PR動画も少なくありません。
都市部よりも働きやすい地元企業の魅力を伝えることで、多くの若者や働き手を呼び込むことができます。
総務省の「地域への人の流れに関するデータ」によると、2005年に比べ2014年では、20代の農山漁村への定住願望がある都市住民は30.3%から38.7%へ、30代は17.0%から32.7%へと上昇しています。
都市住民の地方回帰の傾向が高まっていることから、地方自治体には快適に働ける場所の確保が求められています。
参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000460085.pdf
また、各種動画の制作にあたって気になるのは動画の製作費です。
こちらのアニメーションや実写、動画の長さや、カスタム、動画の利用用途をシミュレーターで選ぶことで動画制作の料金の計算、見積もりができます。
地域(地方、地元、ローカル)PR動画の成功事例
ここでは、地域PR動画を発信する地方自治体の成功事例をご紹介します。紹介する動画は、先述した地域PR動画の活用シーンごとに分類しています。
観光スポットの紹介
まずは、観光スポットの紹介に焦点をあてた地方自治体の動画事例をご紹介します。
特に観光スポットは地元の魅力を訴求しやすいため、積極的に活用する地方自治体も珍しくありません。
三重県観光プロモーション(三重県)
伊勢神宮、内宮、外宮、おかげ横丁など三重県の観光スポットを紹介する地域PR動画です。
単に美しい風景を紹介するだけではなく、観光地を解説するナレーション付きの動画となっています。
ときおり地域の特産品や伝統工芸などの映像を織り交ぜ、味わい深い文化を堪能できる魅力を訴求しています。
静岡市×富士山(静岡市)
富士山そのものを大々的にアピールするのではなく、「富士山の見える風景」から観光スポットを紹介する動画です。
静岡市観光親善大使の森理世さんが案内を行ってくれ、非常に見栄えのよい作品に仕上がっています。
静岡市と言えば富士山ばかりに着目されがちですが、その周辺には富士山の絶景を堪能できる「日本平夢テラス」や全長約500mにも及ぶ「神の道」、静岡の伝統や文化が知れる「みほしるべ」など興味深い観光スポットが存在します。富士山観光に訪れるときの観光案内として大いに役立つ動画と言えるでしょう。
【茨城県石岡市公式】観光スポット(石岡市)
上記は、茨城県石岡市の観光スポットを紹介するプロモーション動画です。
食と農体験が楽しめる「朝日里山学校」や、四季折々の花が見どころの「茨城県フラワーパーク」など、自然豊かな環境に特徴があります。
映像にはバーベキューをする観光客の姿や特産品を使用したグルメ映像など、人の五感を刺激する内容を含めている点がポイントです。
地方創生や地域活性化
次に、地方創生や地域活性化のためにプロモーション動画を公開する地方自治体の事例をご紹介します。
企業のブランディング動画のように、効果的なエフェクトやBGMなどを活用してイメージアップをはかる施策が散見されます。
【日光市観光PR動画】Re:NIKKO(日光市)
巧みに地方の魅力を動画で伝えているのが、栃木県の日光市です。
「華厳ノ滝」や「戦場ヶ原」といった日光市を代表する観光スポットの紹介はもちろん、独自の文化を堪能できる「二荒山神社弥生祭」や「日光江戸村」など幅広い視点から地元の魅力をアピールしています。
春夏秋冬によって地域PR動画を訴求しているため、視聴者は観光シーズンごとに日光市の魅力を知ることが可能です。
ユーザビリティの観点からも優れた手法が見え隠れしています。動画にはチャプターを表示しており、観光地や文化施設ごとにセクションを分割。
視聴者は目的の映像へとすぐにたどり着くことができます。さらに分割したセクション毎に詳細ページも用意されており、気になる人は公式サイトにアクセスして詳細を確認できる仕組みです。
いやされて愛媛旅~愛と姫の楽園~(愛媛県)
「女子旅」にスポットをあてた愛媛県の観光用プロモーション動画です。
「女の子同士で自然豊かな地方でリフレッシュしたい」というターゲットが明確になっており、視聴者の心に刺さりやすい動画と言えます。
温泉やサイクリング、街歩きなど、愛媛県ならではの魅力が伝わってきます。
愛媛県のプロモーション動画はほかにも多数の種類がありますが、「いやされて愛媛旅」など、キャッチコピー制作のうまさが特徴的です。
ターゲットに刺さりやすい動画を制作する際には大いに参考になることでしょう。
仙台市シティプロモーション映像2018(仙台市)
上記は、宮城県仙台市の公式プロモーション動画です。
宮城県のなかでは都市に分類される仙台市ですが、街のなかには緑があふれ、非常に住みやすい環境としても有名です。
動画では緑豊かな街並みの映像に加え、その内容をPRするナレーションでうまく魅力を訴求しています。
また、実写映像と共にアニメーション映像を巧みに使用しているのもこの動画の特徴です。
たとえば大学施設などの内部を3Dアニメーションで表現することで、短時間でその施設の全容を理解することができます。
ENJOY! HIROSHIMA! with Hiroshima Free Wi-Fi(広島市)
訪日外国人向けに巧みな動画マーケティングを実施しているのが、広島市です。
広島市では、「広島を楽しもう」という英語でのプロモーション動画をシリーズ化しています。上記はそのなかでも、フリーWi-Fiを使って楽しめる観光というテーマで公開されました。
実際に外国人が広島市の各スポットを紹介してくれるうえに、全編英語によるテロップが流れるため、海外の人にとって非常に分かりやすい内容となっています。
UターンやIターン就職の募集
最後に、UターンやIターン就職、あるいは地域への定住推進などを行う地域PR動画をご紹介します。
視聴者の心に刺さるよう、ドラマやストーリー形式の動画が多い印象を受けました。
大村市移住・定住推進PR動画(大村市)
非常にクオリティの高い地域PR動画を発信するのは、長崎県の大村市です。
キャッチコピーは「私の心を離さない大村市」。
冒頭にはあえて「大村市なんて大嫌い」という強烈なメッセージを発し、注目度を高めています。
「大村市なんて大嫌いだけど、やっぱり地元を離れるときは寂しいよね」と、視聴者の共感を誘う内容になっている点が特徴です。
撮影には地元で活躍する監督やタレント、映像制作スタッフを活用し、まるで映画のような高いクオリティに仕上がっています。
就活女子のUターン編(富士宮市)
静岡県富士宮市では、ドキュメンタリー風のUターン募集動画を公開しています。
首都圏在住の20代前半の就活生にインタビューを行い、Uターン就職に悩む心境や悩みをリアルな映像で伝えている点が特徴です。
さらに映像内には、実際に地元で活動している複数の企業も登場します。
地元企業だからこそ感じる地方で働くメリットや魅力が映像から強く伝わってきます。
福山らいふ U・Iターン就職プロモーションビデオ(福山市)
福山市は、広島県の南東部に位置する自然豊かな地域です。
上記は、福山市がUターンやIターン募集用に公開したプロモーション動画となっています。
UターンやIターン就職に役立つ支援制度が整っていることや、充実した医療体制、企業紹介など、働きやすい環境をナレーションやテキストなどでうまく訴求している点が特徴です。
地域PR動画を制作する際のポイント
地域PR動画を制作するポイントは、以下の3つに分けることができます。
- 目的に合わせたコンテンツの内容を考える
- 視聴者をワクワクさせるような訴求を行う
- 地域特有の独自性を持たせる
地域の活性化や観光客を増加させようと、いまでは動画を活用する地方自治体は少なくありません。
そのなかで多数の視聴者を獲得するには、特にコンテンツの内容に面白みや独自背を持たせる必要があります。
以下でお伝えするポイントを意識し、良質な地域PR動画を制作していきましょう。
目的に合わせたコンテンツの内容を考える
地域PR動画を制作するうえでもっとも重要となる要素が、動画制作および運用の目的です。
あらかじめ目的を定めておかなければターゲットや訴求ポイントがぶれやすく、何を伝えたいのかが分かりにくい動画となってしまいます。
地域PR動画を制作する目的には、たとえば「地域特産品の売上拡大」や「地元移住者の増加」などがあります。
動画を制作するときは上記のような目的に加え、目的に応じたコンテンツの内容を考案するようにしましょう。
たとえば地元移住者を増やすことが目的であれば、観光スポットを紹介する動画ではターゲットの心には刺さりません。
地方への移住を考えている人にとって観光は二の次だからです。
それよりも都市部へのアクセスのよさや子育てに向く環境など、住みやすさを訴求する動画のほうが最適と言えます。
上記のように目的によって動画の内容は変化するため、まずは目的を明確にすることが肝要です。
視聴者をワクワクさせるような訴求を行う
地域PRを目的とした自治体の動画のなかには、単に観光地や地元の文化などを並べただけの映像も少なくありません。
これでは単なる紹介動画と変わらないため、視聴者の「ぜひともこの地域へ行ってみたい」という気持ちを呼び寄せることはできないでしょう。
よって地域PR動画には、視聴者をワクワクさせるような訴求が必要です。
たとえば動画の構成にストーリーを加え、ドラマのように演出する方法が有効です。映像にストーリーが加わることで物語の結末やその後の展開が気になるため、視聴者に興味を持って動画を見てもらえます。
先ほどお伝えした事例では、大村市の「定住推進PR動画」が上手にドラマ性のある動画を発信しています。
ほかにも地元の定住者やタレントを活用するのも方法の一つです。
綺麗な風景などを紹介しているだけでは「綺麗だな」という印象で終わってしまうため、観光スポットに人を登場させて、「このような遊びができる」「このような体験ができる」といったUX(ユーザー体験)を意識した映像制作を心がけましょう。
UXを意識することで視聴者の共感を呼び、具体的なアクションにつなげることができます。
地域特有の独自性を持たせる
日本には美しい風景や綺麗な観光地などはたくさん存在するため、その映像を流すだけでは地域特有の独自性は生まれません。
独自性のない動画は視聴者の心にも響かないこともあり、動画制作時にはオリジナリティを意識する必要があります。
独自性を持たせるには、まず地元について原点に返って見つめ直してみましょう。
「この地域ではどのような観光地が有名なのか」「伝統的で多くの人に知ってもらいたい文化があるか」など、地元の特徴を表す要素をピックアップしておくと企画が立てやすくなります。
弊社では動画制作の企画から制作、その後の運用までワンストップで提供しています。
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