商品やサービスのメリットを端的かつ視覚的に表現できるのが紹介動画の魅力です。
その紹介動画の中でも、最近はアニメーション映像を活用する手法に注目が集まっています。
アニメーションを使うと印象に残る動画に仕上がることが多いため、サービスやブランドの認知に最適です。
ただ、アニメーションと実写では、動画の制作背景から必要な費用などのさまざまな事情が異なってきます。
これからアニメーションを活用してサービス紹介動画を制作したい人は、今回ご紹介するアニメ動画制作のポイントや方法、予算などをしっかりと理解しておきましょう。
サービス紹介動画をアニメーションで作るメリット
従来、商品やサービスの魅力を伝える動画は実写形式が一般的でした。
しかし、最近はコンテンツマーケティングが多数の企業から注目を集めるようになり、よりコンテンツの価値を高めるためにアニメーションを使った動画の制作が増えています。
では、アニメーション映像で動画を作ることでどのようなメリットがあるのか、以下で詳しく解説します。
メリット(1)幅広い映像表現に対応できる
アニメーションを使うと実写では表現できないような映像を作れます。
価値のあるコンテンツを作るうえで映像表現の幅が広がるというのは大きなメリットです。
たとえば、「羽の付いた人間が空を飛ぶ」という非現実的な表現は実写ではできません。
一方、アニメーションであれば頭に浮かんだアイデアをそのまま形にできるため、実写では不可能な映像でも表現できます。
また、幅広い映像表現を低予算で実現できるのもアニメーションの利点です。
「羽の付いた人間が空を飛ぶ」という前例は特撮やCGを用いると表現も可能ですが、高価な撮影機材を用意しなければなりません。
このような特撮やCGに比べると、アニメーションであれば少ない予算で映像を制作できるのです。
メリット(2)映像を柔らかなタッチで表現できる
実写映像は具体的でリアルな性質があるため、動画の内容によっては視聴者に不快感を与えかねません。
たとえば手術シーンや出血がある映像などは、生々しさが全面に出るので不快に感じる視聴者も多いでしょう。
その反面、アニメーションなら映像をよりソフトに、マイルドな表現が可能です。
実写では生々しいと感じる映像でも、比較的受け入れやすい映像表現に変換できます。
メリット(3)映像制作にかかわる工数を削減できる
実写の場合はモデルやエキストラ、ナレーターなどのキャスティングが必要ですが、アニメーションはその必要がありません。
コンテンツの内容に合ったキャラクターや背景を描くだけで済みます。
事実、キャスティングには膨大な費用と工数が必要となります。
そのキャスティング作業をすべて削減できるとなれば、その作業にかかっていた時間や工数をコンテンツの企画や戦略構築にあてることができ、より緻密なコンテンツマーケティングが可能になります。
サービス紹介のアニメーション動画の料金相場
アニメーション動画を作りたい一方で、社内に最適な人材やリソースが不足するケースも珍しくありません。
そこで、アニメーション動画制作に実績のある制作会社を活用するのも方法の一つです。
制作会社に依頼した場合、およそ次のような費用が発生します。
【アニメーション系の動画料金相場表】
基本的にアニメーション動画の制作料は「種類」「長さ」「質(クオリティー)」で算出されます。
映像の種類 | 大まかな料金相場 | 制作平均期間 | 時間ごとの料金相場 | 質 | 料金相場 |
スライドショー | 10~30万円 | 2週間~2ヶ月 | 1分以下 | 高 | 10万〜15万 |
低 | 10万前後 | ||||
1分〜3分 | 高 | 10万〜20万 | |||
低 | 15万前後 | ||||
3分〜 | 高 | 10万〜30万 | |||
低 | 10万〜20万 | ||||
一般的なアニメーションサービス紹介動画はこれ! モーショングラフィックス | 30~300万円 | 1~4ヶ月 | 1分以下 | 高 | 30万〜100万 |
低 | 30万前後 | ||||
1分〜3分 | 高 | 80万〜200万 | |||
低 | 50万〜150万 | ||||
3分〜 | 高 | 100万〜300万 | |||
低 | 80万〜150万 | ||||
3DCG | 150~800万円 | 2~5ヶ月 | 1分以下 | 高 | 200万〜400万 |
低 | 150万〜200万 | ||||
1分〜3分 | 高 | 300万〜700万 | |||
低 | 200万〜450万 | ||||
3分〜 | 高 | 500万〜800万 | |||
低 | 400万〜650万 | ||||
ホワイトボードアニメ | 30~200万円 | 1~3ヶ月 | 1分以下 | 高 | 30万〜80万 |
低 | 30万前後 | ||||
1分〜3分 | 高 | 50万〜120万 | |||
低 | 30万〜100万 | ||||
3分〜 | 高 | 80万〜200万 | |||
低 | 50万〜120万 | ||||
フルアニメーション | 300万円~ | 3ヶ月〜 | 1分以下 | 300万〜 | |
1分〜3分 | 500万〜 | ||||
3分 | 800万〜 |
※3DCGやフルアニメーションの場合は上記にプラス200万円前後、モーショングラフィックスだとプラス50万円前後の費用がかかる
上記は、企画構成からイラスト作成、編集などすべての作業を依頼した場合の相場ですが、前提として動画制作は1点ごとの見積もりで制作されるため、制作前の見積もりを必ず行うようにしましょう。
アニメーション制作会社によっては、ピンポイントで必要な作業のみに対応しているケースもあります。
「企画は自社で行うのでイラスト作成のみ外注したい」という場合は、依頼内容を限定することで費用を抑えられます。
以下は各作業における平均的な相場です。
作業内容 | 料金相場 |
企画構成 | 10~20万円 |
ディレクション | 10~50万円 |
イラスト作成 | 10~50万円 |
映像編集 | 20~100万円 |
ナレーション | 5~10万円 |
サウンドエフェクト | 5万円前後 |
アニメーション動画を制作するには上記のような費用が必要です。
よって初期投資額が高額になりがちですが、動画コンテンツは資産性が高く、保存した映像を何度でも加工・修正することができます。
YouTubeでの動画配信や自社サイトへの動画転載などを長期的に運用することで、長い目で見れば費用対効果が非常に高くなります。
自社で制作したい動画の金額がいくらになるかは以下の動画制作シミュレーターでご確認ください。
アニメサービス紹介動画制作のポイントと方法
アニメーション映像でサービス紹介動画を制作する場合、いくつか守っておきたいポイントやコツがあります。
以下でお伝えするポイントを押さえることで、より視聴者に響くようなコンテンツを制作できます。
目的や用途を明確にする
まず、サービス紹介動画を活用する目的や用途を明確にすることが大切です。
特に、目的なく動画を作ってしまうと伝えたい内容が分かりづらく、うまくコンバージョン(動画からサイトへの流入、購買意欲の促進など)に結び付かない恐れがあります。
たとえば、同じサービス紹介動画という括りでも、YouTubeなどのチャンネルを利用してコンテンツを発信するのか、それともWebサイトやECサイトに動画を掲載してコンテンツの一部にするのか、という用途が異なります。
用途が違えば当然、コンテンツの内容や戦略も変わってきます。
そこでまずは、「動画を通じてサイトへの流入数を向上させる」「ECサイトの販売数量増加に役立てる」といった目的を定めましょう。
その目的から逆算し、「サイトへの流入数を増やすためには、利用者数の多いYouTubeでの配信が効果的」といったように用途を決めていきます。
ターゲットを明確にする
「サービス紹介動画を誰に伝えたいのか」というターゲティングも重要です。
「サービスを開発する段階でターゲットは定めた」という場合でも、もう一度ターゲットについて振り返って考えてみてください。
なぜなら、コンテンツマーケティングでは、ターゲットをより細分化させたペルソナが重要になってくるからです。
ターゲットの悩みやニーズを細かく精査することで、ターゲットが求める内容にマッチしたコンテンツを作成できます。
たとえば、ターゲットに40代男性というキーワードを設定したとします。
しかし、これだけの情報だけではニーズを捉えきれません。同じ40代男性の中にもさまざまな悩みや課題を持った人がいるからです。
そこでより深掘りしてペルソナをあぶり出す必要があります。
仮に中古車を販売しているとすると、次のようなペルソナを想定できます。
基本情報 | ・氏名:和田 孝徳 ・年齢:48歳 ・家族構成:既婚 ・居住地:東京都 ・情報入手経路:公式サイト中心 | 特徴 | ダイビングとネットサーフィンが趣味。 普段から多くの情報をネットで検索している。 ダイビングがメインの趣味なので、車関連の情報収集量が多いわけではないが、車に関してはレクサスのことばかり考えている。 もともとレクサスISシリーズを愛用していたが、RCに乗り換えた。 |
車への態度 | ・基本的には公式サイトでの情報収集。公式で情報が得られない場合は車のメディアサイトを閲覧 ・繰り返し公式サイトで新しい情報をチェック ・レクサスの世界観が好きで同じブランドを愛用している ・改造には興味がなく、車のことはディーラーに任せている | 購入検討の背景 | もともとレクサスISシリーズを愛用していたが、RCに乗り換えた。 理由は、レクサスブランドそのものは好きだが、長年乗り続けてきた車に飽きたため。 公式サイトで新しくRCシリーズが発売されることを知り、次に乗る車として目星をつけていた。 |
接触サイトの割合 | ・公式サイト:64% ・車メディアサイト:15% ・ECサイト:9% ・ディーラー:6% ・口コミサイト:6% | ユーザーのゴール | 公式サイトや車メディアサイトで車のあらゆる情報をチェックして購買意欲を高め、なるべく安い手段で購入できること。 また、レクサスの世界観に浸りながら購買体験ができること。 |
ニーズ | ・レクサスRCのあらゆる情報を手に入れたい ・下取りを高く出したい ・次期検討車のディーラーオプションなどで妄想を膨らませたい ・レクサスの世界観に浸りながら購買体験がしたい ・次期検討車をなるべく安い方法で手に入れたい |
コンテンツの企画は自社で行う
目的や用途、ターゲットの設定が終われば実際にコンテンツの企画から制作に移っていきますが、制作会社に制作を一任する場合でも、企画は自社の中でイメージを膨らませるようにしましょう。
自社サービスのことをもっともよく理解しているのは、何を置いてもその会社自身だからです。
もちろん、制作会社に相談し、プロの意見を聞くことも大切です。ただ、サービスの魅力を最大限に伝えるのはその企業にしかできないことなので、社内で積極的にアイデアを出し合うようにしましょう。
端的に情報を伝える
サービス紹介動画を作る際に意外と見落としがちなポイントが、動画の長さ(尺)です。動画があまりにも長いと内容を把握しきれず、期待した効果が得られない恐れもあるため、伝えたい情報は1つに絞り、端的に伝えることが大切です。
アメリカの認知心理学者ジョージ・ミラーが考案した「マジカルナンバー7」の法則によると、人間が短期間に記憶できる情報量は7±2個と言われており、30分以上のサービス紹介動画があまりないのはこのためだと言えます。
またサービス紹介動画を動画広告として利用する場合にはそのプラットフォームや運用方針に合わせて動画の尺や形を決めていきます。
コンバージョンに至る経路を確保する
サービス紹介動画は、単に視聴されて役割が終わるというものではありません。
目的や用途によっても異なりますが、基本的にはサービスの契約や資料請求といったコンバージョンにつながってこそ真の役目を発揮したと言えます。
そのため、視聴者がスムーズにコンバージョンに至る経路を確保することが重要です。
たとえば、YouTubeの概要欄や、動画を転載するメルマガのボトムスペースへCTA(行動喚起)ボタンを設置するといった方法が活用できます。
公式サイトやECサイトに動画を貼り付ける場合は、動画内に「お申し込みはページ中央部のボタンより」などのアナウンスを流す方法もあります。
視聴者はサイトの構造を理解しているわけではないため、できるだけ親切丁寧に申し込みボタンや資料請求ページへの道のりを提示しておきましょう。
アニメーションのサービス紹介動画事例
最後に、アニメーション映像を活用したサービス紹介動画の事例をご紹介します。
事例(1)レッドブル
エナジードリンクとしてお馴染みの「レッドブル」は、エナジードリンクの紹介動画をすべてアニメーション映像で制作しています。「翼をさずける」といううたい文句の通り、実写では実現不可能な「人に羽が生えて飛んでいく」という映像を表現。アニメーションのメリットを効果的に活用した事例と言えるでしょう。
俳優や女優を使ってエナジードリンクを美味しそうに飲む映像も魅力的ですが、レッドブルの場合はあえて優しい表現のアニメーションを用い、視聴者に「馴染みやすさ」というイメージを植え付けています。
いまではエナジードリンクと言えばレッドブルというほど、多くの人に馴染みのあるブランドへと成長しました。
事例(2)ファイナンシャルプランナーズ花園
「ファイナンシャルプランナーズ花園(FP花園)」は、経験豊富なFPが個人のライフプラン作成や資産形成、保険運用などのサポートを行うサービスです。
上記動画では、サービスの一部である相続事務支援に関する紹介を行っています。
可愛いキャラクターやイラストが、ナレーターが読み上げる文章に沿って軽快に動きます。文章で説明すると長文になりがちな相続事務支援というサービスですが、音声と映像を活用することで約2分という短い動画に仕上がっています。
「相続って難しそう」という一般的なイメージを、ポップなアニメーションで和らげている点がポイントです。
事例(3)タカラトミー
さまざまな子供用製品を扱うタカラトミーでは、ストップモーションアニメを活用したコンテンツを発信しています。
ストップモーションとは、静止している物体を1コマずつ動かして映像を撮影し、まるで動画のように物体が動いているように見せる手法です。
アニメーションの一つの手法として近年注目が集まっています。
動画内に出てくる動物や背景のおもちゃは同社の製品を活用。
アニメを見た子供が気に入ると、そのおもちゃ自身の購買促進にもつながるため、巧みなコンテンツマーケティング手法と言えるでしょう。
事例(4)Payme(ペイミー)
「Payme(ペイミー)」は、給与の即日払い・前払いサービスです。企業は同サービスを導入することで、簡単に給与の即日払いのシステムを構築できます。
サービス紹介動画はアニメーション映像を活用しています。
アニメーション映像の中でも「モーショングラフィックス」と呼ばれる技術で、もともと静止画であるロゴやイラスト、テキストなどに動きを付け、アニメのように見せる方法です。
ナレーションに合わせてテキストやイラストが跳ねるように動き、さらに立体的な効果音も演出を盛り上げてくれます。
言葉で説明するのが難しいような内容でも、画面に動きを加えることで理解しやすくなる点がメリットです。
視聴者の理解がはかどることもあり、約1分程度の気軽に視聴できる尺に仕上がっています。
事例(5)リノベる。
「リノベる。」は、中古マンションの購入とリノベーションを同時に実現できるサービスです。
上記の動画では、アニメーション映像を使ってサービス内容を分かりやすく伝えています。
中古マンション購入やリノベーションは、契約や手続きの流れが分かりにくい性質があります。
そこで、サービスを利用する際の流れを解説し、視聴者の不安を取り除くように工夫しています。
アニメーション映像を活用することで、その流れがわずか3ステップで解説されている点が特徴です。
YouTubeチャンネルの概要欄には公式サイトや事例集のリンクを掲載。
サービスを利用したい視聴者がすぐにアクセスできるよう、しっかりとコンバージョンに至る経路を構築しているのが強みです。
事例(6)SAP JAPAN
クラウド給与計算ソフトを提供する「SAP JAPAN」では、アニメーションとテキストのスライドをうまく組み合わせて動画を制作しています。
ある中堅会社が人事システムを導入するまでの流れを、ドラマのようなストーリー仕立てで展開している点がポイントです。
1つのアニメ作品を見ているような感覚に陥るため、視聴者の印象に残りやすい優れた事例と言えるでしょう。
また、動画の中でナレーションがないのも特徴の一つです。その代わり、テキストをスライド形式で見せてサービス内容を紹介しています。ナレーション付きの動画は目と耳の両方を働かせる必要がありますが、映像とテキストのみに絞り込むことで視聴者は画面を見ることだけに集中できます。
アニメーションのサービス紹介動画制作に興味のある企業の方はぜひお問い合わせください。